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スイートプリキュア第16話『ピンポーン!交換ステイでベストフレンドニャ♪』 [スイートプリキュア♪]

子供の頃、他所の家に泊まるというのは、何ともいえない楽しみがありました。
プリキュアシリーズでも、これまでになぎさがほのかの家に泊まったり
フレッシュ劇場版でのパジャマパーティなど「お泊り会」的な話はありました。
しかし今回のように、互いに交換で1泊というのは珍しく、あまり他でも見受けられません。
些細な事から久々にケンカをした二人が交換ステイの一日を経て、
互いの境遇を知る「王子と乞食」のような一編でした。が・・・
 
夏服で登校した響を、校門の裏で待ち受けている奏は、朝から非常に不機嫌です。
勉強を教えると約束した筈なのに遅いと奏に責められた響は
そんな約束をした覚えは無く、話が噛み合わないまま一方的に絶交を通告されました。
響は訳が解らないながらも、すぐさま奏の後を追いますが見失い、
案の定先の奏はセイレーンが化けた姿です。
後から登校して来た本物の奏に、校門での出来事を詰め寄る響。
当然ここでも話がかみ合わず、2人の間に久々に険悪な空気が流れ始めます。
ところが今の状態はともかく、2人は今年度のベストフレンド大賞に選ばれていました。
その事を生徒達に発表する先生の前で、ベストフレンドの2人は小声で言い争いながら
互いをつねるなどと痴話喧嘩を繰り広げています。

セイレーンを再びリーダーに任命したのに、
思うような成果が出ていない事を責めるメフィストの怒号が時計台アジトに響き渡ります。
しかしセイレーンはバリトンに爪を磨いてもらいながら涼しい顔。
今朝、2人の仲を引き裂いてきた事を報告し、
丁度時計台の下でケンカ中の2人の姿をメフィストにも見せ付けました。
ベストフレンド大賞の授賞式でピアノを演奏する事になったため、
その練習を強いる奏と、拒絶する響。響が拒むのは奏との仲が険悪になっただけではなく、
家族が誰も見に来ないという事情もあるようですが・・・

そんな2人にハミィは、互いの家を交換して泊まるという「交換ステイ」を提案しました。
響は奏の家に、奏は響の家に交換して泊まる事で、互いの良いところがわかって
もっと好きになってもっと仲良しになると、フェアリートーンを使って説明。
そして渋る奏にはもう肉球を触らせないと脅し、
響には奏の家に泊まればケーキ食べ放題だとエサをちらつかせ、
結局交換ステイを受け入れる事になりました。

そして交換ステイの日。響は南野夫妻に快く迎え入れられ、
奏太にも手作りカップケーキで歓待されます。
もっともそれはカスタードならぬマスタード入りという、カラい歓迎でしたが・・・
一方奏を迎え入れる筈の団パパは大音量で音楽を聴いており、奏の挨拶にも気付きません。
ハミィが弾みで音を消して初めて気付くという無頓着、マイペースぶりに先が思いやられます。
楽にしていいとドイツ語で口走り、再び大音量で音楽を聴き始める団パパに、
「全然楽にできないんですけどー!」
音楽のせいで視聴者にも声が聞こえず、字幕で応える奏。
家の外で様子を伺うトリオ・ザ・マイナーの3人も耳を塞ぐ程の大音量が、
北条邸の内外に響き渡ります。

響が色とりどりのカップケーキが並ぶ店内の光景に目を輝かせている頃、
北条家では団パパ手作りの昼食が出されすが、
それはただ海産物を無造作に鍋にブチ込んだだけのおどろおどろしい料理・・・
しかし北条家では食事当番が交代制で、響も食事を作っている事を知る奏。
そして響も奏太の勉強を見たり、店の手伝いや閉店作業といった奏の多忙さを知りました。

その日の北条家の夕食は奏が腕を振るいますが、
団パパはその腕前を褒めながらも多忙のために手早く平らげ、
一緒に食卓を囲む事も出来ません。たまたまハミィにも先に食べられてしまい、
奏の夕食はいつもと違った、一人での寂しいものとなりました。
逆に響はいつもと違った、家族みんなで食卓を囲む夕食を楽しんでいます。
響は交換ステイをして、奏太の面倒を見たり店の手伝いをしている
奏の良い事を沢山見つける事が出来ました。
そして奏も、ハミィの肉球を愛でながら響の寂しい暮らしぶりを知りました。
しかし、響はいつも一人ではありません。ハミィも、フェアリートーン達もおり、
そしてテレビ電話で毎晩フランスにいるまりあママとも話せます。

テレビ電話の向こうのまりあママは、響は明るく元気なので安心していると言いながらも、
家を空けているために寂しい想いもさせているのではないかと奏に打ち明けました。
奏はまりあママに、今度の授賞式の事を報告します。
響からその事を聞いておらず今初めて知ったまりあママ。
その様子をセイレーンとトリオ・ザ・マイナー達が窓の外から伺っていました。

翌朝登校し、校門で鉢合わせた響と奏は、
顔を合わせた最初こそ少し緊張した空気が流れるものの、
交換ステイをした事で互いの良いところを知り、一緒に笑い合う事が出来ました。
2人がすっかり仲直りした事を、こっそり伺うセイレーンとトリオ・ザ・マイナー。
奥の手を考えているというセイレーンは、まだまだ余裕たっぷりです。

そして授賞式の当日。
表彰状を貰った2人に客席から奏一パパの掛け声が飛び、奏は少し恥ずかしそうです。
対する響は、この場に両親が居ない寂しい気持ちを振り切るように、
練習の成果を見せるべく奏に笑顔を向けて舞台袖へと向かいました。
その舞台袖で、フランスにいる筈のまりあママが響を待ち受けています。
目を疑い、久々の再会を喜ぶ響ですが、その喜びはすぐに暗転。
響がいつもママの悪口を言っていると奏に聞いた、などと言われて、
響は狼狽を隠せません。奏がそんな事を言う筈が無いけど、母が嘘をついているとも思えない。
追い打ちをかけるように、まりあママは響の耳元でそっと囁きます。
『あの子は本当は悪い子よ。あんな子のために頑張ることはないわ。
 わざとピアノを間違えて、恥をかかせてやりなさい・・・』
そして著名なヴァイオリニストである北条まりあは生徒達に取囲まれ、
何を信じていいか解らぬまま響はピアノへと向かいます。

ピアノに向かう響には、観客の拍手も、自分の足音も、アナウンスも何も聞こえません。
先にピアノの前に着席している奏は、響の様子がおかしい事に気がつきました。
『私・・・どうしたらいいの?』
完全に足が止まってしまった響。その耳に、会場の最後部から聞き覚えのある声が響きました。
『響!リラックスよ!大丈夫、落ち着いて!』
声の主はこちらもまりあママ。先ほどの冷たい囁きとは打って変わった快活な声と表情を見て
響は舞台袖で生徒達に囲まれているまりあママ、そして冒頭の奏は
セイレーンが化けた姿だと気付きます。
メトロノームに潜む音符を見つけたハミィ、妨害しようとするまりあママに化けたセイレーン。
しかし生徒達に囲まれて動きが取れず、黒猫姿に戻って足元を潜り抜け、
メトロノームをネガトーンと化しました。会場には悲しみの音波が撒き散らされ、
2人は式を滅茶苦茶にした事に憤り変身。

戦闘開始直後、いきなりミラクルハートアルペジオとファンタスティックピアチェーレを叩き込み、
秒殺かと思いきや当然そんな事はありません。
メトロノームの振り子の揺れが、2つの技をかき消してしまいました。
リズムはミューズに頼るような弱音を吐きますが、メロディは2人で乗り越えようと励まします。
交換ステイで互いの良い所を見つけたベストフレンドの私達なら、絶対出来る。
リズムは寂しくても辛い顔を見せずに元気に笑っている響を、
メロディはいつも周りの事を考え、一生懸命な奏を交換ステイで再認識し、
2人の良い所を交換すれば、もっと強くなれると確信しました。
その様子をミューズが伺う前で、互いのベルティエのパーツを交換する事で
新たな技が披露されました。プリキュア・ミュージックロンド・スーパーカルテット。
なんて可愛いんでしょうこのバンク。
ネガトーンを撃退し、音符も無事に回収しました。

演奏終了後、まりあママに抱きつく響。
まりあママは奏から、きっと響が見に来て欲しいと想っていると教えてもらい、
急遽フランスから駆けつけたのでした。奏の心遣いに感謝する響。
これで一層2人の絆が深まりました。


まず、「交換ステイ」というアイディアは面白いと思います。
互いの家族の事を良く知っているからこそ出来るものですが、それほど親密であっても、
いざ一晩を過ごしてみると、今回の響と奏のように知らないことも沢山見えてくるでしょう。
また随所に描かれている描写の数々に、楽しいものも多くありました。
フェアリートーン達が行ったり来たりする「交換ステイ」の説明、
丁度3で割り切れない真ん中のファリーの寂しげな素振りなど、
フェアリートーン達の描写の可愛らしさが印象深いです。
他にもセイレーンの爪を磨くバリトン(この役はファルセットの方が似合う気がしますが)
普通にラッキースプーンのテラスでお茶しているトリオ・ザ・マイナー、
葉っぱで隠れているつもりでも全く隠れていないセイレーン達、
そしてオッサン呼ばわりされるバスドラ等、マイナー陣営のコミカル描写も多くありました。
そんな中セイレーンと、リーダーの座を譲っても腹に一物ありそうなバスドラの、
悪のベストフレンドと言いながらも複雑な関係に、今後の展開を期待したいです。

しかし、個々の素材が良くても全体で見ると雑然とした印象が感じられてしまい、
今回の話は少々残念に思えてしまいました。
ベルティエを「交換」して遊べるという販促を絡めなければならない苦労はお察ししますが・・・
良い素材でもただぶち込んで煮詰めただけではまとまりが無くなってしまいます。
本編中に出て来た団パパが作ったごった煮そのままのようで、何と皮肉な事でしょう。
新技の名前「カルテット」即ち四重奏は、個々の演奏者のスタンドプレーでは成立しません。
四重奏に限ったものではありませんが、全体の調和というものはとても重要です。

まとまりの悪さだけでなく、この期に及んでの違和感も目に付いてしまいました。
響と奏のケンカは、今ではバカップルの痴話喧嘩といった風な見方で楽しめ、
そこから仲直りをどう持っていくかという点にも興味がありますので、
ケンカそのものは個人的には嫌いではありません。
しかし今では仲直りしたとはいえ、番組開始の時点では響と奏の不仲は
校内の誰もが知るほど有名でしたので、
そんな響と奏がベストフレンド大賞に選ばれるのは少々都合が良すぎる気がします。
大賞には響と和音が選ばれてもおかしくなさそうですが、
選ばれた2人が演奏をするというためなのか、まず楽器が出来ない事には選考外なのか、
いまいちベストフレンド大賞の位置づけがわかりづらいように思えます。
テレビ電話で奏は、まりあママが響とケンカした事を聞いて
「響はそういうのを引きずらない」と言っていますが、これも実態に反しているように感じます。
中学の入学式から第1話の時点までの約1年もの間、
響がずっと引きずっていた事をもう忘れてしまったのでしょうか?

戦闘においても、メトロノームの振り子が揺れるだけで技がかき消されるのも唐突ですし、
何より安易にミューズに頼るような弱音を吐くリズムに違和感を強く覚えます。
リズム=奏はそんなに弱い子でしょうか。
これまでのストーリーを見てきた以上、私にはそうは思えません。
とはいえ、2人同時のフィナーレの可愛さには大満足です。
すっかり過去の物になってしまったパッショナートハーモニーを彷彿とさせる
2人で繰り出すラブラブのバンクは既に何度も見返してしまいました。
それ以外にも、一気に決めると宣言するメロディに親指を立てて返すリズムも格好良く、
繰り返し同じ表現で恐縮ですが、個々の描写には光るものを多く感じました。

さて、響にとっては今回の交換ステイは楽しい一時だった事でしょう。
というのも、奏の目から見ても北条家の、特に団パパの変人ぶりは特異で、
団パパなりに娘を想っているとは察しますが、毎日あれでは響が気の毒です。
響はこれまでのプリキュア達の中で「家族の愛情を受けていない」子ではなく、
「家族の愛情を受けていると思えていない」子ではないかと感じました。
両親と疎遠のプリキュアといえば、ほのかとかれんが挙げられます。
ほのかには祖母のさなえさんが、かれんには執事の坂本さんがおり、
2人とも面倒を見てくれる親代わりの人を信頼し、尊敬していますが、
響は団パパを信頼しきれていない、というよりも団パパがあれでは信頼できそうにありません。
美希は片親であっても母の愛情を一身に受けており、
親が一切登場しないこまちも、円満な家庭生活だと推察されます。
実際に不幸な家庭環境であるゆりは別格として、
響はこと家族関係においては気の毒に思えてきました。
『でも母親だもの。離れていても、いつも響ちゃんの事考えてるわよ』
『そうかなぁ。うちの親は二人とも自由だから』
南野家の食卓で、美空ママと響の間にこのようなやり取りがありましたが、
この響の反応が、両親からの愛情を受けている事を知らないと伺える気がします。
だからこそ次回の母親回には期待したいです。

私はプリキュアという作品群を毎週楽しませてくれる製作陣を尊敬し、信じています。
本来子供向けであり、私のような者がとやかく言うべきではないかもしれませんが、
大人の鑑賞にも堪えうる、大人の心にも響く作品群である事は
これまでの歴史が示しています。
楽しめそうな次回と、そして中盤以降の展開に期待しています。
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モグ

こんにちはスティクスさん
「交換スティニャ!」「ふたりでピアノの練習ニャ!」などと
その場で思いつきの提案をするときのハミイのドヤ顔が
うざいながらも可愛く思えるようになった今日この頃です.

しかし同じ猫知恵であってもセイレーン様がじっくり考えた策よりもハミイの思いつきの方が結果を出すのが,悲しいほど二匹の天賦の差異がでていますね.

まあ,今回は通常営業ですね.セイレーン様も「音楽で人を悲しませる.そのために邪魔なプリキュアの仲を裂く」という崇高な目的のために努力をされましたし.
まあ,通常パターンがあるから,前回みたいに,(音楽に関係なく)腹いせでパーティをぶちこわそうとするエレン様 という怪しい話もできるわけですし.
by モグ (2011-05-31 09:54) 

スティクス

>モグさん
おはようございます。コメントありがとうございます。

>うざいながらも可愛く思える
私も昨年えりかに感じたこの気持ちを、
まさかハミィに対して抱いてしまうとは当初は想像もしていませんでした。
最初はウザいと思っていた他作品の珍獣たち、
ポルンやフラッピ、タルトなども、次第に妙に可愛く見えて来ましたし・・・

>今回は通常営業
確かに仰るとおりで、少々辛い評価をしてしまい、少し反省しております。
スタンダードがあるからこそ、前回のような話や、
ハミィとセイレーンの過去のような話が引き立つものですよね。
これからも今シリーズの底力に期待したいと思います。
by スティクス (2011-06-01 06:17) 

南嵐茶真

こんにちは。録画した分が今日やっと見れました。
スティクスさんの言うように今回はちょっと急ぎ足な感じがしましたね。
それとスイート全体に言えますが、テンポや間が微妙な時が多々あります。でも今初代やSSを見直して見ると結構ぐだってたり無意味な間があったりするんですよね。
フレッシュやハートキャッチは出来が良すぎたのかと思ったり。そんなとこまで原点回帰せんでええっちゅうに(苦笑)
さて、今回特筆すべきは響がセイレーンの首飾りに気づいた事ですね。セイレーンはどんな姿になっても首飾りははずれないみたい(ミューズ戦で証明済み)なので以降響がセイレーンに騙される確率は限り無く低くなったのではないでしょうか。
となるとセイレーンはこれ以降精神攻撃をしかけるのが大変ですが、どうするんでしょう?響は引き摺らないと同じ扱いになっちゃうのでしょうか……
また、ミューズが何者かもまだわかりません。既にネタバレとしてキュアビート、キュアシンフォニーの画像が出回っていますが、ミューズとの関連性はなんなのか。
いくつかの可能性が考えられますがここまで大した絡みの無い和音や聖歌先輩がプリキュアになるとも考えづらく……その割にビートは和音にそっくりだし……
恒例の追加戦士登場月7月まであと少し。
ますますスイートプリキュアから目が離せませんね。
by 南嵐茶真 (2011-06-04 18:05) 

スティクス

>南嵐茶さん
いつもコメントありがとうございます。
今回は私も第一印象のままに感想を書き連ねてしまい、
少々判断を急ぎすぎてしまったかと反省しております。
私も並行して再見レビューを続けている関係上、
過去作品にも意外と詰めの甘い構成があると知っていた筈なのですが・・・

響がセイレーンの首飾りに気付いた事は気になりますね。
今後騙されるだけでなく、そっと手を貸してくれるセイレーンに気付く等にも
応用することが出来そうで、有効活用に期待したいものです。

ミューズの正体だけでなく、あらゆる面で先が読めないという点は
非常に楽しみです。随所に散りばめられた伏線を回収し、
一つの結末に終息していくような、総合的な構成を期待したいですね。
by スティクス (2011-06-04 22:34) 

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