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5GoGo 第22話『のぞみ先生大いに頑張る!』 [Yes!プリキュア5GoGo!]

料理の楽しさを知らしめた前回に続き、学ぶ事の理由と楽しさを示唆する一編。
と思いきや、小々田先生に反抗的な態度を取るシロップの姿と相俟って、
そう簡単には語れぬ複雑な面も併せ持ちます。
しかしのぞみの教師への夢への第一歩とも言うべき的確な指導力は見ていて心地良く、
とんでもない失言をぶちかましてしまうブンビーさんの姿とも相俟って、
2話続けてのお子様への教育的な面に満ちた一編でした。
  
「千里の道も一歩から」
どんなに長い道のりでも最初の一歩を踏み出す事が肝要であり、
将来何かを成し遂げようとする時に思い出して欲しいと語る小々田先生の言葉に、
のぞみは熱心に聞き入っています。
パルミエ王国時代でも丁寧に教えていたという小々田先生の授業の分かりやすさは好評で、
ふと、りんちゃんは双子の弟妹、ゆうとあいの勉強も見て欲しいとため息を漏らしました。
(かつてココは散々おもちゃにされた事があったので難しいかもしれませんが・・・)
ゆうとあいは宿題の提出を控えているものの、
りんちゃんは店の手伝いをしなければならないために見てあげる事ができません。
そんな中、のぞみが勉強を教えてあげると張り切って申し出ました。
その様子を端から見ていたシロップは、のぞみには無理だと扱き下ろしますが、
小々田先生に後押しされたのぞみの真剣な目に、りんちゃんも任せる事にしました。
ところが・・・
『いい気なモンだな。無責任に人を応援する前に、自分は頑張ってるのかよ』
直後、シロップは小々田先生に毒づき、その場を立去りました。

『お茶が入りましたよ~。なんつって』
もはや様式美と言うべきブンビーさんの定番の台詞。
しかしお茶を入れるでもなく、ブンビーさんはコレクションの価値について
勉強しなければならない事に不平を漏らしながらトボトボと廊下を歩き、
その先に誰かがいるのに気づいて、その人物にクドクドと愚痴を漏らし始めました。
勉強しなければならないことや、怖い上司のアナコンディさんの事、
さらには何を考えているのかわからない館長の事について、
まさに目の前の人物が館長だという事は露知らず文句を言い続けます。
そこに血相を変えて駆け込んでくるアナコンディさんのの反応で、
ようやく目の前の相手が館長だと知り、慌てて誤魔化すブンビーさん。
アナコンディさんの強烈な怒りを背後に感じながら、
逃げるようにローズパクト没収へ向かいました。
『ヤバい!私ブンビー、ピンチです!』

のぞみが勉強を見てくれると張り切っている事に、ゆうとあいはちょっと不安そうですが、
早速分数とは何なのか質問しました。
小学校の算数しか知らない子供に分数の意味を教えるのは至難の業。
のぞみは分数をどう説明しようか考えるうち、卓上のせんべいに目を留めました。
1枚のせんべいをゆうとあいで分けるとしたら・・・半分にする。
そして、りんちゃんとのぞみを加えた4人で分けるとしたら・・・さらに半分にする。
それが2分の1、そして4分の1であり、分数とは1をみんなで分けると事だというのぞみの説明に
ゆうとあいも目を輝かせて興味を示します。
そしてせんべいはみんなで美味しく平らげ、ただ学ぶだけでなく
笑い合う声の絶えない勉強の時間になりました。
店の手伝いに来ているこまちとかれんは、奥から聞こえてくる声が
とても勉強しているように思えない事が心配になり、
様子を見に行こうとしますが、りんちゃんが引き止めます。
今日はのぞみに任せたいというりんちゃんの意思を尊重し、
こまちとかれんもしばし見守る事を承知します。

続いての課題は理科。ひまわりの双葉はどれかという問題に対して、
のぞみは実際に見てみようと店先からひまわりの種を持ってきます。
課題の提出は明日なので、今から種を植えても芽が出るまでには時間がかかりますが、
のぞみは小々田先生を引き合いに出し、
ゆうとあいの先生もきっと分かってくれると力説します。
ゆうとあいは顔を見合わせた後、のぞみに前から疑問に思っていた事を聞いてみました。
それは、「なぜ勉強しなければいけないのか」
答えに窮するのぞみ。しかし、分からないのに誰も教えてくれないというゆうとあいに、
次までに考えると約束します。

一通り勉強を見終えて、のぞみは夕暮れのナッツハウスで植木鉢にひまわりの種を植えます。
完全に小学生レベル、それで先生になりたいのかと馬鹿にするようなシロップに、
小々田先生が口を挟みます。
『のぞみは自分の夢に向かって頑張っているから、シロップも応援してあげるべきなんじゃ・・・』
ところが、言い終わらないうちにシロップは言葉を遮り、反発しました。
『応援応援って、お前はいつも人に頑張れって言うだけじゃないか。
 自分で何か努力して、やり遂げた事があるのかよ』
小々田先生の顔が曇りますが、シロップの責める声は止まりません。
『人に言うだけなら簡単さ。あの時もお前は約束した。それなのに・・・俺は信じてたんだぞ!』
あまりの物言いにナッツやくるみが止めようとしますが、
シロップはそのまま窓から飛んでいってしまいました。
一切の弁明をせず、ただ目を伏せる小々田先生を、
ナッツハウスに差し込む夕陽が静かに照らします。

のぞみは植木鉢を日当りの良い場所に置いて水をやった後、
小々田先生の浮かない顔に気付きます。
のぞみはココの頑張れにはいつもパワーを貰っている事から、
シロップもココからパワーを貰いたいのではないかと察しました。
そして先ほどのシロップの物言いも、のぞみを励まそうとしてくれていたと案じます。
私にはシロップの発言は小馬鹿にしているようにしか聞こえませんでしたが、
発言の真意はさておき、のぞみがそう言うと説得力が感じられます。
ところが、館長に失言してしまった事をぼやきながらブンビーさんが姿を現しました。
ここらでパッと一花咲かせようと、種を植えたばかりの植木鉢にホシイナーボールを落とすと
たちまちひまわりの芽が急成長して、ホシイナーとして立ちはだかります。
のぞみはナッツハウスに残っていたうらら、くるみと共に、変身して立ち向かいます。

人数が少ないだけでなく、大切なひまわりを傷つけないために、
思うように手が出せません。ひとまずプリズムチェーンで動きを止め、
その間に花の真ん中にあるホシイナーボールを引き剥がそうと試みるドリームですが、
プリズムチェーンもろとも、あえなく振り払われてしまいました。
駆け寄る小々田先生とナッツの前にはブンビーさんが立ちはだかり、
割って入るローズと攻防を繰り広げます。
その余波を受けて珍獣化してしまったナッツがローズパクトを取り落とすのを見て、
すかさずホシイナーをけしかけるブンビーさん。
果たしてローズパクトはホシイナーの花の中に捕らわれてしまい、
大事なひまわりに手を出す事もままならず、追い込まれる3人。

その窮地は、ルージュ、ミント、アクアを背に乗せて駆けつけたシロップによって逆転しました。
エメラルドソーサーでホシイナーを弾き飛ばし、サファイヤアローでブンビーさんを牽制。
しかしローズパクトはホシイナーの閉じた花弁の中にある状況は変わりません。
そんな折、ドリームはふと思いつき、ルージュにファイヤーストライクを
空に向かって放つよう頼みました。
ドリームの意図を察したルージュのファイヤーストライクが、
ホシイナーの横をすり抜け、空に向かって吸い込まれていきます。
狙いを外したと嘲笑うブンビーさんでしたが、はじけてまざれ!のように
突如明るくなる空に驚きを禁じえません。
『うおっ!まぶしっ!』(嘘)
目がくらんだブンビーさんの横で、ひまわりの習性どおり太陽を向き、
花を開いてしまうホシイナー。せっかく捕らえたローズパクトが落ちて行きます。
『そんなバナナ!』(嘘)
愕然とするブンビーさんを向こうに回して、シロップがローズパクトを広い、
そしてドリームのシューティングスター、続く強烈な蹴りで
ホシイナーはひまわりの花から離れ、撃退されました。

のぞみはゆうとあいに教えるために勉強した事で、
ひまわりが太陽を向くという習性を知っており、それを活かした作戦に感心するみんな。
そこにのぞみを追って、ゆうとあいがナッツハウスを訪ねて来ました。
のぞみに観察日記をプレゼントする2人。
そしてのぞみも、2人になんで勉強するのかの答えを出しました。
『それは、ゆうくんとあいちゃんが自分だけの花を咲かせるためだよ』
水、太陽の光、風、土を感じて大きくなるひまわりのように、
不思議に思ったり考える事で、沢山勉強すると大きくなる。
そして将来やりたい事が出来たときに、大きな花を咲かせられるようにするため、
沢山勉強して大きなきれいな花を咲かせようと説明しました。
夕陽に向かって「けってーい」をするのぞみ、ゆうとあいの姿を見て、
シロップはのぞみが教師に向いているのかもしれないと前言撤回します。
ところが・・・

そろそろナッツハウス閉店の時間です。
未だ長い夏の夕日が差し込む店内の暗がりに、一人佇む小々田先生。
『のぞみはどんどん成長していくな。
 教わった事を自分の言葉で誰かに伝えるなんて、なかなか出来る事じゃない』
何気なくのぞみを評価するナッツの言葉に、小々田先生は自分を卑下して返しました。
沢山の人がのぞみの力に惹かれている、それなのに自分は一体何をしているのか・・・
『あの時シロップは、僕に助けを求めていたのに・・・』
シロップに何も出来なかった過去を悔やむ小々田先生に、
『自分を責めるな・・・』
そう返そうとしたナッツ。しかし言い終わらないうちに、小々田先生は激しく反発します。
『何が国王だ!』
いつに無く言葉を荒げる小々田先生。と、その時、突如ローズパクトが輝きました。
その中からは、歪な形をした王冠が姿を現します。
まさしくパルミエ王国の王冠である筈の物体。
その歪んだ姿は果たして何を意味しているのでしょうか・・・


なぜ勉強しなければならないのか。
これは勉強が義務付けられている内は、なかなか分からない命題だと思います。
受験に合格していい学校に入るため?
本当にそれだけなのか、しかし現状の教育システムはそこからの逸脱は難しいです。
確かに良い学校に入る、成績を上げる、内申の評価を上げる、偏差値を上げる。
弊害はあるものの、全てが悪いとも言い切れませんし、
現に私自身も偏差値教育の真っ只中に中学・高校時代を過ごした身です。
良かったか悪かったかで言えば、
終わってみればあの時苦労した事も一つの思い出として残っており、
また忍耐力が得られた(かもしれない)事はプラスに働くのではないかと考えています。
しかし、受験のため、成績を上げるための勉強と、
知的好奇心を満たすための勉強はやはり異なるものでしょう。
いい大学に入る事、それは否定しませんし、目標があるからこそ頑張れるものもあるでしょう。
しかし、その後どうするのか。入った後で何を学ぶのか、
そしてその先、学んだ事をどう仕事に、人生に活かすのか。
その過程で見識を広め、人間性を養う事が出来るのならば意味があると思います。
しかし学ぶ事が義務付けられていない今となっては、知的好奇心を満たす事で、
自分を高め、そして次に何かを残す事が勉強する意味だと思います。

学ぶ事以上に、人に物を教えることは難しいものです。
例えば数学の知識を使わず、算数の知識だけしか知らない子供に
円周率がなぜ3.14の近似値なのか、台形の面積の公式はなぜ上底+下底×高さ÷2なのか、
こういった事を教えるのは中々の難問といえるでしょう。
今回の分数の意味に関しても同じ事が言えますが、
決して勉強が得意ではない、むしろ苦手なのぞみが、極めて明快な答えを出せたのは、
ゆうとあいと同じ目線で物を考える事が出来るからだと思います。
これだけでなく、ひまわりの種を植えようとする行動力やフィールドワークを重視する姿勢など、
シロップの言葉を借りずとも、のぞみは良い先生になれそうだと感じさせます。

少々難しいテーマだけでなく、ブンビーさんの館長に対する失言や、
その際のアドリブらしき台詞の数々も楽しめます。
そしてローズを除く全員の必殺技が1度ずつ繰り出される等、
比較的アクションパートも充実した一編と言えるでしょう。

そんな中で気になるのは、シロップの小々田先生に対する態度です。
ココ=小々田先生の発言の数々は確かに正論ですし、
のぞみをはじめみんなにパワーを与える事も確かです。
しかし、シロップが指摘するように非力であり、
悪い言い方をすれば「口だけ」と見られかねない部分も無いとは言えません。
私も部下に対して口だけではないか、
行動が伴っていないのではないかと思い悩む事は日常茶飯事ですが、
そんな時こそ初心を思い出し、千里の道も一歩からという
小々田先生の教えを思い出してみたいと思った次第です。
そして、そのように人を教えて道を指し示せる小々田先生は、
決して「口だけ」ではないと感じました。

夕陽の中の影など、恒例の細かい演出も目を惹き、
次回からの中盤の山場、シロップの裏切りの懸念という重い話に連なる導入部のような、
一見お気楽なエピソードに見えて内容は中々重く、ボディブローのように響いてくる一編でした。
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