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Go!プリンセスプリキュア 第5話『3人でGo!私たちプリンセスプリキュア!』 [Go!プリンセスプリキュア]

 春野はるか→はるはる
 海藤みなみ→みなみん
 天ノ川きらら→きららん

 そんなふうに呼ばれるんじゃないかと考えていた時期が、俺にもありました(笑)
  
 はるかとみなみがバレエの練習に興じている傍らで、アロマはパフュームどころかキーまで返したきららに腹を立てていました。みなみは仕事と学業を両立していると、きららに理解を示します。そしてはるかはトゥインクルになったきららの姿に憧れを抱いており、彼女をプリキュアにすることを諦めていません。

 屋上でスケッチブックにラフを描いているきららのところに、改めてはるかはお願いしに来ました。
『そんなにプリキュアになって欲しいの?』
 ピンチの時だけ駆け付ける助っ人でも構わないという、はるかの提案も、きららは断わります。きららもはるかに好感を持っていますが、モデルの仕事に全力100%賭けている彼女には、他の事をしている暇はありません。
 それでも食い下がるはるかに、きららは自分がどれだけ忙しいのかを体験してみせることにしました。

 きららは就業のチャイムと同時に駆け出して行き、はるかはついて行くだけで大変です。バスに乗って町へ降りた後、改めてこれからのスケジュールを確認。レッスンにスポーツジム、雑誌の撮影が3本、その後インタビューで、夕方からファッションショーのオーディションと、空き時間など全くなくぎっしりと予定が詰まっています。しかもファッションショーは世界的デザイナーであるボアンヌが審査するものでした。はるかはきららのハードすぎるスケジュールを、ようやく実感しました。

 まずはスタジオでモデル歩きの練習。さすがにきららは様になっています。はるかも誘われて挑戦してみると、カチコチに緊張して手と足が同時に出てしまったり、決めポーズはバレエのアラベスクだったりと、散々でした。そんなはるかを、きららは屈託ない笑顔で見守ります。
 次は撮影。いろいろなポーズで撮影したあと、写真を確認してイマイチだと思うものを指摘して行きます。はるかの目には可愛く撮れているように見えても、きららは自分に厳しく高いプロ意識を持っています。
『私じゃなくて衣装が可愛く見えなきゃダメなの。私のポージングが悪かったんだよ』
 次のスタジオに行く時間が来てしまい、ジムへ行く時間は無くキャンセル。そのまま走って次のスタジオへ。
 その後も撮影や打ち合わせ、合間を見てサインを書いたり、きららは分刻みのスケジュールをこなし、付添いのはるかのほうが疲れてダウンしてしまいました。

 公園でへばるはるかに、前回のお返しのように、きららがドーナツを買ってくれました。
『こんなスケジュールを毎日こなしてるなんてすごいね』
『ちょっとはわかった?』
『うん、天ノ川さんがとってもモデルの仕事が好きだって良くわかった』
 きららの予想していた答えと違ったのか、少し意外そうな顔を浮かべ、先日聞きそびれたはるかの夢を聞きます。プリンセスだと答えるはるかに、きららはもうプリンセスプリキュアになっていると指摘します。ぜんぜん足りていないというはるかの答えを聞いて、きららは手を伸ばしながら呟きました。
『私もまだ届かないかな』
 手の先には、スーパーモデルとして活躍するステラの巨大なポスターが貼られています。実はきららはステラの娘で、憧れの存在かつ高い目標となっていました。
 幼い頃、ステージで輝く母を見た時、きららの夢は決まりました。事務所に申し込んで合格し、ステラの母校であるノーブル学園に入学したという経緯を語ります。そしてステラが出たというボアンヌのショーにも気合を入れて臨んでいます。
『絶対受かって見せるから』
 視線の先にあるステラのポスターまでは、まだ遠く離れています。

 いよいよボアンヌの審査が始まります。みなさんの「きらめき」を見せて欲しいという要求に応えようとするモデルたちですが、皆お眼鏡に叶いません。きららについても、最初はビビッと来たものの、まだ何かが足りません。再度、衣装を選んで仕切り直しとなりました。
『十分可愛かったのに・・・』
『ボアンヌが満足してないんだから駄目なのよ。何が足りないの?』
 一緒に衣装選びをしていたはるかは、きららがトゥインクルになった姿を思い出します。あの姿は、はるかにはキラキラの星に思えました。・・・って、他のモデル大勢いる楽屋で大声で「プリキュア」って言ってますけど(笑)。
 はるかときららは同じ星飾りに手をのばします。ふたりの手が重なり、互いに笑みを交わしました。
 そして審査再開。キュアトゥインクルを思わせるアレンジで登場したきららに、ボアンヌの反応も好意的。結果は後日発表となります。

『今日はお疲れ様。アドバイスありがとう。助かった』
『そんな、天ノ川さんなら絶対合格できるよ!』
 そんなに簡単じゃないと言いながらも、きららははるかのおかげで100%以上の120%を出した手応えがありました。プリキュアになる以外のお礼をしたいと言うきららに、はるかは今でも仲間になって欲しいと言いますが、同時に夢に捧げるきららの気持ちも理解していました。
『いろいろ邪魔しちゃってごめんなさい。私も真のプリンセスを目指して頑張る。天ノ川さんは天ノ川さんの夢を掴んで!私、応援してるから』
 その夜、きららは自室の机で所在無げに手帳をめくりながら、どこか寂しげに呟きました。
『まあ、これで良かったんだけどさ・・・』

 翌日も、きららはため息を漏らす等、らしくありません。そんな折、はるかに声を掛けられてとても嬉しそうな反応を見せますが、そのはるかはみなみにレッスンの時間だと呼び止められ、それ以上話せずに行ってしまいました。レッスン室の外を通りかかっても声をかけることができません。その夜も机に向かったきららはラフを思い通りに描けず、ため息をつきます。

 そして翌日。きららとみなみは廊下ですれ違い挨拶を交わします。
『春野さんから聞いたわ。オーディションはどうだったの?』
『まだ返事来てない』
『それで浮かない顔しているの?』
 それは図星ではありませんでした。
『はるはるって変な子だよね。プリキュアにならないって言ったのに、あんな笑顔で「わかった」ってさ。クラスのみんなはああじゃなかったよ。あんな子初めて。こっちの調子がおかしくなっちゃう』
 みなみもその気持ちはわかる気がすると笑みを浮かべます。確かにあの子は変わっていると言うと、
『みなみんもね。海藤みなみだから、みなみん。でしょ?』
 即興でつけられたあだ名にちょっと驚きながら、きららを見送ります。

 その頃、二宮金次郎のように歩きながら教科書を読んでいたガリ勉君がクローズに目をつけられました。誰にも解けなかった数式を解くという彼の「夢」は絶望の檻へと閉じ込められ、代わりに白衣着用のゼツボーグが出現。
 ゼツボーグ出現を察したはるかとみなみは町へと急ぎます。きららは二人を見送ることしかできません。駆けつけたフローラとマーメイドを見て、クローズは二人しかいないと訝りながらもゼツボーグをけしかけて戦闘開始!

 一方、寮にいるきららにボアンヌから電話がかかってきました。
『Congratulation!My star princess』
 それは合格通知でした。受話器を置いた後、きららは全速力で走りだします。

 ステラのポスター前で繰り広げられる、ゼツボーグとプリキュアの戦い。フローラたちの攻撃は数式が実体化して妨げられ、近づけません。ゼツボーグ本体を叩こうとした矢先、無数の数字の山に埋もれ、返り討ちに遭いました。
『こりゃ行けそうだぜ。三人目はどうした?』
『来ないよ。あの人には大切な夢があるから』
 それは好都合だと、クローズはゼツボーグをけしかけます。チョークの攻撃はマーメイドが蹴り飛ばすも、死角から三角定規が迫り、それを身を挺してフローラが防ぎ、二人とも跳ね飛ばされました。

 単身、きららは町を走り続けます。汗を拭い、息を弾ませ、脇目もふらず、一直線に。今まさにプリキュアにゼツボーグが迫ろうとしたところに、息を切らせたきららが到着しました。
『君は何しに来たロマ!』
『貸して!パフュームとドレスアップキー!』
 きららがプリキュアにならないと言っていた事を、アロマは忘れていません。しかし、きららの目は真剣です。
『私はトップモデルになる。その夢は変わらない。変わらないけど、同じくらい大切なものが出来たの!だから私はプリキュアになる!』
 その決意を汲んで、アロマはキーとパフュームを渡しました。

 流れ星と共に、改めてキュアトゥインクル登場。ゼツボーグに一撃を叩き込み、煌めく輝きと共に舞い降りました。
『キュアトゥインクル・・・で、合ってるよね?』
 話が違うと焦るクローズをよそに、ゼツボーグの攻撃を巧みにかわし、随所に反撃も叩き込む華麗な戦いぶりを披露します。
『よろしくッ!』
 ゼツボーグを掌底で吹き飛ばした先で、フローラとマーメイドが正拳を叩き込みました。再びゼツボーグがトゥインクルの方へ飛んで来ます。
『戻って来ちゃった。しょうがないな』
 そのままモードエレガント→トゥインクルハミングで、見事ゼツボーグを浄化しました。

 それでも負けを認めないクローズに、冷たい声が響き渡りました。
『もうよいクローズ。これ以上無様な姿を見せるな。退け』
 クローズはその声に恐れをなし、おとなしく引き上げて行きました。ガリ勉君の夢も、無事に開放します。

『どうして?プリキュアにはならないって言ってたのに』
 はるかの問いかけに、きららは一呼吸置いてから答えます。
『オーディション、受かった。なんかはるはるに言いたくなっちゃったんだよね』
 そして、少し頬を赤らめて言いました。
『どうしたの?応援してくれるんでしょ?だったら、一緒に喜んでよ』
 我に返ったはるかはきららに抱きつきます。そしてきららも、モデルは100%で頑張るのは変わらず、これを200%にすればいいと、改めてプリキュアを続ける意思を固めました。
『そんなわけでよろしく、はるはる、みなみん!』
 きららが「みなみん」と呼ぶのを聞いて、負けじとはるかも「海藤さん」から「みなみさん」と呼んでいいですかと問い、みなみも「春野さん」から「はるか」と呼ぶことになりました。
『好きに呼べばいいじゃん、友達なんだし』
 夕陽が優しく照らす中、真のプリンセスを目指す三人の物語が、ここから始まります。


 前回、天ノ川きららという少女の強烈なキャラクターを描き出したのに対し、今回は変わりゆく心情を丁寧に描いた見事な一編でした。
 きららが次第にはるかに興味を抱く様。はるかの存在が自らのステップアップに繋がることに実感していく様。直後、接近してきたはるかの方から身を引いてしまい、複雑な喪失感を持ってしまう様。
 きららは決して周囲を遠ざけていた訳ではありませんでしたが、結果的に壁を作っていました。そんなきららを、みなみと同様の「高嶺の花」と捉え、遠慮して近づいてこなかったクラスのみんなと、深い関係が築けなかったのも無理はありません。おそらく、モデルの夢を志した頃から、小学校高学年の間もずっとそのように過ごしてきたと思われます。
 今までのクラスメイト達と異なり、物怖じせず近づいてくるはるかに戸惑いながらも、いざそのはるかが離れた時に抱く奇妙な寂しさが、所在無げに机に向かうシーンなどから滲み出ていました。
 例えば階段ではるかに声を掛けられた時、「はるはる!」と返事する時のきららは凄く嬉しそうです。直後、みなみにレッスンへ呼ばれたはるかが行ってしまってから、ボアンヌの電話を受けるまで、きららの寂しさを煽る演出が多用されていました。
 バレエのレッスン室前を通りかかると、中からはるか、みなみ、パフ、アロマの声だけが聴こえて来ます。中の様子を見せず、声だけが聞こえるところが、きららがこの輪に加わることを自ら拒んだ結果ということを暗示しているように見受けられました。
 また、ゼツボーグ出現で町に走るはるかとみなみをきららが校舎から見送るシーンも、前半で町に走るはるかときららを校舎からみなみが見送るという対比になっています。きららに引っ張られて走ったはるかが、今度はみなみを引っ張って走って行くという構図。はるかが遠い存在になってしまったような寂寥感が伺えました。

 悪い見方をすれば、きららは自分のハードスケジュールを体験させることで、はるかに諦めさせる狙いがあった筈です。そのために『ちょっとはわかった?』と問いかけていますが、それに対するはるかの答えが予想外だったことが、きららの変革のきっかけになったと思います。おそらくきららは、自分の忙しさが「わかった?」と聞いたつもりだった筈です。ところがはるかは「モデルの仕事が好きだとわかった」と答えています。はるかは大変なのを理解しつつ、本気で好きだから頑張っていると見抜いて、このように答えたのでしょう。
 現に、続けてきららに夢を問われた時、誇らしげに「プリンセス」だと答えています。きららに負けず劣らず、夢に対して本気に向かい合っているからこそ、自信を持って答えられたのだと思います。

 これらの描写が続いた後だけに、合格通知を聞いてから迷いなく走り出す姿の印象が強くなりました。
 例えば、新しくできた「友達」のために、ボアンヌの合格を辞退してプリキュアに専念する、という展開も考えられたはずです。それは、かつてうらら美希が選んだ道で、もちろん友情を選び夢はまた叶えればいい、という話がもたらす美しさもあります。しかし今回のきららからは、夢への一歩を踏み出せたからこそ、一人で100%やっても届かなかった高みに、はるかがいたから120%まで引き上げられ、そこへ引き上げてくれたはるかのために、今度は自分が200%で頑張るという、これまでにない覚悟が伺えました。
 覚悟といえば、はるか=フローラもある種の覚悟を決めています。戦闘中、きららのことを「あの人」と呼んでいました。この他人行儀な呼び方は、友達としては付き合うとしても、仲間としてはきっぱり諦めていたのではないでしょうか。それだけに、改めてきららが駆けつけてくれた時の感慨は大きかったと思います。

 今回目をつけられた、未来の勉三さんのような少年が読んでいたのは「三平方の定理」でした。数学が苦手な方でもおそらくご存じであろう、「直角三角形の二辺の二乗の和は、長辺の二乗に等しい」という公式です。これは非常にシンプルながら、未来永劫、宇宙のどこへ行っても永遠に不変のもので、真理は単純で美しいということを端的に表すものの一つです。
 三辺、すなわちはるか、みなみ、きららの三人も、今後不変の関係を築きつつ夢へ向かって行くということを象徴しているように思えました。・・・って、深読みしすぎかもしれませんが(笑)、きららがメインでありながら、はるかの存在も非常に大きく、それを影からそっと見守る立ち位置のみなみと、三人のそれぞれの役割がしっかりと、三平方の定理のように噛み合っています。

 ところでボアンヌについて、初見でベールに似てると思った方は他にもいらっしゃるのではないでしょうか(笑)
 と思ったら、あのシャネルのデザイナーを務める、カール・ラガーフェルド氏という方がモデルだそうで。私はファッション、アパレル方面は疎いので存じ上げなかったのですが、言われて写真見て納得しました。ちゃんと猫も連れているようですし(笑)。

 そしてディスピア様がラストで声だけ登場しますが、これだけで勝てる気がしないラスボスオーラが漂っているのは、さすが榊原さんでした。ハマーン様やクシャナ殿下などが有名ですが、私はロードス島戦記のカーラを思い出しました。あの頃と全く変わらぬ威圧感が凄いです。もっとも、キャッツ・アイの浅谷刑事みたいなのも好きなんですけど、って一寸古いですかね・・・

 ラストの「名前呼び」や、コロコロ表情が変わるはるかの愛らしさなども印象深く、「物語の始まり」に相応しい、見応えのある一編でした。
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