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ハピネスチャージプリキュア!第15話 『お母さんに逢いたい!ひめブルースカイ王国に帰る!』 [ハピネスチャージプリキュア!]

 涙なくして見られないハートキャッチのなみなみ回と、育代さん登場に沸き返ったスマイル。プリキュアシリーズで母の日を描いたエピソードはいずれも印象深い作品です。
 今回もまたコミカルな描写を交えながら、封印された母への想いと、後ろ髪惹かれるひめの心境が行間から滲み出るような一編となりました。
  
 今日は母の日。めぐみはかおりさんに朝から頑張って焼いたケーキをプレゼントします。真央ちゃんも母ひろこさんに特製バナナケーキを、誠司もカーネーションをプレゼント。長距離トラックの運転手ゆえに離れて暮らす事が多いひろこさんは、素晴らしい子ども達に恵まれて幸せだと、二人にパワフルなハグをお見舞いします。
 一方ひめは母の日のプレゼントで作ったはずのケーキをみんなに振舞っています。どうせお母様には渡せないと開き直るりますが、隠しきれない寂しさが滲み出ています。
『ひめ、このケーキ、ちゃんとお母さんに届けようよ!』
 そんなの無理だと言うひめに、めぐみとゆうゆうはお母さんに感謝の気持ちを伝えようと後押しします。
『いつもは言わないけど、本当はお母さんに会いたいって思ってるんだよね?』
 ひめも素直な気持ちを打ち明けました。
『私、お母様に会いたい。このケーキを渡したい』
 そうと決まれば、みんなでブルースカイ王国へケーキをお届けデリバリーです。

 ところが、それを聞いたリボンは猛反対。ブルースカイ王国は幻影帝国の手に落ち、ひめの居城はクイーンミラージュ様に乗っ取られ、さらにひめの両親、王と王妃は鏡に封じられた状態では、会うことも叶いません。無論ひめもそんなことは百も承知ですが、母への思慕は止められません。
『このままずっと何年も会わなかったら、私、お母様の顔も忘れちゃうよ。たまにはお母様に会ったっていいじゃない!』
 それでもリボンの考えは変わりませんが、ブルーの鶴の一声でブルースカイ王国へと向かう流れになりました。しかし幻影帝国の支配下に置かれた今のブルースカイ王国では、プリキュアの力はほとんど発揮ません。敵に見つかったら勝ち目は無いというブルーの忠告を聞き、いざブルースカイ王国へ、鏡の中に踏み出しました。

『ここが・・・ブルースカイ王国だよ』
 ひめは久々に故郷の土を踏んだにもかかわらず、喜びではなく寂しさがこめられた声で紹介します。美しかった国土は静寂が支配し、あの時以来、時間が止まっています。辺りには人々を封じた鏡が墓標のように立ち並び、めぐみとゆうゆうは想像を絶する惨状を前に絶句しました。
『活気があった町も、笑顔あふれる公園も、こんな悲しい姿に代わってしまったの。私の大切な、お父様もお母様も・・・』
 ぴかりが丘も対岸の火事では済まされません。もし幻影帝国に乗っ取られてしまえば、一夜にしてこのような
姿へと変えられてしまいます。
『そうならないように、私たちプリキュアが頑張ってるんじゃない!』
 幻影帝国の好きにはさせないと、三人は改めて決意を固めました。

 しかし、いまの三人ではチョイアークにすら敵いません。隊列を組んで警備しているチョイアーク達から目をくらますため、プリカードで忍者に変身。素早く城へと向かいます。ところが城へ繋がる一本道は鎧に身を固めたサイアークが見張りをしていて、そこを抜けないと城内へ辿りつけません。
『大丈夫!問題無いでござる!ニンニン♪』
 妙に自信たっぷりで何をするかと思えば、「忍法、変身の術!」と称して草をまとっただけ(笑)。まあ、某蒼乃美希先輩より完璧なカモフラージュですが・・・
 サイアークの背後を、抜き足差し足忍び足。志村後ろ!だるまさんが転んだ状態で進んで行くと、三つの草の塊を不審に思ったサイアークが近づいて来ます。しばし睨み合いが続き、冷や汗を流しながらもなんとかサイアークをやり過ごしました。・・・と思ったら、めぐみがやらかしました。草がはがれて正体丸見えのめぐみに、
『落ち着いて、忍法隠れ蓑』
 冷静に対処したと思いきや、今度は緑色のゴザの下に隠れただけ(笑)。それでもサイアークの目は欺けたようです。・・・と思ったら、今度はゆうゆうがやらかしました。お腹が鳴ってしまい。サイアークに見つかって一目散に逃げ出す三人。だめだこりゃ。次行ってみよう。

 サイアークはチョイアーク達に集合をかけ、追手は増えるばかりです。ここはローラースケーターに変身して一気に突っ切り、追手をどうにかまきました。
 城の入り口もサイアークが見張りをしています。しかし心配ご無用。ひめはリボンさえ知らなかった隠し通路を案内します。子供の頃にもこっそり抜け出すときに使っていたらしく、驚くリボンに一言。
『だってみんなが知ってたら隠し通路にならないじゃん』
 仰せの通り(笑)。通路を抜けた先は玉座の間です。そこには国王夫妻、すなわちひめの両親がいました。例外なく、鏡の中に・・・
『お父様・・・お母様・・・』
 久々の、あまりに悲しい再会に涙するひめの涙を、めぐみは拭いながら慰めます。
『ひめはお母さんによく似てるね』
『うん・・・よく言われる』
 涙を拭いて、笑顔で母を見上げるひめ。それは悲しい気持ちを押し殺した悲しい笑顔です。リボンに促され、母の前にケーキを置きました。
『これ、母の日のプレゼント。卵も割れなかった私がケーキを作るなんてびっくりでしょ。お母様が大好きなレーズンをたっぷり入れたんだよ』
 さながら墓前に報告するような母と子の再会は、突如押し寄せるチョイアーク軍団によって妨げられました。

 変身し、チョイアークから逃れてテラスへ出る三人。飛び降りる前、プリンセスはチョイアークの群れの向こうの両親の姿を振り返りました。後ろ髪を引かれる想いを隠せないプリンセスの手を、ラブリーが優しく取ります。
『行こう・・・』『・・・うん』
 ところが城から脱出した三人の前にホッシーワさん登場。
『私たちのお城までわざわざ来てくれるなんて、ご親切ね』
 その物言いが、プリンセスの逆鱗に触れました。
『巫山戯ないで!何が私たちのお城よ!ここは私のお城よ!』
『あらやだ。良く見たら本当にこの国のプリンセスじゃない。プリンセスがキュアプリンセスの正体だったなんて、やぁねぇ、単純すぎて全く気付かなかったわ』
 ナメきった態度のホッシーワさんに、プリンセスの堪忍袋の緒が切れました。
『あなた達最低よ!絶対に許さない!』
 愛と怒りのプリンセスボールが炸裂!しかし悲しいかな、弱体化した今、ホッシーワさんには蚊ほどにも感じていません。さらにナマケルダさんとオレスキー将軍も登場。いまいち噛み合っていない三馬鹿も、今のプリキュア達にとっては脅威でしかありません。それでもオレスキー将軍とホッシーワさんがレベルの低い言い争いを繰り広げる隙をついて逃げることに成功します。

 しかしサイアークに追いつかれてしまい、迎え撃つも今の力では決め手に欠けます。圧倒的な威力を誇るハニーのスパークリングバトンアタックでさえも通用しません。余裕こいてお茶しているホッシーワさんの高笑いが周囲に響き渡りました。
『ここではプリキュアの力は半分。いいえ、十分の一なのよ。だからあなた達の攻撃なんて屁!屁の河童!!』
『十分の一?百分の一では?』
『十分の一でも!百分の一でも!!俺様が勝てばいいのだ!!!』
 三馬鹿のコントが繰り広げられる前で、プリキュアは着実に追いつめられています。普段なら屁の河童のはずのチョイアークでさえ退ける事が出来ません。起死回生のフォームチェンジ、ロリポップヒップホップ、ポップコーンチア、ハワイアンアロハオエからの各技で何とかチョイアーク一掃。と思いきや、これでもダメでした。
無駄ァッ!(台詞は誇張ではありませんw)プリキュアの力はここじゃ百分の一ッ!いや百万分の一と行っただろうッ!!』
 ディオ様もといオレスキー将軍の無駄にテンション高い台詞が響く中、再び包囲されて絶体絶命の三人。
『私がお母様に会いたいなんて言わなければ・・・』
 その時、ブルーから近くにゲートを開けたと連絡が入りました。切り札、ハニーテレポートで包囲網を突破し、ゲートへ向けて懸命に走ります。そして追いつかれそうになったその時、間一髪でゲートに飛び込みました。

 からくもミラーゲートルームへ戻ったものの、ひめはまた逃げてしまったことを悔やんでいます。
『私やっぱり、へなちょこプリキュアだわ。お母様やお父様、ブルースカイ王国も守れない・・・』
 うなだれるひめを、めぐみとゆうゆうは力が弱くなるなら私たちがもっと強くなろうと励まします。力が百万分の一になるなら、百万倍強くなればいい。ゆっくりみんなで、焦らずに。今のひめは、失意の中ブルースカイ王国を後にした頃とことなり、一人ではありません。
『みんな、ありがとう・・・』
 今回は大変な思いをしたものの、ケーキを届けると言う目的は果たせました。
『一緒に強くなって、一緒にお母さん助けようね』
 ひめはもう涙目ではありません。笑顔で王国の開放を誓います。
『私、百万倍強いプリキュアになって、必ず助けに行くから。待っててね、お母様』
 いつの日か再会する時を夢見て、ひめの両親は鏡の中で眠りつづけています。


 まず意外な事ですが、プリキュアシリーズ10年(プリンセスと魔法使いを入れれば12年)の歴史に於いて、母の日そのものが描かれたのは、前述のハートキャッチとスマイル、そしてこのハピネスチャージの3回しかありません。もっと多く描かれている気がするのは、それだけ「母と子」のエピソードが胸を打つからでしょうか。また、3回しかない母の日の物語がいずれも印象深いストーリーだということも影響していると思います。

 エピソードの内容としては、ハンカチ無しでは観られない感涙作である「なみなみ回」に近いと感じました。ひめの母は亡くなってはいないものの、「限りなく死に近い」封印を受けているだけに、さながら墓前にお供えをするような物悲しさが見て取れます。この時点では明かされていないものの、その原因を作ったのがひめ本人だということも、その心の痛みに拍車をかけています。

 そんな事態を引き起こしてしまったら、普通ならさらに悲嘆に暮れたり、もっと自堕落な生活に陥ったりしてもおかしくありません。ひめはこれまでの描写で「弱い」面がことさら強調されて描かれて来ました。しかし、「自分が原因で両親だけでなく国を滅ぼしてしまった」ことについてはあまり泣き言を漏らしていません。それを「隠し事」として言い出せなかったと断罪するのは簡単ですし、実際この数話後にその展開が待っています。
「言い出せなかったひめの弱さ」というのを「泣き言を言わなかったひめの強さ」と置き換えれば、彼女に対する見方も変わって来ます。現に私もこの再視聴で、ずいぶんとひめに対する印象が変わって来ました。
 後追いで感想を書き連ねていると、こうした発見が魅力的です。そして、それを伝えることで再評価の兆しが生まれれば、シリーズの一ファンとしてこれほど嬉しいことはありません。

 また、ブルースカイ王国の惨状を見た時のゆうゆうが、いつになく深刻な表情を浮かべていたことも目を惹きました。平和主義者、博愛主義者の彼女だけに、惨状を前にして思うことがあったのでしょう。
『そうならないように、私たちプリキュアが頑張ってるんじゃない!』
 普段のゆうゆうからは、あまりこのような発言は出にくいです。人は言葉を失うような惨状を目の当たりにすると、色々と考えさせられるものです。私も以前、ポーランド旅行の折にアウシュヴィッツを訪れた際、人生観が変わるほどの衝撃を受けました。大切なのはそこで立ち止まらずに、何が出来るか、何をすべきかを考えることです。ゆうゆうは前述の台詞を口にした時、実に凛とした表情でした。ご飯を美味しく食べること、だけではない強い決意が、改めて彼女にも芽生えたように思えます。

 ただ今回少しだけ苦言を呈したい点もあります。リボンがあまりにも噛みついてくることが少々残念でした。もちろん彼女なりに、ひめやみんなの安全を気遣っての事だとは承知しています。それでも、ひめは危険を承知で訴えていた筈です。制止するのは当然ですが、もうすこしひめの気持ちを考えても良いのではないかと思いました。
『でももすもももありませんわ!とにかくここから脱出するのですわ!!』
 敵に囲まれた後、後ろ髪惹かれるように玉座を振り返るプリンセスに対しても、リボンは激しくまくしたてています。これまで長くひめに仕えてきたリボンならば、ひめが断腸の思いで城を後にしなければならないことは理解してしかるべきです。この物言いは少々無神経に思えました。私としては「料理回」などでリボンについても評価したいので、あえて憎まれ役を買って出ることで逃走を促している、と解釈することにします。

 引き合いに出したなみなみ回は、哀しく美しい物語が深い感動を呼びました。反面、少々重すぎるきらいもあります。対して今回は、主に敵側が狂言回しのように動くことでその重さを中和しています。
 まずは門番サイアーク相手の「志村後ろ!」的な「だるまさんがころんだ」は楽しめました。サイアークに睨まれて冷や汗ダラダラの草や、立て続けに失態をやらかすめぐみとゆうゆうの気の抜け方が楽しく、危険な敵地に忍び込んでいると言う緊張感を和らげています。
 そしてナマケルダさんを除く三幹部の異様なテンションの高さ。普段通りのナマケルダさんが、先日観返した「根性ドーナツくん」におけるみなみんのように、妙なツッコミ役としての立ち位置を確立しています。ホッシーワさんもいつになく饒舌ですが、ただでさえ暑苦しいオレスキー将軍の、語尾に「!!!」が沢山ついていそうな台詞回しの熱量と言ったら(笑)。放映当時には「無駄ァッ!!」にも笑わせて頂きました。まさか2話後に「無駄無駄無駄ァッ!!」があるとは思いもしませんでしたので・・・

 その敵を相手にするプリキュア達は弱体化しているだけに苦戦を余儀なくされますが、反面普段通りでは済まないアクションパートが楽しめた効果もあります。フォームチェンジ三連発という大盤振る舞いもさることながら、ある意味恐ろしかったのは「ラブリーブラスター」でしょうか。弱った状態にもかかわらず、サイアークを一体焼き尽くしており、これが平常運転だったらどうなるんだ・・・と末恐ろしさを覚えたものです。事実、終盤に入ってからこの技のとんでもない火力がもたらす恐ろしさを見ることになりましたが(笑)

 冒頭、かおりさんはめぐみの「トッピングもりもりケーキ」を褒めています。しかし、山盛りのクリームにこれでもかとマカロンを乗せてキャンディを突き刺したケーキは、観ているだけで胸焼けがしそうな代物でした。ひょっとしてかおりさんも、本音では一言言いたかったのかもしれません。それを抑えて、娘の頑張りに水を差さないところが素敵です。
 スマイルでの育代さんも、みゆきの塩入りコーヒーや、やることなすこと仇になる家事手伝いに対して注文を付けることはありませんでした。娘の気持ちが何よりも嬉しい、という親の気持ちを私はまだ味わったことがありませんが、かおりさんや育代さんを通してその気持ちを貰ったような気がします。

 そして育代さんといえば、ミラージュ様との落差が(笑)。いや、中の人ネタになんですけど・・・
 もっとも、今回のアンニュイなミラージュ様がやたらと可愛らしかった事も特筆しておきます。

【今回のおめでとうメッセージ/キュアメロディ】
 私はメロディが個人的にプリキュア一の美少女だと思っています。彼女には何とも言えない華がありますね。妙に肉感的に描かれた二の腕に魅せられたと思ったら、スイート前期EDでも見せた投げキッスにはおじさんもハートを射抜かれてしまいました。
 そして母の日回だった今回、響もまた母と子のエピソードで印象深い役割を演じたことを思い出しました。
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急行・快特本八幡

誠司と真央の母相楽ひろ子は、中の人が「名探偵コナン」で歩美を演じている岩居さんでした。これで少年探偵団の声優全員プリキュアにコンプリートとなりました。
ブルースカイ王国ではプリキュアの力を失ってしまうという点では「聖闘士星矢・ハーデス編」の原作でも同様にハーデスの決界が敷かれたハーデス城に入り込んだ黄金聖闘士が、決界により弱体化したのと似ていました。当時それで検索したところ、やはり同じ考えの方が結構いたようです。
by 急行・快特本八幡 (2017-01-25 06:37) 

スティクス

>急行・快特本八幡さん
コナンはすっかりご無沙汰してしまっているので、あまりその方面は意識していませんでした。
聖闘士星矢も、あの時代のジャンプ世代の割に、私は十二宮編までしか詳しく知らず・・・関連性が良くわからなくて恐縮です。
by スティクス (2017-01-26 00:02) 

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