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ハピネスチャージプリキュア!第16話 『私はマスコミよ!!プリキュアの秘密全部見せます!!』 [ハピネスチャージプリキュア!]

 以前にどこかで触れた気がしますが、私は前期プリキュア5シリーズの中で、増子美香さんの挫折と立ち直りを描いた第33話が一番好きなエピソードです。「増子一族」のサガともいえる強引な取材は美代さんも美香さんに通じるところがあります。
 似たエピソードになるかと思えば、「大人」だからこそ見えてしまった壁と、「大人」だからこそできることがあると伝えてくれる今回。世の大人の一人として、自分に出来ることはなんだろうと考えさせられた一編でした。
  
『みんなに伝えたい!私が伝えたい!ご存じプリキュアウィークリーの看板キャスター!増子・・・美代です!続けて読めば・・・マスコミよ!』
 開口一番、増子さんの口上からスタート。しかし今回はマドリードのプリキュアがファントムに敗れたという悲報を伝えるものでした。
『でも心配ご無用!最後は必ずプリキュアが勝つのです!なぜなら彼女達はヒロインいや、ヒーローだからです!』
 お茶の間でプリキュアウィークリーを視聴していためぐみとひめは、次回予告を聞いて固まりました。
『緊急特集、題して「巷で話題のハピネスチャージプリキュアに迫るッ!」』

 翌日の通学路、注目されるのは嬉しくとも、全国ネットで正体を晒されたら大変だと危機感を募らせます。
『キュアラブリーさん。昨日のテストでまた赤点取ったって本当ですか?』『えへへ・・・取っちゃいました』谷口か
『キュアプリンセスさん。近所の犬に吠えられて涙目になっていたとの報道がありますが?』『ノーコメントです!』
『キュアハニーさん。大食い選手権のオファーが来ているそうですね?』『私、ご飯はじっくり食べたい派なんです』
 などと取材攻勢を受ける姿を想像すると、誠司だけに正体を知られるのとは異なり、確かに大変そうです。

 心配しながら学校に着くと、美代さんが校門前で取材活動を行っていました。ポニーテールの生徒を、髪型が似ていると言う理由でキュアラブリーだと疑ってマイクを向けた後、誤認と気づいて一旦退きます。そしてめぐみ達に目を付けました。
『元気!おっとり!ワガママ!私が調べたハピネスチャージプリキュアの特徴にぴったりだわ!』
『なんで見た目だけでワガママって分かるのよ!』
 ひめの憤りもさらりと受け流し、リボンに目をつける美代さんを、遅刻すると何とか誤魔化します。しかし、三人の素振りは美代さんに怪しまれてしまいました。

 美代さんは正式に取材許可を取り付け、ホームルームの最中にも取材活動を継続。今までの調査結果から、プリキュアの出現はこの学区内が多いため、この学校の生徒ではないかという仮説をクラスのみんなに披露します。担任の和泉先生は、もしそうなら鼻が高いと呑気なものですが、当事者であるめぐみ達は、さらに危機感を募らせました。
 美代さんはその後もひめの人見知りを見てキュアプリンセスとの共通点と照合する等、三人につきっきりです。給食の時間にはゆうゆうにカメラを向けてアレコレ問い詰めますが、
『あの・・・私ご飯は落ち着いて食べたいんです』
 苦笑交じりに言われて一旦退く、と思いきや「キュアハニーはご飯にこだわる」と、疑いの手をゆるめません。

 その夜。愛乃家では相楽兄妹と共に夕食準備をしています。さすがのめぐみも美代さんの取材攻勢には疲れているようで、トレードマークの変な歌も元気がありません。
『この調子じゃすぐに美代さんにスクープされちゃうよ。ひめもゆうゆうも気を引き締めてくれなきゃ』
 そういうめぐみが一番危ないと誠司が釘を刺した矢先、
『なになに?何の話?』
 いつの間にか美代さんが人の家にまで無断に上がり込んでいました。真央ちゃんにとっては、美代さんは憧れのキャスター。一緒にポーズを決めて、クラスのみんなに自慢しようと嬉しそうです。
『増子家の勘が告げるのよ。あなたとお友達には秘密があるってね』
 押しかけ突撃取材を敢行したかと思えば餃子に目を留め、かおりさんは苦笑しながら一緒に夕食を勧めます。美代さんは遠慮なくご相伴にあずかりました。ジャーナリストとは図々しくないと務まらない職業なのかもしれません。

 食後、めぐみは自室でプリカードを使い、レポーターに変装して美代さんを待ち構えます。そうとは知らずに部屋を訪ねた美代さんにマイクを突き付けました。
『レポーターの愛乃です。私も美代さんに聞きたい事があるので、逆取材をしちゃいます』
 突然のことで言葉にならない美代さんに、これまでのお返しとばかりに質問を畳み掛けます。
『プリキュアウィークリーは、プリキュアの活躍を伝える番組ですよね?何でプライベートに踏み込んでプリキュアの正体を探ろうとしてるんですか?ただの好奇心ですか?それとも理由があるんですか?本当のところはどうなんですか!?』
 美代さんはさっきまでの威勢はどこへやら、タジタジになり、しまいには泣き出してしまいました。
『私、取材するのは得意だけど、されるのは慣れてないのォぉおおおッ!』

 改めて美代さんは静かに自分語りを始めます。かつて総理の担当だった頃(この若さで相当優秀ですが)、サイアーク対策について質問しようとした矢先、サイアークに襲われた美代さんは、プリキュア(おそらくキュアテンダー)に助けてもらった過去がありました。
『あの時の後ろ姿、凄くカッコ良くてきれいだった。あの日から、プリキュアは私の憧れになったの』
 美代さんの憧れは、具体的な夢へと進んで行きました。
『私もプリキュアになって、彼女みたいに世界を救えるヒーローになりたい!プリキュアハンターになんか負けていられないわ。だからもっとプリキュアに近づこうと思って。正体を探る企画を通したの』
 それが「夢」に過ぎないことを美代さんも自覚しています。めぐみは自嘲気味の美代さんの手を取り、励まします。
『おかしくなんてないです。なれますよ、絶対に。私が神様にお願いしてみます』
 そして咳払いして、実は私・・・と、くるりんミラーチェンジ。美代さんの目の前で変身して見せました。様子を見に来た誠司はやっちまったという感じで頭を抱え、美代さんは唖然として固まっています。そして我に返り、変身を目の当たりにした美代さんは嬉々として目を輝かせました。
『プリキュアの変身、見ちゃった♪』

 めぐみに連れられた大使館で、美代さんはブルーに私をプリキュアにしてくださいと訴えます。
『世界を救うのは簡単な事では無いよ。それでも君はプリキュアになりたいのかい?』
 真顔で問うブルーに向き合う、美代さんの目は本気です。そしてプリキュアやサイアークの情報を熟知していることで、役に立てるとアピールします。その真剣な眼差しを見てブルーも承諾し、愛の結晶を渡しました。
『お願い・・・私をプリキュアに・・・』
 しかしいくら美代さんが願いを込めても、気合を入れても、何も起こりません。何度も何度も挑むうちに、遂に夕暮れになりました。流石にひめ達も、うなだれる美代さんにかける言葉が見当たりません。
『ありがとう。でも私わかってる、大人だから・・・お邪魔しました・・・』
 慰めてくれためぐみにお礼を言って、美代さんは愛の結晶を手に力なく大使館を後にしました。

 夕暮れの公園でブランコを漕ぎながら、美代さんは悲しげに呟きました。
『私に世界は救えないんだ・・・』
 そしてブランコの勢いのままにパンプスを蹴り飛ばすと、ベンチで寝そべっていた男にぶつかります。即座に謝る美代さんですが、その男はナマケルダさんでした。
『世界を救うなんてただただ面倒なだけですぞ。そんなに頑張りたいのなら、あなたには世界をカビだらけにする手伝いをしてもらいましょうかな?』
 あえなく鏡に閉じ込められ、マイクを手にしたサイアークが生成されます。駆けつけためぐみは、被害に遭ったのが美代さんだと知りました。
『プリキュアになりたかったのにサイアークにされちゃったの?逆じゃん!?』
 ともかく、美代さん救出のため変身します。
 
 サイアークが付きつけるマイクを蹴り上げ、ライジングソードで反撃しようとした矢先・・・
『それ知ってる!』
 鏡に閉じ込められた美代さんが声をあげると、サイアークはソードを消し去りました。続けてプリンセスが、プリンセストルネードの嵐を起こしますが・・・
『それも知ってる!』
 今度はトルネードと逆回転の動きで相殺されてしまいました。ハニーがリボンスパイラルを試みると、
『マイクチェンジ、バズーカモード』お前は高田純次かw
 バズーカでリボンを掻き消してしまいました。プリキュアについて豊富な知識を持つ美代さんが素体だけに、こちらの手の内は全て観通されています。
『なんてハタ迷惑な!』
 思わぬ拾いものだと喜ぶナマケルダさんの指示の下、バズーカを突き付けられて危うし、プリキュア!

『これまでの技が通じないなら、新しい技を使えばいいんだよ』
 ハニーは発想を転換、本邦初公開のココナッツサンバにフォームチェンジします。それは美代さんも知らないもので、興味津々です。
『新技?どんなの?興味ある~』
 お望み通り、新技を披露してあげました。マラカスリズムスパーク。面倒臭がりのナマケルダさんさえも釣り込まれてしまうマンボのリズムでサイアークがへたり込んだところを、ツインミラクルパワーシュートで撃退しました。

 気が付いた美代さんは、自分が鏡に閉じ込められた挙句、助けてもらった事を悟りました。
『なんか、カッコ悪いところ見せちゃったね。こんなんじゃ、プリキュアになんて・・・』
 そして深いため息をつきます。サイアークを浄化しても美代さんの心が沈んでいるため、プリカードも出て来ません。その時、真央ちゃんが子ども達を大勢連れてきました。みんなプリキュアウィークリーの、美代さんのファンで、笑顔で美代さんにサインを求めます。その無垢な笑顔が美代さんの心に響き、ようやく彼女も元気を取り戻して、快く子ども達のサインに応じます。

 後日、プリキュアウィークリーの放映日。美代さんは取材不十分で予定を変更すると謝り、代わりに世界各地でプリキュアを応援する子ども達の姿を報じます。苦戦している各国のプリキュア達が、子ども達の声援で力を取り戻す、まるでミラクルライトのような光景。
『彼女達は一人で戦っている訳じゃないの。いつだって、みんなの声を力に変えて、愛が溢れる世界にしたいと願う気持ちを背負って、みんなと一緒に戦っているんだよ。みんなもヒーローなんだよ。これからも私は、プリキュアの活躍を続けて行きます』
 ブルーはテレビの向こうの美代さんを見て、愛の結晶が光らなかった理由を理解しました。既に世界に希望を与える役目を務めていた美代さん。彼女の首に巻かれたチョーカーに、愛の結晶が形を変えて輝いています。


 大人は夢を見てはいけないのか。まず今回は、そう自問自答させられた一編でした。無論そんなことは無く、私も現に社内公募で希望の部署へと異動を果たし(もっとも、大変な仕事を抱えてしんどい想いもしていますが・・・)、次作プリンセスプリキュアでは大人になっても大切な夢を持つ人々が多数登場します。
 美香さんが抱いたプリキュアになりたいという「夢」は、あくまで憧れであり、地に足がついていない非現実的なものだったと思います。プリキュアになれなかった理由はそれだけでは無く、肯定的に見ればブルーが語るとおり、既に自分の役割を果たしていたからだと思います。

『みんなと一緒に戦っているんだよ。みんなもヒーローなんだよ』
 ラストシーンのプリキュアウィークリーでのこの言葉は、美代さんが実際にテレビの前の子ども達(と大きなお友達)に向けて語りかけている言葉のようです。
 私も自分では自覚がありませんが、誰かが私の仕事を評価してくれていると思いたいですし、誰かの役に立っていると思いたいです。私にはもちろん、直接力を振るって戦ったり、誰かを身を挺して守る力はありません。それを求めるのは美代さんと同じく、地に足のついていない憧れです。
 大人だからこそ、子どもには出来ない自分に出来る事をする。このサイトの運営もその一つかもしれません。細々とシリーズの魅力を語ったり、私なりの味方を語ることで、少しでも裾野が広がるのであれば、一ファンとしてこれほど嬉しいことはありません。

 美代さんは敏腕キャスターでジャーナリストというだけでなく、きちんと仕事をこなすキャリアウーマンだということも伺えました。めぐみに自分語りを始めた際、「この企画を通した」という台詞があります。これはおそらく彼女が主体で企画書を書いてプレゼンを行い、番組の枠を獲得したり次の特集を構成したりといった仕事をしたはずです。次作の主人公であるはるかも、ドレス作り等のエピソードで、「やりたい事をやるためにやらなければならない事をする」描写があります。社会では好きな事、やりたい事だけやる訳には行きません。それをこなしている美代さんは、改めて「大人」だったと感じました。
 もっとも、プリキュアになれなかったのは単に年齢制限が・・・(ゲフンゲフン)

 今回は「動く出番」が無いものの、泣く子に手を差し伸べるフォーチュンの場面が妙に印象的でした。ここまでのエピソードでは厳しい表情や態度が目につきますが、彼女は本当は優しい子なのだとワンシーンだけで伝わる、効果的な場面だったと思います。
 もっとも、その「中の人」が今回はモブの記者として登場し、しかも因縁の相手であるひめを追求する質問を行うというネタがありましたが・・・(笑)

 あと、校門前で美代さんに取材されて困っていたポニーテルの子が可愛かったです。この後再登場あったかどうか・・・?。また、めぐみ達の学校は今まで「公立」だと思ってたのですが、実は「私立ぴかりが丘学園」だったと今更知りました。再視聴は気付かなかったことが色々見えて来るものだと実感した次第です。

【今回のおめでとうメッセージ/増子美香】
 みんなも知りたい!私も知りたい!サンクルミエール通信編集長増子美香!続けて読めば・・・マスコミか!
 ・・・すみません、嘘です。でもひょっとして出てくるかも、と微かに期待しておりました。 

【今回のおめでとうメッセージ/キュアベリー】
 さすがMKTN!おれたちにできないことをKNPKにやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!
 ・・・失礼しました。前回キュアメロディをプリキュア一の美少女と評しましたが、ベリーも違うベクトルで美人だと改めて感じます。スタイルの美しさはKNPKですし。あと、ベリーソードが囮にならずに安心しました。
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MP

今回は美代メインの回。前半、めぐみらが美代に取材されまくるのはたまらない状態。プリキュアってのはそれまでの魔女物と違い、「アッコ」のチカちゃんや「マミ」のスネーク・ジョーなどの様な、「主人公の秘密に迫ろうとする輩」ってのが無く(元祖美代の美香やアニマルもこうはいかない)、ひやひやもんでしたな。これが2年後には「プリキュア」ではなく「魔法使い」に迫ろうとする(かなちゃん)が出ますから。

挨拶はベリー。お馴染みの「KNPK」は懐かしかったでした。でも喜多村英梨さん、今じゃ「タイムボカン24」でアクダーマ(悪玉トリオ)の女ボス・ビマージョです。「第2の小原乃梨子」になるつもりでしょうが、プリキュアファンにとってはちと複雑。口癖が「KNPK」から「やっておしまい」や「すかぽんたん」になると、ベリーとはギャップが有り過ぎます。
by MP (2017-01-29 00:06) 

スティクス

>MPさん
取材攻勢は報道に対するテレビ局の反面教師として、これをテレビで放送することは局側の良心として捉えたいものです。
美香さんは分かりますが、アニマル?は良くわかりませんでした。

あと小原乃梨子さんは実に幅広い活躍をされた名優だと思いますが、そんなに複雑でしょうか?この点では意見が合わないようです。
by スティクス (2017-01-29 22:27) 

まるっさ

一見うかつでしかないめぐみの行動が結果的には増子さんの心を救うという大乗的なヒロインの魅力もさることながら、世界プリキュアという設定が上手く活きていた回でありハピネスチャージならではの子供目線を大切にした作りも含めて、ハピネスでは好きな回の一つであります。

しかも子供目線だけでなく
『総理、今後のサイアーク対策は!?』だけで普通の警察とかではどうにもならんということを簡潔に説明し(『そのためのプリキュアです』)、また後のハワイ回で増子さんに世界で活躍しているハニーをリポートさせることで『プリキュアはフリーパスで世界中移動OKというのが各国政府に承認されてるのだな』のを説明させるなど、シリーズ唯一なくらいオープンかつグローバルなプリキュア作品に相応しく、他のシリーズに比べて大友向け!?と思われるくらい『警察軍隊以外の正義の暴力』たる正義のヒーロー・ヒロインに対して軽く踏み込んでるところもハピネスが意欲的であり丁寧に作られてるなぁと感じるところであります。

by まるっさ (2017-02-03 01:34) 

スティクス

>まるっささん
>普通の警察とかではどうにもならんということを簡潔に説明
なるほど!この発想はありませんでした!そういう見方もありますね。
そうすると、とある人物の素体となった人物が警察官だった理由もなんとなくわかった気がします。

>警察軍隊以外の正義の暴力
いかに正義とはいえ、確かに暴力であることに変わりは無いですね・・・それに惹かれてここまで観続けてきた今、明日からの新シリーズには期待3割不安7割くらいなのが正直な気持ちです。
もっとも、毎年新シリーズの前夜んは同じような事を考えているので杞憂だといいのですが・・・

リアルタイム時には結構流して観ていたところもあったのですが、こうして振り返ると良く練られた作品だったと、新鮮な再発見を楽しんでいます。これから先もどんな再発見があるのか、私自身も楽しみにしています。
by スティクス (2017-02-04 22:48) 

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