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魔法つかいプリキュア! 第16話『久しぶりっ!補習メイトがやってきた!』 [魔法つかいプリキュア!]

 先の日曜に、この魔法使いプリキュアは最終回を迎えました。この時期はどうしても寂しさが募りますが、新旧プリキュアの引き継ぎ劇やカーテンコールのような作りはその寂しさを和らげてくれるようで、新たな最終回の方向性を提示した意欲作だったと思います。
 とはいえ、私がその話について語るのはまだ数ヶ月先のこと。それまでは、この「魔法使い」の世界にまだまだ浸れる喜びを噛みしめながら進めて行きます。今回振り返るのは、魔法界とナシマホウ界での新たな友情の出会いと別れ、そしてスパルダの退場劇を、リコの焦りを交えて描き出した一編です。
  
 呼び鈴が鳴り、みらいがドアを開けると、そこにはジュン、ケイ、エミリーがいます。彼女達は生地の買い出しに来たフランソワさんに引率されて、ナシマホウ界へとやって来ました。リコを交えて、一同再会を喜び合います。

 まずは噂に聞くイチゴメロンパンを食べに行きます。はしゃぎまわるモフルンとはーちゃんや、隙を見れば魔法を使おうとするジュンに、リコは誰かに見られたらと気が気ではありません。しかし、ジュンが先日習ったという「連写」の鵞ペンさばきを目の当たりにして、リコは少し焦りを覚え始めます。
『やっぱり二年生は大変だよ。色んな魔法を覚えないと行けなくて』
『先週なんて上級者向けのほうきに乗ったの。怖かったぁ』
 ケイとエミリーの何気ない言葉も、リコにとっては取り残されているような焦りを募らせるものでした。

 その頃ヤモーはリンクルスマホンを入手するよう、闇の魔法使いたちに下知します。スパルダはたかが一冊の本だと高をくくっていましたが、それがドクロクシーの望みだと聞いて一転、必ず手に入れると意気込みます。

 初めて見る自動車に怯えるエミリー。実物を初めて見た補習メイト達に、リコは既に乗った事があると自慢します。羨ましがられて調子に乗り、道を教えてくれる便利な道具もあると言いますが、カーナビについてはジュンのほうが詳しく知っています。彼女はナシマホウ回に憧れているだけあり、ガイドブックを熟読して知識を得ているようです。そして上空を飛ぶヘリコプターを魔法で撮影しようとして、バレてしまうとリコに引き留められます。
 そこにまゆみと勝木さんが通りかかりました。ジュンの「撮影」魔法で動く鵞ペンを、みらいが自分が手で描いているように誤魔化す、といったやり取りを経て、改めて互いに互いを紹介します。そしてフランソワさんは、何か思わせぶりにまゆみと勝木さんにも同行を誘い掛けました。

 やっていたのは郊外型の巨大ショッピングモール。ここでも初めて来たリコよりジュンの方が詳しく知っています。魔法商店街みたいと漏らしたり、ぬいぐるみ売り場でモフルンみたいに喋って動いて良く食べるぬいぐるみが欲しいと口を滑らせる近藤妙子ちゃんケイの発言を、それを訝るキャプテン勝木さんから誤魔化すなど、みらいの心労は絶えません。それでも和気藹藹、楽しい時が流れます。そしてプリクラに目を留めて、みんなで記念撮影。背後に微かに映り込んでいるはーちゃん、を怪しむ勝木さんというお約束を経て、レストランで休憩することになりました。

 ドリンクベンダーを魔法のポットみたいと評するエミリーに、確かに魔法っぽいと応じるまゆみ。いつの間にか魔法界ナシマホウ界分け隔てなく、みんなが自然に触れ合っている姿を、フランソワさんは懐かしそうに見守ります。彼もかつて仕立屋の修行のためにナシマホウ界で暮らしていたことがあり、今でもナシマホウ界で生活している魔法界出身者は珍しくないとの事。事実、このレストランにも魔法界出身者がいて、ノートPCを叩く男性とウェイトレスがそうでした。魔法が使えることを隠しながら芸能界で活躍する者もいるようです。ジュンもそのような生活を夢見て、学校を卒業したらナシマホウ界に来ることを目標にしています。

 不安そうなリコの気持ちを察し、フランソワさんはアドバイスを送ります。
『心配ないわよ、リコちゃん。私もこっちにいた時はちょっぴり不安だったわ。魔法界のみんなより遅れを取ってるんじゃないかって。でもね、こっちでは魔法学校では教わらない色んな事が勉強できてよ』
 それはリコ自身がかつて言っていた言葉でもありました。
『無駄な努力なんてない。どんなことでも一生懸命頑張ればきっと自分の力になる』
 みらいはその姿勢に刺激を受けています。
『私も色んな事やってみようと思うんだ。立派な魔法使いになるって言うリコみたいに。私、なりたいものが決まってない。でも、いっぱいいっぱい色んな事経験して沢山頑張ってみたら何か目標が見つかるかな・・・なんて』

 楽しい時間が過ぎるのは早いもの。フランソワさんはそろそろ帰る時間だと補習メイト達を促します。その時、みらいとリコの背後にスパルダが現れました。みんなが気づいた時には、みらいとリコの姿は見えません。
 二人はほうきにのってスパルダから逃れていました。しかしいつもより気迫が違うスパルダに追いつかれ、蜘蛛の巣に絡め取られてビルの屋上へと落下しました。二人に迫るスパルダ。その時スマホンからはーちゃんが飛び出し、二人を庇うように小さな手を広げます。
 スマホンを求めるスパルダから、今後は逆にはーちゃんを庇うように、みらいとリコが手を広げます。スパルダは二人がそう来ると読んで、既に作戦を立てていました。あらかじめ確保しておいたヘリコプターに魔法をかけると、空に黒雲が広がって行きます。その黒雲に入って行くスパルダを、サファイアスタイルに変身して追う二人。そこで待ち構えていたのは、自らをヘリと融合させてヨクバールと化したスパルダでした。

『よこせ・・・リンクルスマホン・・・ドクロクシー様の・・・望みッ!』
 ヨクバールはスパルダの意志を持っているものの、怪物じみた口調になり、蜘蛛の糸を弾丸のように連射して来ます。蜘蛛の外では雷鳴が轟き、稲妻が町を襲っています。見守っていたバッティも、スパルダが力を制御できていない事を案じています。
 黒雲の闇の中で、力と凶悪さを増したスパルダを相手に苦しい戦いを強いられる二人。
『闇の中で勝てる筈がない。闇はあらゆるものを覆い尽くす。ドクロクシー様の闇はこんなものではない!魔法界もこの世界もすべてを覆い、闇の世界となる!』
 スパルダの猛攻を前に、二人はさながらサンドバッグと化しています。
『友達がいるの・・・どっちの世界にも、大切な友達がいるの!』
『ええ・・・大切なの!私に色んな事を教えてくれるの。魔法界と、この世界のみんなが・・・』
 懸命に耐える二人。耐え切れず跳ね飛ばされてしまったその時、今日一日の出来事が過りました。
『何よりも楽しかったの。今日、みんなといっしょで・・・また、みんなで一緒に遊ぶんだから!』
『だから、闇の世界にするなんて』
『絶対に許さない!!』

 黒雲の外のはーちゃんが祈るように見守っていると、スマホンが淡い光を発しました。するとはーちゃん自身も光を宿し、雲の合間から光が差し始めます。
 闇を照らす光は、黒雲の中の二人も照らしています。その光の中で手を取り合い、サファイアスマーティッシュを放ちました。一度は押し留めるスパルダですが、次第に押されて行きます。
『闇が・・・闇の力が・・・馬鹿な!』
 スパルダはプリキュア二人の背後に、はーちゃんの姿を認めました。
『まさか・・・奴が!』
 それに気づいた時には既に遅し。サファイアスマーティッシュの奔流に呑まれたスパルダの断末魔が響き渡り・・・小さな蜘蛛となったスパルダを、バッティは拾い上げて引き上げて行きます。
 ヤモーもまたスパルダの敗北を察し、改めてドクロクシーにスマホンとエメラルドを手にする事を誓いました。

 周囲はすっかり夕焼けに照らされ、みんなはみらいとリコを心配して待っていました。その茜色の空を初めて見たエミリーはその美しさに感嘆します。
『きっとみんなでこうして見ているからだよ。こっちとかあっちの世界とか関係無くさ、みんなで見ているからだね』
『ええ、だからより一層きれいに見えるのよね』
 こっち、あっちの世界という言葉に勝木さんが首を傾げる中、補習メイトたちは皆、リコが変わったと感じています。その自覚が無いリコを、フランソワさんが慈しむように抱きしめました。
『立派になったわ』
 残念ながら、最終の時間が迫っています。名残を惜しむ間も無く、また再会を約束しながらフランソワさんに急かされる補習メイト達。みらいとリコだけでなく、勝木さんとまゆみとの再会も約束して、帰って行きました。
 みんなと過ごした一日は、勝木さんとまゆみにとっても楽しい思い出となりました。その締めくくりに、魔法のじゅうたんを目撃する、というお約束もありましたが・・・。みんなで撮ったプリクラが、その証として残されています。


 まず今回はスパルダの末路から触れて行きます。倒された後「元の蜘蛛に戻る」という描写は、私がプリキュア5~GoGoで望みたかった展開で、それをようやく公式で見る事が出来て満足しています。この魔法使いプリキュアのシリーズは敵側との関係性がドライで(最終回の「アレ」にはあえて触れません)、それは後半のデウスマストの眷属との間で特に顕著です。もちろん敵との交流がもたらすドラマも魅力的ですし、現にフレッシュ以降は長いことそのスタイルが踏襲されて来ました。しかし、あまり敵と関わりすぎると緊張感が薄れてしまうというのも事実です。またスマイルでは敵と一緒に馬鹿やったと思えばガチバトルや外道極まりない作戦に巻き込む等、敵側の振幅がかなり激しい作品でした。
 適度にコミカルで、適切に怖いというのが、敵の立ち位置として理想だと思います。また過去に何度か触れたことですが、私はプリキュアシリーズに於いて少女達に手を汚して欲しくないと考えています。その点、この闇の魔法使い達は、立ち位置と最期の描写についてはさじ加減が絶妙でした。
 
 スパルダの敗因については、はーちゃん=スマホンの力に依るところや、己の力の過信もありますが、ヘリコプターとの融合を試みたことで力の制御が出来なくなっていました。ローターを回したりする攻撃を行うでもなく、何のためにヘリコプターと融合したのか。全てを闇で覆う、とのたまう台詞からは、ヘリの持つ特性には感心がなく、単にヘリの馬力を取り込もうとしたのかもしれません。
 対してリコやフランソワさん、ジュンといったナシマホウ界に関わった魔法界の面々は、ナシマホウ界で学んだり見聞したことを魔法界での成長に活用しようとしています。ただ強い力を取り込んだだけでは、自分の血肉にはなりません。強くなった気でいて使いこなせなかったスパルダは、まさに反面教師となっていました。

「友が皆 我より偉く 見ゆる日よ」
 このような石川啄木の短歌の上の句があります。リコは久々に会った補習メイト達が、レベルの高い魔法を身に着けたり習ったりしていることに焦りを募らせていました。しかし補習メイト達からすれば、リコが魔法界では学べない事や味わえない経験を多数積んでいることを羨んでいる筈です。この啄木の短歌の下の句は、妻と一緒にせめて花でも愛でて、友を羨む気持ちを忘れようというものですが、リコも補習メイトたちもそれとは異なり、逆に自分が今学べるものを大切にしていこうと言う気持ちが伝わって来ます。学ぶことが違っても、世界が違っても、見るべき景色、目指すものは同じ。ラストシーンで見る夕陽は、その目指すものに関連づけられるように思える美しさでした。

 ところで、魔法界出身者が今回2名登場しましたが、あの人たちはナシマホウ界で何を目指しているのか少々気になりました。既に仕事をしている男性はともかく、ウェイトレスさんはお金を溜めて叶えたい夢でもあるのか、それとも・・・?

 あと、リアルタイム放映時にはさほど気に留めていなかったものとして、この当時勝木さんとまゆみが互いを「さん」付けで呼んでいたことでしょうか。その後も2人で登場する機会が多いにもかかわらず、あのまゆみの初恋エピソードを観るまで全く意識しておりませんでした。こうしたところにも、再視聴で得られる発見がありました。
 勝木さんといえば、空飛ぶ絨毯を目撃した後、ついに公式で「疲れてるのよ!」発言が来るとは(笑)。実際はリコからまゆみに向けた台詞でしたが・・・多少確信犯なのかもしれません。
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MP

この回、最初の内はジュンたち三人組とフランソワがナシマホウにやって来たってな話でした。
(でも既にナシマホウに、色々と魔法つかいは居たというのが驚いた。津名木町って魔法つかいの溜まり場みたいのか)

だが話が進むにつれ、そんな単純な話ではなくなりました。前回リンクルスマホンとはーちゃんの存在がドクロクシーとヤモーに知られ、幹部はスマホン強奪する事に。そしてスパルダがヘリと合体して自らヨクバールに!! まさかと思っていたら、はーちゃんの力を借りてとうとう倒される…てゆーか、元の蜘蛛に。「ゴープリ」のクローズといい、今回の「まほプリ」といい、こんなに早く幹部が倒されるとは思ってなかったです。
(「ドキドキ」以来、悪ってのが今までとは変わってきたからな)
by MP (2017-02-02 23:59) 

スティクス

>MPさん
津名木町は出稼ぎさきなんでしょう、多分(笑)

話自体はドタバタ劇でもおかしくないのに、シリーズ中盤の山場に向けて動き始めた感がありました。
もっともスパルダもそのうち(あえてここでは触れませんが)
by スティクス (2017-02-04 22:43) 

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