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Go!プリンセスプリキュア 第23話『ず~っと一緒!私たち4人でプリンセスプリキュア!』 [Go!プリンセスプリキュア]

 最近ではリコやまこぴーが記憶に新しく、かつてはエレンやくるみ等、異邦人となる子達はこちらの世界の常識に疎いため、数々の奇行を演じてきました。もちろん本人は大真面目かつ悩みを抱えているので、あまり笑いものにするべきではありませんが・・・
 そしてこちらの世界で暮らすためにはもう一つ、過ちと向き合う事も避けては通れません。ハピネス23話のいおなが「ごめんなさい」の次に「ありがとう」ならば、トワは意地を捨てて助けを求められるかどうかが問われます。
  
 トワはシャムール先生とも再会を果たし、改めてプリンセスプリキュアになれた事の意味を噛みしめています。絶望の檻に閉ざされてしまった故郷を償うための力だと、悲壮な決意を固めているトワのもとへ、はるかたちが町へ行こうと誘いに来ました。
『名付けて!夢が浜ニコニコツアー!』
 ほとんど閉じこもっていたトワを気遣い、気晴らしするための町めぐりツアーです。戸惑うトワの手をはるかが牽き、みなみときららが後から押して、ゆいちゃんとパフ、アロマを交えていざ出発です。

 まずはお色直し。トワイライト様時代の黒いドレスから、白を基調としたプリンセス風エレガントコーデへ。きららの自信作は、みんなからのプレゼントです。
 未だ戸惑いが消えないトワを連れ、花屋で花を愛で、美術館でアヴァンギャルドな絵画を鑑賞し、続けてみんなでプリクラを撮影。微かに笑みを浮かべるトワに、はるかもほっとしたようですが・・・

 お次はマーブルドーナツへ。ドーナツが口の周りについているというやり取りで笑顔に包まれるみんなを観て、トワも微笑を浮かべます。
『良かった!楽しんでもらえてるか心配だったんだ!』
『楽しい時は笑った方がいいわ』
『そうそう、遠慮なんてしないでさ』
 しかしトワはホープキングダムを救うまで楽しんではいけないと、己を厳しく律します。
『私が奇跡的にキュアスカーレットになれたのは、天が償うチャンスをくれたからです。あなた方とは違うのです』
 違わないというはるかの言葉にも耳を貸さず、放っておいて下さいと言い捨て、飛び出して行きました。トワが手をつけなかったドーナツだけが、取り残されています。

『これからは誰にも甘える事無く一人で生きなくては・・・』
 悲壮な決意を胸に、一人で道を歩むトワ。ところがクラクションを鳴らされ、振り返ると後ろは大渋滞です。トワが歩いていたのは車道のど真ん中。交通ルールを知らないのかとお巡りさんに怒られても、トワはきょとんとするばかり。
『複雑な決まりがあるのね。迂闊に城下も歩けませんわ。まずは落ち着いて住む所を探さなくては』
 お子様向け交通ルールの本を読みながら歩いていると、住宅展示場があります。
『もし、お城はあるかしら?今の私は贅沢など言えぬ立場。メイドは3人もいればよろしくてよ』
 これには不動産屋さんも苦笑いです。そしてトワはそもそもお金を持っていない事に気付きました。八百屋さんでお客さんとおかみさんとのやり取りを見て肉薄。
『お嬢ちゃんは何が欲しいの』『お金です』
 不動産屋さんに続き、八百屋の女将さんも苦笑いするしかありません。

 子どもは働けないと知ったトワは、ホープキングダムを救うどころか生きていく事すらできないとため息をつきました。泣き面に蜂。お腹も空いてきています。その時、望月ゆめ先生が通りかかり、トワに声を掛けました。トワもかつてトワイライト様だった頃、ゆめ先生に危害を加えた事を覚えています。そんな事とは露知らず、ゆめ先生はトワに「手伝い」をして欲しいと申し入れました。

 一方、ディスダーク。手傷を負ったディスピアは後をロックに任せ、身体を癒すために絶望の森へと向かいました。どうやらシャットさんは眼中にないようで(笑)。そしてロックはディスピアから任されただけでない、何やら不敵な笑みを浮かべています。
『絶望を集めればいいんだね』

 トワはゆめ先生に連れられ、甘味処であんみつをごちそうになりました。ゆめ先生は自分のパフェも勧めます。
『ありがとう、付き合ってくれて』
 ご馳走しているのに、逆にお礼を言うゆめ先生。そのココロは、両方食べたかったけれども一人では多く、分け合う相手が欲しかったとの事でした。
『こちらこそ、ありがとうございます。お蔭で気力が戻りましたわ』
『やっぱり、笑った方が可愛いわ』
 ゆめ先生の好意は、トワに再び戸惑いを抱かせます。
『この世界の方はどうしてこんなに優しいのです?』

 マーブルドーナツに残るはるか達は、逆にトワを追いこんでしまったと反省しています。きららはいっそ気が済むまで放っておけばいいと切り出しますが、はるかは放っておく事ができません。
『トワさんずっと絶望の中に居たんだよ。友達と笑ったり、遊びに行ったり、美味しいもの食べたり、きっと、そういうの今まで全然無かったんだよ。このまま一人ぼっちにするなんて、そんなの私、出来ない!』
 トワを追って店を飛び出すはるか。その反応をきららも薄々予想していたようです。
『ま、そうなるよね!』

『私たちってお腹が空くと動けなくなるでしょ?でもご飯を食べるとまた力が沸いてくる。今のあなたみたいにね』
 ゆめ先生はトワと一緒に歩きながら、優しく語りかけます。しかしトワにはまだ余裕が無いのか、俯いたまま元気がありません。
『心も同じよ。心が空っぽになると動けなくなる。でも心にまた暖かいものが入って来ると、動く力が沸いてくるの』
 そのトワの心に火をつけたのはゆめ先生の言葉ではなく、皮肉にもゆめ先生の「夢」に目を付けたロックの登場でした。ゆめ先生を逃がそうとするも時既に遅く、「子ども達に輝く未来」を与える夢は絶望の檻に閉ざされ、ゼツボーグが生み出されました。
『また、私のせいで・・・』
 トワは悔やみながら、単身変身。早速ハナビキーと共に、スカーレットヴァイオリンからのスカーレットイリュージョンで迎え撃ちます。続けてスカーレットスパーク、バンダイ様の思惑通りスカーレットヴァイオリンが秘めた力をフルに活用し、一人で対等に渡り合います。

『ディスピア様を追い込んだだけのことはあるんだね。さすがは絶望のプリンセス』
 ロックはスカーレットを挑発します。
『あの人間もお前と関わらなければ夢を閉ざされずに済んだ。お前が関わった者はみんな不幸になる。ホープキングダムも、プリンスカナタも』
 ロックの言葉がスカーレットの心を抉り、隙が生まれたところにゼツボーグの攻撃が迫りました。
『バカだね。トワイライトのままでいれば苦しまずに済んだのに』
 そしてロックはゼツボーグに更なる力を与えました。ゼツボーグとロック、二対一で次第にスカーレットは追い込まれて行きます。
『不幸しか呼ばないなら、いないほうがマシなんじゃない?』
 その間もロックの言葉は、スカーレットの心も追いつめて行きます。
『バイバイ、絶望のプリンセス』

 スカーレットにゼツボーグの攻撃が迫るその時、駆け付けたフローラがその攻撃を一刀両断。マーメイドとトゥインクルがゼツボーグを押し留めました。
 檻に閉ざされたのがゆめ先生と知り驚くフローラを見て、ロックはそれを持ち出してスカーレットを責めたてます。
『トワイライトなんかと一緒に居たせいで、こんな目に遭ったんだね。そいつといるとみんなどんどん不幸になるんだね』
『そんなこと、無い!』
 フローラは否定しロックに突っ込むも、返り討ちに遭い地に叩きつけられます。駆け寄るスカーレット。しかしフローラはこんな目に遭っているのに笑顔を返します。
『笑おう、スカーレット!嬉しい事、楽しい事、夢とか希望とか、そういう暖かい気持ち。みんなでいっぱい作ろうよ』
 そして言葉以上の想いを届けるかのように、スカーレットを抱きしめました。
『あいつらに何言われても笑い飛ばせるくらい、いっぱい作ろう。一緒に強くなろう。ね?』
 目に涙を浮かべ、スカーレットもフローラを抱きしめ返します。
『暖かいもの・・・本当に力が沸いてくるのね』

 そして意を決し、スカーレットは改めて三人に頭を下げました。
『マーメイド!トゥインクル!そしてフローラ!今までの事、本当にごめんなさい!』
 それには謝罪だけではなく、もう一つの意味が込められています。
『今更謝ったところで私の罪は消えません。それでも私はあの方を、ディスピアに苦しめられる人々を助けたい。だから、どうか私に力を貸してください!』
 自分のせいだと責めるのでは何も改善しない。意地を張っていては伝わらない。素直な気持ちで助けを求めます。もちろんフローラも、マーメイドも、トゥインクルも異存はありません。
 ここに改めて、四人体勢のプリンセスプリキュアが誕生します。

『強く!』『優しく』『美しく!』『Go!』
『プリンセスプリキュア!』

 ゼツボーグの攻撃をミーティアハミングとバブルリップルで受け流し、リィストルビヨンで反撃。仕上げはスカーレットがフェニックスブレイズで決め、ゆめ先生を無事に救出しました。

 引き上げてきたロックは特に悔しがるでもなく、ディスピア不在の玉座にふんぞり返っています。
『それじゃあ僕もそろそろ、本気を出しちゃうんだね』
 見る間に少年から青年の姿へと変貌を遂げ、彼の野望が動き始めました。

 トワを無断で匿っていたためか、学園長からの呼び出しを受けるはるか達。学園長がどんな人なのかみなみも知らず、緊張して学園長室をノックします。すると、そこで待っていたのがゆめ先生だと知り、驚きを隠せません。ゆめ先生、いや学園長は、トワにここで生活し、学ぶことを誘います。
 呆然としたトワが返事するよりも早く、はるかがその手を取りました。
『トワちゃん!いっしょに学園に通おう!』
 トワ「さん」から、トワ「ちゃん」へ。みんなも暖かくトワを迎え入れます。
『はい!私ここで暖かいもの、沢山見つけますわ!』
 トワの笑顔もまた、暖かく輝いています。


「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」
 という、マリー・アントワネットのものとされる有名な言葉があります。(最近では好意的に解釈する傾向があるようですが・・・)。今回、車道の真ん中を歩き、八百屋でお金が欲しいと即答したりというポンコツぶりを披露するトワの奇行の中で、一番インパクトが強かったのは住宅展示場での場面でしょう。メイドは3人もいればよろしくてよ、と疑いも無く発言するトワについて、本来はギャグとして見るものだと思います。
 しかしトワが目指す「プリンセス」は、はるかが目指す「プリンセス」とは意味が多少異なり、国を統べる者としての存在でもあります。その立場に在る者が、自覚無く無知な発言をしてしまうのは、マリー・アントワネットしかり、ロシアのロマノフ王家しかり、命取りになり得るもの。人の上に立つべき者としての教育を施すシャムール先生などが責任を負うべきものにもなり得てしまいます。
 ただ兄カナタにはそのような一面が全く見られないところ、物心つく前にさらわれてしまった事が影響していると思われ、この点でトワを咎めるのは少々酷かもしれません。そんな中トワにはもう一つ気になる発言がありました。
『この世界の方はどうしてこんなに優しいのです?』
 果たしてホープキングダムの人々は、それほど優しくないのでしょうか?おそらくそうでは無いでしょう。こちらも同様、ホープキングダムの人々の優しさを知る前に拉致されたために、国民からの優しさというものを受けた記憶が無いのかもしれません。しかし、ホープキングダムの人々は優しいかもしれませんが、強くはありませんでした。トワを失った悲しみに沈み、結果的にディスピアの侵略を許してしまっています。

「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない」
 こちらはフィリップ・マーロウの有名な台詞です。確かに今トワが置かれた状況では、強くなければ生きていけません。そしてホープキングダムの国民達も強くなかったが為に生きていけませんでした。しかし現実的にトワに出来ることは今作中でも描かれているように、限られています。そうすると、今の彼女でも出来るもう一つのことは「優しさ」です。これは誰かに優しくする優しさではなく、相手を認め受け入れる優しさだと思います。
 はるかやみなみ、きららの事を、トワは今回冒頭の時点で助けてくれた恩義を抱いているとしても、「認める」というレベルまでには達していなかったように思えます。相手の事を認め、かつ自分の弱さも認める事で、スカーレットは謝罪を経て助力を申し出る事が出来ました。責任感の強さ、自責の念というものはプライドの高さとも関連し、ちょっと見方を変えてしまうと悪い風にも捕えられかねません。トワは意識せずとも、王族としてのプライドが邪魔して本音が言えなかったのでしょう。

 まっさらな状態で生まれ変わったトワには、伸びしろがあると言えます。それははるかも同じで、この二人の共通点は成長の余地なのかもしれません。だからこそはるか=フローラがトワ=スカーレットに向ける態度や言葉は良くも悪くも大きな影響を及ぼします。前半でトワが頑なになってしまうのは、もちろん自分を責めるのもありますが、はるかの態度や行動が眩しすぎたからだと思います。
 その心を氷解させるのは、地に叩きつけられてなお笑顔を振りまくフローラの姿と言葉です。先日観返した魔法使いプリキュア22話のモフルンのように、辛い時こそ笑顔でいれば、乗り切れる強さを発揮できるという事にも繋がっています。
 フローラはプリンセスを目指していますが、そこに至るまで奮闘する様は、汗と涙、まさにスポ根と言ってもいい程、暑苦しく泥臭いものです。だからこそ本気の気持ちが伝わり、だからこそ人の心を動かせるもの。スカーレットを動かしたのは、フローラの偽りない本心を見て取ったからだと思います。そこにかつて失敗を繰り返しながらヴァイオリンの練習に励んでいた自分自身を重ね、フローラのように、はるかのようになりたい、と願ったからではないでしょうか。

 例によってやたらと固くなってしまいましたので、少し砕きます。
 みんなでプリクラ撮る場面の、きらら襲来?を抑えているみなみんのシュールな表情は楽しめました。八百屋さんの場面でも、トワが「今日は大根がお買い得ですわ~」とか言いながら働いている姿を想像する、等が入っていても面白かったかもしれません。

 ところでロックはこんな事を言っていましたが・・・
『バカだね。トワイライトのままでいれば苦しまずに済んだのに』
 彼の正体を既に知っている身としては、彼もまたかりそめの姿もままでいれば罪の意識に苛まれることが無かったと思うと、意味深です。

 食住足りて礼節を知ると言います。トワはゆめ先生のおかげで、今回両方を手にすることができました。プリンセスを目指す環境が整い、四人となった彼女達の成長を再び見届けるのが楽しみになりました。
 と思ったところで、明日から一週間、出張へ行く事になりました・・・。その後は期末・期初でいろいろと業務が重なっており、次の更新は10日~2週間ほど先になりそうです。まあ、再視聴には締切がある訳ではないので、焦らず、急がず、気負わず、気長に続けて行こうと思います。

ところでトワイライト様の服、あの後どうしたんでしょう。よろしければ赤タイツだけでも言い値で(礼節が足りてないのは俺か)
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悩める父メフィスト

冒頭 トワを含めたみんなを優しく包む 「大切な気持ち(ドキドキ初出」 のBGMに、ようやく安堵の気持ちになった・・・・と思ってからのコメディも楽しませてくれましたが(笑)、ゆめ先生の「心がからっぽになると・・・・」のくだりは、いい歳した大人ほど 心に響いたように思えます。

そして、今回は 本編の解説以上に スティクス様ご自身のご知見・想いを読みこませて頂きました。 いつもほんとうにありがとうございます。

by 悩める父メフィスト (2017-03-22 23:51) 

スティクス

>悩める父メフィストさん
今回はやたらと固い文章になってしまったのですが、コメディ部分は素直に楽しかったです。
>「心がからっぽになると・・・・」
確かに、先週の私がそうだった気がします。年とってもしんどい時はしんどいですから、こういう時にこういう言葉に出会えると、助けられる気がします。

それでは1週間ほど留守にいたしますので、続きはしばらくお待ちくださいませ・・・
by スティクス (2017-03-23 06:38) 

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