SSブログ

Go!プリンセスプリキュア 第27話『ガンバレゆうき!応援ひびく夏祭り!』 [Go!プリンセスプリキュア]

 自分がプリンセスへの夢を追うだけでなく、人の夢も守りたい。その信念が基底にあるだけに、はるかは夢を邪魔する者、奪う者に対しては厳しく接しています。それはディスダークだけでなく、相手が人間であっても同じこと。
 プロテニスプレイヤーを夢見るゆうきにとって、今回の一件は初めての挫折だったのでしょう。それに腐り、応援し支えてくれる人を省みない態度を、ばっさりと切り捨てるフローラ。
 はるか=フローラは単に可愛いだけでは無く、憧れで行動しているのではないと実感させられる、夏祭りにして骨太なエピソードです。
  
 今日は夢が浜の夏祭り。ノーブル学園が出店する屋台では、浴衣姿のはるかとゆいちゃんが、あんず飴の売り子を務めています。
 交代の時間になって二人でお祭りを巡り、櫓の上で颯爽と和太鼓を叩くせいらに見とれたところで、浴衣姿のみなみが登場。立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花、を体現したような姿に周囲から歓声が上がりました。
 その後もパフのぬいぐるみが景品の輪投げにチャレンジして失敗した如月さんのために、はるかが代わりに獲得する等、それぞれ祭りを楽しんでいます。ちなみに、パフにデレデレ&浴衣姿の如月さんが可愛いのは言うまでもありません。
 そしてきららに連れ出されたトワ、浴衣姿の二人の撮影会が行われています。きららは言わずもがな、慣れぬ浴衣に頬を染めるトワも可愛いく、本職モデルと並んでも遜色ありません。
 集まる約束をしていなくても、自然と勢ぞろいしたみんなでお祭りを周ることになりました。

 その矢先、はるかとゆうきが激突し、ゆうきの水風船が割れてはるかの浴衣が濡れてしまいました。ゆうきは素直に謝りますが、彼の様子は少しおかしく、明日からの合宿に備えて寮へ戻ろうと促すテニス部員達の呼びかけに応じません。
『今はテニスより祭りだろ?もっと遊ぼうぜ』
 何よりもテニスを大切にする彼らしからぬ台詞に、はるかも違和感を覚えています。その視線を振り払うように、ゆうきは一緒に祭りを楽しもうと持ちかけました。どこか空元気にも見受けられますが・・・

 みんなで焼きそばやかき氷を食べたり、ゆうきも楽しそうに振舞っています。しかしはるかはゆうきの様子が気になり、そんなはるかをみなみも気にしています。
 ゆうきが射的に挑もうとした時、はるかは彼の肘にサポーターが巻かれているのに気付きました。それを指摘しても、ゆうきは何でも無いと取り合いません。と、その時。ゆうきのファンクラブ三人組が現れて、有無を言わせずはるかを拉致しました。

 取り囲まれてたじろぐはるかに、三人組はゆうきを助けて欲しいと頼み込みます。練習中に肘を痛め、幸い怪我は大したことはありませんでしたが、夏の大会のレギュラーから外されてしまい、自棄になっていました。
 はるかはゆうきを元気づけて欲しいと頼み込まれ、自信無いながらも引き受けます。そして、いざ気合を入れてゆうきに歩み寄りますが・・・
『ゆ・・・ゆうきく・・・』『余計なお世話だ!』
 あっさり撃沈されました(笑)。
『俺なんか応援したって何もいい事無いぞ』
 それでも食い下がるファンクラブ三人組に、ゆうきは吐き捨てるように言い残し、放っておいてくれと行ってしまいました。

 その頃。会場近くの林の中で、シャットさんが悟りを開いています。
『もう考えるのは疲れた。トワイライトの事もロックの事も、ここは一度雑念を捨て去り、初心に立ち返るのみ』
 ディスピアに絶望を届ける事が使命だと(今さら)認識したところで、ファンクラブ三人組に目をつけました。
「いつまでもゆうきを応援し続けたい」という彼女達共通の夢から生み出された三体のゼツボーグが、全く嬉しくないパンチラを披露しながら、はるかたちの前へと現れます。祭りに被害を及ぼさぬよう、ここで食い止めるべく浴衣姿から変身する四人。しかし、身軽な三体のゼツボーグ達に翻弄されます。

 木立に一人佇んでいるゆうきのところに、フローラが殴り飛ばされてきました。追い打ちをかけてくるゼツボーグを食い止めたマーメイドは、ゆうきをフローラに託します。スカーレットとトゥインクルも、それぞれゼツボーグと渡り合う中、フローラはゆうきを連れて一先ず戦いの場から離れました。

 ゆうきはフローラに逃げるよう促されます。しかし、以前助けてくれたことを問い詰め、誤魔化すように戦いの場へ向かうフローラを、どこまでも追いかけて来ます。
『何でついてくるの~』

 ゼツボーグ三体の連携攻撃に、苦戦を余儀なくされるマーメイドたち。攻撃の余波が巻き起す波動は、プリキュアには耐えられても、一般人であるゆうきを吹っ飛ばします。倒れた矢先に肘を気にしながら、ゆうきはフローラに問いました。
『あんたたち、何であんなのと戦えるんだ?』
『夢を、みんなの夢を守りたいから、かな?』
 一瞬戸惑ってから答えるフローラを、本物のヒーローだと興奮気味に評するゆうき。フローラもゆうきに褒められて、変な感じだと顔を赤らめています。
 しかしゆうきは、今の自分にとって夢を守ると言う行為は無駄だと自嘲気味に漏らします。試合に出たいという訴えをコーチに聞き入れてもらえず、走り込みを指示された事を思い出しました。
『試合に出られないのに合宿なんか行っても意味ねぇよ!』
『でも、その大会って今回だけじゃないんでしょ?だったらまだチャンスはあるんじゃないかな。コーチの人だって何か考えがあって・・・』
 フローラの励ましも、今のゆうきには届きません。苛立ちと共に胸の内を打ち明け続けるゆうきを、フローラが悲しげな目で見つめている事にも気付いていません。
『せっかくレギュラーになれたってのに、俺はもっともっと巧くなって、早くプロのテニスプレイヤーになりたいんだ!それなのに・・・こんなところで躓くなんてカッコ悪すぎじゃねえか!』
 悲しげな顔で聞いていたフローラですが、途中から一転、厳しい顔に。そしてゆうきをバッサリと切り捨てます。
『そうだね・・・カッコ悪い。今のゆうきくん、カッコ悪い!』
 驚くゆうきに、フローラの叱咤が飛びます。
『一回くらい試合に出られないくらいで何よ!私だって上手く行かない事いっぱいあるけど、沢山の人に助けてもらって今頑張れているの!ゆうき君はもうちょっと周りを見なきゃ駄目だよ!あなたの事が心配で心配で、元気になってもらいたい人たちが居る!その気持ち、知らないフリしちゃ駄目だよ!』

 一気にまくしたててから我に返り、叱ってしまった事を詫びて、フローラは誤魔化すように戦いの場へと戻りました。取り残されたゆうきの胸に、コーチや仲間の部員達、ファンクラブ三人組の姿が浮かび、そしてフローラの言葉が突き刺さります。
『ほんとカッコ悪いいいいい!』
 彼も薄々気づいていたのでしょう。モヤモヤを振り払うように立ち上がりました。

 フローラを加えた四人に、再びゼツボーグの三人連携攻撃が繰り出されます。その時、ゆうきが左手で小石を打ち付け、連携攻撃を妨害しました。
『あれだけ的がデカけりゃ、こっちの腕でもいけるな』
 この隙にフェニックスブレイズと、トリニティエクスプロジオンで三体同時に浄化。絶望の檻に捕らわれていたファンクラブ三人組も、無事に救出します。
 フローラがゆうきに微笑みかけると共に、辺りに花びらが舞い散りました。舞い散る花びらが消えた時、フローラ達四人の姿も消えています。

 意識を取り戻したファンクラブ三人組に詫び、ゆうきは明日の合宿に備えて帰ろうとします。
『試合で活躍するゆうきくんもカッコいいけど、一番素敵なのはテニスのために一生懸命なところなの』
『ランニングするゆうきくんも、ボール拾いするゆうきくんもそう』
『そんな姿を見ていると、私たちも元気がもらえて、頑張ろうって思えるの』
 立ち去る後ろ姿に、彼女達は口々に呼びかけます。そして、これからも応援したいと告げる三人組に、ゆうきは自分だけでは恥ずかしいので他の部員も応援して欲しいと言いました。

 祭りはいつしか盆踊りが始まり、花火が上がります。
『そういえばフローラはなんで俺の事知ってたんだ?怪我の事も』
 花火を見上げながら、ゆうきは小さな疑問を口にするのでした。


 ここ数回のトワイライト様~トワから、はるかへ軸足を移した今回。そのポリシーを描くために、ゆうきを久々に起用したのは正解だったと思います。
 冒頭で触れたように、はるかは夢を踏みにじる相手に対しては、相手が人外であろうと、人間であろうと厳しいです。これまでゆうきは本気でテニスに打ち込んできました。だからこそファンクラブ三人組は、カッコイイということも当然ですが、それ以上にストイックな姿に惚れ込んだのだと思います。そのゆうきが不貞腐れたのでは、三人組の「夢」をゆうき自身が壊すことになってしまいます。

 球技大会の時は、かつて「プリンセスになりたい」という夢を馬鹿にしたゆうきが真剣にテニスへ向き合っているのを目の当たりにして、はるかはわだかまりを越えて彼の人となりを知る事が出来ました。そしてその夢を守った事は、はるかにとっても誇らしい思いがあった筈です。はるかが懸命に守った夢を棄ててしまえば、結果的にはるかが頑張った事も棄ててしまいます。はるかにしてみれば、そうなってしまえばゆうきは単なるいじめっ子に逆戻りです。

 ゆうきにしても、フローラに甘い言葉を期待した訳ではないと思います。本当は誰かに正して欲しかったのかもしれません。コーチやテニス部員達も、ゆうきを立ち直らせようと試みた事でしょう。しかし普段から近くにいる人からの言葉や態度はなかなか伝わりにくいもの。もちろんゆうきは、フローラがはるかだと言う事は知りません。一度助けてもらっただけの、謎のスーパーヒーローという位置づけです。
 人の力を超えた存在に悩みを打ち明けるというのは、教会の告解室を思わせます。コーチに文句を言うのも、仲間に愚痴るのも、ましてやはるかに打ち明けるのも、カッコ悪い。彼は不貞腐れた自分がカッコ悪いという事を認識しています。それでも誰かに、このカッコ悪い悩みを吐き出したい。打ち明けるだけ打ち明けて、すっきりしたかったのでしょう。仮にフローラが、コーチの判断を否定するような上辺だけ優しいなぐさめをかけたとしても、ゆうきはそれを受け入れず、逆にコーチを擁護して奮起したと思います。
 彼は本気でテニスに打ち込む自分に本気で付き合ってくれていた事が判らないような子ではありません。フローラが指摘するように、ほんの少し周囲が見えなくなっていただけです。ラストシーンで花火を見上げている描写からは、周りを見る余裕が戻って来たように思えました。

 春野さんしか頼れる人がいない、と訴えるファンクラブ三人組も、人を見る目が確かでした。ゆうきを本気で応援しているからこそ、今ゆうきを救えるのは自分達ではない事を、それが誰なのかをよく理解しています。もし、他の二人を差し置いて誰か一人でも「私が」ゆうきを立ち直らせるという子がいたとすれば、このような結果になりません。三人の夢が共通だった事からも、それは伺えます。個人の幸せよりも、ゆうきの夢を応援したい。そしてゆうきが夢を追う姿を追い続ける事が、三人揃っての夢。はるかも、この子達の夢が伝わったからこそ、自信無さげでも引き受けたのだと思います。そしてフローラとしてゆうきを叱咤する事で彼を立ち直らせ、結果的に三人の夢も守り切る事に繋がりました。

 座禅を組んで悟りを開いているようなシャットさん。一見ギャグにしか見えない彼ですが、ここ数回の彼はもちろん絶望集めを行ってはいたものの、自分の目的で動いていた感があります。傷心旅行の憂さを晴らそうとトワに八つ当たりしたり流れ着いた果てのノーブル学園には誰もおらず気晴らしにセミを襲ってみたり。ロックに言われて渋々行っていた絶望集めでは、やる気も沸いてこなかったのでしょう。改めて「ディスピアのため」という初心に思い至ったのは、自分のためというよりも誰かのためという、ファンクラブ三人組に共通するものがありました。
 クローズ敗退時には想いを馳せたり、最終盤ではロックを手荒く激励したりと、ふと周囲を見回すきっかけが出来た時、シャットさんは三銃士の中では最も気配りが出来る性格です。この後さらなる転落人生を歩むことになる彼ですが、終盤のカッコ良さを見せる転機はこの辺りにあったのかもしれません。

 もちろん夏祭り回ですので、お祭りの楽しい雰囲気を演出する描写も楽しめます。はるかの結い上げた髪や、慣れぬ浴衣に照れながらもまんざらではなさそうなトワも可愛らしいです。そして「プリキュア音頭」。まさか来年あんな使われ方をしようとは・・・この時点では思いもしませんでした。

 ところで蛇足ながら・・・せいら先輩、夕暮れからずっと太鼓叩いてたんでしょうか(笑)
nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0

コメント 4

MP

お馴染みの夏祭り回。前半までは普段と変わらぬ夏祭りが展開、食べ物を始め、パフ人形に対する如月と、いろんな風景でした。

だが中盤、はるかがゆうきのファンから頼まれて、ゆうきを励ます場面、当初は幼き頃(第1話のプロローグ)や初登場回と同じ状態であったものの、その後の戦闘時、フローラのあの言葉でようやくゆうきが素直になれて良かったです。その後ゆうきがフローラについて思う事、それはディスダーク決戦時で分かる事に(もちろんゆい以外の人も)。

ラスト、同時期に発売が発表され、話題の的となっていた「プリキュア音頭」が初登場です!こういう場面ならいいですが、翌年の「まほプリ」ではとんでもない使われ方に!今年の「プリアラ」では正統的なやり方にして欲しいです(祭り自体も)!

昨日、BS11の「ドキドキ」が終わり、BS11ではプリキュアが放送されない事に!! しばらくは「プリアラ」に集中です。
by MP (2017-04-30 12:56) 

急行・快特本八幡

浴衣姿のトワ、あのエルフ耳剥き出しで大丈夫か?といった突っ込みがどこからでも入ったのは言うまでもありません。ゆうきファンの三人組がはるかを取り囲むところ、どことなく故・荒勢氏や琴奨菊関のがぶり寄り以上の迫力でした。
プリキュア音頭はこの回が初披露で、MPさんも語っているように魔法つかいではシンデレラの物語とはアンバランスな使われ方をしていました。
by 急行・快特本八幡 (2017-04-30 19:33) 

スティクス

>MPさん
私、密かに如月さんファンなので浴衣が拝めて良かったです。

>ディスダーク決戦
一年間の集大成という感じでしたから、今まで色々な人達と積み上げたものがあったからこそですね。らんこパイセンとか(笑)

>プリキュア音頭
とんでもない使われ方・・・あれだからいいんですよ(笑)

>BS11
MX等が映らなかったり、地デジではプリキュアが見られない地域の方にとっては貴重な機会なだけに、残念です。番組編成上の都合で、来クールから始まると思いたいものです。
by スティクス (2017-05-02 05:05) 

スティクス

>急行・快特本八幡さん

>エルフ耳剥き出し
私がそんなに気にならなかったので、大丈夫なのでしょう、多分。
特徴的な耳の持ち主は現実にもいらっしゃいますし。江川卓さんとか。

>故・荒勢氏
私が物心つく前に活躍された力士ですね。さすがにそこまでは知らないので、琴奨菊関のよう、という表現で想像することにします。

>アンバランスな使われ方
だがそれがいい!!
by スティクス (2017-05-02 05:09) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。