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ハピネスチャージプリキュア!第33話 『わたしもなりたい!めぐみのイノセントさがし!』 [ハピネスチャージプリキュア!]

「下町ロケット」はずいぶん前のドラマになった印象があったのですが、実はハピネスチャージ放映時にはまだやっていなかったのですね。むしろプリンセスプリキュアの後半と同時期と知って、なんだかハピネスチャージプリキュアがずいぶん前の事のように思えてきました。
 さて今回、「下町ロケット」と共通するのは、良くも悪くも泥臭さでしょうか。そしてめぐみの突っ走り気味な「人助け大好き!」は、諸刃の剣となり得ることの危うさを感じさせる一編でもありました。
  
 めぐみはイノセントフォームへの進化を成し遂げたフォーチュンに憧れ、例の「変な歌」でその想いを謳いあげています。みんなもやや引いていますが、めぐみの憧れは止まりません。
『いおなちゃん!私にもイノセントに目覚めるコツ!教えて!』
 鼻息荒くいおなを問い詰めますが、当の本人も気が付いていたらなっていたので、答えようがありません。ブルーはめぐみの中に眠るイノセントな気持ちが目覚めた時に力を与えてくれると助言します。

 めぐみは自分のイノセントな気持ちとは「人助け」だと解釈し、助けを必要としている人を求めて河川敷を見渡します。すると汚れた白衣を羽織った少女が、祖父と共にロケットを打ち上げようとしているのが目に留まりました。
 秒読み開始。そして発射!エンジンが火を噴きますが、火力は次第に衰えて行き、残念ながら失敗に終わります。ため息をつく白衣の少女に、めぐみが何をしているんですかと声を掛けました。
 彼女は深大寺まみ。将来ロケットの仕事に就くことを夢見て、祖父のひさしさんと共に自作ロケットの打ち上げに挑んでいますが、ロケットはまだ一度も飛んだことがありません。めぐみは渡りに船とばかりに、ロケット打ち上げの手伝いを申し出ました。
『実は私、皆の応援キャンペーン中なんです!』
 戸惑いがちのまみさんも、めぐみの熱意に押し切られ、手伝いをお願いすることになりました。

 自慢のロケット研究所へめぐみを招き入れたまみさんは、一本のネジを見せました。これは実際に宇宙へ行ってきたロケットの部品の一つで、祖父ひさしさんが作ったもの。まみさんの夢の原点と言える宝物です。彼女もまた、祖父のようにロケット開発に携わる事を夢見ています。

 さて、めぐみのお手伝いと言えば・・・。まずは修理を始めたまみさんにニッパーを取ってと頼まれますが、沢山の工具の中でどれがニッパーなのか、めぐみには分かりません。スパナやらレンチやらを手に取って思案しているうちに、結局まみさんが自分で取りに来ました。めぐみは役に立てない事を悔やみ、肩を落とします。
『何か少しでもまみさんの役に立たなきゃ』
 それでもめぐみのやる気だけは十分。しかしまみさんは人間観察力にも優れているのか(笑)、めぐみに何かを頼もうとして思い留まり、自分で工具を取りに向かいます。ところが工具はめぐみがご丁寧に工具箱へ整理整頓していました。まみさんは苦笑しながらお礼を言いますが、どう見てもこの整頓は逆効果です。

 修理も一段落し、まみさんは白衣を脱いでお茶を淹れに行きました。めぐみを制して自分が淹れに行くところを見ると、やっぱり不安に思うところがあったのでしょう。ところがその不安は悪い方向に的中しました。何かまみさんのためになる事をしようと考えためぐみは、まみさんの汚れた白衣を洗濯します。ところがロケットが飛ぶまで白衣を洗わないという願掛けだったと知り、愕然としました。
 驚きの白さになった白衣に、悲しげな目を向けるまみさん。それでも平謝りのめぐみを怒るどころか、これを前向きにとらえようと笑顔で許します。
『めぐみちゃんは親切でやってくれたんだから。もしかしたらきれいになったおかげでいいアイディアが浮かぶかもしれないしね』
 まみさんの寂しげな笑顔と優しさが、めぐみの心に突き刺さりました。
 
 その夜、ベランダでため息をつくめぐみに、ため息なんか珍しいと誠司が声をかけて来ます。
『誠司・・・私が思ってたより、人助けってずっと難しいんだね。少しでも役に立ちたいのに、私は何も出来なくてさ』
 しかし誠司はそれでもいいと肯定し、応援してくれる人がいるだけでも力になると助言します。それを聞いてめぐみにも笑顔が戻って来ました。

 めぐみは伝説のパティシエにカワルンルン。ロケット型のクッキーを焼きあげます。味見をしたひめとゆうゆうが絶賛する出来で、これならまみさんも喜んでくれるでしょう。そして・・・
『あの・・・私の分は?』
 まさかいおながオチをつけるとは(笑)

 めぐみはまみさんのロケット研究所へ、実験成功を願いクッキーを届けます。責任重大だと軽口を叩きますが、今度はまみさんも素直に嬉しそうです。
『まみさん。頑張って下さいね』

 そして翌日。7度目の正直となる打ち上げが始まろうとしています。ところがひさしさんが忘れ物に気付き、ロケットと配線で結んでしまった車を使う事も出来ず、歩いて取りに戻りました。祖父が戻るまでの間、まみさんはクッキーを取り出し、ロケットに重ね合わせて見上げます。
『今度こそ、ちゃんと飛びますように』
 ところがそこにオレスキー将軍登場。彼がナンバーワンになる夢以外の存在を認めず、まみさんの夢を絶望の檻に鏡に閉じ込め、サイアークを生成しました。
『まみさんのロケットが無事に飛んでくれるといいな♪』
 河川敷にやってきためぐみは、鏡に閉ざされたまみさんと、サイアークの姿を発見。変身して単身立ち向かいます。

 勝手にロケット発射のカウントダウンを始めていたオレスキー将軍は、ラブリーに阻止されていきり立ちました。
『俺様が楽しんでいるところを邪魔するな!』
『これはまみさんが一生懸命作ったロケットなんだよ!あなた達が勝手にしていいものじゃないの!』
 ただのお遊びだと嘲笑い、点火スイッチを投げ捨てるオレスキー将軍。めぐみが焼いたクッキーも散らばっており、それを見たラブリーの目の色が変わりました。
 それでも冷静に場を見極め、まみさんのロケットが巻き添えを食わないところまで退却します。逃げたと見て追って来たチョイアーク達は、足を止めて振り返ったラブリーの気迫を前に戸惑いを隠せません。
『ここなら大丈夫ね。今の私は、怒ってるよ!』
 キュ荒ブリーの面目躍如。チョイアーク達をあっさりと退け、戦意を失って逃げるチョイアーク達も追撃して一掃します。
無駄無駄無駄ァッまだまだまだァッ!』
 俺様式三段の構えと称し、オレスキー将軍が新手のチョイアークを差し向けてきました。それを払いのけた時には、流石のラブリーも肩で息をしています。それでもオレスキー将軍を強い眼差しで睨み返しますが、ロケットエンジンを点火して突っ込んでくるサイアークの攻撃は避けきれず、直撃を受けて対岸へ落下しました。
『見たか!俺様の四段の構えを!』・・・あの、三段じゃなかったんですか(笑)

 まみさんを助けるべく、立ち上がろうとするラブリーに嘲笑が投げかけられます。
『お前のような小娘には、結局何もできんのだ!』
『あなたの言う通り、私のしてあげられる事は何もないのかもしれないけれど、それでも、やっぱりまみさんの力になりたい!まみさんの夢をお手伝いしたい!』
 立ち上がるラブリー目がけて、再びサイアークのロケットエンジンが火を噴く、その時!
 フォーチュンが駆けつけ、サイアークを投げ返しました。プリンセスとハニーも駆けつけ、四人揃えばこちらのものです。フォーチュンはイノセントフォームでサイアークの動きを封じ、
『いのせんとふぉーむ?なんだ、それ?』
 初めて見聞きするオレスキー将軍は戸惑うばかり。ナマケルダさん、ちゃんと報告しておかないと(笑)。そのままハピネスビッグバーンでサイアークを退け、まみさんを無事に開放。
『大空への夢なんて、羨ましくないぞ!俺様も飛びたーい!』
 オレスキー将軍は地団太踏んで撤退しました。

 そして打ち上げが再開されます。めぐみ達が固唾を飲んで見守る中、秒読みが始まり、ゼロと同時に点火されたエンジンが、ロケットをどこまでも高く飛ばして行きます。空に吸い込まれて行くロケットを見上げて、めぐみとまみさんは手を取り合って喜びました。
『私、もっともっと頑張っていいロケット作るからさ、これからも応援してね』
『もちろんです!』
 夕焼けが彩る帰り道。めぐみは一つの事を頑張る尊さを噛みしめながら、改めて想いを馳せました。
『私もまみさんに負けないくらい、何か頑張りたい。誰かのためだけじゃなくて、自分のためにもね』


 久々に今回を見返すにあたり、厳しめの感想を抱いてしまうのではないかと覚悟していました。
 アンラブリーとの戦いで自分の暗部をこれでもかと見せつけられためぐみが、それと向き合い成長したかと思いきや、お節介レベルの暴走人助けをしてしまう話。今回にはそういう印象を持っていました。ゲストの深大寺まみさんが素晴らしく魅力的なだけに、主人公であるはずのめぐみが己を省みず、まさにありがた迷惑の行動を繰り返す。それをどう弁護し、肯定的に捉えるかが難問だと思いながら再視聴に臨みました。

 その懸念は一部では解消されずに残ったままです。分かっていても前半部分のめぐみからは違和感が大きく、「自分もイノセントフォームになりたい」というジコチューと言われても仕方がない望みと、単なる好奇心で身の丈に合わない人助けを申し出たりするところに顕著でした。めぐみは何のために人助けがしたいのか、そこがブレてしまうと、彼女を肯定することが難しくなってしまいます。
 もちろんめぐみは人の迷惑を全く省みない子では無く、自分が犯してしまった過ちは素直に認め、誠実に謝罪することが出来る子です。今回でも白衣を洗濯してしまった後の落ち込みっぷりから、それは見受けられました。しかしこの場面では責めずになんとか前向きに捉えようとするまみさんの人柄の方に魅せられてしまい、めぐみに好印象を持たせるという流れには向かいませんでした。

 失敗しない人間はいませんし、失敗せずに成長した人もいません。失敗からは何かを学んで次に活かせば良いだけの話です。めぐみはまだ若く、同じ失敗を二度三度と繰り返すのは仕方のいない事です。私なども現に何度もやらかしていますし・・・ただ、アニメの主人公として見るとあまりに短いスパンで続くと、相当悪く言ってしまえば、学習能力がないのかという印象も抱いてしまいます。

 今回が、アンラブリーとの戦いの前に置かれていれば、また印象が変わったように思います。アンラブリー回はイノセントフォームと、それに伴うドレッサーの販促という大人の事情がどうしても絡んでしまうため、話数の調整が上手くつかなかったのかもしれません。色々と残念なタイミングが重なってしまったのだと思います。むしろ、ここまで纏め上げた事を評価したいです。

 めぐみのイノセントフォームはまだ目覚めません。普通ならフォーチュンの覚醒後、毎週一人ずつ目覚めていく流れが一般的です。それを「あえて崩す」予想を裏切るという意味では良かったと思います。ただ、そのためにめぐみがありがた迷惑な失敗を演じさせられてしまったとすれば、不憫な気もしました。
 それでも先に繋がるものとして、ラストのモノローグで「人のため」だけでなく「自分のために」頑張ろうという気になった事が、明るい材料と言えそうです。アンラブリーに言われた事が、ここまで尾を引いていたのでしょう。今回の一連の手伝いと挫折、身の丈に合った応援を通じて、自分をもう一度見つめ直すきっかけを得たと思います。

 ただ、私の感想としては珍しい苦言をもう少しあげる事をご容赦下さい。
 ラブリー単独のアクションは、いわゆる「キュ荒ブリー」の名に恥じぬ?ものですが、戦意を喪失して逃げるチョイアークを追撃したのはいかがなものか。大きなお友達的にはさほど問題ではありませんが、お子様への模範としてのプリキュアシリーズを考えると、ちょっといただけない描写に思えてきました。何が正解で何が間違いかは人それぞれですが、私としては違和感を覚えてしまった場面でした。

 一方で深大寺まみさんは、ハピネスチャージのゲストの中で特に印象に残るキャラクターとなりました。彼女はめぐみに振り回されても決して怒らず、呆れたり見捨てたりすることもありません。もっとも、めぐみのアブなさに気付いてからは遠回しに遠慮したりすることはありましたが・・・
 それは何度失敗してもロケット打ち上げという夢に挑戦し続ける、根気の良さが影響しているのかもしれません。失敗続きという点では、めぐみもまみさんも同じです。その失敗から何を学び、何を活かすかが大切な事。めぐみは自分に出来る事は何なのかを考え、まみさんは技術的改良点などをコツコツと積み上げた事が、次につながったのでしょう。
 前半で打ち上げようとしたロケットには「JINDAIJI MARK6」、後半で成功したロケットには「JINDAIJI MARK7」と書かれています。これだけの規模の実験を6度も失敗してなお折れない強さ。その源はあのネジにあると思います。必要な部品には大小は関係なく、実際のロケットにも町工場の部品が使われていたりします。地味でも丁寧で誇りを持った仕事が評価された事を大切に想う気持ち。それこそがまみさんの宝物であり、夢の原点なのだと思います。

 同じように胸を張って誇れるような人助けが出来るようになった時、めぐみも一段高いところから周囲を見られるように成長するのでしょう。
『まみさん。頑張って下さいね』
 クッキーを差し出した時の目には、「イノセントフォームになりたい」「とにかく人助けがしたい」という自己主張が見受けられません。イノセントと言っても良い澄んだ目をしていました。
 人のフリ見て我がフリ直せと言います。
『俺様が楽しんでいるところを邪魔するな!』
 と、オレスキー将軍はのたまいました。めぐみも本人が意図せずとも、まみさんの邪魔をしていました。そしてめぐみも人のためと言いながら自分が楽しんでいた人助けでした。オレスキー将軍の発言からも、自分を省みることができれば、イノセントフォームへの覚醒もやがて訪れる事でしょう。あと3話後くらいに

【今回のおめでとうメッセージ/キュアミューズ】
 変身後も容姿が小学生のプリキュアは今もって彼女だけ。それだけにあざとさ全開で登場するかと思いましたが、あれ・・・?普通にかわいいレベル?と思わせて最後のポーズにやられました。
 あと、せっかくなら黒ミューズで登場して脱ぎ捨てる、という内容でも面白かったかもしれませんね。
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MP

いおなの次はもうめぐみ?と思わせたけど、結局はイノセントにならなかった回。その一方でまみの「下町ロケット」的な話でした。「ロケット」というとペットボトルロケットを思い出しますけど(今じゃ)、本格的なロケット打ち上げとは。そこでめぐみの人助けですが、その一つに「クッキー」。あれ見ますと今のプリキュアです。
(AS映画が「ドリームスターズ」となり、「ハピチャ」も削られてしまった。出ればクッキー出せたかも)

挨拶はミューズ。初めは珍しい黒仮面・黒スーツ形態で、一切正体が分からないプリキュアってのも斬新でした(「ハピチャ」もフォーチュン・ハニーはその系統)。やがて正体が小学生アコである事が判明され「ウソ!!」と驚きました。これ以後仮面モードのミューズは登場しませんが、スティクスさんの言う通り、仮面モードで出てから本来の姿になって欲しかったです。
(でも震災の影響とはいえ正体判明が遅れてしまい、セイカかるたのフタにはアコが描かれなかった。かわいそ!)

これで挨拶に登場したのも33名となり、いよいよ次回はラストバッターの「C.W.」が登場です!
by MP (2017-06-08 20:01) 

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