SSブログ

ハートキャッチ第9話『スカウトされたお父さん!お花屋さんをやめちゃいます!?』 [ハートキャッチプリキュア]

近所の公園の桜(チェリーブロッサム)はこの一週間でつぼみから既に花開きました。
可能性を秘めたつぼみの状態があるからこそ、その先に花開く姿に期待を膨らませるもの。
それは花だけではなく人の成長も同じです。
これから理想と現実のギャップ、夢の実現と現実との差に悩む新社会人も多いと思います。
そんな社会人のつぼみのような青年を、自分の想いを押し殺して悲しみに耐えてきた
主人公のつぼみが救い出すという、時節柄に即したエピソードです。
  
つぼみの家の花屋を訊ねてきた新人サラリーマンの小畑は、
かつて陽一パパが大学教授だった頃のゼミ生で、
教授のおかげで第一希望の会社に入社できたと報告します。
教授はやめてくれと謙遜する陽一パパの姿を店の外で伺うつぼみとえりか。
大学教授の職は辞しているものの、時々講師として呼ばれているという陽一パパの事を
そんな偉い人だったとは・・・と呟くえりかに、つぼみは珍しく得意気な顔を見せました。
ところで、その小畑は企画営業部で花の売り込みをしているのですが、
本日訊ねて来たのには別の理由がありました。
陽一パパをわが社に迎えたい、とお願いする小畑に、つぼみの心は揺れ動きます。

かつての両親の仕事についてえりかに語るつぼみ。
陽一パパは大学教授で、みずきママはセレブ御用達のお洒落な花屋、
レッドフローリアンに務めており、そのネームバリューに驚くえりか。
花咲夫妻の馴れ初めは花つながりで、春の花畑。
フィールドワークに来ていた陽一パパと、店に置く花を探しに来たみずきママが
ふとした拍子にぶつかってしまい、倒れかけたみずきママを助け起こした陽一パパ、
互いに一目惚れだったというベタな展開で、
『素敵なお方デス』『花よりもきれいな人デス』
『結婚するデス』『はいデス』
シプレとコフレの寸劇そのままの、出会って一ヶ月でのスピード結婚だったようです。
ベタだけど憧れる出会い、そして出世しそうな陽一パパを評して
花咲家万々歳だね!というえりかに、顔を曇らせるつぼみ。
気遣うえりかに対しても、何でもないと言う風に首を振りました。

夕飯を前にして浮かないつぼみを案ずる花咲夫妻と薫子さん。
つぼみは陽一パパが小畑の会社に入社するのか心配だったのですが、
陽一パパ本人が否定します。あの話は断った事。研究より花屋が熱い事。
みずきママも追随し、毎日食卓を家族で囲めるのが嬉しいと語り、
つぼみは胸を撫で下ろしました。

日が変わって、下校中の2人の前に小畑が現れます。
将を射んとすれば何とやら、陽一パパを引き抜くためにつぼみに説得してもらおうと持ちかけ
俯いてしまったつぼみを案じたえりかが割って入り、
立ち話も何なので、と薫子さんの植物園へ場所を移しました。

一方砂漠の国では、呑気に砂風呂で温まるコブラージャに
サバーク博士の伝言を伝えに来るスナッキー。
砂漠温浴エステ中だから後にしてくれ、というコブラージャでしたが、
『お美しいコブラージャ様なら、プリキュアなど敵ではない』
『プリキュアも美しいコブラージャ様のお姿を見たくて待ちかねている』
とおだてるスナッキーの言葉(視聴者には何を言っているのか分からないのですが)
を真に受けて出撃を決めました。
・・・絶対スナッキーはコブラージャの事ナメてると思いますが・・・

植物園を訪れた小畑は水を得た魚のように生き生きとして、
つぼみと植物談義に花を咲かせます。
植物に詳しい事を指摘され、好きだからだと笑顔を見せる小畑ですが、
そんな折にも容赦なく仕事の電話がかかってきます。
仕事の大変さを訊ねるつぼみに、他社に負けないよう頑張る必要がある事、
そして負けないためにどうしても陽一パパの力が必要だと手を合わせて頼み込む小畑。
『つぼみはさ、小畑さんが嫌いなの?』
小畑の頼みに窮するつぼみに、えりかが助け舟を出します。
先ほど楽しそうに植物談義をしていたのなら、嫌いな筈ではなく何か理由がある筈。
ならばちゃんと言わないとわからないと言うえりかを見つめ、頷いて口を開くつぼみ。
『私、花に勝つとか負けるとか無い様な気がするんです。
 今ある花にもそれぞれ良さがあって、新種の花が無くても私は良いと思うんです』
つぼみの言葉は、仕事と言う現実に押しつぶされそうな小畑には届きません。
『君はそれでもいいよ。でも僕は仕事だから売れる花を作って勝たないと。
 君は子供だから分からないかもしれないけど・・・』
『子供にも心はありますよ』
割って入るのは薫子さん。
小畑の姿は、かつての陽一パパとみずきママに似ていると指摘しました。

かつて二人とも日本だけでなく、世界中を仕事で飛びまわり
家を空ける事が多く、当初は笑顔で送り出していたつぼみでしたが、
大きくなるのと反比例して、どんどん大きくなる寂しさを、ずっと押し殺して我慢していました。
ある日両親が出発した後、庭先でヒナを世話する親ツバメを見て涙が込み上げるつぼみ。
忘れた書類を取りに戻ったみずきママは、嗚咽するつぼみの姿に
家族のために働いていたのに家族がバラバラだったことに気付いて、
仕事よりも家族一緒に暮らす事を選んで花屋を開店したのでした。
『仕事を引き受けたらまた前のように家族がバラバラになると断られたんじゃないの?』
図星を突かれて言葉を失う小畑に、つぼみも頭を下げました。
『新種の花を作る事は凄いと思います。でも・・・ごめんなさい』

途方に暮れる小畑の心境を暗示するかのように、
燃えるように赤い夕陽に向かって飛ぶ飛行機。
夕陽に向かいながら小畑は電話で謝りながら歩き、電話を切ったときにため息をつきます。
その心の弱みを現れたコブラージャにつけこまれ、
抽出された心の花と携帯電話が合わさってデザトリアン化しました。
家路に着く途中のつぼみとえりかに得体の知れない音波が響き、
見ると音波を撒き散らすデザトリアンに逃げ惑う人々に気付いて変身。

『さあプリキュア。お望みどおり来てやったぞ。思う存分目の保養をするがいい!』
一人勘違いしているコブラージャは放っておいて、デザトリアンと戦う2人。
今回も戦闘描写の動きが良く、最初の一撃を避けて鉄塔を蹴り、
反動で攻撃を仕掛けるブロッサムはマックスハート41話の戦闘シーンを思わせます。
ところがマリンは攻撃を避けられ、素早く横に回りこんだデザトリアンの音波が直撃、
激しく突き飛ばされるマリンの許に駆け寄るブロッサム。
そしてデザトリアンの心情が吐露され始めます。
『僕だって、研究したい・・・僕だって、新種の花を作りたい。それが僕の夢なんだぁ!
 でもそんな事言えない。研究チームに入りたいなんて言ったら会社をクビになるかもしれない』
・・・いや、それだけでクビにするような会社はそうそう無いと思いますが・・・
そんな小畑の悩みを察する二人に、苛立ちをぶつけるような
デザトリアンの音波攻撃が畳み掛けられます。
研究職に就きたくても、怖くて言えないという発言に、
先ほどの植物園で楽しそうに植物談義に興じていた小畑を思い出すブロッサム。
そんな奴には何も出来ないと評するコブラージャに、
いい加減な気持ちではないから恐くなるのだと反論し、堪忍袋を切って
マリンもまた海より広い心の我慢の限界を超えました。

デザトリアンが素早くとも、プリキュアは2人です。
左右に分かれてそれぞれ攻撃を畳みかけ、ダブルシュート、と光弾を放って牽制し
巻き起こる砂埃に『ノン!僕の美しい顔にほこりが!』とコブラージャが怯む隙を突いて
フローラルパワーフォルテッシモで撃退。
もう一度エステのやり直しだと捨て台詞を吐き、コブラージャも撤退して行きました。

数日後。陽一パパと小畑のやりとりを伺うつぼみとえりかの会話から、勧誘を諦めた事、
いつか研究職に就きたいけれども、まだ自信が無いと語った事が分かります。
そこに訪れた女の子はひまわりを買いに来ましたが、
『ひまわりはお日様の元気な夏が大好きなんです。
 きれいな花を咲かせるために、今はゆっくり大きくなってるんですよ
 夏になったらまた来て下さい。一番大きくてきれいなひまわりを用意しておきますから』
小さな子にも分かるように説明してあげるつぼみ。
その姿を見た陽一パパは、小畑の事を春のひまわりだと評して、
夢と言う花を咲かせるために今は成長しているところではないかと助言しました。
何年かかるか分からないけれど、挑戦すると抱負を語る小畑。
その心の花、白いヒヤシンスの花言葉「心静かな愛」の通り、
植物を愛する心を取り戻して元気になった小畑、
そして両親の間に飛び込むつぼみをみんなが笑顔で見つめて幕となりました。

親がスカウトされると言えばSSでの咲の両親がスカウトを断るという話が連想されましたが、
この時は子が知らない偉大な親の姿という切り口でしたので、
今回のようなつぼみの寂しかった過去が描かれるとは思わず、
良い意味で期待を裏切られました。
大人と子供、仕事と家族、理想と現実。
相反する色々なものが内包され、時期的にもタイムリーな良作だと思います。
それにしても普通そんな大事なスカウトには人事担当者が三顧の礼をもって
お願いするもので、新人が出向くような事は無いと思いますが・・・野暮は考えない事にします。

両親がいないつぼみの寂しさを描く描写は秀逸でした。
笑顔で見送って手を振る姿と、見送った後縁台で佇む姿が交互に映し出され、
徐々に成長していくつぼみ。
初めは見送った後、縁台ではしゃぐようだった幼いつぼみですが、
次は傍らに転がるぬいぐるみ、その次は少し成長したものの
傍らの本に目をくれず、最後は周りに何も無い状態で寂しげな後姿を見せます。
両親と離れて暮らす寂しさはほのかやかれんと共通し、
二人とも表には出しませんが、稀に寂しそうな態度を表す事がありました。
その状況に耐え続けたほのか・かれんと、
耐えられずに涙したつぼみを比較して、つぼみが弱いのではありません。
そして、家族の為に仕事を捨てた花咲夫妻と比較して、
仕事に徹する雪城夫妻、水無月夫妻が家庭を顧みていないとも思えないのですが、
各家庭ごとに当然事情は異なって当然です。
つぼみの性格からして、「私が寂しがったら両親に迷惑をかける」と考えて
ずっと無理をしていたのでしょう。だからこそ、たまたま嗚咽を漏らす姿を見られるまで
両親も、薫子さんも気付けなかったのではないでしょうか(気付いていたかもしれませんが)

厳しい言い方になってしまいますが、小畑は社会人として未熟でした。
先週は孤独に苦しみつつも仕事のやりがいを認識しているもも姉が描かれましたが、
高校生のもも姉よりも仕事とは何なのか、会社勤めとは何なのかという自覚が足りません。
第一志望の会社に入社したからといって、やりたい仕事が出来るとは限らず、
そもそも第一志望の会社に入社する事すら厳しいこのご時勢で、
自分の弱さを棚に上げ、つぼみに対して「子供には分からない」などと言う姿は、
いったい子供なのはどっちだ?と説教したくなってしまいました。
このまま念願の研究部門に配属されても、この状態では理想と現実のギャップに悩み
こんな筈ではなかった、などと別の悩みを抱えたり、
いわゆる「燃え尽き症候群」のようになるのではないでしょうか。
花や植物が好きだから研究職に就いて、新種の開発をしたいという気持ちはわかります。
それならばその植物の知識を、ラストで描かれるつぼみの接客のように
現在の仕事である営業に活かせば良いことで、色々な経験を積むからこそ
仕事の幅が広がるものです。私自身も営業現場こそが天職だと考えていましたが、
企画部門や仕入交渉部門などの異動経験を経て、再び営業現場に戻った今、
社内でも自分の可能性は色々存在する事を学びました。
初めて現場を離れた時は、小畑のように思い悩んだ事もありましたので、
その時の事を再び思い出し、明日からの仕事に活かしたいと思います。
そして、小畑と同じような悩みを抱えているかもしれない新入社員に対して
気付いてあげられるように心がけたいと思います。

ところで下校中にえりかが出したなぞなぞ
『とんかつの好きな犬とてんぷらの好きな猫が将棋で対決しました。勝ったのはどっち?』
の答えが私にはわかりませんでした。何だか気になって眠れなくなりそうなのですが、
答えは何なのでしょうか?
「世にも奇妙な物語」の「ズンドコベロンチョ」や「古畑任三郎」の「赤い洗面器」のように、
作中では最後まで何なのか分からないネタなのかもしれませんが・・・

今まで人々の悩みを救い、その結果少し前向きになる人々の描写を描いた
優しいエピソードが続いてきたハートキャッチシリーズ。
次回は大きく様変わりしそうな、待ちに待ったダークプリキュア登場で、
来週の展開が非常に楽しみになってきました。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。