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スプラッシュスター第34話『お月見会はロマンスの香り』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

暦の上では本日は立秋。秋の気配が感じられる暦、なのですが・・・
相変わらず頭にくるほどの酷暑が続く今日この頃。
作中では中秋の名月を楽しむ季節となり、ほのかな涼を提供してくれました。
楽しいお月見会のはずが、妙に元気の無い牛乳和也を案ずる咲と舞、
己の信念を貫くキントレスキーが繰り広げる、秋らしい情感を醸し出す一編です。
  
陽が傾くのも早くなった秋の夕暮れ。
帰宅した舞は弘一郎パパ、可南子ママンに、友達を呼んで月見をしたいと提案し、
両親ともに乗り気で快諾します。
ところがその場に和也の姿は無く、帰りが遅い事を案じる舞。その頃和也は・・・
一人ススキの原を前にたそがれていました。
足元の小石を蹴る和也に、突如横槍が入ります。
『違う!キックの基本は足の甲だ!』
手近の石を蹴り上げ、海まで蹴り飛ばすその脚力に驚く和也を尻目に、
『つま先で蹴ると足を痛めることもある。精進したまえ!』
と言い残して去っていくのは言うまでも無くキントレスキーです。
『誰?あの人・・・』
和也はその異様な存在感にあっけに取られて見送りました。

翌日学校で、舞はみんなにお月見会の誘いをします。
月見団子を作ってお供えしようという舞。
星野家では秋刀魚を、伊東家では果物類をお供えしており、
家によってお供え物がまちまちという事に咲の興味は尽きません。
飾り付けのススキを集める事を申し出た咲は、お供えにパンを持っていくと宣言し、
何かむちゃくちゃなお供え物ぞろいとなる予感を懸念する健太。
・・・君の秋刀魚も充分無茶苦茶だけどね・・・

舞は帰宅して庭を掃除していると和也が帰宅しますが、
らしくなく深いため息をつき、やはり元気がありません。
チョッピとともに様子を伺う舞も心配そうです。

一方その頃、ダークフォール。
満を持して出撃したにも関わらず成果を挙げなかったキントレスキーに
相変わらずの嫌味を言うゴーヤーンですが、当のキントレスキーは意に関せず、
釣り下がる鍾乳石を使って筋トレに励んでいます。
キントレスキーはいついかなる時も鍛錬を怠らないという信念を曲げません。
アクダイカーンもキントレスキーを責めることなく、
プリキュアと手合わせした印象を尋ねると、
意外にもキントレスキーはプリキュアの力を高く評価。
相手が強いほど倒した時の悦びも大きいと
庵原之政(注1)のように武者震いで全身を震わせて語りました。
そして必ず打ち負かすと心に決め、体操選手のような身のこなしで出撃するキントレスキーに
先ほど嫌味を言っていたゴーヤーンも思わず10:00の高得点を与えます。

(注1)庵原之政・・・以前にも触れたことがありますが、私は2007年度の大河ドラマ「風林火山」の大ファンで、
庵原之政とは度々「武者震い」発言で一部で人気を博した今川義元の重臣の一人です。


さてお月見会の当日は、何かを暗示しているかのようにどんよりと厚い雲が立ち込めています。
その雲の下、フラッピとチョッピのお世話をして、ケーキを頬張る2匹を微笑ましく見守る、
と思いきや、舞の表情は優れません。
舞が何か悩んでいるのでは、と考えた咲がその理由を尋ね、
和也が元気が無いのを心配している事を知りました。
和也は責任感が強く何でも一人で抱えてしまいがちなため、
舞が訊ねても何が悩みなのか話してくれず、
兄の悩みは妹の心配事となっています。
咲にとっても、あの和也さんがどんな悩みを・・・と気になりはじめました。

海岸線横の坂道を自転車で下りながら、咲は和也の悩みに疑問を抱いていると、
前カゴに乗っていたムープとフープが、和也の事が好きなのかと単刀直入に切り出しました。
慌てふためいて自転車を止める咲に今度は芸能レポーターのようにマイクとメモを取り出して
『出会いはいつですかププ?』『彼のどこに好意を持ったんですかムプ』
などと、ムープとフープはワイドショーを観て覚えたという押しかけインタビューを始めます。
そんな2匹を誤魔化しつつ、ススキを取りに向かおうとした咲はすぐそばに止まっている自転車、
そして砂浜に佇んで一人夕陽に染まる海を見ている和也に気が着きました。
『哀愁が漂ってるププ』
これもワイドショーで覚えたというフープをあしらいつつも、
海を見つめるる和也の背中は咲の目にも寂しそうに映りました。
和也の下へ向かうものの、何と話しかけていいのやら・・・
躊躇する咲ですが、何でも無理だ無理だって言うのは意気地無しだと言うフラッピに
思わず大声を上げてしまい、その声に気が着いて振り返る和也。

和也と並んで砂浜に座る咲ですが、緊張して言葉になりません。
悩み事を聞きたいけれど、どうしたものか。
『黙り込んで何かあった?』
そんな咲に先手を打つ和也にアタフタとして、咲はやはり聞くことが出来ませんが、
『和也さーん。テストの点数がイマイチだったナリー?ラピ』
などと咲の口調を真似て問うフラッピを慌てて誤魔化します。
当然和也の悩みはテストなどではなく、逆に咲になぜここに来たのかを聞き返して、
咲は今日のお月見で飾るススキを取りに来たと説明します。
和也は咲を、ススキがたくさん生えているところへの案内を申し出ました。

美翔家の天文台には仁美、優子、健太が集まっていますが、
空は雲に覆われたままで月が見えるか心配です。
しかし健太は雲が動くかもしれないから諦めるのは早いと発言し、
天文学者の弘一郎パパも健太の意見を支持しました。
雲が晴れるまでの間、可南子ママンの呼びかけで団子作りの手伝いに向かう一同ですが、
舞は和也が、そして咲が遅いのを気に掛けていました。

和也が連れてきたのは冒頭のススキの原。
和也の手助けでススキを集める咲は、相談相手になるどころか
逆に世話になっていると気にしてしまいます。
ススキ当番という咲に、みんなで何かをする事の大変さを唐突に漏らす和也。
彼は学園祭実行委員に選ばれ、みんなの意見をまとめられない事が悩だと明らかになりました。
『色んな意見が出るってことは、皆がいい学園祭にしたいって思ってるって事ですよね?』
咲は和也に、月見のお供えのイメージが皆で違っていた事を例に上げ、
学園祭も一緒で、違うものを全部一緒に、と語ります。
思わず笑い出すものの、和也は咲の事を凄いと評価しました。
テストの点も悪く、部活でも怒られている、と謙遜する咲ですが、
和也が見習おうとしたのはそのポジティブな考え方です。
手伝ってもらった事の御礼を言う咲に、それはこっちの台詞だと逆にお礼を返す和也は、
もう一度みんなの意見を聞いて話し合ってみると表情が明るくなりました。
ところが・・・

『人の意見に左右されるな。自分の意思を貫け。それこそが勝利への道だ』
いつのまにかススキの原の中に立っているキントレスキーが割って入り、
和也に当て身を食らわせます。
咲は思わず自転車から手をを放して和也の下へと向かい、
そのせいで、カゴに積んであったススキが辺りに散らばってしまいました。
カゴから転げ落ちたムープとフープはこの一大事に舞を呼びに行き、
丁度団子を作っていた舞もチョッピの呼び声で表に出たところ、
ムープとフープによって事態を知りました。
咲と対峙し、しびれを切らすキントレスキーの下に駆けつけた舞は、
兄が倒れている事に気が着きます。
強い者との真剣勝負には邪魔だから眠らせたというキントレスキーに、
憤った2人はブライトとウィンディへと変身します。

変身したプリキュアに準備運動をさせるという名目で
キントレスキーは和也の自転車と電柱の変圧器を合わせてウザイナーを生み出します。
光と風の力で応戦するも、口から自転車のギアを飛ばす
ウザイナーの攻撃を受けて倒れる2人を、
ウザイナーに手こずっているようではつまらん、と切り捨てるキントレスキー。
日々己を鍛え、強い戦士と真剣勝負をするのが喜びだと言うキントレスキーに対し、
そんなことの為に和也を酷い目に遭わせたと怒りを露にして立ち上がる2人。
ムープとフープの力を得てスパークルブレスを装着すると、
信念を押し付けているキントレスキーへの、
兄を巻き込んだキントレスキーへの怒りと共にウザイナーへ猛攻を畳み掛けます。
風の力で、光の力で思い切りウザイナーを跳ね飛ばし、
間髪を入れずスパイラルスタースプラッシュで撃退。
キントレスキーは面白そうだと言い残し、
準備運動が終わったプリキュアと戦う事無くそのまま引き上げていきました。

咲と舞に介抱されて目を覚ました和也は、散らばってしまったススキを拾い上げ
ぐちゃぐちゃになってしまったと残念そうに口にしますが・・・
『良かった。折れてないススキが、こんなにありますよ!』
咲は無事に残ったススキを抱えて和也に見せ付けます。
笑い合う二人を傍らで見守る舞も、どことなく嬉しそうでした。

持ち帰ったススキを飾って団子、果物、パンをお供えしてお月見会が始まります。
まだ雲は晴れませんが、団子に舌鼓を打つ咲、
庭の隅でしっかりと七輪を持ち込んで秋刀魚を焼いている健太、と
楽しげな雰囲気が伝わってきます。その折、健太は秋刀魚を扇ぎながら
なぜいつも和也は牛乳を飲んでいるのか、という視聴者の疑問を代弁しました。
その理由は、宇宙飛行士になって無重力状態で筋力が落ちると骨が脆くなるため、
それに備えて牛乳を飲んでいたら習慣になってしまった、という和也らしい答えが帰ってきます。
元気になった兄の姿に、咲と一緒にいて元気をもらったと言う舞。
舞自身も咲といると元気を貰うことがある、と語る中、
雲が晴れて月明かりが差し込みました。
まさに中秋の名月。見事な満月をみんなで見上げて幕となります。


主人公の憧れの人、ということで藤Pと比較される和也。
2人ともなぎさや咲の想いに気付いていないような鈍感さと、
妙な天然ぶり、どこか常人とズレた感性を持っているという共通点がありますが、
藤Pがおおっぴらに悩みを見せる事は少なく、この点で和也の意外な繊細さが感じられます。
妹にも家族にも弱みを見せまいとするような振舞いからは、
和也は見た目や語られるイメージほど大人ではなく、
むしろ子供(高校生なので当然ですが)らしさも伺えました。
そんな和也をいつの間にか元気付けていた咲は、
言葉ではなくそのポジティブな思考と態度が実に小気味良く、
やはり「太陽のような」「ひまわりのような」子だと思いました。

「意見をまとめるのが難しい」→「意見が多いという事はみんなが真剣に取り組んでいる」
「ススキがぐちゃぐちゃ」→「折れていないススキがこんなに」
マイナスに見える物事を転換し、プラスに向けるのは誰にでも出来る事ではありません。
私事ですが、丁度仕事の問題が多発している時期でもあったため、
見方を変えるとこういう考え方もある、というのは今回の再見で大きな収穫となりました。
というのも今回は、咲と和也のあまずっぺぇ物語だったと曲解して記憶していたので、
細部の印象がやや薄れていた一編だったために、
こういった再発見がある事こそが再見の面白さだと思います。

一方で、キントレスキーの持論である信念を貫く事も一理あります。
ただ今回はキントレスキーを悪役にせざるを得ないため、
本来ならばプラスに描かれる信念を貫く姿勢というものが、
やや歪んだ欲望のはけ口のように描かれてしまったのが少々残念でもあります。

ところで藤Pと接する時のなぎさは緊張のあまりガチガチに固まっていましたが、
咲は緊張はするもののそこまで固くなりすぎずに描かれます。
随所に見られる眼差しや表情が美麗な作画と相俟って
憧れの人を前にした乙女のはにかみ、と言った咲の表情が生き生きと、
そして可愛らしく描かれているのも印象深いです。
フラッピによる咲の口マネ、ムープとフープの芸能レポーターまがいの質問など
精霊達も愛らしく描かれており、秋の風景と合わせて楽しく見進められた一編でした。

叙情を漂わせた話から一転、次回はプリキュア史上類を見ないスポ根エピソード
SSを語る上で外せない印象的な一編となります。
もも姉泉田キャプテンの勇姿は今も心に深く刻まれており
楽しみな再見となりそうです。
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てんぢく

スパークルブレスではなくスパイラルリングでは…
by てんぢく (2019-11-01 06:49) 

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