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スプラッシュスター第39話『珍獣ミミンガ大騒動!?』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

常に主人公達と行動を共にしながら、カモフラージュしたりぬいぐるみとして振舞っているため
マスコットキャラクターが一般市民に見つかってしまう展開は珍しいです。
後のフレッシュシリーズではタルトが新種の珍生物として追い回された事もありますが、
今回はフラッピが。なし崩しにチョッピ、ムープ、フープまでもが対象にされます。
一見ドタバタ劇かと思いきや、いずれの作品もなかなか深いテーマを内包し、
今回のテーマは「人の話をしっかり聞く事」。
そしてキントレスキーご自慢の「私の部屋」での戦いが繰り広げられる一編です。
  
『も~い~チョピ~?』『まぁ~だだよ~♪』
大空の木の下で、チョッピを鬼にしてかくれんぼに興じるフラッピたち、
そして咲と舞も一緒にかくれんぼをしています。
そんな折、人気の無い大空の木で漫才の練習をするため健太と宮迫がやってきました。
(チェックのシャツの裾をチノパンに入れている、宮迫のセンスは相変わらずです)
漫才のネタあわせだけでなく、この森には幻の珍獣がいるという話をもちかけ、
それをネタにした寒いギャグに、ヒバゴンだって笑わないと相変わらずのツッコミを入れる宮迫。
(ヒバゴン・・・何と懐かしい響きでしょう。今でも広島あたりでは知られているのでしょうか?)
案外こんな所に隠れていたりして。軽口を叩きながら何気なく植え込みに手を突っ込んだ健太は
隠れていたフラッピの耳を掴んでいました。
そしてフラッピが(かくれんぼに)見つかってしまったのかと様子を見に来るムープ、フープ、
鬼のチョッピが次々と健太の前に姿を現してしまい・・・
見た事もない生物達に驚き、健太も宮迫も悲鳴を上げて一目散に山を下っていきました。
その声に驚いて合流した咲と舞は、フラッピたちが健太に見つかってしまったと知って
文字通り目を丸くしました。

翌日、健太は学校で皆に昨日見た謎の生物の話を触れ回りますが、
優子以外はマユツバで咲と舞はその生物の正体を知っているだけに微妙な相槌を打ちます。
ところが宮迫が証言すると一転して信じ始める皆に不満げな健太。
しかし宮迫がスケッチしてみた謎の生物は見事にフラッピたちの特徴を捉えており
咲と舞もさすがに内心焦り始めます。

その頃キントレスキーは、ゴーヤーンを従えてロードワーク中。
自転車で追いかけるゴーヤーンは息を切らせながらも
トレーニングに興じるキントレスキーに釘を刺しますが、キントレスキーの答えは相変わらず。
意味の無い勝負ではなく、孫の代まで語り継がれるような名勝負をするために
プリキュアを鍛えていると語りながら坂道を駆け上っていきますが、
ゴーヤーンは坂道の途中で力尽きており、その話は誰も聞いていませんでした。
『人の話は最後まで聞け!』
坂道を見下ろし、吐き捨てるキントレスキー。
『ゴーヤーン、もうイヤーン・・・』
その下では健太のギャグより面白い台詞を呟きながら、息も絶え絶えのゴーヤーンが・・・

咲が帰宅した折、パンパカパンには人だかりが出来ていました。
民俗学の権威、柳田國男國吉という先生が謎の珍獣の絵を片手に講釈を垂れ、
これぞまさしく「ミミンガ」だという柳田先生の言葉に興味津々の町の人たち。
人々はそれぞれミミンガを探しに行ったり、日向夫妻に至ってはミミンガコロネを作り始めたりと
町おこしや話題づくりに動き始めますが、熱心に話を続けていた柳田先生の
「ミミンガは伝承の中の生き物に過ぎない」という一節は誰も聞いておりませんでした。
柳田先生自身も、話の途中でいなくなった群集に苦い顔です。
ところで、日向夫妻の作ったミミンガコロネはフラッピとチョッピそのままの見た目で、
可哀相で食べられない、とは咲の弁です。

トネリコの森の麓の東屋でフラッピとチョッピのお世話をしながら、今後の対策を講じる2人。
舞は昨晩、ある物を作り上げて、それを見た咲も舞の考えを理解します。
そんな折、健太に連れられるように宮迫、優子、仁美、そして加代ちゃんまでもが
ミミンガ探しに現れ、更に日向夫妻や星野夫妻、見た事も無い町のおっさん達まで加わり
柳田先生も付き添う中、大規模な山狩りが始まりました。
あまりにも話が大きくなってしまった為、咲も舞も、
先ほど舞が作り上げたものを使って事態を収縮させる事が言い出し難くなってしまい、
ミミンガの話は妙な尾ひれがついて広まっています。
(黒焼きにして食べると風邪をひかない、等物騒なものまで・・・)

山狩りが始まり、丁度そこに訪れていたキントレスキーはこの騒ぎが何なのかを訊ねると、
星野健吾さんは例の絵を見せながらミミンガ探しだと説明します。
これはフラッピとチョッピと言って・・・と戸惑い気味のキントレスキーに、
続けて柳田先生が講義を始めます。
そもそも奈良時代の伝承が江戸時代に伝わり云々。
あまりに長い話は途中で「民話の中の話」という区切りがついているのですが、
それを聞き終わらないうちに姿を消しているキントレスキーに
再び柳田先生のサーキュラスのような不満が漏らされます。人の話は最後まで聞け、と。

山狩りは続きますが、なかなかミミンガの姿は見当たりません。
そして咲と舞は切り出すタイミングを伺っていますが、その前に立ちはだかるキントレスキー。
彼が指を弾くとフラッピとチョッピはコミューンの形態から強制的に実態化させられ、
ほくそ笑むキントレスキーは、これ見よがしに大声を上げます。
『ミミンガがいたぞぉ~!早くしないと逃げてしまうぞぉ~!』
その声に集まってくる人々からフラッピとチョッピを隠すべく抱えて走る咲と舞。
すると今度はその行く手で手招きをするキントレスキーが。
その手には乗らないとわき道に入ると、それこそがキントレスキーの狙いでした。
仕掛けてあった落とし穴に落ちた2人が辿り着いたのは、
広い空間に無数のトレーニングマシンが林立するキントレスキーの隠れ家です。
1,000畳の空間に最新のキントレマシンを完備したスペシャル・マッスル・トレーニングルーム。
略して「私の部屋」を紹介するキントレスキーに、
当然の事ながら全然略していないと視聴者を代弁して突っ込む2人。
ともかく、立ちはだかるキントレスキーとキントレマシーンが合わさったウザイナーを前に、
今回はブライト、ウィンディへと変身します。

プリキュアを鍛える。そう豪語してきたキントレスキーの思惑通り、
前回戦闘のテクニック面の上達を見せ付けたブルームとイーグレットに代わり、
今回のブライトとウィンディはパワー面でもキントレスキーとほぼ対等に渡り合います。
内心喜びを噛み締めるキントレスキーは、更にスリリングな勝負をするためか
プリキュアにおもりをつけようと企てました。
もちろんフェアな戦いをするために、キントレスキー自らもおもりを身につけ、
ズシッと来た・・・と満足そうですが、ブライトとウィンディは
残念ながらキントレスキーに付き合う義理はありません。
おもりの代わりにムープとフープの月と風の力を身に纏い、
劣勢になったウザイナーは更に周囲のキントレマシンを吸収して大型化しますが、
ブルームとイーグレットはそのままスパイラルスタースプラッシュを放ち
「私の部屋」もろともウザイナーを撃破しました。
新たなトレーニングルームを探す必要が出来てしまったキントレスキー。
苦々しく撤退して行きます。

トネリコの森で未だミミンガ探しに興じる人々を前に、咲と舞は頷き合って決心しました。
植え込みの間から姿を現すフラッピ?そしてチョッピ?を見て大声を上げる健太に
人々は次々に集まってきますが、その後ろから立ち上がるのは
フラッピとチョッピを模した人形を手にした咲と舞です。
舞が昨晩作り上げたのはこの人形で、加代ちゃんがやっている図書館の朗読劇を手伝うために
練習していたところを健太に見つかったと説明し、
騒ぎが大きくなってしまって言い出せなかったと頭を下げる2人。
これはもちろん咲と舞の口裏合わせの謝罪なのですが、頭を下げる娘に代わり、
2人を庇うように大介パパも、娘がお騒がせして申し訳ないと頭を下げます。
大介パパに対して星野健吾さんは海の男らしく、
健太が大騒ぎしたのが悪いと笑い飛ばしますが、柳田先生はそんな大人たちを一喝します。
子供達のせいにして良いのかと戒め、改めてミミンガは伝承の中に伝わる存在であると説明、
拍子抜けする大人たちを、誰も話を最後まで聞かずに早とちりしていたと窘めました。
すっかり反省した大人たちは、騒ぎを大きくしてしまったと謝る健太と宮迫を
寛容に受け止め、何だかんだ言っても楽しかったと下山していきました。

結果的にみんなを欺いた事に少し罪悪感を覚える咲と舞も続き、
人がいなくなった大空の木には柳田先生だけが残ります。
改めて、ミミンガは架空の存在だと呟いて下山する先生ですが・・・
その後ろに、フラッピとチョッピをまぜこぜにしたような生物が現れ、
そして再び木々の中に姿を消しました。
このへんないきものは、まだ大空の木の周りにいるのです。たぶん・・・


一見して珍騒動が巻き起こすドタバタ劇と見える今回。
ゲストの柳田先生のうんちくやキントレスキーの言い回しの妙など、
軽く楽しめる話だと記憶していましたが、なかなか深い展開に感銘を受けました。
「人の話を最後まで聞く」
柳田先生だけでなく、キントレスキーも途中口にする台詞ですが、
この事が確固たるテーマとして全編を貫き、とにかく浮かれている大人たちを
痛烈に風刺した展開となっています。
騒ぎを収めるために一芝居打った咲と舞を庇うように頭を下げた大介パパ、
咲と舞を責める代わりに自分の息子・健太をたしなめた健吾さん。
一見子の責任を被る親に見えますが、その姿勢は
「少し悪い事をした子供の代わりに親として責任を取る」
というもので、柳田先生の話を聞かずに自らが早とちりした事に対する謝罪ではありません。
プリキュアシリーズに登場する大人たちは大抵分別をわきまえた人々で、
日向夫妻や星野夫妻も過去のエピソードからその人となりを知ることが出来ますが、
今回はキャラクターの根幹は揺るがないものの、
浮き足立った行動や発言を描いた異色のエピソードと言えるでしょう。
しかし禍根を残さず、結果的にみんなで山狩りをして楽しかったという思い出を残して
下山していく大人たちに、物事を前向きに捉える清々しさを感じました。

そして今回は、キントレスキーが異様に輝いていた話でもあります。
あれ程作戦は苦手だと言っておきながら、嬉々としてミミンガが出たと叫ぶ姿、
咲と舞が従わない事を予見して仕掛けた落とし穴という見事な作戦が冴え渡ります。
なんといってもインパクトが強いのは、スペシャル・マッスル・トレーニングルーム
略して「私の部屋」という素晴らしいセンスです。

寓話的な教訓、キントレスキーのギャグセンス、そして最後の見事なオチ。
終盤に向けて平穏な日常話が収束していく中で、
咲と舞が暮らす町「海原市夕凪」という舞台と人々が生き生きと描かれた
再見して評価を改めた一編となりました。
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