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スプラッシュスター第40話『うるさ~い!キントレスキーと誕生日』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

意外にも本編で誕生日が盛り込まれるエピソードは、現時点でこの話が最後です。
自分の誕生日を覚えていなそうに、あどけなく首を傾げる可愛らしさが印象的な舞、
絵を描いてプレゼントしようとするも、あまりの下手さに
キントレスキーにも指導される咲を軸に展開する一方で、
今回はキントレスキーの(ひとまず)最期の戦いが繰り広げられる話でもあります。
キントレスキーにとって、戦いとは何だったのか。ふと想いを巡らせてしまう一編でした。
 
美翔家で舞が6歳の頃描いた絵を見る咲は、6歳にしてこの上手さ・・・と舌を巻きました。
そのうちの動物園で描いたという絵に可南子ママンと和也が思い出話を始め、
その時の写真がある筈だと、舞にアルバムを取りに行かせます。
舞が席を外すや否や、可南子ママンと和也は舞に内緒で誕生会を考えていると持ちかけ、
咲にクラスの友達を誘って欲しいと頼みました。
快諾する咲。ところがいつの間にか舞が戻って来ており、
ぎこちなく誤魔化す咲、可南子ママン、和也の態度に、不思議そうに首をひねりました。
 
キントレスキーに対して鷹揚に構えていたアクダイカーンも、堪忍袋の緒が切れました。
言い訳はしないと潔いキントレスキーに、闇より深い心も我慢の限界を超え、
怒りの波動がキントレスキーを容赦なく襲います。
それでも一切弁明をせず、次が自身とプリキュアの最後の戦いになると告げ、
静かにアクダイカーンの前を辞して出撃するキントレスキー。
嫌味を言いながら後を追うゴーヤーンに対し、以前の腹筋運動の際
気付いた問題点を指摘して、まるで遺言のように言葉を掛けて往きました。
『腹筋を大切にするのだぞ・・・』
キントレスキーの態度がいつもと異なる事を気にしたゴーヤーンですが、
ボディビルダーのような肉体になった自身の姿を想像して一人悦に入りました。

ベランダで健太、宮迫、優子、仁美、加代ちゃんを集めて舞の誕生会計画を告げる咲。
みんなも快く応じて、舞に内密でプレゼントを考えたりと密かな計画を楽しんでおり、
健太は皆の結束を固めるべく?手を重ねるよう促しました。
咲に続けてみんな手を重ね、一致団結、気合いを入れるも、良く見ると手が1つ多いような・・・?
いつのまにかその輪に舞も混ざっており、言われるがままに手を出していたという
天然ぶりを見せる舞に、歯切れ悪く誤魔化す一同。
舞は再び不思議そうに首をひねりました。

舞と一緒に下校する時、咲はそれとなく欲しい物を訊ねようとしてストレートに聞いてしまい、
またしても誤魔化す咲に不思議そうな舞ですが、やはり思い当たるのは絵に関する事です。
幼少時から仕事で帰りが遅い両親にその日の出来事を絵手紙の形で毎日残しているうちに
絵を描くことが大好きになったという舞のために、咲はプレゼントするべきものを思いつきます。

夜遅くまで机で鉛筆を走らせる咲を、舞のような絵の才能があると驚くフラッピたち。
謙遜する咲ですが、「美味しそうな茄子の絵」と言われて一気に力が抜けます。
咲が描いていたのは舞の顔のつもりだったのですが、どうみてもその輪郭は茄子にしか見えず
ムープとフープに至ってはどこをどうすれば舞がこうなるのかと涙まで浮かべていました。
描き直せばいいんでしょ!とヤケクソの声を上げる咲。
その声で起きてしまったのか、眠そうな目をこすりながら様子を見に来たみのりは、
その絵が舞を描こうとしていると察して、描いた本人である咲も驚きを隠せません。
そんな咲にみのりは舞から聞いた、よく観察して描くといいというアドバイスを送りました。

そして翌日・・・
口を麻生太郎氏のような「への字」に曲げ、舞を穴が開くほど観察する咲。
登校中、授業中、そして廊下を行く所をじっと見つめる咲に、
舞は得体の知れない不安を抱きました(笑)

大空の木の下で早速観察の成果を活かして絵を描き始める咲。
傍らではフラッピたちが縄跳びに興じていたところ、
その跳び方では体を鍛えられないと横槍が入ります。
それは言うまでも無くキントレスキー。フラッピ達を庇い身構える咲に対して、
今日は戦うつもりは無いと告げ、咲が落としたスケッチブックを手に取ります。
そこに描かれているのが舞だと知り、しばし絶句したキントレスキーは
視聴者を代弁するかのように容赦の無い感想を言い放ちました。
『これが・・・もう一人のプリキュアだというのか・・・!?』
曰く人の形をしていない、こんな細い下半身では体を支えられない、
関節はこのように曲がらない、などなどの指摘に何も言い返せない咲。
その手の中のフラッピたちもがキントレスキーに同調して頷いている有様です。
筋肉と骨格のバランスを考えて描くようアドバイスし、
明日に備えて体調を整えておくようにというキントレスキーの言葉を生返事で受け流した咲が
ふと気が付くと、キントレスキーの姿はいつの間に掻き消えていました。

咲は結局キントレスキーの指摘どおりに絵を描き直し、
翌朝仕上げをしていると、みのりが手紙を持って来ました。
それはキントレスキーからの果たし状で、
10時に海岸で待つ事、万全の体調で臨む事が書かれていますが、更に追伸がありました。
そこにはキントレスキー自身の自画像に添えて、
筋肉のつき方を考えて描くといいというアドバイスが書かれており、
その自画像の上手さに思わず咲も舌を巻きます。
ともあれ、果たし状の内容通りならばキントレスキーを食い止めなければならず、
同じく家のポストに果たし状が投函されていたという舞と合流します。

浜辺で待っていたキントレスキーは、この勝負に最後の奇蹟の雫を賭け
上衣を脱ぎ捨てて臨戦態勢に入りました。
迎え撃つ2人もブライトとウィンディへと変身します。
重い攻撃を精霊の壁でガードするブライト、その隙に回り込んで攻撃するウィンディ。
明らかにプリキュア2人の戦い方も上達しており、
ウィンディに攻撃で跳ね飛ばされたキントレスキーも、
相手にとって不足なしといった感で喜びを噛み締めつつ、真の本気を出しました。
いつも以上に筋骨隆々とした姿になり、ついでにヒゲと髪も増量(笑)。
その拳は海岸のコンクリート壁を砕き、溶かす熱まで帯びています。

プリキュアを追って畳み掛けられるキントレスキーの拳に道路は陥没し、
深い亀裂の底に溶けて赤熱したアスファルトが溜まる凄惨な光景が広がります。
このままでは町まで被害が及ぶことを懸念するプリキュアに、
キントレスキーの裏拳が振るわれました。
勝負の最中に他の事に気を取られている事に怒り、
その気になれば緑の郷を壊滅させられると豪語するキントレスキーは、
更に周囲を破壊して言い放ちました。この私を止めてみろ、と。
ブライトとウィンディも彼女達の本気、月と風の力を纏って立ち向かいます。

ブライトが放つ無数の光の玉を力任せに弾くキントレスキーの隙を突き、
ウィンディの風の力が、その攻撃で出来た隙に再びブライトが畳み掛ける、
一進一退の攻防が繰り広げられます。
己の全てを賭けて戦う相手に喜び打ち震えるキントレスキーに、
あなたの都合なんて知らない!とスパイラルスタースプラッシュを放つ2人。
キントレスキーは真っ向から受け止め、歯を食いしばり呻りをあげて耐え続けます。
スパイラルスタースプラッシュが星を象る時、それはとどめを意味するのですが、
信じられないことにキントレスキーは耐え抜きました。
が、しかし・・・

『これまでか・・・だが私は満足した・・・!』
全身から金粉を撒き散らし、己の力の限界を超えた事を悟るキントレスキー。
素晴らしい戦いが出来た事に満足し、プリキュアの健闘を讃えながら
その姿は金粉となって消えていきました。
『キントレスキーは、元の姿に戻ったんだね・・・』
今までのように少し淋しそうな言葉を発しながら、降り注ぐ金粉を受け
2人は最後の奇蹟の雫を受け取りました。

そして美翔家では舞へのサプライズ誕生会が開催されます。
両親からは、これからの季節の屋外でのスケッチのために、白いコートを。
加代ちゃん、仁美、優子からは画材道具を。
健太と宮迫からは新作の漫才を(これだけは微妙なニュアンスで答礼しますが)。
皆からの祝福を、プレゼントを喜ぶ舞。
最後に咲がプレゼントしたのは、大空の木の下で手を取り合う咲と舞の絵でした。
自分の絵を描いてもらったことがないと大喜びの舞。
決して上手とは言えないものの、精一杯の咲の心がこめられた絵は
舞にとってかけがえのない宝物となる事でしょう。


この8回に及ぶキントレスキーの生き様を見て、
彼の目的とは何だったのかを考えさせられた一編でした。
キントレスキーはプリキュアを鍛えるために襲い掛かり、
その気になればいつでも勝つことは出来た筈です。
それは常々自分と対等の勝負が出来る者を欲していたと語られますが、
今回のキントレスキーを見ていると、自分に打ち勝つ者を求めていたように思えます。
冒頭で有無を言わさずキントレスキーをねじ伏せるアクダイカーンは、
明らかにキントレスキーより強い筈ですが、
主君を討つという野心は微塵も感じさせない彼にとって
アクダイカーンと戦う事は考えもしないのでしょう。
(それ以上にゴーヤーンが強い、というのはゴーヤーン以外誰も知らないので)
キントレスキーが己の欲望を満たせるのは強い敵との戦いであり、
その敵に打ち勝ってしまうと更に強い敵を求めることになってしまう。
それは劇場版プリキュア5GoGoの敵、ムシバーンのように、
欲しても欲しても決して満たされない苦しみだと思います。

自分の全てを出し切り、そして悔いのない敗北をする。
それがキントレスキーの生きた証だったように思えてなりません。
この後2度目の敗北の際にも「敵に背を見せず美しく散る」事にこだわっっており
死に場所を求めていたのではないでしょうか。
凪中ソフト部が決勝で惜敗した際、負けては意味がないと切り捨てた台詞と矛盾しますが、
好意的に解釈すれば咲と舞に本気を出させるためにあえて言った言葉と受け止められます。
また、プリキュアとの戦いを通して、美しい敗北と言うものへの考えを改めたとも取れます。
いずれにしても、キントレスキーは圧倒的な強さと存在感によって
我々視聴者に強い印象を遺しましたので、
その生き様(死に様)は決して無駄ではないと思います。

キントレスキーの最期の戦いの印象が強いため、
初見で見た際には舞の誕生日と違うエピソードにした方が良かったのではと思いましたが、
改めて見るとこの2つが1つに纏められて良かったと感じました。
ただ己を高める事のみに関心を抱き、自分の欲望を満たすためのキントレスキーに対して、
舞のために不得手な絵描きに奮闘した咲。
舞としても、たとえ出来がイマイチであっても咲の飾らない本心が感じられたからこそ、
心底嬉しい贈り物となった事でしょう。

ところでアニメーターさんというのは絵を描くのが本職ですので
今回の咲の下手な絵を描くのは逆に難しかったのではないでしょうか。
最初キントレスキーに呆れられた絵とラストの絵を比較して
決して上手ではないものの最初の絵よりも上手く仕上げたり、
冒頭の「6歳の舞が描いた絵」も上手すぎず、かつ6歳児らしく、
それでいて年齢の割に上手い絵を描きこなしており、
改めてその職人芸と技術に感心した次第です。

ついに全ての敵幹部を倒し、全ての奇蹟の雫を集め、
全ての泉を甦らせる事ができますが、ここから先の最終盤は更に波乱が待ち受けます。
スプラッシュスターの物語も残り少なくなりましたが、
密度の濃い展開が連続する展開を再び楽しみながら、
咲と舞たちの最後の活躍を見守って参りますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。
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