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ハートキャッチ第29話『夏、ラストスパート!私のドレスできました!!』 [ハートキャッチプリキュア]

私も小学校6年生の夏休み、約100km離れた祖父母宅へ自転車で行った事があります。
体を動かす事や体育が苦手な私ですが、この時は少し自分に自信が持てたような気がしました。
その5倍の距離を一人で行くことを決意し、そしてゴールしたものの顔色が優れない林ゆうき君、
自分でデザインした服を一人で作り上げる事を目標にしたつぼみ。
目標を達成する事と、「勇気」とは何かをテーマに、夏休みの最後を彩る一編でした。
  
懸命に自転車を漕ぎ、坂を登る少年。
東海道で言うと由比あたりでしょうか。海と富士山が織り成す景色を眺めてしばし一息つきます。
少年に声をかけた他の自転車乗りは、東京まで行くという少年にエールを送りました。
険しい道のりが続き、まだまだ先は長いですが、少年の目は輝いています。

一方つぼみは夏休みにもかかわらず、学校で一人黙々と服作りに励んでいました。
そこに声をかけるえりかはあまり目が近すぎると間違えると指摘し、
その通りにつぼみは縫い目を間違えています。
服作りの様子を見に来たいつきの、なぜ学校で?という疑問に関しては、
本日クラスメイトの林君が学校にゴールインするのを迎える為と答えました。

終業式の日、林君は京都から東京まで自転車で走破すると宣言しますが、
おそらく内気で控えめな子なのでしょう。
男子生徒たちからはマラソン大会でもへばった事を指摘されて嘲笑されますが、
そんな雰囲気は机を叩いて抗議の声を上げたえりかによって一変。
無理はしないよう声をかける鶴崎先生に、林君は絶対にやり遂げると
自信に満ちた目で返答しました。
林君に刺激され、つぼみも一人で服のデザインから仕上げまでをやり遂げると目標を定め、
そして余った布地で林君のためにメダルを作る事を思いつきます。

メダル製作は何とか間に合い、(えりかとしては微妙な出来と評しているようですが)
クラスみんなで帰ってきた自転車を迎えます。
冷やかしていた男子生徒達も一緒にゴールテープを張り、
ゴールした林君をまるで凱旋した英雄の如く祝福して迎えました。
そしてつぼみからメダルを渡され、はにかんだような、照れているような、
微妙な表情を見せる林君。何か事情がありそうな素振りですが、
旅の思い出話を聞きたいクラスのみんなにせがまれて、写真と共に話を披露します。

スタート地点の京の三条大橋から、岡崎城、浜松のうなぎ、途中泊まった民宿など
写真と共に語られる思い出話に、素直に尊敬の声を上げる男子生徒達。
つぼみも林君に刺激を受け、負けじと洋服作りに向かいますが、
当の林君は何か隠しているかのような複雑な表情を時折漏らしながら、
つぼみがプレゼントしたメダルに視線を落とします。
そんな折鶴崎先生は、林君が膝を擦りむいている事に気付き、
保健室で手当てをしてあげました。

何はともあれ無事に帰還した事に安堵する先生に、
楽勝だったと強がりのような口をきく林君。
と、そこに指を針で刺してしまったつぼみがえりかに伴われて絆創膏を取りに来ました。
つぼみは改めて林君の偉業を讃え、自分の夏休みの目標である
服作りを頑張りたいと言いますが、なかなか上手く行かない事を苦笑交じりに語ります。
それでも自分の力で最後まで作り上げると言うつぼみに、
林君は何か、心に影を落としているようです。
不安が入り混じったようにペダルを漕ぎ始めた三条大橋から、
田園風景の中を快走し、コンビニで地図を見ながらおにぎりを頬張り、
夕陽を背に汗だくになりながら自転車を漕ぎ続けた旅の日々。
苦しくても見事に自転車の旅を成し遂げ、胸を張って誇れる筈なのに・・・

メダルを見つめながら廊下を行く林君は、家庭科室からのつぼみの声に立ち止まりました。
また失敗してしまったつぼみが上げた声。えりかの手伝おうと言う申し出も
お礼を言いながらも断って自力で最後まで仕上げるというつぼみを、
えりか、いつき以下ファッション部員たちがあったかーい目(byドラえもん)で見守ります。
そして、その様子を見ていた林君の胸は傷みました。
思い起こされるのは、箱根の坂道での事。
行く手に待ち構える長い坂を見上げ、意を決してペダルを踏み始めた林君は、
すぐ横を車が通過した際にバランスを崩し、森に突っ込んで転倒してしまいました。
先ほどの傷はそのときの物で、一息入れようと水筒を傾けると中身は空。
ひぐらしのなく声が響き渡る下で、地を叩いて苛立ちを露にする林君。

廊下でその時の事を思い起こしていた林君に気付いたつぼみが声をかけ、
いつきも全校集会でスピーチしてほしいと申し出ますが、
林君はメダルを押し付けるようにつぼみに返し、走っていってしまいました。
何かマズい事を言ってしまったかと気にするいつき、
メダルが気に入らなかったのではと冷やかすえりか。
林君の心の隙間は、誰にも気付かれません。

一方、そんな心の微妙な揺らぎとは無縁の砂漠の国では・・・
心頭滅却すれば火もまた涼し。
燃え盛る火の前で胡坐を組み、その後ろでへばっているスナッキー達を一喝したクモジャキーが
気合いで暑さを打ち消し、気合いでプリキュアを打ちのめすと出撃して行きました。

林君は未だクラスの注目の的です。
新たな記事を作るのか、インタビューを続けるかなえが一番思い出に残った事を訊ねた際、
おそらく林君は一番思い出したくない、屈辱的な事実を思い出しました。
転倒した後に箱根の坂を上る気力を失い、バスに乗ってしまった事を・・・
かなえを振り切り、帰ってしまう林君がいつもの河川敷で深いため息をついていると
そこに現れたクモジャキーに目をつけられ、自転車と合わせてデザトリアン化されました。

林君が巻き込まれている事は、つぼみ達はまだ知りません。
苦心の末完成した服を着て、いつきとえりかに見せるつぼみ。
評判は上々で、つぼみの努力を讃える2人ですが、
つぼみは一人ではなく、えりかといつきの応援があったからこそ成し遂げられたと
謙虚さを失いません。ところがデザトリアンの声が聞こえ、
林君の心の花が抽出された事を知って変身する3人。

激しく戦いながら、いつものように心の闇を吐露し始めるデザトリアン。
旅の途中でバスに乗ってしまった事、皆に本当の事を言えなかった事を悔やむ発言に、
ブロッサムはなぜメダルを返したのか、林君の心情を察しました。
それでもクモジャキーに煽られて攻撃を襲い掛かるデザトリアンの
闇に閉ざされている勇気を照らすべく、サンシャインはゴールドフォルテバーストを放ちます。
これだけでは浄化しきれずに、嘘で誤魔化すようなダメな奴だと己を卑下して
デザトリアンは己を責め続けています。
それを気合いが足りない弱虫だと切り捨てるクモジャキーに、
ブロッサムは本当にダメなら嘘をついた自分に悩んだりしないと反論。
堪忍袋の緒を切ってピンクフォルテウェーブを放ち、今度こそデザトリアンを撃退しました。
クモジャキーもまた、ブロッサムの気合いを評価しながら撤退します。

気が付いた林君は、つぼみが着ている服が件の服だと察して、
おとなしいイメージのつぼみと異なる明るい服だと評しました。
つぼみは林君に、引っ込み思案な性格から、新しい自分になれる服を着たいと思って
この服を作った事を語ります。
林君も新しい自分になりたかったのでしょう。そんな服が欲しいと漏らしますが、
林君には自転車があるというつぼみの言葉に、
みんなに本当の事を言うべく決心して再び学校へと戻りました。

クラスの皆の前で、箱根の坂を越えられずにバスに乗った事を告白し、
嘘をついていた事を謝る林君。男子生徒達からは失望したような声も上がりますが、
京都から箱根まで来ただけでも凄い事だとたしなめる鶴崎先生。
それでも嘘をついてしまった事を気に病んでいる林君の肩を持ち、つぼみが助け舟を出しました。
林君の本当の凄さは、嘘を正直に謝れる事だと。
そして受け取る資格があると言わんばかりに、改めてメダルを林君に渡します。
メダルと自転車を交互に見つめ、林君は箱根の坂に挑戦するとリベンジを申し出ました。

そしてやって来た坂道。長い長い上り坂が待ち構えていますが、
勇気を出してペダルを踏み出した林君。
その自転車には、つぼみが贈ったメダルが揺れています。


今回はアクション面では少々注文をつけたい点もありましたが、
(ブロッサムとマリンが戦っている様を見ているだけのサンシャイン、その逆もしかり)
視聴者参加企画を上手にメッセージに盛り込んだ本編が優れていたので、
そこは折り合いをつけたいと思います。

穿った見方をすれば、本日日本テレビ系列で放送している某裏番組への
皮肉にも見えてしまう、途中発生したアクシデントによってバスに乗ってしまった林君。
しかし勇気とは無謀な挑戦をする事ではないと思います。
あのまま怪我をした足で、空の水筒で坂道に挑み、
熱中症や脱水症状などで倒れでもしたら、それこそ皆に多大な心配をかけてしまいます。
時には勇気ある撤退をする事も必要ですし、引き際を見極める事も勇気でしょう。
『上手く行かなかった事を素直に受け止める事も、勇気だぞ』
マックスハートの最終回、完膚なまでに打ちのめされたキュアブラックに対して、
なぎさの父である美墨岳さんがかけた言葉
は、勝つ事、成し遂げる事だけでなく、
困難に挑戦した過程や、及ばない事を謙虚に認める事の勇気を指摘しています。

内気で気弱な印象を醸し出し、そんな自分を変えたい。
自分を変えるための手段こそ自転車旅行、服作りと異なりますが、
本編での描かれ方からして、林君はつぼみの男子版のような生徒なのでしょう。
京都から箱根に至るまでの写真や、思い出の中での林君は実に生き生きとしていました。
それは自分を卑下するような負けの記憶をまだ持っておらず、
特に冒頭で富士山を見上げる辺りは、旅の3分の2を走破してきた自信も感じられます。
箱根のアクシデントの後も、まだ100kmはありそうな道のりを自転車で帰還した事は
充分評価できるものですが、おそらくずっと悔やみながら重いペダルを漕いだのでしょう。
その心痛はいかほどの物だったでしょうか・・・

デザトリアンとなり、目を覚ました後、つぼみの服を見た林君は、
自分もそんな服が欲しいと漏らしました。
林君は、着るだけで自分が変わる服が欲しいと思ったのでしょう。
そんな林君を否定せず、林君が成し遂げたことに目を向けさせる
つぼみ達の暖かさも印象的です。
つぼみは着るだけで自分が変わる服などを作ったつもりはなく、
自分で全て成し遂げたという自信が伴ってこその自分が変るという事です。
林君にとっては、乗るだけで変わる自転車ではなく、
その自転車と共に苦楽を共にしてきた長い道のり、
そこで得た経験に目を向けさせたのだと思います。

今回のつぼみの服は公募によるとの事ですが、
こうした趣向は子供向け番組として、大いに取り上げてもらいたいと思います。
私も幼少の折、キン肉マンの超人を考えて応募しようと本気で思っていた事があり、
子供達にとっては自分のアイディアが採用される事はこの上なく楽しみな筈です。
採用されずとも、つぼみ達に似合う服のデザインに思案をめぐらし、
事によってはそこから未来のファッションデザイナーが育つような事があれば
プリキュアファンとして何とも痛快であり、誇りに思います。
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pirosiki

お久しぶりです。
ハートキャッチは自分も嵌ってます。
初代一筋だった自分に新たな衝撃を与えた作品です(笑)

今話も奥深い話でしたね。
ハートキャッチは懐かしい何かを思い出させてくれるいい作品です。

でもサンシャインさんがあまりに主人公より目立っててこれからどうなるんでしょうね(汗)
by pirosiki (2010-09-02 22:00) 

スティクス

>pirosikiさん
お久しぶりです!コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、ハートキャッチシリーズは生徒達の悩みと、
それをどう乗り越えていくかという展開ですので、
自分達が子供だった頃の悩みや迷い等を思い出させてくれますね。
スプラッシュスターと並行して観ていると
生きる事の素晴らしさを肯定するシリーズ通しての基本は変らずとも、
異なる切り口で描かれているため、
新旧の作品それぞれに新たな発見があり、
そして明日もまた頑張ろうという気にさせられます。
近日中にプリキュア5シリーズへと旧作レビューも続けて参りますので、
今後とも宜しくお願い致します。

でもサンシャインさんがあまりに目立ってこれからどうなるんでしょうね(笑)
by スティクス (2010-09-03 22:38) 

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