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ハートキャッチ第33話『キュアムーンライト、ついに復活ですっ!!』 [ハートキャッチプリキュア]

愛するものが死んだ時には、自殺しなけあなりません。
愛するものが死んだ時には、それより他に、方法がない。
けれどもそれでも、業が深くて、なほもながらふことともなつたら、
奉仕の気持に、なることなんです。奉仕の気持に、なることなんです。

愛するものは、死んだのですから、たしかにそれは、死んだのですから、
もはやどうにも、ならぬのですから、そのもののために、そのもののために、
奉仕の気持に、ならなけあならない。奉仕の気持に、ならなけあならない。

中原中也「春日狂想」より。
 
夕闇の中、一人橋の上に佇んで割れた種を見つめるゆりは、
プリキュアパレスでの出来事を思い出していました。
ハートキャッチミラージュを手に入れられたのはゆりのお蔭だと
深々とお礼を言う3人に戸惑い、謙遜するゆりはどこか自虐的です。
『あなた達は仲間と言う固い絆で試練を乗り越えたのよ。一人で戦っていた私と違ってね』
ブロッサムはミラージュの力でゆりを再びプリキュアにできないかと発案しますが、
なれるわけが無い、とゆりは即座に反発し、心の花をミラージュで見てみるよう言い放ちます。
ブロッサムが覗いたゆりの心の花、ユリは完全にしおれていました。
『これで解ったでしょう。私はもう、プリキュアにはなれないのよ!』

そう言い放った時の事を思い出したゆりの目からとめどなく流れる悲しみの涙。
『コロン・・・ごめんなさい』
パートナーであった妖精、コロンを抱きしめるかのように種を抱いてゆりの涙は流れ続けます。
『泣かないで、ムーンライト。もうすぐ、また君に会えるから・・・』
ゆりの悲しみの声が通じているのか、
心の大樹を舞う小さな光が、そう呼びかけた気がしました。

つぼみ、えりか、いつきの3人は植物園で薫子さんからゆりの過去を聞きます。
植物学者だったゆりの父は心の大樹を探しに行ったフランスで消息を絶った後、
プリキュアに選ばれ、妖精のコロンに励まされ、
ゆりは父が居なくなった悲しみを乗り越えて戦い続けてきました。
ゆりのパートナー、コロンはシプレとコフレにとっても優しい先輩でしたが、
あの戦いの折、その命を散らしていました。

ダーク様とムーンライトの戦いを見守っていたコロンは、
その場にサバークが現れた事を警告しましたが、
ムーンライトはその時、私一人で戦えると協力を拒みます。
と、その直後ダーク様の強烈な一撃がムーンライトを地に叩きつけ、
ムーンライトにサバークの追い打ちが迫りますが・・・
サバークの攻撃からムーンライトを身を挺して庇うコロン。
心の大樹から葬送の花のように花吹雪が舞う中、
ムーンライトの手の中でたちまち黒く変色して行きます。
『よかった・・・君が無事で・・・』
呆然と首を横に振るムーンライト様の手の中で消え行く命。
『さようなら・・・ムーンライト・・・』
黒く散って逝くコロンの名を呼ぶムーンライトの悲痛な叫びが響き渡ります。

シプレが涙ながらに語ったコロンの最期を聞き、3人の間に重苦しい空気が流れます。
そんな中居ても立ってもいられずに立ち上がり、えりかはゆりを励ましに向かいます。
つぼみ、いつきも後を追い、えりかは追いついたゆりにしがみつきました。
『私の胸で泣いて下さい!』
身長差のせいでどう見てもえりかがゆりの胸で泣いているようにしか見えませんが、
ともかくゆりの心の力になりたいと言う3人の気持ちはゆりに届きました。
『あなた達って、本当おせっかいね』
その様子を遠巻きに見守る薫子さん。満月が皆を優しく照らします。

翌日、いつきはファッション部室に張り切って登校。
ゆりに着て貰う服のデザイン画を描きあげた事を報告しますが、
みんな考える事は一緒。つぼみとえりかも既に描いていました。
さっそく3人でゆりにデザイン画を見せに行きます。
ゆりにデザイン画を見せていたところ、シプレ達が植物園に来るよう呼びに来ました。
少し前の事、コッペ様の体内に納めたココロポットが光を放ち、
ポプリが生まれたときと同じ現象のため、心の大樹で何かが起きている。
そう判断した薫子さんの提案です。

そして砂漠の国、ダーク様も異変を感じていました。
ダーク様が持つ割れた心の種が淡い光を帯びており、
サバークに報告した後、ゆりに異変が起きていると察して赴きます。

ゆりが宵闇の植物園を訪れた際、既に3人は勢ぞろいしていました。
ミラージュで心の大樹を見てみると、確かにコロンと思しき影が見て取れます。
つぼみ達が心の種を集めたことによる奇蹟。
薫子さんはゆりにこの一度の奇蹟を逃さず、コロンにゆりの想いをつたえるべく、
心の大樹へ行くよう促しました。
ゆりは涙を浮かべて無言で頷き、いざミラージュで心の大樹へ行こうとした時、
気配を感じるコッペ様と妖精達。植物園の外にはダーク様が迫ってきています。
つぼみ達はゆりを心の大樹の元へ向かわせ、ダーク様を食い止めるべく変身。
そしてゆりが出発すると同時に、ダーク様の持つ種の光が消えました。

心の大樹を見上げるゆりは、敗れた苦い記憶が甦るのか、思わず目を伏せますが、
気を取り直してコロンを探し始めます。果たしてゆりの背後に姿を見せるコロン。
ゆりは再会を喜ぶように手を差し出しますが、
しかしその手はコロンに触れることが出来ません。
『ごめん。僕の体はもう滅びてしまったんだよ。
 ブロッサムたちが集めた心の種のおかげでこうしていられるんだ』
ゆりの頬を涙が伝います。
『ごめんなさい、私のために・・・』

かつてムーンライトは仲間が欲しくないのか、というコロンの言葉を
キュアフラワーも一人でデューンを倒したことを引き合いに出して断っていました。
『私、愚かだったのよ。何でも一人で出来るって。自分の力を過信しすぎたんだわ・・・』
自分を責めるゆりを慰めるコロン。
プリキュアの任務の重さを理解するが故に全て一人で引き受け、
傷つくのは自分一人でいい、というゆりの優しさを指摘します。
『自分を認めるんだよ、ムーンライト。自分の優しさを、仲間への思いやりを。
 今の君はブロッサム達と触れ合って仲間の大切さ、ありがたさが解った筈だろう。
 それなら、君はもう一度砂漠の使途と戦う事ができるよ』
それでも無理だと漏らすゆりに、みんなと共に戦えば再びムーンライトになれると呼びかけ、
いつしかゆりの傍らには種で満たされたココロポットがありました。
『再びプリキュアになりたいと願いを伝えるんだ』
ゆりの迷いは消え、決意は固まりました。

その時、ダーク様に押されている3人の映像がライヴ中継(笑)されます。
ダークタクトを取り出すダーク様に対し、今度は私達がゆりを守る番だと
3人技、シャイニングフォルテッシモを放ちますが・・・
『三人力を合わせたとでも言うつもりか!』
受けて立ったダーク様のダークパワーフォルテッシモに
強化デザトリアンコッペ様をねじ伏せた技は、ダーク様の前に打ち破られます。

『お願い心の大樹!私をプリキュアに!もう一度、私を!』
その声に応じて心の大樹は輝きを放ち、
プリキュアになりたいという想いを込めて種をかざすよう促します。
ゆりを包み込む藤色の霧の中で、光を放つ割れた種。
それを見届けたコロンは、再びゆりの元を離れて行きました。

ダーク様との戦いの場でも周囲の木々が光を放ち、
藤色の霧と共にゆりが現れました。
『勇気、愛、友情、優しさ、悲しみ、喜び。
 沢山の気持ち、みんなの心。私は戦う、みんなの心のために』
そして、ついにキュアムーンライトが再び花開きました。
『月光に冴える一輪の花、キュアムーンライト!』


第一話の冒頭からムーンライト(今回から「様」を外します)の
美しさに魅せられた私にとって、心待ちにしていたムーンライトの復活劇は、
待った甲斐があるものとなりました。
前回の予告で期待を抱かせた変身バンクはサンシャイン程強烈なインパクトが無いものの
とにかく美しく、落ち着きがあり、凛としている、月影ゆりとムーンライトという個性を
存分に描き出したものと評価したいです。
特に鏡に映ったゆりと、直後の反転したゆり。髪を一房かきあげる仕草。
コンパクトのようになったココロポットをコサージュのように胸元につける辺りが印象的です。
一方で、髪をかきあげる仕草がOPでダーク様が見せる仕草に類似しており、
この辺りの関連性が今後どうなるのか、新たな謎と期待を抱かせてくれました。

しかし本編はムーンライト復活祭、と手放しで喜べる性格のものではなく、
今まで類を見なかった妖精の死、という極めて重いものが描かれます。
本編で味方陣営のキャラクターの「死」をはっきりと描いたのは初めての事で、
イース様はこの時正確にはラビリンス陣営ですし、ダークドリームは劇場版ですので)
しかも愛らしい妖精が黒く変色して跡形もなく散り去る、という
かなりショッキングな描写は去年のインフィニティ化シフォンのように
お子様達にトラウマを植え付けなかったか心配です。
残酷な描写だっただけに、ムーンライト=ゆりが抱えた心の傷は
生半可なものではないのだと良くわかりました。
つぼみ達にあそこまで頑なだったのも、中途半端な気持ちや強さでは
あの悲しみを味わう事になり、そんな想いをさせたくない気持ちの裏返しだったのでしょう。

そして、あの時からゆりの心はコロンと共に死んでいたのだと思います。
冒頭、引用した中也の詩の通り、愛する者を失った者は
一緒に自分もその悲しみから逃れるか、それとも死んだ者の想いを無駄にしないために
悲しみを乗り越えて生き続けるしかありません。
プリキュアになる事を拒み、関わらないのは、プリキュアとして死んだと同義であり、
奉仕の気持になる事。それはゆりにとって、再びプリキュアとして戦う事です。

強い責任感の持ち主は自分で何でも背負ってしまい、
失敗した時も全て自分で被ってしまい、自分を責めてしまいます。
『自分を認めるんだよ、ムーンライト。自分の優しさを、仲間への思いやりを』
他人に対しても自分に対しても、短所を見つけるのは簡単でも、
長所を見つけるのは難しいものです。
自分の短所を責める事は、ある意味悲劇の主人公を演じる事とも繋がり簡単な事で
長所と向き合い理解する事こそが、人間の成長に必要な事だと思います。

ムーンライト復活というテーマでゆりに主軸が向けられている以上、
つぼみ、えりか、いつきの影が薄いのは仕方ありませんが、
それでもゆりを立ち直らせたい、励ましたい、恩返しをしたいとの気持ちは伝わります。
特に今回はえりかの良い所が自然に描かれたと感じました。
良くも悪くも真っ直ぐであるが故に、ゆりとコロンの話を聞いた後に真っ先に立ち上がる。
「私の胸で泣いて下さい」という製作側のユーモアも光り、
ストーリーに深く関わらなくても存在自体が強い個性になっている点は評価したいです。

また、ミラージュとココロポットを見事に宣伝する薫子さんが妙に笑えました。
青いボタンを押すと心の大樹に行ける等、玩具売り場の営業も務まりそうで
新製品の販促、ご苦労様といった感じです(笑)

ゆりの父が消息を立ったのがフランス、そして今秋の映画の舞台もパリと言う事は、
本編と映画が何らかの形でリンクするのでしょうか。
またムーンライトとダーク様の似通った仕草、サバークの正体、心の大樹の声の正体
(前回のプリキュアの意志の声など、鶴ひろみさん程の方がこれだけの役とは思えません)
など、気になる伏線はまだまだありますので、
ムーンライト復活劇以降の展開も俄然興味が沸いてきました。
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