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ハートキャッチ第46話『クモジャキー!コブラージャ!あなたたちを忘れません!!』 [ハートキャッチプリキュア]

サソリーナが一足先に逝ってから7週間、奇しくも今日は彼女の四十九日に当たります。
しかし今回、最期の戦いに挑むクモジャキーとコブラージャさんには
弔い合戦のような意識はありません。
ただひたむきに、信じるものを信じて戦い抜いただけです。

戦いの果てに過ちに気付いても、2人は己の信じてきた道を貫き通し、そして散りました。
 クモジャキー、あなたは強かった―
 コブラージャさん、あなたは美しかった―
  
『とうとう、プリキュアと結着をつける時が来たね』
『ああ・・・』
スナッキー達を蹴散らしながら邁進するプリキュア達を見下ろす2人の大幹部たち。
どちらかが斃れるまで力の限りぶつかり合う事を楽しみにしているクモジャキーの事を
コブラージャさんはそういう馬鹿っぽいところはともかく、戦う姿は素直に美しいと評します。
クモジャキーもまた、コブラージャさんのカッコつけた物腰を気に入らずとも、
その強さは認めていました。
『君に認められても嬉しくないな!』
『俺もじゃき・・・』
反目しているようで互いを認め合っていた2人の大幹部は
眼下でスナッキーの大群が蹴散らされるのを見届けて最期の戦いへと赴きました。
そして遂に、4人のプリキュアと相対します。

開口一番振るったカード攻撃をサンフラワーイージスで弾かれ、
因縁の相手を前に苦々しげなコブラージャさん。
単身2人を相手にしようと申し出るサンシャインに、
一緒に残ると申し出るムーンライトを差し置いて、マリンが残ると申し出ました。
『大丈夫、絶対に追いつくから。それとも私達の事、信じられない?』
振り返る2人の真剣な目に打たれ、ブロッサムは涙を振り払い、先に進むことを決意します。
頷きあう4人。そしてブロッサムとムーンライトは
クモジャキーとコブラージャさんの頭上を飛び越えて行きました。
コブラージャさんはみすみす進ませないようカードを投げますが、
そのカードはサンシャインが防ぎました。
そしてクモジャキーは渾身の力で床を殴りつけると、
無数の石柱が盛り上がってブロッサムとムーンライトの行く手を阻みますが、
マリンはその程度であの二人がやられるわけが無いと笑い飛ばします。
マリンの言う通り2人は石柱を巧みにかわし、床に穴を開けて惑星城の内部へと潜入しました。

『君は僕が戦うのに相応しい。しかるべき戦いの場へご招待するよ』
サンシャインの足元が光り、コブラージャさんに導かれて戦いの場を移します。
そして残されたクモジャキーとマリンは円形闘技場のような石柱の上で、互いに睨み合います。
『何よ。世界を砂漠に出来たのが、そんなに嬉しいわけ?』
マリンはクモジャキーが笑みを漏らすのを見て問い詰めますが、
クモジャキーは世界の行く末には興味は無く、
己の強さを極めて強い者と戦う事だけが望みだと言い放ち、地に剣を突き立てました。
『せいぜい俺を楽しませるぜよ。キュアマリ・・・』
言い終わらないうちにマリンはクモジャキーの顔面に強烈なパンチを叩き込みます。
『その勝手な望みのために、どれだけの人の心の花が利用されたと思ってんのよ!!』

サンシャインとコブラージャさんの戦いの舞台は、月に美しく照らされています。
『美しい僕と美しい君が美しく戦いを繰り広げる。世界の終焉にはぴったりの余興じゃないか』
『世界中の人々を苦しめておきながら、何が美しいだ!』
美しくないもの、特に人の心を醜いと言い放ち、
それらには興味が無いコブラージャさんもまたカードを構えました。
『そんな歪んだ思い上がり、決して認めない!』
コブラージャさんの間合いに飛び込み、カードを蹴散らすサンシャイン。
それぞれの戦いの火蓋は、切って落とされました。

敵地の中心に入り、どこかオドオドして入るように見えるブロッサムに、ムーンライトは
マリンとサンシャインが体を張って先に行かせてくれた事の意味を考えるよう言い聞かせます。
ブロッサムも力強く頷き、共に通路を駆けていくその姿を
デューンはモニター越しに高みの見物をしてしました。
そして拘束された薫子さんが映る別のモニターへと目を向けます。
薫子さんの前には、サバークがやって来ました。

マリンの猛攻撃を巧みに剣で弾くクモジャキー。
マリンもクモジャキーの剣先を紙一重でかわし、北斗百烈拳ばりの猛打を叩き込みますが、
『効かん・・・効かんぜよ!』
クモジャキーの気合いに弾き飛ばされ、そしてクモジャキーはダークブレスレットの力で反撃
『俺の求める強さは、こんなもんじゃないきに!』
鋭い剣閃に跳ね飛ばされたマリンは、何本もの石柱を貫いて叩きつけられました。

コブラージャさんはサンシャインの攻撃を巧みに受け流し、
サンシャインの手刀は何度も空を切ります。
『この美しき戦い・・・』
背後に回りむコブラージャさん目掛けたサンシャインの手刀は再び空を切り、
そしてその蹴りを足で受け止めるコブラージャさんは、戦いながらも満足そうです。
『やはり君こそ、僕の戦う相手に相応しい』
ダークブレスレットの力をで繰り出すカードをサンフラワーイージスで受け止めるものの、
押し切られ、破られ、砂煙が巻き起こります。
『僕を失望させないでくれ、キュアサンシャイン』
砂煙を越えて、いつの間にかコブラージャさんはサンシャインの目の前に迫っていました。
『さあ、この戦いをもっと美しい・・・そう、芸術にまで高めようじゃないか』
サンシャインの足元に放たれたカードが炸裂し、吹き飛ばされるサンシャイン。

もはやスナッキーは足止めにもならず、宮殿内を行くブロッサムとムーンライトは、
中庭に出た時に、背後から異様な気配を感じます。
尖塔の上、そこには月を背にして、ダーク様が射抜くような目で見下していました。
片翼を羽ばたかせて降り立つダーク様を前にして、ムーンライトはブロッサムを先に行かせます。
『私は結着をつけないといけないの。ダークプリキュアと、そしてかつての自分と。
 仲間というものを信じられず、妖精を喪い、ダークプリキュアに敗れた私。
 ダークプリキュアに勝つ事は、その私自身に打ち克つ事なのよ』
ムーンライトの言葉を背に走るブロッサムを見送り、
ムーンライトとダーク様は尖塔の上で対峙しました。

マリンとクモジャキー、サンシャインとコブラージャさんが激闘を繰り広げている間、
サバークと向き合う薫子さんは、「創られた」プリキュアだと言っていたダーク様を創ったのは
サバークではないかと疑問をぶつけました。
そして、なぜダーク様をムーンライトに似せて創ったのか問うと、
サバークに動揺が走ります。
ムーンライトが光なら、ダークプリキュアは影。
髪型は違うものの、対比すると薫子さんの指摘どおり顔立ちはそっくりです。

『これで終わりぜよ』
眼前にクモジャキーの切先が突きつけられ、追い詰められたマリンですが、
クモジャキーの顔にコフレが飛び掛りました。
『コフレ!何やってんの!いくらなんでも無茶だよ』
『マリンのためならどんな無茶だってするデス!』
しかしクモジャキーにとって、コフレは何の力も無い弱い妖精です。
あっさりと払い飛ばし、追い打ちの剣閃がコフレを襲いますが、
その前にマリンがクモジャキーの剣を蹴り折りました。
まだマリンが力を残していた事を知り、剣を投げ捨て、本気の勝負を挑むクモジャキーに対し、
マリンはコフレを頭に乗せて共に戦います。
真っ向からぶつかり合い、激しい猛打の応酬の末、
拳を受け止め、重い一撃を叩き込み、クモジャキーを蹴り飛ばすマリン。
その強さに驚くクモジャキーに、マリンは拳を握り締め、静かに怒りを燃やすように返答します。
『強さ強さって・・・あんたが言ってるのは本当の強さじゃない!
 さっき言ったよね。コフレの事、何の力も無い弱い妖精だって。でも!コフレは立ち向かった。
 私を守るため、一生懸命。例え戦う力は無くても、コフレはあんたより一億万倍強い!
 誰かを守るためなら頑張れる。その心が本当の強さだと思う!』
そしてあたり一面、マリンの背から放たれる青い光に包まれます。

サンフラワーイージスを何度も破られ、荒く息をつくサンシャインを、
コブラージャさんは無様だと言い捨て、これ以上君の醜い姿は見たくないと、
美しい僕の手で、美しく散るがいいと言い放ち、カードを広げました。
『コブラージャは全然美しくなんか無いデシュ!』
そう抗うポプリを、妖精ごときに美しさが解る訳が無いと鼻で笑うコブラージャさんですが、
ポプリはみんなを守る為に頑張るサンシャインの心こそが美しく見えています。
『言った筈だよ。人の心には興味が無いってね!』
無数のカードを投げつけるコブラージャさん。
そのカードは、サンシャインとポプリ2人で防ぎきりました。
『どれだけ醜くても、無様でも構わない。私は世界を、みんなの太陽のような笑顔を守りたい!』
そしてあたり一面、サンシャインの背から放たれる金色の光に包まれます。

言葉に詰まるサバークに、薫子さんはさらに疑問をぶつけます。
なぜあの時、ムーンライトに追い打ちを掛けなかったのか
それはしなかったのではなく、「出来なかった」のではないか、
心のどこかで何かが引っかかっているのではないか。
素性を見透かすような薫子さんの問いかけに
サバークはボスナッキー達に見張りを命じて立去りますが、
その冷たい仮面の下は同様を隠せません。

マリンは青い光の中でクモジャキーに問いかけます。
『クモジャキー。あんたは確かに強いよ。でも強くなって何がしたいの?』
その問いにクモジャキーは答えられません。
マリンはプリキュアの力で世界を守り、みんなとこれからも楽しく生きるために
いくらでも強くなる、絶対に負けないと宣言。すると、あたり一面花が咲き誇りました。
『でも、あんたはただ自分が強くなる事ばっかり考えてさ。
 そんなの、なんだか・・・空しいよ・・・』
『確かにお前の言う通りかもしれん。じゃが・・・じゃが・・・!』
クモジャキーにもマリンの言葉は届いたのでしょう。
しかし、己がこれまで貫いて来たものを曲げる事もまた、彼にはできません。
『俺はそれを解る訳にはいかんぜよ!!』
最後の力をダークブレスレットに込めて突進するクモジャキー。
『ただ強くなりたい。そのために沢山の人の心を弄んで、世界を砂漠にした!
 海より広い私の心も、ここらが我慢の限界よ!!』
クモジャキーの拳に拳をぶつけ返すマリン。そして砕け散るダークブレスレット。
すかさず放たれるブルーフォルテウェーブはクモジャキーの身体を貫き、
胸を押さえるクモジャキーは、呆然とした表情を浮かべたものの、
どこか安らいだような印象を与えます。

一面に煌く黄金色の世界に包まれた世界に凛と立つサンシャインとポプリの姿に
コブラージャさんの口から素直に賞賛の言葉が漏れました。
『美しい・・・名も知らぬ誰かのために、動きは乱れ、それでも必死に戦う君の世界。
 これが君達の言う心の美しさか!』
その美しさを実感したコブラージャさんは、手を広げて天を仰ぎ、残念そうに呟きます。
『だが・・・何もかも遅すぎた・・・』
コブラージャさんは自嘲するように悲しい笑い声を上げ、そして・・・
『もう今更、後戻りは出来ない!』
己の信じた道に殉ずる覚悟を決めて、カードを投げるコブラージャさん。
あえなくサンフラワーイージスに弾かれるのを見ても、コブラージャさんは突っ込んできます。
『まだ間に合うよコブラージャ。その心の闇、私の光で照らしてみせる!』
サンシャインインパクトの閃光がブレスレットを破壊し、続けてゴールドフォルテバースト。
無数の向日葵が張り付いてコブラージャさんは黄金色の光に包まれていき・・・

『俺の負けぜよ、キュアマリン。
 世界には、俺の知らん強さがまだまだ沢山あるぜよ・・・』
『美しいね・・・僕の最期に相応しい。
 君と戦えて良かったよ。キュアサンシャイン。アデュー・・・』
舞い散る花弁と共に、クモジャキーもコブラージャさんも、心の花を遺して消えて逝きました。
コブラージャさんの心の花、ハマナスの花言葉は「美しい悲しみ」
サンシャインとポプリは天に消える心の花を見送りながら、
目に見える美しさだけを追い求めていたコブラージャさんを憐れみました。
そしてクモジャキーの心の花、ノコギリソウの花言葉は「戦い」
『本当に戦うのが好きだったんだね』
天へ還る心の花を見送るマリンとコフレからは難敵を倒した喜びは伺えず、
ただただ、悲しみに満ちた目をしていました。

そしてブロッサムはようやく薫子さんの許へ辿り着いてボスナッキーの一人を蹴り倒し、
もう一人のボスナッキー(白)は空さん形態のコッペ様が凹ります。
祖母の救出に成功したものの、さらに心の大樹を蘇らせるためにココロポットを捧げるべく、
その前にまずデューンを倒さなければなりません。
そこに突如、ムーンライトとダーク様の様子が中継されました。
そして戦いの場に現れるサバークを見て、薫子さんはブロッサムに
サバークとムーンライトを戦わせないようお願いします。
薫子さんにはサバークの正体がもう分かっているのでしょう。
サバークとムーンライトが戦う事の悲劇だけは避けなければなりませんが・・・
『闇が光を飲み込む時が来た・・・』
サバークが見上げる前で、ムーンライトとダーク様。因縁の戦いが始まろうとしています。


クモジャキーとコブラージャさん。
強烈な個性を持った2人がどのように退場するのか、年末から非常に気がかりでしたが、
期待以上の内容で大変満足の行く(と言っても寂しさは否めませんが)ものでした。

年末を挟んでの個性的な男性幹部2人の退場といえば、
昨年のサウラーとウエスターさんも該当しますが、
彼らは放映当時から最終的にほぼ確実に生存するのではと見込まれていたため、
観る側にも多少の精神的余裕があったように思えます。
対して今回は2人に先立ち、サソリーナが結果的に救われたとはいえ
「サソリーナとしての人格」としての死を迎えた
展開を既に観ているため、
「クモジャキーとしての人格」「コブラージャとしての人格」が葬り去られるのが予想され、
それぞれが激しいアクションで動き回る戦いぶりともあいまって、
終始緊張を強いられながら視聴しました。

クモジャキーもコブラージャさんも、彼らの主張はキントレスキーを思わせます
己の強さを追及するクモジャキー、美を追い求めるコブラージャさんと、
強い相手と戦う事が全てのキントレスキー。
両者には共に組織の目的を超えた強い欲望がありました。
ところで彼らは、必ずしも間違いとは言えないような気がします。
ただひたすら切磋琢磨、自分を磨き続ける向上心は大切だと思いますし、
その成果を何かで示したいと思うのも理解できなくはありません。
しかしハートキャッチに限らずプリキュアシリーズでは、
己のために他を踏みにじる事こそが悪であるという考えが貫かれてきました。
彼らが「悪役」であるのはその姿勢ではなく、
目的のためには周囲の迷惑を省みない点です。

奇しくも昨日視聴したプリキュア5が守る力に主眼を置いた内容でした。
守るとは、攻める力以上に強いものを持たなければ守りきる事は出来ません。
そのための強さは目に見えづらいものですが、ひけらかす強さではありません。
力や美はひけらかすものではなく、
見えないものの底に隠れているものこそが強く美しいのではないか。
守る力の強さをマリンが、守る力の美しさをサンシャインが堂々と示した
今回の戦いぶりからは、そのようなメッセージが伝わった気がしました。

しかし今回はクモジャキーもコブラージャさんも
マリンとサンシャインの言葉に耳を傾け、
己の過ちに気がつきながらも、己の道を貫き通す潔さが実に印象的でした。
過ちを受け入れる勇気も大切ですが、過ちを知りながら筋を通す事も難しいことです。
迷いを振り払うように叫ぶクモジャキー、悲しい笑い声を上げるコブラージャさんは、
既に己が間違っていたと悟ったのでしょう。
同様に最期の戦いで悲しい笑いを見せた、昨年のウエスターさんを彷彿とさせました。
『俺はそれを解る訳にはいかんぜよ!!』
『もう今更、後戻りは出来ない!』
それでも最後の攻撃を仕掛けた際の2人からは、信じてきたものをぶつけて、
それを打ち破られる事で生きた証を遺そうとしたように思えてなりません。
サソリーナのように彼らの元になった人がいるとすれば、
この先幸福な人生を歩む事を願いたいものです。

ところで今回はダーク様の創造の秘密と、サバークの素性という
未だ解決されていない謎が多くピックアップされた話でもありました。
おそらく次回、これらが解明されると思いますが、この謎かけの緊迫感がある事で
クモジャキーとコブラージャさんの戦いぶりと相俟って
全編が高い緊張感で包まれる、水準の高い一編に昇華していると思います。

なお蛇足ながら、「最終敵イケメン」「最終サソリーナ」の前例があるだけに危惧された
新聞のテレビ欄は、私が懸念した「最終クモコブラ」ではなく「ついに決着です」でした。
これもどうかと思いますが・・・(笑)
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