SSブログ

プリキュア5 第30話『ミルクの決意とみんなの力!』 [Yes!プリキュア5]

失言、暴言は言われた方だけでなく、言ってしまった方も色々思い悩むものです。
気に留めないのであれば言った側に自覚が無いか、
言った相手の事をどうでも良いと考えているという事。
毎度騒々しいのぞみとミルクのやり取りの中、2人ともつい漏らしてしまった失言によって
互いを傷つけ、傷つけてしまったと気に病んでしまい・・・
そして自分の道を捨ててプライドを選んでしまったアラクネアさんを
本気で案じるブンビーさんの姿も印象に残る一編です。
  
『私のチョコ返しなさいよ!』
ミルクにチョコを奪い取られたのぞみがナッツハウスを追い回す様は
既に毎度の事なのか、みんなもすっかり呆れ気味で止める気配もありません。
ようやくミルクを捕まえたものの、目の前でチョコを食べられてのぞみは地団太を踏みます。
『静かにしろ!店で騒ぐな』
あまりのやかましさを一喝するナッツに張本人たちはしおらしく謝りますが、
互いに目を合わせると、のぞみもミルクもそっぽを向きました。

人の物を勝手に食べた上に、悪びれもせず早い者勝ちだと言い張るミルクの態度に、
さすがののぞみも少々頭に来ています。
ミルク曰くお世話役見習いは知恵と体力が必要であり、
のぞみのようにぼんやりしている者には務まらないと酷評。
海より広いのぞみの心もここらが我慢の限界を超えそうになりますが、
場の空気を変えるようにうららはお世話役見習いの修行の話を訊ねました。
お世話役とは政治、経済、文化、歴史に精通し、王様と国民の意思を繋ぐ重責を担っており、
毎日たくさんの事を学び、厳しい競争を勝ち抜かなければならない、との事ですが
相当頭に来ているのか、のぞみは珍しく皮肉交じりで言い放ちました。
『勝手に人のチョコを食べちゃうような人がお世話役見習いだなんて、
 パルミエ王国も随分人手不足だったんだね』

これがミルクの自尊心と愛国心に火をつけてしまい、ミルクは容赦なくのぞみを責め立てます。
将来の夢も無いくせに偉そうに言って欲しくない、などと言われたのぞみが、
自分の夢はパルミエ王国を蘇らせる事だと言い返そうとするのを遮り、
ミルクはとんでもない追い打ちを掛けました。
『自分個人の夢も持ってない人に、王国の未来を託したくないミル!
 そんなんじゃ、プリキュアになる資格も無いミル!』
動揺するのぞみ。傍観していた小々田先生もさすがに言いすぎだと口を挟もうとした矢先、
『のぞみはプリキュア失格ミル!!』
決定的な一言にのぞみは呆然と、ミルクの言葉を反芻しました。
『プリキュア・・・失格・・・?』

一方、こちらナイトメアでも恐ろしい事態の前兆が始まろうとしています。
アラクネアさんはプリキュアを倒すため、カワリーノに直接「例の物」を、
すなわちあの、黒い紙を要求しました
『アレを使うのはどうかと思いますが。直属の上司にご相談なさっては?』
『そこまでおっしゃるのでしたら・・・まあ、あまりお勧めは出来ませんけどねぇ』
アラクネアさんの要求をはぐらかしながらも、思わせぶりに黒い紙を差し出すカワリーノ。
これを使うと力と引き換えに自我を失う事をそれとなく忠告しますが、
アラクネアさんの決意は揺るぎません。
『ナイトメアのために・・・そして、私のプライドに賭けて』
とは言ったもののさすがに動揺は隠せず、紙に伸ばす手が震えて踏ん切りがつきません。
その心境を手玉に取るように、わざとらしく紙を落とすカワリーノ。
反射的に拾ってしまうアラクネアさん。もう後戻りは出来ません。
出撃するアラクネアさんをカワリーノは冷笑で見送り、
その一部始終をブンビーさんが物陰でおののきながら目撃していました。

のぞみはあの後みんなが引き止める間も無く帰ってしまい、
みんなはのぞみが相当ショックを受けていると心配そうです。
そして暴言を吐いたミルクもまた、部屋に閉じこもっていました。
『二人とも素直になればいいんだけど・・・』
こまちの言葉を聞きながらかれんが何気なく上を見た折、
ミルクがそっと様子を伺っている事に気がつきます。
そして自室のベッドに転がるのぞみは、プリキュア失格と言われた事よりも
ミルクに嫌味を言ってしまった事を気に病んでいました。
その事でプリキュア失格なのかと思いつめ、手首のキャッチュを外します。
のぞみの家も、ナッツハウスも、夕陽と蝉の声が寂量感を増幅しているようです。

ナッツハウスでもベッドに突っ伏しているミルクの許をかれんが訪ねて来ます。
意地を張り続けるミルクに、かれんは両親と離れて暮らしている自分の境遇を語りました。
本当は寂しいのを押し殺し、心配を掛けないよう寂しいと言わないように務めていたけれど、
のぞみと出会ってからは素直に寂しいと言えるようになったと、
のぞみが持つ人を素直にさせる力を評価します。
そして自分の気持ちを全部ぶつけてみれば分かり合えると諭すかれんに、
ミルクは夢を持っていないのぞみには、お世話役への想いは解らないと疑問をかけます。
しかしかれんもまだ将来何になりたいか決まっていません。
その上でかれんは既に夢に向かって動いているこまちやうらら、
目の前の事を一生懸命やりながら夢を見つけようとしているのぞみやりんちゃんを評価し、
そんな風に自分の夢を見つけたいと言う望みを語りました。
『一生懸命な者同士、きっと心は通じる筈よ』
ミルクに優しく微笑みかけるかれん。ようやく解決の糸口が見えたと思いきや・・・

近くのビルの屋上で、アラクネアさんは黒い紙を手にナッツハウスを睨みつけています。
『アラクネア君。それを使うのだけはやめなさい』
案じて追って来たブンビーさんを、アラクネアさんはブンビーさんもギリンマ君に
黒い紙を渡していた事
を指摘し、自己の保身のためだろうと嘲笑います。
確かにブンビーさんもそれは否定できずに口ごもりますが、それでも懸命に訴えます。
『そんな事はどうでもいい。私は君の事が心配なんだ!』
しかしブンビーさんの懸命の引きとめも空しく、
ナッツハウスへと飛び去るアラクネアさんの背にブンビーさんの声が空しく響きました。
『アラクネア君!待つんだ!!』

『何か出た!』
ナッツハウスの外に出た4人は、異様な空気に包まれた街と、
異様な気迫を滾らせるアラクネアさんを目の当たりにしました。
流石にその異常な雰囲気に気圧されますが、それでもかれんに鼓舞されて変身する4人。
直後繰り出される糸攻撃を避け、ダブルプリキュアキック(違)を仕掛ける
ルージュとアクアの足を掴み、アラクネアさんはジャイアントスイングで
ミントとレモネードに投げつけ、たちまち4人を叩きのめしました。
そして駆け寄るココナツの行く手を遮り、ドリームコレットを要求します。

その頃のぞみはベッドに突っ伏したまま、ナッツハウスの危機には気付いていません。
枕元のキャッチュが光を放っている事にも・・・

そうこうしているうちにコレットを奪い取られ(さっさと帰還すれば良かったのに・・・)
ココとナッツを用済みと踏み潰そうとするアラクネアさん。
そのコレットを持つ手にミルクがしがみつき、パルミエ王国への想いと共に
絶対にドリームコレットは渡さないと訴えます。
ミルクの頑張りに触発された4人は、肩で息をしながらも立ち上がり
そんなザマで何が出来ると冷ややかなアラクネアさんに対し、
私達が一緒にやれば出来ない事は無いと反論しました。
アラクネアさんも物足りないものを感じており、
ようやくドリームが居ない事に気がつきます。
しかし4人居ても5人居ても今の私を止めることは出来ないと
自信たっぷりに糸を繰り出し、4人を跳ね飛ばし、叩きつけ、叩き落としました。
手負いのアラクネアさんに太刀打ちできず、苦戦を余儀なくされる4人。その時・・・

『5人が一緒なら、出来ない事は無い!』
ようやくのぞみが駆けつけました。
そして膝を落としてミルクに目線を合わせ、先ほど酷い事を言った事を詫び、
プリキュア失格かもしれないと語りかけます。
『のぞみ・・・ミルクは・・・』
『でも、私はみんなと一緒にパルミエ王国を復活させたい。
 だから、プリキュアで居たいの!』

素直になれないミルクの返事を待たずしてキャッチュを高く掲げ、
光の蝶を再び左手首に纏い、ドリームへと変身します。

ドリームが合流した事を喜び合うも、
アラクネアさんは5人揃っても同じ事だと扱き下ろしますが・・・
『何も出来ないよ・・・』
ドジで勉強も出来ず、スポーツも苦手で将来の夢も無い事を認めながらも、
ドリームは一つだけ心に決めた事を高らかに宣言します。
『ココやナッツ、ミルクの夢を絶対に叶えてみせる。
 パルミエ王国を復活させるためだったら、どんな辛い思いも平気だもん!』

それでもコレットを手中に収めている事で(だからさっさと帰還すればいいのに・・・)
状況はアラクネアさんに分があります。
一斉に攻撃を仕掛ける5人にアラクネアさんの糸が畳み掛けられますが、
皆一斉にその上を走って間合いを詰め、ドリームがコレットを持つ手を蹴って払い落とし、
ルージュとアクアのダブルプリキュアパンチ(違)を皮切りに
次々と攻撃を畳みかけ、アラクネアさんを突き飛ばしました。

しかしアラクネアさんには、まだ最悪の切り札があります。
『どのみち覚悟は決めていたのよ。何があろうとお前達だけは倒す』
アラクネアさんが黒い紙を取り出し、それが黒い仮面に変わるのを見て、
そのおぞましさを一度目の当たりにしているミントとアクアの顔色が変わります。そして・・・
『さらばプリキュア』
仮面を被るアラクネアさん。それは自身との決別でもあったのでしょうか。
たちまちその姿は巨大な蜘蛛女の怪物と化し、
そのパワーとスピードは圧倒的で5人は手も足も出ず倒されました。

追い打ちをかけようとするアラクネアさんの成れの果てとの間に割って入るミルク達。
そしてミルクは今まで押し殺してきた素直な気持ちをぶつけました。
パルミエ王国を脱出してからずっと、一人ぼっちで、
怖くて寂しくて、何を信じていいか解らなかった事。
みんなの事ものぞみの事も、心の底では信じていたものの、
どうやってその気持ちを伝えたらいいか、解らなかった事。
そしてかれんから自分の想ったとおりに素直に行動すればいいと言われた事を思い出し、
頷くアクアの前でドリームに本心を叫びました。
『ミルクは・・・ドリームが・・・のぞみが・・・大好きミル!!
 ドリームはミルクの大切なプリキュアミル!絶対やめちゃ駄目ミル!
 パルミエ王国を復活させて欲しいミル!!』
そして立ち上がるドリームの二の腕にしがみついたミルクが新たな力をもたらします。
みんな同時に新たな力を一つに集め、大技、ファイブエクスプロージョンが放たれました。
そして直撃を受けたアラクネアさんの成れの果てもまた、
ギリンマ君同様無残な最期を遂げたのでした・・・

日が落ちたナッツハウスで、互いに謝りあい仲直りをするのぞみとミルク。
これで一件落着、と思いきや・・・
ミルクが隠し持っていたチョコを、冒頭で食べられてしまったため
半分こしようと持ちかけるのぞみでしたが、分け合ったチョコを再びミルクに奪われ、
またしてもチョコを巡る追いかけっこが繰り広げられました。
あきれ返って2人を注意するナッツ。
しかしのぞみとミルクの間には、冒頭のようなギスギスした空気はもうありませんでした。


夢を持っている者が持っていない者を笑う事も、
逆に人の夢を笑う事も、笑われた側にとっては身に沁みるものです。
前者は今回のミルク→のぞみ、後者は今回ののぞみ→ミルクの図式となり、
確かにミルクのふてぶてしい振舞いが元凶だとしても、
今回のぞみに非が無かったとは言い切れません。
それでものぞみの素晴らしい点は、自分の心を傷つけられた事よりも、
自分が相手を傷つけてしまったのではないかと案じられる心だと思いました。
ちょっといい子すぎる気もしますが、ココとナッツが評した「みんなを輝かせる力」とは、
のぞみのこの心ゆえの、のぞみにしか持ち得ない才能だと思います。

作中でも語られるとおり、のぞみ以外でもりんちゃんやかれんは
この時点で将来の夢が決まっていません。
今後明らかになるりんちゃんのアクセサリーデザイナー、かれんの医師という目標は
この放映時では想像もつかないものです。
かれんの言うとおり、うららやこまちのように目標を定めて努力して行く事も大切ですが、
自分の可能性をいろいろと考え、選択肢を広げて行く事も大切です。
実際、私の今の職業は中学生時代には想像すらした事の無い業種ですし、
そもそも社内にあっても部署ごとに異なる仕事が存在するので
異動の度に不安になりながらも、いろいろと仕事の幅が広がっていく楽しみもあります。
ただ漠然と夢を追うよりも、選択肢を柔軟に考える事も必要だというメッセージを感じました。

一つの事に固執し過ぎてしまうと、いつかは身を滅ぼしてしまう。
アラクネアさんの悲劇はここにありました。
アラクネアさんは一体何を夢見て、何をしたかったのでしょうか。
出世したいのであれば、自我を失っては掴める幸せではありません。
プライドに賭けて、命を落としてまで、ただ名誉が欲しかったのか、
死して名を遺したかったのか、今となっては解りません。
しかし、カワリーノをはじめその上のデスパライアも、アラクネアさんが命を張った結果に対して
残酷なまでに何も感じていないのは周知の通り、
期待されているのはただ一つ、コレットの奪還という結果のみです。
それが果たせなかった彼女は、「犬死に」という一番酷い結末となってしまいました。

もっとも、先日ダークプリキュアを悼んだ月影博士のように、
アラクネアさんにはブンビーさんがいた事が唯一つの救いに思えます。
ギリンマ君の時とは異なるブンビーさんの態度の変わりようは、
確かに唐突かもしれませんが、この一件があったからこそ
シリーズ終盤にカワリーノに楯突く姿を見せた事に意味があったと考えたいです。

それにしてもミルクがドリームの二の腕にしがみつく姿、
あれを美々野くるみがやっていると思うと妙な違和感が・・・(笑)
nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0

コメント 4

NO NAME

前にあなたのブログをはいけんしたこともある、
本当に素晴らしいなんですよね。
by NO NAME (2011-01-27 12:15) 

まるっさ

改めて見返して・・・

ミルクもミルクで凄い努力家で愛国心があり・・・と、5GOGOでの成長?を除いても、確かに立派なキャラなのですが・・・それを鼻にかけ、自分より努力してなさそうな相手を見下すからまあうざったキャラになっちゃうわけで。

ただそれでも改めてそんなメンドクサイつんでれキャラがあそこまで顔を崩しながら自分の本心を打ち明ける姿を観ると・・・ちょっとどころか大分彼女のことをこの時点で受け入れたくはなります。それにしてもこのシーンでのアクアのお母さんぷりが半端ないです・・・ただでさえ(略

本心を打ち明けて報われるミルクと報われないブンビーさん。敵味方の対比構造は正にプリキュア文法でありますが、それにしても切ない切なすぎる対比であります。

それにしても今回初めて完全なバンクが公開されたわけですが、やっぱりプリキュア・ファイブ・エクスプロージョンのカッコよさは最高です。カメラワークが良いんですよね。プリキュアの合体技では一番好きかも知れません。無印5ゆえ、二度と観られないのが残念ですが・・・。


by まるっさ (2012-01-15 10:17) 

まるっさ

追記ではありますが、この回では久しぶりにMHの神曲『三人の絆』が振るコーラスでないにせよ、流れておりましたw やっぱり名曲であります。『序盤』⇒『中盤』⇒『終盤』と2分足らずの短い中で3,4通りの旋律・転調が楽しめるのが良いです。

できればニューステージでアレンジが聞ければいいのですが・・・その前に次はだれが音楽担当か判りませんが。

名曲といえば次の31話では同じくMHの31話のなぎさ達の戦いとラクロスの試合がリンクしていたシーンで流れた『決してあきらめない』が流れておりました。GOGOの第4話でオーディション会場を飛び出すうららのぐるんぐるん動きまくるカメラワークの中で流れてたのも印象的ですが、ともかく金曜ロードショーみたいな大仰さの中どこか切なさも感じる曲で好きだったりします。
by まるっさ (2012-01-15 12:59) 

スティクス

>まるっささん
可愛さ余って憎さ百倍?といいますが、
ミルクの憎らしさは愛らしさの裏返し?でしょうか。
一生懸命頑張りすぎるが故に憎まれ口を叩いてしまい、
それでも本心ではのぞみを敬っている、というツンデレ公式が魅力ですよね。

打ち明ける、打ち明けないという対比もそうですが、
ミルクとアラクネアさんの対比はそれぞれのぞみを敬っているか、
ブンビーさんを敬っていないかという対比もありそうです。
それにしてもブンビーさんはアラクネアさんの事を心配していたのに、
おっしゃる通りの切ない対比です・・・

>ファイブエクスプロージョンのカメラワーク
フルーレもいいですが、こちらも良いですよね。
あと、GoGoでない5の衣装も。
共にオールスターズで見られないのが私も残念です(泣)

>BGM
「三人の絆」は曲の構成も見事ですが、とっておきの音楽だけに、
本当にここぞというところでかかるからこそ劇的効果もありますね。
私もこの曲を聴くと条件反射的にMHの最終回が思い出されます。
「決してあきらめない」も良いですよね。ご指摘のうらら回やラクロス回、
満と薫VSモエルンバ・キントレスキー戦など、
どこか切ない心境がうかがえる場面に良く似合っていると思います。
おととしは龍馬伝が私のツボを直撃した佐藤サウンド、
DX3で聴けたように再びプリキュアで聴ける事を望みたいですね。
(もちろん高梨サウンドも私は大好きですが)
次のオールスターズ、私も気になります。
by スティクス (2012-01-16 00:10) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。