SSブログ

プリキュア5 第39話『恐怖!デスパライア現る』 [Yes!プリキュア5]

これまでのシリーズでは中盤でラスボス的存在と一戦を交えていますが、
プリキュア5以降、徐々にラスボスとの対峙が遅くなる傾向があります。
既に登場しているものの、その強さは未知数だったデスパライアとの衝突が描かれるも、
デスパライアと相対する前の、平穏な一日の描写が非常に印象的です。
その他愛のない日常に永遠に浸る事のできない宿命を自覚するココと、
永遠の命を求めるデスパライアの主張が交錯する、後半へ向けての転機となる一編です。
 
今日は学校もナッツハウスも休みでまだ誰も来ておらず、
ミルクがお茶を淹れる音が響く程の静けさに包まれています。
あまりの静けさに恐れを抱き、なにか起きるのではないかと不安を覚えるミルクを、
ココは奇妙に明るく振舞ってその不安を払拭し、
ナッツも折角の静かな日のためミルクにも休むよう促しました。
とはいえミルクが自室へ退いた後、ナッツもあまりの静かさに妙な予感を覚えます。
ココはテストの採点をしており、のぞみにしては上出来の72点(くっ)という結果を
ナッツはのぞみに会いに行って教えてやればいいと提案しますが、
ココは再び不自然な明るさで答えるものの行こうとはしません。
その態度にナッツはココが何かをためらっていると察しますが、
静かな時間はピンキーを見つけたと突然駆け込んでくるのぞみによって破られました。

その頃ナイトメアのオフィスも同様に休日で人がいない中、
ブンビーさんは一人休日出勤で仕事に励んでいます。
そこに現れるカワリーノは、急に姿が見えなくなったデスパライアを探しており、
珍しく冷静さを欠いていました。
ブンビーさんはバカンスにでも行っているのではないかと軽口を叩きますが、
カワリーノによればデスパライアは殆ど部屋から出ないとの事。
そしてその頃、のぞみ達の町に目深にフードを被った不審な女が姿を現しました。

ピンキーを追って外に出たのぞみ、小々田先生、ナッツでしたが、
残念ながらピンキーは見失ったようです。しかし今日は気持ちの良い小春日和。
もう冬なのに春?と疑問を抱くのぞみに、小々田先生は「小春日和」とは
春のように穏やかな日の事だと説明し、せっかくの好天を楽しむため、
先に帰ると言い出すナッツも無理矢理巻き込んで寄り道する事になりました。

ナッツハウスに取り残されたミルクは丁度やってきたかれんに飛びつき、
ココとナッツがどこかへ行ったきり戻ってこない寂しさを訴えます。
そんなミルクのためにかれんは持参したケーキを食べながら
おしゃべりして休日を過ごすのはどうかと提案。この2人にとっても穏やかな休日が始まります。

落ち葉が舞う銀杏並木の下を行き、オープンテラスで寛ぐのぞみ達の前に
「街角のイケメン」という記事のための写真を撮ろうとする記者が現れ、
小々田先生とナッツを見初めて写真を取ろうと持ちかけます。
ところがのぞみを邪魔者扱いした事に怒って席を立つ小々田先生。
ナッツも同様で、のぞみに失礼だという小々田先生の言葉を、
のぞみはどこか面映そうに聞いています。

次いで3人は町を見渡す丘の上の、町で一番高い木へとやってきました。
木に登り、枝の上から町を見渡すうちに、小々田先生はパルミエ王国での一時を思い出します。
かつて国を見渡せるという高い木に登った際、国王が大事にしているという木の枝を折ってしまい
ココとナッツは治す方法を必死で探し、治す事のできるピンキーを求めて
こっそり王国を抜け出した事。結局治ったものの、お世話役に見つかりこってりと絞られた事・・・
のぞみは2人の思い出話を聞いて良い友達同士だと感じた際、
ふとみんなの事が気になりました。

その頃店番をしているりんちゃんの許に、仕事を終えたうららがやってきました。
二人とも考えている事は同じで、のぞみ達がどうしているかという事です。
そして店番を終えたりんちゃんと共にナッツハウスへと向います。
前後して先ほどの木の下へやって来た不審な女性。
木を見上げ、そこには既に誰もいない事を知り、無言で立去りました。

公園で猫たちの愛らしい仕草に目を輝かせるのぞみを見る、
小々田先生の目はどこか切なさを感じさせます。
不意にナッツはいつまでも付き合っていられずに先に帰ると言い出し、
彼らしい気の遣い方と思われますが、ナッツには小々田先生の恐れはお見通しです。
『僕達はずっとこの世界に居られるわけじゃない。パルミエ王国が復活したその時には・・・』
いつか訪れる避けられない別れの事を口にする小々田先生をはぐらかすようにデコピンし、
木に登りたければ登り、王国を出たければ出る奴だと評するナッツ。
散々振り回されたものの、木の上から見た王国が綺麗だったと言い残して、
後にのぞみと小々田先生を残し先に帰って行きました。

その頃、こまちは公園のベンチで小説のプロットを練っています。
丁度通りかかったナッツに控えめに手を振り、
そっけなく立去ろうとするナッツに思わず本音が飛び出しました。
『え?行っちゃうの?』
行ってから戸惑ってしまうこまちを、一緒にナッツハウスへ行こうと誘うナッツ。
そしてこまちは少し顔を赤らめた笑顔で応じます。

銀杏の落ち葉の絨毯の上を目を輝かせて歩むのぞみを、
小々田先生はこの時が永遠に続かない事を悟っていような、
優しくも寂しそうな目で見つめます。
唐突に話題を変えて、のぞみに先日のテストの結果を伝える小々田先生ですが、
72点(くっ)という結果に喜び、小々田先生の教科だから頑張ったと語る
のぞみの他愛のない仕草が、言葉が、小々田先生には全て寂しく映りました。
不意に足を滑らせたのぞみを抱きとめた際、小々田先生は何ともいえぬ苦悩に戸惑います。
銀杏の葉が舞う中、しばしの沈黙。
のぞみを支える手に力がこもり、そして手を離した後、ナッツハウスへ帰ろうと切り出します。

『(のぞみはこの世界の人だ。でも僕は違う。解ってるのに・・・)』
深く考え事をしたまま歩く帰り道。
その行く手に怪しい影、あの不審な女性が立ちはだかります。
『いくら夢を描こうとも、その夢が叶うことは無い。
 夢が破れ、希望を失い、最後に残るもの。即ち絶望』
不審な女性が纏うローブが千切れ飛び、その下から現れる姿はデスパライアの物でした。
『跪け、絶望の元に』
のぞみは単身変身します。

ドリームに下がるよう促された小々田先生は、
ドリームを恐ろしい相手に単身向かわせる事を苦悩しながらも
ここにいては足手まといだと自覚しているような複雑な表情で従いました。
デスパライアから伸びる無数の影が周囲の建物に入り込み、
そこから次々と怪しい人影が現れてドリームを取囲みます。
そしてデスパライアはドリームを気遣う小々田先生のすぐ眼前に立ちはだかり、
その心を読み取るように語り掛けます。
『王国復興を願う一方で、お前は思っている。あの娘と別れたくないと。
 どちらの夢も叶わぬ。叶わぬ願いを抱くとは愚かナリ』(中の人がコロ助ですから)
影を蹴散らし、デスパライアに踊りかかるドリーム。
その一撃はかわされるも小々田先生に微笑みかけ、
そしてデスパライアを希望を失う事の無い強い眼差しでまっすぐに見据えます。
一人で絶望的な戦いに勝てると思っているのかと問うデスパライアに、
ドリームはみんなが来る事がわかっているかのように答えました。
『思ってるよ。だって、一人じゃないもん』
そのタイミング通りにみんなが駆けつけ、変身して立ち向かいます。

デスパライアの姿を認めて予感が的中してしまった事を気にするミルク。
襲い掛かる影達に皆がそれぞれ持ち技で応戦するも、
何度倒しても何度でも再生する影達を相手にきりがありません。
ところがアクアは影を地面から離すと消える事に気付き、影は4人が一手に引き受け、
ドリームは単身デスパライアと対峙します。
希望もやがて消えると言い放つデスパライアに対して、
希望は絶対消えないと言い返してクリスタルシュートを叩き込みますが、
相手は流石にナイトメアのトップ。これしきでは何の効果も無く片手でかき消して
背後に回りこんで後ろからドリームを押さえつけます。
たまらず駆け寄ろうとする小々田先生ですが当然歯が立ちません。
『パルミエ王国の者と出合った事がお前の不運。後悔しながら絶望せよ』
ドリームにデスパライアの冷たい言葉が掛けられますが・・・

今日、小春日和の意味を教えてくれて、
勉強の愉しさを教えてくれたココとの出会いを、ドリームは全然後悔などしていません。
一時の感情など何の価値も無く、全ては消え去り絶望のみが残ると言うデスパライアに、
小々田先生が珍しく反論します。
『取り留めの無い会話。一緒に見た景色。全てかけがえの無い、大切なものなんだ!
 確かに感情は一時のものかもしれない。でもそれは、永遠に心に残る宝物なんだ!!』
途中でデスパライアの巻き起こす衝撃を受けてココの姿になってしまっても、
ココは立ち上がり、デスパライアに向けて歩み寄ります。
『どんな日々にも必ず終わりが来る。先にあるのは絶望だ』
それでもこの先どうなろうとココの気持ちは変わらず、
ドリームがくれた希望は誰にも消せないと抗うココ。
その夢を叶えると宣言するドリームに続き、相手の喜ぶ顔を見るために夢を叶え、
何度だって立ち上がると、影達を蹴散らした4人がデスパライアに言い返しました。
4人の手首のキャッチュが輝き、それに引かれるようにドリームのキャッチュも輝きを放つと、
そこを抑えていた手がしおれ、さすがのデスパライアも怯みます。
あがけるだけあがき、相手が誰でも立ち向かい、
重要なのは勝ち負けではなく、出来る事を精一杯やる事。
そう立ち向かう4人にいずれ世界は絶望に覆われると反論するデスパライアに、
夢はなくならないと反論し返すドリーム。ミルクも触発されてみんなと一緒に
夢を叶えると二の腕にしがみつき、ファイブエクスプロージョンの体勢へ入ります。

しかし相手はラスボス。デスパライア終了のお知らせとはならず、
巨大な影を生み出して盾とし、希望の力を目の当たりにして引き上げて行きました。
そしてナイトメアの居室に戻り、気遣うカワリーノに対して
改めてコレットを早急に奪取する事を命じます。
『あの力・・・不老不死にならねば対抗できぬ』

ひとまず退けたものの、デスパライアの力を目の当たりにして
不安な空気が流れますが、こういった状況を払拭するのはいつものぞみです。
『何とかなるなる!』
いつもの前向きな発言を聞いて、小々田先生もみんなが一緒なら大丈夫と太鼓判を押します。
そしてかれんのケーキを求めて賑やかにナッツハウスへ向かう5人の後姿を見て、
ココは今を大切にしていく決意を固めました。
『もう少し。いや、もっともっとのぞみの笑顔を見ていたい。
 だから先の事をあれこれ考えるより、今と言う時間を大切にしていくよ』


プリキュア5に限らずとも、第39話という時期にはシリーズの終了という
現実にも避けがたい別れが遠からずやってくる事が予感されます。
幸い5のシリーズはすぐに続編が始まりますが、
この話が放映された時点ではまだその情報が正式に公開されておらず、
今回小々田先生が抱える苦悩はそのまま私達が抱くものと重なります。
目的を達成し、大団円を迎える事。
すなわち最終回を迎え、そのシリーズのプリキュア達との別れを意味します。
今回はココの境遇と重ね合わせ、何ともいえない寂量感を見事に描いていました。

小々田先生が垣間見るのぞみの仕草や表情。
穏やかな小春日和の描写や舞い散る銀杏の落ち葉と、穏やかな休日の風景。
少しずつ合流してくる4人の姿などは、この世界観とキャラクターを
心底愛している製作陣によって作られたと思わせる秀逸なものでした。
そして、この描写が美しく穏やかであるからこそ、
後半のデスパライア戦での「絶望」との落差が際立ちます。

そして小々田先生が主役とも言える程、その心理描写が際立っていました。
別れの時が来る事を忘れようとしているように、務めて明るく振舞う冒頭の描写。
のぞみを見るうちに徐々に苦悩が高まり、バランスを崩したのぞみを支えた時の
小々田先生の俯いた表情は、これまで見たことの無いような深い苦しみが感じられます。
そしてラスト、今を生きる事を意識した折には、
冒頭のような不自然な明るさではなく、自然な明るさが戻っていました。

ところでデスパライアと最終的にどのように結着をつけるかを既に知っている身からすると、
デスパライアが最後にあの判断をした事を納得させるような、
伏線ともとれるような表現が見受けられました。
どんな日々にも終わりが来ると言いながら、自分は永遠の命を求めている矛盾。
夢が叶うことが無いと扱き下ろしていながら、自分はコレットという夢を求めている矛盾。
今回の描写だけ見ても、デスパライアは行動と言葉が齟齬をきたしており、
それ故にブレやすかったのではないでしょうか。

本日は例の問題処理のため、私も休日出勤していました。
たまたまブンビーさんと境遇が被った日にこのエピソードを見返して、
細部をあまり覚えていなかったためにいろいろ発見があり
再見の醍醐味を感じる事ができた一編だと感じました。
nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0

コメント 4

まるっさ

例によって昨日MXで放送していた回。そして今回もまたナッツハウスの全景からスタートしたわけですが(笑)、特に前半はにやにやしまくりながらみておりました。
のぞココをメインとしてこまナツ、かれミル・・・そして『のぞみ教信者』のツートップなりんうら。さらにこれに次作品はシロップとの絡み(主にシロうら、シロのぞ、シロココ、シロミル)が加わり・・・ホントここまでプリキュア関係者内で十分さまざまなキャラの結び付きが楽しめ、それだけで話が十分成立しちゃうところは5シリーズの醍醐味であると再認識させられます。三期ないかな!?

そして後半はアクション作画もひきしまっていて見応えがあり、またとにかくりんちゃんがかっこいい・・・と、デスパライアさん(クリスタルシュートをなんなく片手で制するなどなんのかんので強いです)との接触という転機も含めて実に密度の高いお話だったと改めて思います。


by まるっさ (2012-01-26 19:51) 

スティクス

>まるっささん
意識し出すと笑えてきますね、ナッツハウスin(笑)
さて、この話は私は主に小々田先生目線で観ていたのですが、
確かにのぞみを取り巻く周囲の関係が微笑ましいですね。
私の文章では深刻に受け止めすぎていた感がありますが、
こういった関係が楽しめるのも5シリーズの大きな魅力です。

デスパライアの存在感がアクションを引き立てており、
それを再び上回るデスパライアの得体の知れない不気味さもあって、
終盤へ移行する転機として、良く練られた一編だと思います。
次回の理事長もお楽しみに(笑)
by スティクス (2012-01-26 22:48) 

まるっさ

あれから自分でDVD引っ張り出してきてどれだけナッツハウス全景でスタートしてるのか数えてみました(笑)。結果はURLご参照のことw

しかしここまでナッツハウス出てくるのでしたら、いっそ調べの館みたいにTAKE OFFしてもよかった気がしますw 最後カワリーノさんに特攻仕掛けるとか・・・。

来月の5本・・・表紙とか書き下ろしだったらいいのですが・・・いや別にビジュアル本じゃなくてスタッフインタビュー集というのは知っているのですが・・・。
by まるっさ (2012-01-28 16:05) 

スティクス

>まるっささん
ナッツハウススタート集計、お疲れ様でした!
楽しみながら拝見させて頂きました。
計10本ですか・・・。ナッツハウスが初登場するのが第7話ですから、
それ以降の43回で10回とは、結構な比率ですね。
この勢いで5GoGoのナッツハウス開始集計、
そしてナイトメアorエターナル開始集計も楽しみにしています
(勝手に期待してすみません・・・)

調べの館よろしくナッツハウス戦艦、それも楽しそうです。
とりわけナッツハウスは言及されていらっしゃるように
「戦隊モノの基地」のような印象がありますので、
怪獣図鑑とかに載っていた「ナッツハウスのひみつ大公開!」
などといった記事が似合いそうです。
by スティクス (2012-01-29 07:57) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。