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5GoGo 第18話『みんなに届け!うららの歌声』 [Yes!プリキュア5GoGo!]

夢は見ている時が一番楽しいと言います。
夢に向かって歩み続ける事、そして夢を叶えた先に待つものは、
時にとても辛く、険しい道のりです。
それでも前に進み続けるうららの姿にシロップも影響を受け始め・・・
泣くほど辛い事があっても、春日野うららは、へこたれません。
  
風を切り、シロップは今日も空を自在に飛んでいます。
そして暗くなり始めた夕暮れの公園に、街灯が灯りました。
シロップは公園を通り掛かった際、一人ベンチに腰かけるうららに気付きますが・・・
固く握り締めた拳に滴る涙。肩を震わせ、一人泣いているうららに、
シロップは声をかける事ができませんでした。

翌日のランチタイム。うららは昨日の涙など微塵も感じさせず、
みんなと他愛もないお喋りに興じています。
とても美味しいドーナツ屋の事や、もうすぐ新曲のレコーディングがある事など、
いつもの楽しいお昼休みのひととき。
しかし話題が昨日のオーディションの結果に及ぶと、
一瞬うららの表情がこわばりました。
それでも笑顔を浮かべて、残念ながら落ちてしまった事を報告するうららに、
みんなの反応はまた次がんばれば良いと言った、案外あっさりとしたものです。
『女優って、泣くほど辛い思いをしてでもなりたいものなのか・・・?』
昨日うららの涙を見たシロップは、その反応に戸惑うばかりです。

"♪Yeeeeeeeeeeah!!とびっきり!!
はっじっけーるあーこがれぇー!!Let's Go!!"

ナイトメアに、似つかわしくない野太い歌声が響き渡っています。
歌声の主はネバタコス氏。ヘッドホンでうららの1stシングルを聴きながら
ヘッドバンキングして踊りまわっています。それにしてもこのオヤジ、ノリノリである。
その様はアナコンディさんの逆鱗に触れ、ヘッドホンは石の塊と化しました。
遊ぶのも勝手だが、やる事をやってからという至極当然のアナコンディさんの言葉に、
ネバタコス氏は食って掛かるも結局逆らえず、渋々出撃していきました。

ペンダントが良いか、ブローチはどうか、何やら相談しながら下校するのぞみ達を、
校門の前でシロップが待ち受けていました。
昨日うららが泣いていた事を告げ、うららのところへ行ってあげる様忠告しますが、
やはりあっさりとしたのぞみ達の反応に肩透かしを食うシロップ。
私達なりに考えているというこまちの言葉が理解できず、
シロップはこういう時はそばに居て励ましてやるものだと声を荒げます。
それでもかれんはその剣幕に圧される事もなく、その前にやる事があると語りますが、
やはりシロップにはみんなの考えが理解できません。
『分かったよ。お前らがこんなに冷たいとは思わなかった。もういい!』
シロップは吐き捨てるように言い残し、その場を走り去りました。

次いでシロップがやって来たのはナッツハウス。
シロップは小々田先生にうららの相談に乗るよう再三要求します。
ところが小々田先生も軽く聞き流してシロップにレコーディングスタジオの地図を渡し、
その後のシロップの要求を「シロップが心配していたと伝えておく」などとはぐらかします。
堪忍袋の緒を切って、肩を怒らせて飛び去るシロップを見送る小々田先生。
たとえ嫌われたとしても、それでシロップが飛んでいけるなら構わないと
シロップを思う小々田先生の本心は、ナッツも良く理解しています。

さて、スタジオに着いたものの、正面入口には屈強な警備員が立ちはだかっています。
まずは正面突破を試みますが、関係者以外立ち入り禁止と当然の如くつまみ出されました。
次の作戦は、納品されるぬいぐるみの中に珍獣姿で紛れ込む事。
これは上手く行き、警備員の目を盗んで侵入に成功。したまでは良かったのですが、
気を抜いて少年姿になったところを見つかってしまいました。
颯爽と廊下を逃げ回るシロップですが、突然行く手の扉が開いて衝突。
お約束のとおり、扉を開けたのはうららです。

うららの口利きがあったのか、シロップもレコーディングに立ち会います。
打ち合わせを繰り返しながら歌ううららを見ているうちに、
シロップは再び、昨日一人で泣いていた姿を思い出しました。

屋上での休憩時間中も、うららがレコーディング中の歌を口ずさんでいるのを見て、
休憩時間なら休むよう忠告するシロップ。
『いい風。シロップは空を飛べるから、いつもこんな風を浴びてるんですよね?』
シロップの問いには答えずに、風を感じるうらら。
太陽を雲が覆い、少し離れた所に立つ2人の距離を測るように飛行機雲が伸びていきます。
仕事が大変ではないかと訊ねるシロップに、うららはとても楽しいと笑って返しますが、
昨日泣いていた事を指摘されると息を呑みました。
2人を影が包む中、飛行機雲が静かに伸びて行きます。
『やだ、見られちゃいました?』
『笑うな!こっちはマジで聞いてんだよ』
笑いながら答えるうららに、真剣な目で返すシロップ。
悩み事があるなら聞いてやってもいいと不器用に申し出るシロップに、
逆にうららが問いかけました。
『シロップの夢に出てくる花園は、綺麗なところ?』
誰に対しても常に敬語だったうららが、対等の言葉で問いかけます。
シロップが夢に見る光景。それは、咲き乱れるバラに手を伸ばしても届かない光景。
相談に乗るつもりが、逆に聞いてもらっている事に戸惑うシロップに、
再びうららが先手を打ち、自分が女優を目指すきっかけについて切り出しました。

うららは母の写真をシロップに見せます。
舞台女優の春日野まりあ。うららが物心付く前に亡くなったのであまり覚えてはいませんが、
記憶の中の母の姿は、輝いていました。
その姿に憧れ、父と祖父に笑いながら女優の夢を語った幼い日の事。
その日から、母のような舞台女優になる事がうららの目標になりました。
太陽を覆っていた雲はいつの間にか晴れ、二人を陽光が包み込みます。

『"♪とびっきり!!はっじっけーるあーこがれぇー!!
Get You!!"って聴こえねーよ!!』

ちょwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwwwww
うららとシロップの美しい光景は一瞬でブチ壊しになりました。
突然屋上に現れたネバタコス氏は石と化したヘッドホンを叩きつけ、
その苛立ちをただぶつけるためだけに貯水タンクをホシイナー化して
自らもタコ怪人姿となって襲ってきます。
ネバタコス氏のタコ墨攻撃からうららを庇った拍子に珍獣姿となってしまうシロップ。
うららは逆にシロップを守るべく単身変身します。

周囲をタコ墨の霧が包み込み、霧の向こうからは
まるでいたぶるようにホシイナーの水流攻撃と共にネバタコス氏が襲い掛かってきます。
ネバタコス氏の今回の目的はローズパクト奪還ではなく、
ただのウサ晴らしというとんでもない八つ当たりでした。
屋上から逃れたレモネードを追ってホシイナーの攻撃が迫ります。
一人では無理だと言うシロップに、レモネードは追い詰められながらも、決して諦めません。
『無理なんて思っちゃダメだよ。諦めたらそこから一歩も先へ進めなくなっちゃうから』
記憶の中の母は、舞台上で輝いていました。あの舞台の上からは、一体何が見えるのか。
レモネード=うららはそれが見てみたいと望んでいました。
それが見えるまでは、あの舞台に立つまでは・・・
『絶対に諦めない。そう決めたの!』
『だから泣くほど辛い時があっても、諦めないロプ?』
そう問うシロップも、レモネードと似ています。
キュアローズガーデンへ行けば、自分の素性が分かるかもしれないと頑張っている。
ちょっと似ていると互いに微笑みあう2人。

『だったら似たもの同士、一緒にお寝んねしな!』
ネバタコス氏が振るう腕を受け止め、弾き返し、レモネードは真っ向から渡りあいます。
行きたい場所に辿り着くまで、倒れるわけには行かない。
しかしホシイナーも交えた2対1の状況では、形成は不利のままですが・・・
『ちょっと待った!』
ようやく4人のプリキュア達が、レモネードの仕事を邪魔させないとビルの上から駆けつけます。
続けてローズもネバタコス氏のウサ晴らしに付き合うつもりは無いと墨攻撃を払いのけ、
6人での反撃が始まりました。

下らない事にムキになりやがってと扱き下ろすネバタコス氏を、
鋭く睨みつける5人の前に着地し、レモネードは反論します。
『下らない事なんかじゃない。私は歌やお芝居を通して、みんなに伝えたい事があるの!』
母のように、みんなを笑顔にしたい。その気持ちを込めて、今日うららはこれから歌います。
そしてプリズムチェーンがホシイナーを撃退。
ネバタコス氏の撤退と共に、辺りを覆う黒い霧も晴れ渡りました。

レコーディング再開の前に、うららのプレゼントを渡します。
りんちゃんがデザインし、みんなで作り上げたアクセサリー。
シロップは、みんながこれを作ってうららを応援しようとしていた事を理解しました。
みんなの想いの詰まったアクセサリを身につけて、再びレコーディングが始まります。
みんなが立ち会う中、うららの歌声がスタジオに響き渡りました。

レコード店を埋め尽くし、駅の大型広告にトレインジャック、
大型街頭テレビでの新曲発表の告知、そして大観衆を前にしてのライヴ。
『皆さん!ありがとうございます!』

『仕事、終わったのか?』
夕陽に彩られた橋を駆け抜けるうららの行く手に、シロップが待ち受けています。
女優の方はどうなんだと聞かれて、中々良い役がもらえないと苦笑するうらら。
『本当、厳しいんだな』
『厳しいよぉ。でも、春日野うららはへこたれませ~ん!』
確かに厳しい世界です。しかしうららは落ち込む事があってもまた頑張れます。
それは、のぞみ達が笑顔で迎えてくれるから。
うららにとって、みんなと居る時が一番自然になれる時でした。
そしてシロップと、キュアローズガーデンへ行こうと改めて約束します。
寄り添ううららに、シロップはぶっきらぼうに「シロップ乗車券」と書いた紙を差し出しました。
『その・・・落ち込む事があったら使えよ。
 空ならいつも良い風が吹いてるから、俺が乗せて・・・飛んでってやるよ!』
無愛想なシロップに笑い返すうらら。
夢に見る場所を目指す少年と、夢を叶えるために歩む少女の物語は、まだ始まったばかりです。


「夢を追いかける」姿が胸を打つからか、うらら関連のエピソードは良作揃いです。
もともと評価の高い一編ですが、改めて見ても今回の素晴らしさは突出していました。
涙を流すうららと、一転し明るく振舞ううららのギャップでストーリーに引き込まれ、
みんなが素っ気無い理由をシロップと共に追体験するような構成は見事です。
前シリーズから視聴している者にとっては、うららとみんなの関係は既に周知の上で
みんながそっけなく見える事にも違和感を感じる事はありません。
しかし5GoGoから観始めた方がいるとすれば、シロップと同じような気持ちを抱く事でしょう。
うららの目標と夢が、そしてみんながうららを支え見守る様が徐々に明らかになり、
うららの新曲が流れると共に見事に纏まって、シロップとのラストシーンに集約される、
無駄な描写の殆ど無い構成は見事としか言いようがありません。

それにしても最年少なのに、うららは何と強い事でしょう。
本当の目標である女優業はまだまだ夢半ばです。
オーディションで良い役を射止められないというだけでなく、
実際に女優の仕事をする上では、辛い出来事も多々ある筈です。
それでも自分のためだけでなく、みんなに色々な事を伝えるために夢を叶えたいと
高みを目指して駆け抜ける姿を見ると、夢を追う姿は実に輝かしいものだと感じました。
そして、前作であれほど悩んだ歌手としての活動に対しても、
真摯な姿勢で臨んでいる様を見ると、この間のうららの成長が伺えます。
歌手デビューだけでなく、プリキュアとの両立についてなど、うららは何度も壁にぶつかり
それを一人ではなく皆と共に乗り越えて来ました。
一人の力で叶えるものではなく、みんなと共に叶えたいからこそ、
みんなと居る時が一番自然体に振舞えるのでしょう。

さて、うららの新曲が街に溢れる光景がラスト近くに展開されますが、
私としては、これはまだ現実になっていない光景だと解釈しています。
うららは女優としてだけでなく、歌手としてもまだまだ道半ばだと思いますので、
夢を叶えきったような光景はまだ早いような気がしました。
ステージの上、満場の観客を前に挨拶する場面も、
いつか母が見たような光景はこうではないかと想像したものだと考えています。

今回からシロップに対し、いわゆる「タメ口」になるのですが、
これはうららがシロップを気遣った故の接し方だと思います。
うららはこれまで、誰に対しても常に敬語で接して来ました。
上級生であるのぞみ達に対してはそれで問題ありませんが、
こと対等であるべき相手に対しては多少の壁が出来てしまう事もあります。
その結果シロップも心を許し、対等に語る事ができるようになりました。
もっとも、うららファンとしては複雑な心境もありますが・・・(苦笑)

シロップ目線ではいわゆるBoy meets Girl、
ウエスターさんが赤面しそうな展開の数々も目を惹きます。
屋上でのやりとりや、苦しい戦いを強いられる中での励ましもさる事ながら、
インパクト抜群なのは「シロップ乗車券」でした(笑)
見ている方がこっ恥ずかしくなるあまずっぺぇ展開に悶えながらも、
2人の初々しさも相俟って爽やかな余韻を感じさせます。

そしてネバタコス氏。
今回の素振りが無ければ、初登場から退場まで嫌なオッサンで通っていた筈ですが、
そんな彼に妙な愛着が湧いてしまう程、歌い踊る姿のインパクトは強烈でした。
特に屋上に現れる場面では、直前までうららとシロップの美しい場面が展開されていただけに、
あのスプラッシュスターの伝説となった場面「カレッチと呼んでくれ」を思わせ、
流れを見事に(良い意味で)ブッ壊す様は何度見ても笑えます。
しかも無駄に動きが滑らかな事も可笑しさに拍車をかけており、
歌声の凄まじさと相俟って忘れられない場面となりました。

他にも影や飛行機雲を巧みに用いた演出や、
ドリーム達の登場シーンの格好良さと安心感、
冒頭とラストの夕暮れの描写、学校での何気ない光景など細かい描写も際立っており、
あらゆる点で5GoGoのベストエピソードに挙げられる優れた一編だと思います。
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まるっさ

サンシャインの変身バンク5000枚など、『黄色は優遇されている』法則を確定させた回・・・モジューレの宝石の色からしてスイートには黄色プリキュアは出なさそうですがw
とにかく『作画・演出が下手な台詞など必要が無い以上にキャラの心情を雄弁に語るというのはこういうことだ!』というのをまざまざと見せ付けてくれる話で、そういう点では逆に文章でその良さを表現しきれない欠点(こら)があるとも言えましょう。

ネバタコスさん・・・結局ハデーニャさんと一緒で最初はいかにも視聴者からも嫌われるようなキャラで出てきておきながら、声優さんの名演もあり、だんだんと別れ難くなっていくのも複雑な気分です。しかし島田敏さんの声はネバタコスさんであってもカッコいいですね。

あとはこの激しいレモネードとの乱打戦(個人的には『あの拳法殺しのネバタコスさんでも繰り出す拳はさすがに軟体化できず、それをレモンは狙ってるのか!!』と勝手に盛り上がってましたが(ジャンプ世代ゆえ))では劇場版プリキュア5(ダークドリームへの反撃開始!)やDX2(ボトムに向かって突撃するブロッサム&マリン)でもかかった名曲『昨日の私を超えていく』がかかったのも良かったです! プリキュアの戦闘曲では一番すきなんですよ、これ。

それでは。長文恐縮です。ほとんど今回は条件反射的に書き込んでしまいました・・・。
by まるっさ (2011-06-26 11:14) 

スティクス

>まるっささん。
コメントありがとうございます。良作である程文章が追いつかず、
そもそも文章で全てを表現する事の難しさを常に感じておりまして、
この感動を伝えたいという気持ちが伝えられない事が本当に残念です。
結局のところ、実際に観て下さいという事になるのですが・・・(笑)

ストーリーや演出の素晴らしさだけでなく、
レモネードのアクションも充実していますね。
拳法殺しのハート様のような柔らかい体を持つ妖星ユダ様相手に
(ジャンプ世代との事、この比喩がお分かりいただけると嬉しいです)
奮闘する様と、BGM。確かにこの曲は反則モノです。

ネバタコス氏に限らず、敵の魅力の一端を担う声優さんの皆さんの名演も
捨てがたいですね。今回のGoGo再見では色々な事を再発見しているので、
個性が薄いと思っているイソーギン&ヤドカーンなどの
新たな一面を再評価できるかどうか、今後の展開が楽しみでもあります。

by スティクス (2011-06-26 22:45) 

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