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スイートプリキュア第19話『グニャグニャ~!プリキュアに変身できないニャ!』 [スイートプリキュア♪]

今作スイートプリキュアのシリーズでは、スプラッシュスター以来久々となる
「2人揃わないと変身できない」という設定があります。
なら変身前に2人を分断してしまえば良いと言うのは誰でも考え付く作戦ですが
そう簡単に「お約束」を破るわけにも行かないのでしょう。
私の記憶が確かならば、「変身前の分断」は初代~MHでは思い当たらず、
SSにおいてカレッチシタターレ姐さんがそれぞれ1度ずつ試みた2例しか思い当たりません。
そのお約束破りの作戦や、ホラー色のある描写など、少し怖い雰囲気を漂わせるものの、
作戦を実行するセイレーン達の妙にコミカルな姿が中和し、
そして響と奏、ハミィとセイレーンの友情に対しても改めて考えさせる一編です。
 
セイレーン達はまるでガッツ星人よろしく、プリキュアの変身シーンを研究しています。
途中メフィストが前回の失態を責めて乱入するも、
セイレーンはリーダーの責任を果たすために対策を練るとあしらい、
話半分で打ち切る大物振りを見せ付けました。
そしてファルセットの髪をむしりながらプリキュアの弱点を探すべく、
丹念に戦いぶりを見続ける内、2人の変身シーンを見て、ある事に気がつきました。

紫陽花の中に音符を見つけたハミィの前に、突然セイレーンが現れます。
後ずさりし、音符は渡さないと警戒するハミィ。
ところがセイレーンはもう一度ハミィと友達になりたいと泣きながら訴えました。
ハミィの性格上、断る筈がありません。
一緒に音符を集めて、一緒に幸せのメロディを歌おうと心を許した矢先、
ハミィの背後にトリオ・ザ・マイナー達が現れ、シャボン玉に閉じ込められてしまいました。
こんな目に遭わされても、ハミィはセイレーンを友達だと信じて疑いませんが・・・
『友達なんかいたって、いつかきっと裏切られる。私は信じてないわ』
セイレーンは背後の体育館の扉を、ネガトーンと化しました。

放課後、奏は響をスイーツ部での試作品披露に誘います。突如、そこに現れるハミィ。
その首から下がるネックレスに、2人はまだ気付いていません。
そして試作品のスイーツに関しても、まずいかもしれない、期待するとがっかりするなどと、
いつものハミィとは思えない腹黒い表情と後ろ向きな発言を繰り返します。
奏は不信感を抱いてハミィに目を向けると、果たして首から下がるペンダントに気付き、
そっと響を連れて相談を始めました。北条サクラ偽ミューズ偽まりあママなど、
今までセイレーンが化けた人々と同じネックレスが下がっている事を指摘し、
あのハミィはセイレーンが化けた偽物だと確信します。
無邪気に響のサッカーボールと戯れている等、目の前のハミィは
セイレーンらしからぬ振る舞いを繰り返していますが、油断はできません。
本物のハミィは捕まっていると考えた奏はハミィを危険に晒さぬよう、
騙されたフリをして様子を見ようと提案し、
響はセイレーンを締め上げて吐かせた方が早いと主張します。
(こんな物騒な事は言っていませんが)
意見は割れてしまうものの、2人ともハミィの事を第一に考えているのは共通しています。
ここで意見が合わずにケンカしてしまっては、それこそセイレーンの思う壺。
結局奏の意見を取り入れ、騙されたフリをする事になりました。

『ねえハミィ。今日はここに来る前にどこにいたの?』
自然体で偽ハミィに問いかける奏。しかし続く響の棒読みで台無しになります。
『なにかあやしいことしてたのかなー?』
焦った奏は再び響を連れ出し、怪しすぎてバレバレだと注意しますが、
響も嘘をつくのが苦手だと反論。些細な言い争いが始まります。
その間に偽ハミィは、音符の匂いをかぎつけて暗い廊下の奥の教室へと走り込みました。
ボールを拾い上げ、その後を追う響。そして響の後を追う奏。
しかしハミィと響が駆け込んだはずの教室には、誰もいません。
そこはホルマリン漬けの標本や骨格模型など不気味な雰囲気が漂う、薄暗い理科室です。
そして、響が先ほどまで持っていた筈のボールが奏の足元へ転がってきました。

いつからそこに居たのか、反対側を向いて立っている先生に、奏は響の行方を尋ねます。
理科室の奥の扉を指し示す先生に従い、そちらへ向かう奏。
しかし先生の首から下がるネックレスに気付いた時は既に遅く、
扉の奥へと吸い込まれていきました。
その扉は、先ほどセイレーンが作り出したネガトーンです。

マイナー達の歌声が響く体育館。
囚われの身のハミィは、響と奏が助けに来てくれると信じて疑いませんが、
セイレーンは、あの2人は二度とプリキュアになれないと希望を打ち砕きます。
響も奏も、それぞれが分断された異空間へと閉じ込められており、
2人揃わない事には、変身する術がありません。
異空間の扉は開かず、そして不幸の音波が2人を襲います。

セイレーンとマイナーたちは、勝利を確信してカセットコンロですき焼きパーティを始めました。
ちゃんとセイレーンに肉を食べさせてあげているファルセット、
一人で大量の肉をせしめて、ハミィに見せびらかすように食べるバスドラなど、
体育館には妙にまったりとした空気が流れています。
さらに締めのうどんすきが最高などと、妙にこの世界に馴染んでいるセイレーン達は、
ネガトーンを使って生徒達を不幸に落としいれ、その泣き声を肴にうどんをすすりました。

外から聞こえる泣き声は、響と奏にも届いています。
それぞれ単身、変身を試みますが、一人では変身する事ができません。
セイレーンは2人の変身シーンを見続けるうち、声が揃っていた事に目をつけて
2人の心が揃わないよう別々の場所に閉じ込める作戦を思いついたのでした。
プリキュアになれないならば脱出も不可能。
美味しそうにうどんをすすり、悲しみの声に酔いしれるセイレーンに、ハミィの声が届きます。
こんな目に遭わされてもセイレーンは悪い子じゃないと信じて疑わず、
友達だといい続けるハミィに、自分の心配でもしたらどうかと返しますが・・・

この世界にプリキュアはもう一人居ます。
ミューズが体育館に現れ、誰の味方ではないといつもの台詞を(ドドリーが)言いながらも、
罪の無い人々を巻き込むのは見過ごせないと鍵盤を広げました。
そこから繰り出されるのは、ネガトーンの不幸の音波を跳ね返す防音壁。
不幸の音波に先んじて、次々と防音壁を張り巡らせますが、
さすがのミューズでも守るべき対象が多すぎます。
次第に不幸の音波に追いつけなくなり、再び生徒達の泣き声がこだましました。

泣き声が大きくなるのを聞いて、響も奏も懸命に力を込めますが、扉は開きません。
勝ち誇るセイレーン。
しかしミューズは、あの二人がどうなるのかは二人次第だと落ち着き払っています。
二人が真のプリキュアであるならば・・・
『奏は絶対に、絶対に諦めない』
『響だったら、みんなの泣き声を何もしないで聞いていられるわけ無い』
閉じ込められた2人は、互いの事を信じながら扉に力を込めました。
『私達、プリキュアだから!!』
2人同時に同じ事を口にすると共に扉は開き、2人とも光と共に戻ってきます。
みんなを悲しませるなんて、絶対に許せないと変身する2人。

『メロディがあんな見え見えの誘いに乗るから』
『リズムだってややこしい作戦立てるから。
 だいたい、その自分が正しいと思ってるとこ直したほうがいいよ!』
『そっちこそ、もっと人の事考えて動いてよね!』
変身したと思いきや、ネガトーンそっちのけで言いあいを始めるメロディとリズム。
しかしケンカをしているようでも2人の息はぴったりです。
『今取り込み中!邪魔しないで!』
水を注すネガトーンをぶちのめし、隙を突いてハミィを奪い返しました。
『どうしてケンカしてるのに。どうしてどうしてどうして・・・』
ファルセットの髪をむしりながら悔しがるセイレーンに対し、2人の答えは明解です。
メロディは、リズムに言いたいことを言っているだけ、
リズムは、メロディには本音をぶつけても大丈夫だと分かっているから。
そしてリズムのアシストで高く跳びあがるメロディのかかと落としが炸裂し、
抱き合って喜ぶ二人。
声が揃うだけでなく、ケンカしても離れた場所に居ても、
心が一つになれば変身できるのがプリキュアだとミューズが見守る中、
スーパーカルテットでネガトーンを撃退しました。

ネガトーンを倒されて苦々しげなセイレーンに対し、
ハミィはそれでも友達として接し続けます。
友達になりたいと言ったのは嘘で、ハミィを騙す口実だと言っても、
ハミィの疑うことの無い笑顔を前に、セイレーンの苛立ちが募ります。
『友達なんか信じるものか!』
駄々っ子のように喚きチラシ、そしてけむりだまを炸裂させて撤退していきました。

いつかセイレーンと一緒に食べる事を望みながら、呑気にカップケーキを食べるハミィ。
響と奏はまだセイレーンに気を許す事はできませんが、
ハミィは響と奏のように、いつかセイレーンとも仲直りできると信じています。
そして・・・

『友達なんて・・・信じるものか・・・』
夕陽の中、群れを成して飛ぶ海鳥を見上げて、セイレーンは一人寂しそうに呟きました。


分断されてしまうプリキュアといえば、冒頭で挙げたSSの2例の他、
変身後のものでは各シリーズで見受けられます。
初代の名作42話をはじめ、プリキュア5での悪夢のような事件や、
フレッシュにおける占い館での攻防メビウス城での戦い
そしてハートキャッチの「試練」と、惑星城での戦いが記憶に新しいです。
そして劇場版に至っては、ほぼ全ての作品が対象となるほどです。
いずれも共通しているのは、分断された直後こそ不安でたまらぬ描写がありますが、
互いに相手を信じ、相手の心と一つになると共に、再び手を携えるという事でしょうか。
今回も言い争ってしまったり、衝突しかけたりと少々ヒヤヒヤさせられる一面がありますが、
そこはスイートプリキュアのシリーズらしいというべきか、
ケンカする事があっても息が合うという描き方が、響と奏らしい個性として楽しめました。

「響だから」「奏だから」ここまで言っても大丈夫、
逆にこれ以上言ってしまうと言い過ぎてしまうという線引きがある事が伺え、
これまでのケンカと仲直り、そして戦いを通じて2人の絆が随分と深まっています。
さらに、どうでもいい人とはケンカなどしないという事も感じ取れました。
これまた初代の名作第8話で理恵ママがなぎさを諭した際の言葉で、
響と奏だけでなく、ハミィとセイレーンにも当てはまっています。
どんなにセイレーンが悪事を働こうとも、セイレーンを信じ続けるハミィもそうですが、
セイレーンとしてもハミィが必ず誘いに乗ってくると信じていなければ
今回の作戦は成り立ちませんでした。
今は袂を別けていても、セイレーンもハミィの事を良く理解しています。
ハミィを見ていて苛立った素振りを募らせる様からは、
本心では再びハミィと共に居たいと考えている事が伺えました。
例の再洗脳の効果が弱まってきているのか、はたまたハミィの人徳(猫徳?)故でしょうか・・・

このような固い内容なのに、バラエティ豊かで楽しめる描写が多かった事も評価したいです。
偽ハミィに対して騙されたフリをしようとする際、
その点奏は前世が演劇部長ですので?抜かりはないのですが、
響の棒読みは、いわゆる「ブラック家族」の伝統ともいうべきでしょうか。
また作戦の内容自体は極めて危険なものなのに、
セイレーンとマイナー達がギャグに徹しているために
観ている側がさほど危機感を覚えず、重くなりすぎないのもバランスが良いと思います。
ファルセットの髪をむしり続けるセイレーンしかり、すき焼きパーティしかり。
個人的に一番笑えたのは「煙玉」を炸裂させて撤退した事でした。
いったい彼らは何者なのでしょうか(笑)

理科室前の暗い廊下と、室内の不気味な光景が醸し出す嫌な雰囲気。
ネガトーンをほったらかしにしての言い争いと、「今取り込み中!」とやり返す様の、
オールドファンとしても楽しめる初代第8話を髣髴とさせる戦い。
そして先週休みだった鬱憤を晴らすように、
抱き合って喜ぶメロディとリズムのラブラブっぷり等、
今回は様々な要素が感じられて、密度の濃い充実した内容だと感じました。
ちなみにセイレーンが化けていた理科の先生は
私の好みなのですが、今後登場する事はあるのでしょうか(苦笑)

そんな一編の締めくくり、ハミィとの二度目の決別の折
満月を見上げた際の出来事を思わせるラストシーンからは
何とも言えないセイレーンの孤独感が伺えます。
果たして、次回の「最後の作戦」とは一体何を意味するのでしょうか・・・
セイレーンの今後の展開からは目が放せません。
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横浜学園都市部

このお話で、一人作画が定評のあった青山さんが作監として登場していたので、親しみやすかったりしましたね。

離れ離れになっていても、心が一つとなれば変身が出来るというのは、後に明日発売予定のミュージカルショー内でも、立証されましたね。

作戦自体は危なっかしかったのですが、考察されている通り、すき焼きパーティをしていた所為もあってか、あんまり重く感じなかったですね。

口論したかと思えば昇竜拳を出したり、抱き合ったり、スーパーカルテットで締めたりと、ラブラブっぷりが半端じゃなかったのですが、一番の印象に残っているのが、決め台詞である「絶対に許さない」を7回言ったことです。

その内OP前で、バンクを見ていた際に出たのが3回。
セイレーンが説明をしている際で3回。
脱出後に1回言ってました。

個人的には前作の「堪忍袋の~」や「海より広い~」よりは、言われるのが好きだったりしますので気に入っていますが、改めてみると響と奏は、前作のつぼみとえりか以上に、沸点が低すぎて瞬間湯沸かし器みたいな印象が有りましたね。ましてやハート型の可愛らしい変身アイテムであるモジューレを構えながら言っていて、たまに混乱したりします。
by 横浜学園都市部 (2011-11-02 12:48) 

横浜学園都市部

2度目ですみません。

すでに上で書いちゃったと思いますけど、このお話のラブラブぶりがあるからこそ、映画の記者会見で言っていた内容に納得がいくと思いました。

記者会見で、響役の小清水さん(自分は「あみっけ」って呼んでます)と奏役の折笠さん(自分は「おりりん」って呼んでます)が夫婦愛発言をしており、番組公認の夫婦であることを決定づける内容にまでになりましたね。
そして、後に仲間に成るエレンとアコは2人の娘でもあり、家族そのものであるのも公認でもあったりします。(構成的には響は父親・奏は母親・エレンは長女・アコは次女)

以上、上でも書いてある通り、「絶許」連呼7連発がお気に入りな男の2回目の感想でした。

by 横浜学園都市部 (2011-12-13 11:03) 

スティクス

>横浜学園都市部さん
ヨーロッパ旅行に前後していた時期のため、
いただいたコメントに返信が出来ていなかったようで失礼しました。

このときの状況は今思えば結構危ない状況ですが、
マイナー達のすき焼きのお陰で気楽に見られるのが良いですね。
そして今この時点で見返すと、
セイレーンに肉を食べさせてあげているファルセット、
そしてセイレーンに髪を毟られるファルセットの姿は、
もうこの光景は過去のものなのかと寂しさも覚えてきます。

そして「ラブラブ」(笑)
やはりエレン、アコと仲間が増えて夫婦の時間が減ってしまったからか
今よりも中盤の方が響と奏の夫婦っぷりが際立っていましたね。
記者会見の件は、私は映画の情報をほとんど持っていないために
初見だったのですが、これでBDに収録されるであろう
舞台挨拶の一部始終が早くも楽しみになりました。

また、アコが次女なのはともかくとして、エレンが「長女」ですか(笑)
確かにビートになった直後の、この世界の事を知らないが故の、
数々の天然ぶり、それを突っ込まれながら色々な事を知っていくというのは、
響と奏のが手塩にかけて育てた娘に見えなくもないですね。

by スティクス (2011-12-13 22:48) 

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