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5GoGo 第30話『王の力とナッツの悩み』 [Yes!プリキュア5GoGo!]

作中世界では早くも夏が終わり中秋の名月、十五夜です。
シビレッタさんの月の世界、かぐや姫の世界で繰り広げられる一編と思いきや、
のぞみとケンカしてしまったくるみの心情、そんなくるみを奮い立たせるべく、
あえて憎まれ口を叩くクレープ王女、無力を嘆くナッツの姿が印象的な一編。
そして竹取物語で語られる「別れ」が、いつか再び訪れる事を暗示する展開と、
再見によって評価を高めた一編になりました。
  
新学期も始まり、小々田先生の国語の授業を受けるのぞみ、りんちゃん、くるみ。
のぞみはふと、授業で取り上げられている竹取物語のストーリー上の疑問を口にしました。
お爺さん、お婆さんと仲良く暮らしていたのに、なぜ月に帰ってしまったのか。
のぞみのつぶやきを聞いた前の席のくるみが、そういう決まりだった事と、
もともと月の住人だからと小声で答えますが、のぞみの疑問は尽きません。
みんな一緒に暮らせばいい、相談すれば良い方法が見つかったというのぞみに、
そう簡単に解決する筈がない、住む世界が違う、世の中そんなに甘くないと反論するくるみ。
2人の声は次第に大きくなり、見かねた小々田先生が2人を名指しで注意しました。
『夢原!美々野!授業中です。私語は慎みなさい。』
素直に頭を下げるのぞみ。しかしくるみは「ココ様に怒られた事」に心底ショックを受けています。

バラが咲き誇る庭園を行く館長。その行く手にはフローラの後ろ姿があります。
ところが館長は、振り返ったフローラが悲しみに満ちた目を浮かべている事に動揺しました―
館長はどうやら白昼夢を見ていたようで、気が付くとそこはいつもの執務室。
そこにアナコンディさんが館長のために月下美人の花を持ってきます。
年に一度、一夜だけ花を咲かせる月下美人。その姿をそのまま保存したとアピールするも、
館長の関心はローズパクトにしかありません。
ローズパクトを手にしていないのに部屋を訪ねたアナコンディさんを咎める館長。
せっかくの月下美人を手に、アナコンディさんは無念そうに引き上げていきました。

『貴族の男たちはかぐや姫の心を射止めるため様々な贈り物をしました。
 しかし贈り物はどれも偽物で、誰もかぐや姫の心を射止めることは出来ませんでした。
 まるでアンタみたいだねぇ』
アナコンディさんをからかうように、その行く手にシビレッタさんが現れます。
館長の頭の中はキュアローズガーデンの事で、否、フローラの事で一杯だと、
知ってはいても他人からは言われたくない事を言われて苛立ちが募るアナコンディさん。
昔からずっとそうだというシビレッタさんを、館長の批判をしたと捉えて非難しますが、
女の戦いはシビレッタさんの方が年の功か一枚上手。
巧みにはぐらかして出撃して行きました。
アナコンディさんの怒りと嫉妬心の矛先は、せっかく花を咲かせた月下美人へと向けられます。
その手の中で、可憐な花が無残に塵と化しました。

さて、今夜はナッツハウスでのお月見会です。
カフェテラスで楽しそうに計画を立てているのぞみ達5人とは裏腹に、
くるみは先ほどの一件が未だ堪えている様子。
『のぞみって本当お気楽すぎる。のぞみのせいなんだからね!もう絶交よ!!』
一方的に絶交を言い渡し、一人その場を後にしたくるみ。
その一部始終を、皿洗いをしながらシロップが、その肩の上でクレープが見守っていました。

『ココにちょっと怒られたくらいで落ち込むなよ』
夕暮れ時の公園を通りかかったシロップは、
一人ベンチでうつむくくるみを見つけて声をかけますが、
くるみにとってはお世話役として、ココやナッツに迷惑をかける事など考えられません。
『確かに迷惑クク』
シロップの肩の上のクレープに、授業中に話しかけてきたのぞみの方が悪いと
くるみは言い訳のように反論します。
『ふ~ん、それで絶交クク。ま、そんな事じゃいつまで経っても準お世話役のままクク』
ともかくシロップに誘われる形で、くるみは素直になれないままナッツハウスへと向かいました。
満月を少し覆うように、空には雲がかかっています。

シロップの陰に隠れて、おっかなびっくりナッツハウスへと帰るくるみ。
くるみの心配とは裏腹に、小々田先生は授業中の一件を
私語は良くなくても、話し合いで意見をぶつけ合うのは良い事だと気にも留めてはいません。
安心するのも束の間、今度はのぞみに絶交宣言をしてしまった事が気になります。
のぞみ達はまだナッツハウスに来ていません。
そしてナッツは、一心不乱になにやら作っているようですが・・・

のぞみ達はナッツハウスへ向かう道すがら、
月を覆っていた雲が晴れるのを目の当たりにしました。
煌々と輝く満月は、しかし不気味に赤く、徐々に近づいてくるような錯覚さえ覚えます。
果たして月から使いが降りてくるのを目の当たりにして・・・
ナッツハウスにも嫌な気配が一瞬感じられました。

気がついた時、りんちゃん、こまち、かれんの3人は天女のような羽衣を、
のぞみとうららはうさぎのような可愛い衣装を身に纏っていました。
『はいそこ、はしゃがない』
可愛い衣装にはしゃぎまわるうららとのぞみを諌めるりんちゃん、相変わらず流石です。
それより、ここはどこなのか。
周囲の建物は平安時代の町並みのようでもあり、
町の向こうに地球が浮かんで見えるのを目の当たりにして、
ここは月の世界だと察する5人。そして同時にシビレッタさんのかぐや姫の世界でもあります。
シビレッタさん扮するかぐや姫が登場するや否や、
5人は一斉にミスキャストだとブーイングの嵐(笑)
私の物語だからどうしようと勝手だとシビレッタさんも年甲斐もなく可愛らしい一面を見せるも、
ホシイナーボールを大きく振りかぶって隕石へと投げつけました。
たちまち周囲の隕石が固まり、巨大なホシイナーが出現。
天女やうさぎはみんな消え、月の都は滅びてしまうという独自の物語を始めました。

そしてその頃ナッツハウスでは、5人の姿がどこにも見えないと知り、
取り残されたくるみはとても心配そうです。

変身した5人に、隕石が雨あられと降り注いできます。
隕石を蹴り返し、ホシイナーの体を砕いたと思いきや、
すぐに破片が集まって再生し、別の角度から隕石が襲ってくる等、きりがありません。
隕石の雨に追い込まれ、ホシイナーの巨体が迫り、たちまち窮地に立たされる5人。

地上のくるみも手をこまねいているわけではなく、
のぞみ達宛の手紙をメルポに投函して助けに行こうと試みますが、
その手紙はメルポから吐き出されてしまいました。
ちゃんと想いを込めて書いたつもりであっても、想いが足りないと届きません。
狼狽するくるみに迷いがあると指摘するクレープ。
そしてナッツと小々田先生は一心不乱に例の試作品の試運転に取り組んでいました(笑)
この世界のパソコンにヒントを得て作り上げた装置の仕様は完璧。でも動きません。
その機械を前にクレープが力を注ぎこむと、果たして通信機能が作動しました。

月面を逃げ回り、追いつめられ、キュアモを取り落したドリームは、
キュアモを通してくるみの声がする事に気が付きました。
竹取物語の世界にいる事は伝えられたものの、手が出せない状況は変わりません。
それでもローズパクトはくるみ達の側にあり、
こちらは自分たちで何とかすると伝えるドリーム。
その背後に隕石が迫るのをモニター越しに目の当たりにしても、
くるみには何もできません。そして、途絶える通信。

何もできない事を嘆くくるみに、クレープは冷徹に言い放ちます。
くるみはパルミエ王国の準お世話役であり、プリキュアを助けるのが役目ではない。
確かにその通りかもしれません。しかし、クレープの冷たい言葉は止まりません。
『ココリンが無事ならそれでいいクク。役目にないことをやる必要はないクク』
『勝手なこと言わないでよ。みんなの事何もわからないくせに!』
その発言を聞いて、これまでクレープ王女の立場を尊重し、
常に敬語だったくるみが、激しくテーブルを叩いて強い口調で反論します。
『プリキュアが、みんながどんな想いでココ様とナッツ様を支えてきたか。
 パルミエ王国中がどれだけみんなに感謝しているか・・・
 私は、私は・・・何があっても絶対ドリームたちを助けに行く!』


『その気持ちクク。国王の事だけを考えるのがお世話役ではないクク』
確固たるくるみの発言を聞いたクレープは打って変わって優しい口調で語りかけます。
そして大切な仲間を想う気持ちは真のお世話役にも必要だと諭し、
くるみも再び手紙に強い想いを込めてメルポへと投函しました。
ドリーム達に隕石の集中砲火が、そしてホシイナーの巨体が今にも迫ろうとしている時、
くるみを乗せたシロップが駆けつけます。そして、変身するくるみ。

わざわざやられに来たと扱き下ろすシビレッタさんに対し、
ローズはここに来ることが、大切な仲間の傍にいられる事がうれしいと高らかに言い放ちます。
ホシイナーの攻撃を、ドリームと互いに背を向けて、死角をカバーしながら防ぎます。
その攻防の姿にほかの皆も続き、ルージュとレモネードが、ミントとアクアが、
それぞれ背中を合わせながら隕石を砕き、受け止め、一斉にホシイナーへと投げ返しました。
そして仕上げはミルキィローズブリザード。
ホシイナー撃退とともに、無事月の世界から帰還を果たします。

のぞみはくるみの手紙を開いてみました。そこには大きな字で一言だけ書かれています。
「絶交とりけし!! くるみ」
これ以上無いほど簡潔ながら、言いたい事が力強く書かれている手紙。
のぞみは仲直りの証として、くるみ=ミルクが大好物の
チョコを入れた月見団子をプレゼントします。
微妙だと言っていたくるみもいつしかのぞみのペースに流されて、
ちょうど月を覆う雲も晴れ、月見を楽しむみんなの声が、
月明かりの下にこだまします。が・・・

ナッツは一人、何もできなかった事を悔いていました。
機械を作ったのはナッツでも、クレープの力が無ければ動かなかった事、
そしてのぞみ達を直接助けに向かったのはくるみでした。
月を見上げながら団子をほおばるみんな。
ナッツの悩みに気づいているのは、ココだけです。


今回はいわゆる「販促回」に当たります。
重ねてシビレッタさん話ということもあり、あまり深く見る事もなく、
言い訳がましいのですが、私がこの話を見返したのは本放送以来で、
細部はほとんど覚えていませんでした。
そのため改めてくるみの気持ちの強さとのぞみとの関係、
無力を嘆くナッツの気持ちが伝わってきて、
この話の評価を改められた事は大きな収穫でした。

そして登場を重ねる度にクレープ王女の株が私の中でストップ高を更新し続けています(笑)
これまでのプリキュアの登場人物の中で、あえて憎まれ役を買って出て
さらにそれが大きな効果を上げている者は非常に珍しいです。
ここで連想されるのは「心を鬼にして」ラブに厳しく当たった美希です。
しかし、大人びて落ち着いているとはいえ、美希はまだまだ14歳の少女であり、
クレープと比較すると発言の重みが違って見えます。
年齢・人生経験を考えると決して美希を責める事は出来ませんが、
憎まれ口をあえて叩く際には、自分から「心を鬼にして」などと言うものではないと実感しました。
ともすれば本当にプリキュアを見捨てようとしているのではないか、
そう思わせるだけの立場にあるからこそ、クレープの発言に危機感が感じられ、
それにくるみが敬語で飾らぬ本音を引き出される様は、
このエピソードで最も印象深い一場面と言えるでしょう。

シビレッタさんのいわゆる「名作劇場シリーズ」のような愉しさがある中で、
「竹取物語」が、ココ、ナッツ、くるみとの別れがいずれ訪れる事を暗示しています。
みんなで楽しく暮らしていたのに、なぜ離れ離れにならなければならないのか。
のぞみの素の疑問に対するくるみの答え、「そう決まっている」「住む世界が違う」からは、
くるみ=ミルクも一度別れを経験したはずなのに妙にあっさりしているという印象を受けます。
しかしのぞみと違うのは、前作の初登場時までに過酷な放浪生活を余儀なくされ、
今作が始まってからの一時期はココとナッツとも離れ離れになっていた事がありました。
それが現実を見据え、リアリストでなければやっていけないという考えに
影響しているような気がします。

アナコンディさんとシビレッタさんのやり取りも、館長を巡る複雑な関係が感じられます。
ただ館長を喜ばせたい。ただ館長に自分を見てほしい。
エターナルに務める2人の女性幹部は、ともにこの一心で共通しています。
それが同類を憎悪するようにぶつかり合う関係はただただ切なく、
そしてどんなに尽くしても決して館長はこちらを向かず、
フローラを追い求めるだけという、報われないものです。
今となってはどうにもなりませんが、仮にこの2人が
同じ苦しみを持つ者同士として分かり合っていたら、果たしてどうなっていたでしょうか。
まさに竹取物語に登場する5人の求婚者のように、
悲しい道化を演じる事になってしまう2人には憐みの念を抱いてしまいました。

あまり重い事ばかりを言っているのもなんですので・・・
シビレッタさんシリーズ恒例とも言えるコスプレ衣装は、
りんちゃん、こまち、かれんの羽衣も良いですが、
のぞみとうららのウサギの可愛さは反則です(苦笑)
そして意図したものかどうなのか、のぞみの台詞「私って月野うさぎ?」もとい「月のウサギ?」
こうして文面に起こしてみると、意図したようにしか思えません。
まさか月野うさぎが3年後のシリーズの妖精としてレギュラーになるとは
この時点では思いもよりませんでした(笑)
羽衣・ウサギ姿からの変身も一人ずつしっかりと描いており、
シビレッタさん回を見る醍醐味はここにあります。

そして今回からEDが変わり、現時点では最後のガンバランスになりました。
フラワーショップ夏木の前で踊るルージュが妙にシュールだったり、
舞台で踊るレモネードに迫る増子さんのシャッター、
羊羹入りのおかゆと伊勢海老入りのおかゆを持って登場する上級生組と
ネタには事欠きませんが、皆概ね可愛らしく、ガンバランスの集大成と言えそうです。
そしてもう一点、冒頭のチアガール姿と、続いて画面袖から歩いて来る様は
明らかに初代EDがモチーフでしょう。
いろいろな意味で、ここまでのプリキュアを纏めているように感じられました。
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まるっさ

クレープ王女。確かにあの一切のブレ無く、ミルクの本音を引き出すシーンは個人的にも印象深く、逆にプリキュアにおいては珍しい王道だな、とも思いました。とにかく四王のうち特にこのクレープとドーナツのスペックの高さは凄いかと・・・ババロア女王(笑)。

・・・いやババロアさんも良い所あったと思うし(たぶん)、キャラ的には好きなんですけどねw

あとはりんちゃんさんの
『はい、そこはしゃがない』
が見る人によっては(笑)、のぞみ×うららに妬いてるようにも見え(ホント『見る人』によりますがw)、その真偽はともかくとしてつくづく作り手もキャラを『判って』作劇されているというのが観られる部分かと。もういっそ5で三期作って欲しいところです。

そして他のレスにおきましても何度も触れさせていただきましたが(汗)、
変にシロップに遠慮がちな他のメンバーと違って、全く遠慮なしにシロップと同じ目線でぶつかるくるみさんは流石というか微笑ましいというか・・・シロップとくるみ・・・この回だけ見たら確実にケンカップルに見えるんじゃないかと思います(笑)。年頃の男女を描く王道ではあるものの意外とプリキュアでは他では見られない要素でもあります。咲×健太は結局自然消滅しちゃったし(涙)。

ではでは。


by まるっさ (2011-08-15 12:29) 

スティクス

>まるっささん
こちらにもコメントありがとうございます。
5GoGoの再見は初見で見て以来のものなので、
ドーナツ国王やクレープ王女の姿勢は
本当に5GoGoの再見では目から鱗が落ちる事が多く、
日々新たな再発見を楽しんでいます。
いずれ語る事があるかもしれませんが、
5GoGoのリアルタイム放映時、ちょっと色々とあったもので・・・

>りんちゃんさんの『はい、そこはしゃがない』
そういう見方もありましたか(笑)。そう言われると怖い怖い(苦笑)
前年と比べて、キャラクターの動かし方がこなれているためか、
5GoGoの各キャラクターは「脚本で動いている」というよりも
「キャラクターが脚本を作っている」と言った感じがして
より自然に動いているという印象を受けます。

>シロップとくるみ
シロップとくるみの腐れ縁のような関係が自然に見えるため、
果たしてうららとくっつける事が当初の予定にあったのかが気になります。
うららがシロップにタメ口を聞くようになったところを見ると、
学年ではシロップの方が一つ下という事になりますが、
仮にくるみ×シロップとなると年下の男子とくっつくという
珍しい設定になりますね。
健太は途中から咲よりも宮迫に夢中になってしまいましたし(笑)
あとは自分に向けられている好意に対しては
まるで鈍感な魔性の女、つぼみくらいでしょうか(苦笑)
by スティクス (2011-08-15 23:35) 

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