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5GoGo 第43話『恐怖!エターナルの館長!』 [Yes!プリキュア5GoGo!]

教師を目指す上で、夢原のぞみがしなければならない事は何なのか。
今回のぞみが自ら身を置いた「自立」「独り立ち」も大切です。
しかし時には皆の協力を得たり、助言を得たりする事もあって然るべきです。
「自立」を「独善」としている事に気が付いていない館長と、
「自立」が皆を支え、同時に皆から支えられている事に気づかされるのぞみ。
館長の脅威もさることながら、のぞみを「木」に例えて
みんなとの「森」の関係を描き出す展開が光る、終盤を彩る一編です。
  
かつて見た光景か、はたまた夢の中の出来事か。
館長はフローラに拒絶された日の事を思い浮かべていました。
『あなたはキュアローズガーデンに何を求めるのですか?』
館長が求めるものは、完成された世界であり、
価値ある物を集めた究極の花園。しかし、フローラの心は動きません。
『支配を求めるものにキュアローズガーデンの扉が開く事はありません』
館長に哀れむような目を向けるフローラ。
そして館長との間に扉が閉じられ、さらにその扉は茨で固く封印されました。
『これが答えだというのかフローラ!?キュアローズガーデンは必ず我が手に入れるッ!
 くぁならずだぁあああ!!』(思わず千葉さん節を起こしてしまいました(笑))
我に返った館長はフローラが選んだ者、のぞみを確かめるべく、
大きく翼を広げて自ら動き始めます。

ナッツハウスでは、みんながテストに向けて勉強中です。
皆で教え教えられる中、その輪の中にはなぜかのぞみの姿がありません。
その頃、のぞみは一人図書館で勉強していました。
しかしのぞみがそうそう一人で問題を解けるものではなく、
頭を悩ませて思わず大声を上げてしまい、周りの生徒達に注意される始末。
それでも居合わせた小々田先生は、
一人で勉強しようというのぞみの姿勢を評価し、口出しせずにそっと見守ります。

ナッツハウス組は、シロップの焼いたホットケーキで一息入れていました。
そして、なぜのぞみは一人で勉強しているのかと当然の疑問が上がります。
みんなと勉強すれば解らない事も聞けるし、効率も良いですが、
のぞみの意志を知るりんちゃんがみんなに説明します。
『いつもみんなを頼っちゃうから、自分一人の力で出来るようになりたいって言ってた』
自立したいというのぞみの意図を理解するも、
今頃お腹を鳴らしているのではないかと噂をするみんな。
と、案の定のぞみは図書館でお腹を鳴らしていました。
そしてシロップは、みんなが食べ終わったのにまだホットケーキを焼いています。
そのホットケーキに重なるように、12月の夕陽が西に大きく傾きました。

どれだけ勉強に集中していたのか、気が付いたら周りには誰もいません。
誰もいなくなった図書館に差し込む夕陽。
さっきまで生徒達が勉強していた図書館は、しんと静まり返っています。
慌てて荷物をまとめるのぞみ。
同じ頃、アナコンディさんはエレベーターで館長の部屋へと降りて行きます。

帰り道、のぞみは木立の間を抜ける道を歩んでゆくと、
ふと一本の立派な木が目に留まりました。
『この木、凄いなって思って。自分の力でデンと立って、
 強い風が吹いてもびくともしないし、私もこんな風になれたらな、って』

のぞみは木を見上げ、声をかけてきたおタカさんに気持ちを打ち明けます。
おタカさんがこの学校に来た時、この木はもっと小さく、
大地に根を下ろし、葉を茂らせ、枝を伸ばし、周りの木々と一緒に大きくなって
学園を囲む森を作ったと語り、そしてのぞみもそうやっていると指摘しました。
『のぞみちゃんも同じ事をちゃんとやってるじゃないか』
ところがのぞみがその先を聞こうとした矢先、風が吹き付けて空模様が荒れ始めます。
のぞみはおタカさんにもう帰った方が良いと促された矢先、
教室に忘れ物をしていた事に気が付きました。

館長の部屋をノックするアナコンディさん。
返事はありません。扉を開くと、中には部屋の主は居ませんでした。
そしてアナコンディさんは館長の部屋に落ちている一枚の羽根に目を留め、
言い知れぬ不安を抱きました。『まさか・・・?』

教室にノートを取りに戻り、教室を出る前に、
のぞみはふと、無人の教室の教壇に立ってみました。
『では、授業を始めます。解らない事があったら先生に何でも質問してくださいね!』
将来の姿を夢見て声を弾ませるのぞみ。
しかし、同時に自信の無さが不安となって現れます。
『答えられないかもしれないけど・・・』
『大丈夫だよ。すぐに答えられなかったら後で答えてもいいんだよ、夢原先生』
いつの間にか、教室の入り口から小々田先生が見守っていました。
みんなにアドバイスしてもらえば良いという小々田先生に、
のぞみは一人でやらなければならないという決意と、
同時に一人で出来るのかという不安を口にしました。
『のぞみは夢を叶えようと一生懸命努力してる。それはとっても凄い事なんだよ』
のぞみは少し考えて、先ほどおタカさんに言われた事を単刀直入に尋ねました。
『森もできる?』
いきなりそう言われても答えようがありませんが、
のぞみはおタカさんに、学校の大きな木みたいに自分の力で立って、
周りに森も出来ていると言われた事を補足します。
おタカさんの意図を察した小々田先生がのぞみに答えようとした時、
冷たい風が吹き付けました。窓が閉まっているのに、なぜ・・・?
不意に恐ろしい気配を察し、小々田先生はのぞみにナッツハウスへ行こうと強く促します。
同じ頃ナッツハウスでも、シロップとナッツがいつもと違う気配を感じ取っていました。

木立の間の道を急ぐのぞみと小々田先生の行く手、
広がる夕陽の前に、得体の知れない何者かの姿が立ちはだかっています。
それが館長と知って警戒する小々田先生。
館長は出会って早々、のぞみに疑問をぶつけます。
何故、のぞみが選ばれたのか。何故、キュアローズガーデンを目指すのか。
のぞみはフローラに来て欲しいと頼まれただけだと答えますが、
館長はその答えに満足しません。
フローラが何者なのかを知らず、キュアローズガーデンの価値を知らないのぞみには
ローズパクトを持つ資格は無いと言い放ち、ローズパクトを要求します。
『のぞみ達の邪魔をするな。フローラがなぜローズパクトをのぞみに託したのか。
 あなたこそ、その意味を知るべきだ!』
反論する小々田先生ですが、館長に打ち据えられてあえなくココ姿に。
のぞみは単身変身し、キュアドリームとして館長と初めて相対しました。
静かな緊張が走ります。

その緊張を破る館長の攻撃。手を伸ばすと影が伸びてドリームに迫ります。
その影を避けて館長に挑みかかるも、ドリームは広がる翼にあえなく弾かれました。
『お前のように無知で無能な者を選ぶとは、フローラは過ちを犯したな』
そう冷たく言い放ち、ドリームに一撃を放つ館長。
ドリームはあの木の際へと追いつめられ、館長が静かに迫り来ます。
『この世界の物は全て価値のある者と価値の無い者に分けられる。
 そして価値の無い者は消えるべきだ』
続く一撃はドリームの後ろの木を消し去りました。
あの木を無残に消し去られたドリームが悲しい目を浮かべる中、
館長の力は周囲に及び、校舎が、図書館が、教室が、テラスが、
サンクルミエール学園のあった場所は、無残な更地と化しました。
そして次はドリームに標的が向けられます。
『無知で無力なお前も価値は無い。消えろ』

『ドリームを消させはしないわ!』
『価値が無いから消すなんて、随分乱暴ね』
『木々や草花を消すなんて、許せない』
間一髪のタイミングでみんなが到着し、
勢ぞろいした5人とローズは夕陽を前に立つ館長と対します。
館長は無数のホシイナーボールを放ち、みんなの周りに砂煙を起こしました。
『伝説の赤いバラと青いバラの力を見せてみろ』
砂煙に映った影が一瞬プリキュアの姿を取り、砂煙が晴れると、
その向こうには6人の色を纏った悪魔のような姿のホシイナーが立ちはだかります。
ファイヤーストライク、プリズムチェーン、エメラルドソーサー、サファイヤアロー。
次々に放つ技の数々はいずれも片手で受け止められて数倍返しで反撃され、
ローズを握り締める紫の悪魔の手は気色悪く泡立ってローズを包み込み、
ドス黒いバラを咲かせてローズを打ち飛ばしました。
さすが館長が操るホシイナーは強く、たちまち劣勢に回る6人。

『お前達に価値があるとは思えん。黙って私の力の前にひれ伏すのだ』
それでもこの状況下で、真っ先に立ち上がるのはドリームです。
『私達はちっぽけで無力かもしれないけど、みんなやりたい事があるの。夢があるの!
 あなたが消した木だって草だって、もっともっと大きくなりたかったと思う。
 だから、だから・・・あなたの価値観を押し付けないで!』

ドリームに続いてみんなも立ち上がり、
フルーレと共にレインボーローズエクスプロージョンを放ちます。
すかさず6色の悪魔たちを呼び集め、
巨大なドス黒いバラを咲かせて受け止める館長。
力が拮抗する中、中心に立つドリームに呼びかけるミント。
『ドリーム!自分を信じて。大地に根を張る大木のようにしっかりと立ち、
 大きく手を広げるあなたの姿こそが私達の支えなのよ』

あの日、絶望のどん底からドリームを中心に手を取り合って
再び戻って来た時の事を思い出し、無言でうなずくみんな。そして・・・
『あんたの言いなりには絶対にならない!』
館長はそのドリームの目に、自分を拒絶したフローラの目を見出す中、
レインボーローズエクスプロージョンはドス黒いバラを押し潰しました。

しかし安堵するのも束の間、まだ館長がいます。
予断を許さぬ空気が立ち込めますが、
不意にアナコンディさんが駆けつけて館長を連れ戻しました。
と同時に、元に戻る学校。
そしてエターナルに戻ったアナコンディさんは館長の身を案じますが、
当の館長は無知で無力でありながら、自らの意志で強い力を生み出した
プリキュア達に興味を持ち、その価値を認め始めました。

館長も動き出した今、モンブラン国王の回復を待って早めに手を打たなければ・・・
ナッツハウスに漂う張りつめた空気は、
ホットケーキを嬉々として平らげるのぞみによって壊されました。
『一生懸命根っこを張って枝を伸ばすから、ね!』
口元にホットケーキを付けて無邪気な笑顔を見せるのぞみ。
こまちに乗せられたのかもしれませんが、その頼もしさをみんなで笑って見守る、
どんな風が来ても負けない「森」のような関係がここにあります。


ストーリーも終盤に入ってから初めて館長が動き出すだけあって、
今回はさりげなく恐怖感を演出するような演出が印象的でした。
冒頭で館長が出撃した事を視聴者は当然知っています。
誰もいない図書館や、人けのない木立の間の道、そして無人の教室と、
これらの場面では特にBGMも抑制され、
いつ館長が現れるかがわからないというサスペンス色がありました。
輪をかけてのぞみが一人でいる事で、
大きな脅威をのぞみだけで対抗しなければならないという緊張感が感じられます。

前作のデスパライア同様、影から悪魔のようなホシイナーを作り出すという
館長の独特の能力がその存在感を際立たせています。
その戦いぶりも、ローズを掴んだ紫の悪魔の泡立つ腕や、
巨大なドス黒いバラの花弁の中央に開く口、
といった不気味さがあり、恐怖感以上に嫌悪感を抱かせ、
得体の知れないラスボスとしての戦いぶりが目立ちました。

さて、生きとし生けるもので、何かを奪わない者は居ません。
それはのぞみ達プリキュアも当然ですし、今回例に挙げられる「木」もその一つです。
木は根から養分を吸い上げて成長するものです。
しかし、木から延びる枝葉は根を張る大地を冷やし、
役目を終えた葉は枯葉となって大地に降り積もり、
それは再び肥料となって新たな生命の源となります。
今回のみならず、シリーズを通して館長が犯している過ちは、
奪うだけで何かに還元しようとしない姿勢と言えるでしょう。
無数のコレクションを集めてきたハンター達や、それを取りまとめるアナコンディさんに
労いの姿勢を向ける事が出来ていれば、
奪い支配するだけでなく、包み込み理解する事が出来ていれば、
このような事態を招くような事は無かったでしょう。

今回、のぞみは「木」と形容されます。
確かにのぞみの持つ不思議なカリスマ性と求心力は「木」のように頼もしく
ゆるぎなく力強さを感じますが、
のぞみにも当然不安を抱いたり自信を失ったりする一面を併せ持っています。
人は誰でも完全ではありません。
だからこそ、のぞみが幹ならそれを支えるみんなは根であり枝葉でもあります。
根が支えているからこそ木はしっかりとそびえ立ち、
枝葉が広がるからこそ木は光合成をする事が出来ます。
Give and Giveであり、Give and Takeでもある、
皆が与え与えられつつ築きあげられる関係。
これはのぞみが不在の状況でも変わらず、冒頭の勉強のシーンや、
のぞみのためにホットケーキを準備する姿などではっきりと見受けられ、
ここに至るまでの2年間で得られた深い関係が感じられました。

中でも今回はドリームを後押しするミントの台詞が印象的です。
「安らぎの緑の大地」というだけあって、木が根を張る大地の如く、
的確なタイミングでの励ましは的確かつ自然でした。
ミントだけでなく、のぞみの意向を真っ先に理解しているりんちゃんや、
誰に言われるまでも無くホットケーキを焼いているシロップ等、
のぞみを囲む森のような関係を目の当たりにした次第です。
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まるっさ

『可愛い女の子だと思った?』
『残念!ホシイナーちゃんでした!』
と・・・最近ネットで見掛ける!?フレーズで当時の反応を表現してみました(笑)。

この回は鼻筋の通ったドリームなど独特ではありますが、他の回では見た記憶がない美麗さのある作画で印象深かったりします。
そしてカメラワークなどで館長の怖さを存分に表現した回としても。

こうやってちゃんと各人が夢や将来に真摯に向き合った話が多いのも5シリーズの良さかな、と思います。特に『厳しさ・不安』を描いている点で。

そして今回の貴方様のレビューを拝見してつくづく小々田先生はカッコいいなぁと改めて思いました(笑)。
by まるっさ (2011-09-25 13:02) 

スティクス

>まるっささん
私も最初はダークドリームの再来とまでは行かなくとも、
顔だけホシイナーのプリキュア5とかかと思ったのに、
普通にイメージカラーを纏った悪魔で脱力した次第です(笑)

館長の怖さに関しては、実力そのものよりも
全体的な話の舞台と見せ方が秀逸でした。
その中で小々田先生が館長の事を非難しながらも、
「あなた」と敬称で呼んでいるのが記憶に残りました。
ココも世界を旅しただけあって、文物を収蔵し保護しているという
館長の言い分をある程度理解を示しているのかな、と。

それぞれの将来に関しては全シリーズを見回して
一番掘り下げられていると思いますが、
当初から「夢」が大きなウェイトを占めている事も大きいでしょう。
間もなくこのシリーズの再見は終わってしまいますが、
次回のスイートが将来の夢をテーマにした内容のようなので、
スイート流の切り口でどう料理するのかも楽しみにしたいです。

by スティクス (2011-09-25 22:33) 

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