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ハピネスチャージプリキュア!第9話 『空手でオッス!!プリキュアパワーアップ!?』 [ハピネスチャージプリキュア!]

 昔、「ベスト・キッド」という映画がありまして、今見れば突っ込みどころ満載だと思いますが、小学生当時は真面目にカッコいいと思っておりました。細かい内容は思い出せないのに、「ダニエルサーン」とか「箸でハエを掴む」とか、ネタ的な物ばかり覚えています。中でも強烈なインパクトがあったのは「ワックスかける!ワックスとる!」でしょうか。あれに空手の基礎があるという理論のお蔭で、しばらく父の洗車を喜んで手伝っていたという過去があります(笑)。言われてみれば今回の防御の動き、あれワックスがけに似てますよね・・・?
  
 前回の窮地をフォーチュンに助けてもらった事は、めぐみとひめの中に未だ尾を引いています。キュアフォーチュンとは何者なのか。実はブルーですらどこでプリキュアの力を手に入れたのかを知りませんでした(神がそれでいいのか)。唯一、少し絡みがあるひめは彼女を苦手としており、更に何かめぐみに隠し事をしている様子ですが・・・?
 ともかく、これ以上フォーチュンにアレコレ言われないように強くなろうと、心機一転、特訓の意欲が沸いて来ます。体だけではなく気持ちを鍛えることも大切だというブルーの忠告を聞き流し、それでもまずは体から、と二人元気よく走り出して行きました。

『Go!』『Fight!』『Go!』『Fight!』『Go!』『Fight!』
 河川敷を気合十分で走り込んでいると、同じくジョギング中のゆうゆうに出会いました。しばらく一緒に走るも、ゆうゆうのペースは二人に比べてゆっくりです。
『ジョギングは、ロング・スロー・ディスタンスだよ』
 その方が空腹になりご飯も美味しく食べられるというゆうゆうのアドバイスは、目的は鍛錬にあると考えている二人に届かず、ハイペースのまま先に走って行きました。しかし普段から走り込んでいるならともかく、そんなハイペースが長く続くはずがありません。バテて歩き出した二人を、先ほどのペースを保ったゆうゆうが追い抜いて行きました。
『無理すると続かないよ』
 結局めぐみとひめは2キロも走らぬうちに疲れてダウン。そこに道着姿の誠司が通りかかり、彼の通う空手道場へ見学に行く事になりました。

 やってきたのは「氷川流空手道場」。その名の通り、ここは氷川いおなの実家で、彼女の祖父が師範を務めています。めぐみ達が見学にやって来ると、折よく師範といおなの組手が始まりました。師範から一本取るいおなの腕前は相当なもので、道場の女子からも憧れの存在です。めぐみの同級生、かずみちゃんもその一人。彼女にまず挨拶の「押忍!」を教わった後、一緒に更衣室へと向かいました。
 当然初心者は白帯からスタート。ひめは青帯を締めたくて不満そうですが、ともかく道着に着替え、誠司に指南を仰ぐことになりました。
 ところが練習はひたすら防御のみ。冒頭に触れた「ワックスかける!ワックスとる!」の繰り返しです。
『氷川流空手は最初に防御を学ぶ。その先におのずと攻撃への道が開ける』
 そう説明されても、地味~~~~な練習の繰り返しに、めぐみとひめは早々に飽き始めました。
『これで強くなれるのかな?』
『もっと、たあっ!とかやりたいよね』
 誠司はその隙を見逃しません。真面目にやれと一喝され、結局夕暮れまでひたすらワックス、もとい防御練習に費やしました。仕上げの腕立て伏せ30回をやり切ることもできず、めぐみとひめはもうぐったりです。

 一人練習に励むいおなのような動きに憧れを抱く二人ですが、初心者がいきなり出来るものではありません。それでも興味津々の二人に、誠司はなぜ強くなりたいのか問い掛けます。
『もちろん、敵をボッコボコにするためだよ。でもって、フォーチュンも見返すの!』
 しかし誠司は違います。相手を倒すためでは無く、自分を鍛えるためという理由で空手を続けていました。めぐみもひめにはその意味が分からず、それがわからない内は攻撃は教えられないと、誠司は説きます。

 更衣室で着替えながら(あの、カメラさんもう少し上の方をお願いします)、早くいおなみたいになりたいとボヤく二人。何年も空手を続けているのに伸び悩んでいるかずみも、同じ気持ちを抱いていました。
 そこに、突然ゆうゆうが登場。めぐみ達がここに入るのを見たと、ハニーキャンディを差し入れに来てくれました。少し弱気になっていたみんなも、キャンディのお蔭で元気いっぱい。かずみも明日の昇段試験に向け、意欲が上がりました。

 皮肉なことに、その「やる気」をオレスキー将軍が嗅ぎつけました。「俺様の地位を脅かすやる気のある若い芽は早いうちに摘む」という、よくわからん理屈で狙いを定めています。

 翌日、昇段試験。かずみは今回段を取れなければ空手を辞めようと思っていることを吐露します。改めてめぐみとひめの励ましを受け、道場裏で練習に励みますが、一度植えついた弱気は簡単には消えません。そこに現れたオレスキー将軍によって、かずみは鏡に閉じ込められました。道場を破壊し始めるサイアークを前に、避難誘導係は有能な誠司に任せ(笑)、変身する二人。

 現れたラブリーとプリンセスを見て、オレスキーはフォーチュンが居ない事に拍子抜けしています。一方、ちょっとでも空手をかじった事で、ラブリーは妙にやる気です。攻撃はまだ習っていなくても、気合でチョイアークを蹴散らし、そして、
『まぶしいけど・・・ラブリービーム!』
 さながらディスピア様(の中の人)の「薙ぎ払え!」状態でチョイアークを薙いますが、その代償は大きく
『目がぁ~目がぁ~』(だいたいあってる)
 ムスカ状態になり、気づいたらチョイアークに包囲されてしまいました。もっともその窮地はプリンセスのフォームチェンジ→アラベスクシャワーで即座に脱しました。
『フォーチュンが居なくても余裕ですぞ』
 ナマケルダさんの真似しながら軽口を叩くなど、余裕たっぷりです。お次の相手はサイアーク。「おしりパンチ」を交えて正面切っての肉弾戦で善戦しますが、突きと見せかけたフェイントの回し蹴りで、一気に形勢が不利になりました。とっさにプリンセスを庇ったラブリーに、その回し蹴りがクリーンヒット。ラブリーは大きなダメージを受けて立ち上がる事ができません。
『お前の油断がこの事態を招いたのだ!』
 プリンセスは先日フォーチュンに言われた通り、ラブリーを不幸にしてしまったと気に病んで、なんとか打開すべく弾丸マシンガンを放ちますが、適当な攻撃は通用しません。
『やっぱり、私には守れないの?ラブリーの事も、この町も・・・』
 心が折れかけたその時・・・どこからともなく歌声が聴こえてきました。

♪いただきますと ごちそうさま 笑顔がふくらむ合言葉 幸せごはんで今日もハピネス♪
 いつからそこに居たのか、道場の屋根に新しいプリキュアが居ました。戦うでもなく、言い争うでもなく、ただ穏やかな顔で優しく歌っているだけ。
♪卵かけたご飯食べたい ごちそう手料理それも格別 おかずなしてもそのままでもOKです♪
ところが、オレスキー将軍も突然その歌にほだされてしまいました。
『そうだOKだ!ご飯最高!!でもなんだこの歌声、思わず和んでしまうではないか・・・♥』
 いつしかオレスキー将軍もサイアークも、傷ついたラブリーも落ち込んでいたプリンセスも、みんな一緒になって大合唱に加わっていました。
♪ああ ご飯はおいしいな♪
 その歌声でいつの間にか傷も癒え、元気が出て来ます。立ち上がった二人に、その新しいプリキュアがアドバイスを送りました。
『修行を思い出して。防御、防御』

 我に返ったオレスキー将軍が、再びサイアークをけしかけます。その正拳突きを、ラブリーとプリンセスは、あの「ワックスかける」動きで見事受け流しました。続く攻撃も振り払うとサイアークの体勢が崩れ、誠司の言った通り、防御がおのずと攻撃に繋がりました。その隙をついてツインミラクルパワーシュートでサイアーク撃退。
『明日の勝利のために、今日はここまで!!!』
 オレスキーもよくわからん理屈で撤退して行きました。

『パンチやキックも凄いけど、歌ってみんなが和むよね。じゃあまた』
 戦いを見届けて立ち去ろうとするプリキュアに、お礼を言おうと引き留めます。
『私はキュアハニー。お腹いっぱい幸せいっぱいがモットーだよ』
 ハニーは多くを語らず、名乗った後立ち去りました。一体、誰なんでしょうか・・・?(ほぼバレバレですが)

 かずみが気づいた時、いおなに介抱されていました。
『私、間違えてた。焦っていおなちゃんの真似をするんじゃなくて、基本を大事に一歩ずつ力をつけなきゃ』
 その考えはいおなも常に持っており、昇段試験に挑むかずみに優しくエールを送ります。
『お互い自分を高めましょう』

 めぐみ達も稽古の続きと行きたいところですが、ハニーの歌を聴いたお蔭で空腹になってしまいました。空手はまた今度。不思議だけどなんか変な歌、でも頭から離れない歌には、ハニーキャンディのような中毒性があるようです。誠司を交えた三人の歌声が、道場の前にこだまします。


 プリキュアが戦うのは、誰かを守るためであって先制攻撃を仕掛けるためではありません。その大原則について、改めて再確認させられた一編でした。誠司になぜ強くなりたいか問われた際、ひめは即座に『敵をボッコボコにするため』と答えていましたが、これは全作を通しても珍しいのではないでしょうか。もっとも、次作には「悪はバンバンバン倒す」という少々物騒な歌詞が出てきますが(笑)、その前に「幸せ通せんぼする」が掛かっているので、これも「守るため」に戦うと捉えています。
 ひめの背負っている事情を考えれば、ブルースカイ王国を開放するために幻影帝国を倒す必要があるという答えを出すのは当然です。しかし、今回はそのニュアンスよりも、フォーチュンを見返したい一心の方がクローズアップされていました。守るべき物のために戦うのではなく、自分に冷たく接してくる相手より相対的に上位に立ちたいという気持ちでは、真の強さは得られません。それを地味な鍛錬を通じて身をもって体験したことで、今回の空手はひめの成長にも寄与したと思います。

 いおなは前回見せた冷たさは影を潜め、ひめ(とめぐみ)に厳しく当たるというような事は無く、視線を送る際も「睨む」ようなことはありませんでした。道着に身を包んでいると、「礼に始まり礼に終わる」精神が自然と襟を正してくれるのか、それとも人を責め立てるようなことは己を高めるのに相応しくないと考えているのか、シリーズ前半の彼女としてはソフトな印象を与えています。かずみを介抱している時の優しい笑顔や、昇段試験に向かう彼女を励ます様からも、本当は優しい子だということが伝わって来ました。
 その際の台詞「プリキュアが助けてくれたのよ」という発言は、本当にラブリーとプリンセスを認めていないのならばこのような言葉は出てこないと思います。もっとも、「ハピネスチャージプリキュアが助けてくれた」ではなく「プリキュアが」と言っているので、ハニーの事を指しているのかもしれませんが・・・

 そのハニーについては、次回と次々回に譲ろうと思います。あの「歌」のインパクトは強烈なので、触れたい気持ちもあるのですが、次回はその歌がメインなので、そちらで改めて触れて見ます。ただ、こんな時間に炊き立てのご飯に卵かけて食べたい気持ちにさせる罪な歌で、本当に困ったものです(笑)。

 今回オレスキー将軍が登場する際、ナマケルダさんとホッシーワさんを下に見ることで、相対的に自分を高くしようとしていました。昇段試験前に弱気になっていたかずみを閉じ込める際にも、「お前より強い者を消し去り、お前が最強になれ」と呼びかけています。しかし、たとえば陸上競技で100mを10秒切れるような人たちが全員不調で、11秒台の人が突然優勝したとしても、その人が強かったとは言えません。相対的に下になる者を上から見て満足しても、成長とは言えないものです。誠司は空手を続けている理由として「自分を鍛えるため」と言っていますが、自分との戦いで自分を高めることこそが真の成長と言えます。
 そうは言っても、私自身そんなに強くないので、せめてこうありたい、こう臨みたいという気持ちを抱いた証として今回の感想に残しておこうと思います。
 
『そんなことないよ。何年も続けられたんだし』『私たちなんて一日でめげてるのに』
 これも、単にかずみを励まそうとした一心での善意の発言ですが、下を見せるのは結果として励ましになりません。かずみは目を覚ました時、自ら誤りに気づき、己を省みる事が出来ていました。なぜ急に心境が変化したのか、そのきっかけは定かではありませんが、少なくとも自分でそこに気が付き、さらに目標とするいおなも同じく初心を大切にしていると知ったことで、これからかずみは空手だけでなく人間としても成長していく事でしょう。そんな爽やかな余韻が感じられました。

 なんか感想部分が妙に固いので、目を惹いたところについて。今回はアクションパートが充実しており、プリキュアの戦闘シーンだけでなく、いおなと師範の組手や、誠司の練習などといった、日常パートのアクション的な動きにも見応えがありました。戦闘シーンについても正拳突きや回し蹴りの一撃の重さが伝わって来たり、混戦の中に「おしりパンチ」が見受けられたり、そしてインパクト抜群なのは「目がぁ~」でしょうか(笑)。他にもプリンセスによる「ですぞ」等、ちょっとした描写も楽しませてくれました。

 それにしても・・・腹が・・・減った・・・
 今から米炊くわけにもいかないし、どうしましょう(苦笑)

【今回のおめでとうメッセージ/キュアリズム】
 なにかとネタにされがちな彼女ですが、優しい笑顔で奥ゆかしい挨拶、実にたおやかでございました。
 前回のパインと同様、文脈に折り込み辛かったのか「気合のレシピ」が聞けないのが少々心残りです。
 その分去り際に「キュアリズムはたおやかに去るぜ」をやっていただけて良かったです。
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