SSブログ

プリキュアと同名駅をゆく~「南野」 [プリキュアにちなんだ旅]

 先月訪ねたのは「北条」です。なら次に行くべき駅は「南野」しかないと思いました。ただこの駅は首都圏からは遠く、日帰り出来なくもないのですが、せっかくここまで行くなら一泊して他にも近隣観光を絡めたいもの。というわけで土曜に祝日が重なってしまった2月11日から一泊で足を運んでみました。
DSCF2269.jpg
  
 本来この庄内地域へは、羽田→庄内空港便に乗ればひとっ飛びです。しかし土曜の朝に出て日曜の夜に戻る便は運賃が高く、新幹線利用にしました。
 まずは山形新幹線で新庄へ。白河の関を越えたあたりから少しずつ積雪があり、福島から先の板谷峠からは完全な銀世界に・・・しかも吹雪いています。先日の北条訪問時と同じく、かなり重ね着していますが、少々不安を覚える天候です。そして山形駅で大半が降りてしまい、ガラガラのまま新庄へ着きました。
 新庄で陸羽西線に乗り換え。その前に前回の経験から駅弁を買っておこうとしましたが、改札内に売店等がなく、一旦改札を出ようにも、陸羽西線の座席を確保するために離れられずに断念。なんとかなるなる、と車中の人になりました。
 陸羽西線に乗るのは初めてです。「奥の細道最上川ライン」という愛称どおり、最上川に沿って下る車窓はなかなか魅力的でした。車窓に広がる最上川は、「五月雨を集めて早し」という芭蕉の句の印象とは異なり、滔々とした流れが続きます。
DSCF2251.jpg

 ディーゼル車に揺られること40分で南野駅に到着。今回も下車したのは私一人です。
DSCF2252.jpg
DSCF2253.jpg
DSCF2258.jpg
 細いホームが一本に小さな待合室。線路の向こうは雪に覆われた田んぼが広がり、待合室の後ろに小さな集落、というささやかな無人駅でした。次の列車が来るまで二時間。果たしてここで時間を潰せるのか不安がよぎる中、追い打ちをかけるように大粒の霰が降ってきました。しかしせっかくここまで来た以上、気合いのレシピを見せて周囲を散策してみます。
 踏切を越えた先へ向かってみると、行けども行けども雪に覆われた田んぼばかり。
DSCF2260.jpg
DSCF2261.jpg
きっと稲穂が実る頃には黄金色の美しい光景が広がるのでしょう。しかし今日は降ったり止んだりの霰、強烈に吹き付ける風に傘もさせず、あてもなくさ迷うにはしんどいコンディションです。
 さすがにここで「奏」「リズム」「たおやか(笑)」は無さそうです。それでも渋い風格を纏う公民館や、微笑ましい看板など、地域の生活感が伺えました。
DSCF2262.jpg
DSCF2264.jpg
 強風のため傘がさせず、地吹雪に煽られながら全身雪まみれで国道まで来ましたが、休憩できそうな店の類いはありません。あと一時間半もここをさ迷うのかと怖じ気づいたところで、「亀ノ尾の里資料館」という案内板が目に留まりました。とりあえず風がしのげれば・・・と思い、行ってみました。

 資料館は公民館の一室というささやかなものです。しかし内容は充実しており、米どころらしく、品種改良についての展示や古くからの農家の暮らしぶりなどが常設展示されているようです。また新撰組に関心のある方ならあまり良い印象を持たないであろう「清河八郎」はこの地方の出身者との事で、彼についての資料がかなり多く見受けられます。歴史は勝者が作る、とは言ったもので、私も清河八郎についてほとんど知らないのに悪く見ていたことが申し訳なく思えるほど、力の入った展示内容でした。

 この資料館でしばらく時間を潰した後、南野駅まで戻ります。来た時とは違う道を通りましたが、やはり店は無く、「リズム」「奏」「たおやか」関連のものは皆無でした。
DSCF2267.jpg
 そして南野駅に戻った時点で、まだ列車が来るまで30分弱もあります。地吹雪による身体へのダメージも洒落にならず、あの小さな待合室へと逃げ込みました。
DSCF2268.jpg
 頼りなく見えた待合室だったのに、風雪から守ってくれるだけでなんと心強い存在だろうと、謎の感動を抱いた次第です。吹雪は勢いを増してきて、あと5分遅かったら私はもっと雪まみれになっていた事でしょう。容赦なく窓を叩く雪の音が規則的で、ある意味「リズム」を感じました。

 5分遅れで到着した列車に乗り込み、14時頃に1駅となりの余目で下車。前述の通り駅弁を買えなかったのでまだ昼食を採っておらず、ここなら何か食べられるだろうと考えて途中下車しました。
 ところが駅周辺地図を見ると1㎞ほど離れたところに「響ホール」なる建物があるではありませんか(笑)。南野を目指して来たら響に巡り合うとは、さすが「ひびかな」です。ここでも寒いのは目に見えているので、先に響ホールへ行った後、暖かい店で食事をしようと思い、行って見ることにしました。

 東京で暮らしていると1㎞程度の距離を歩くのはざらなので、正直ナメていました。ところがここでも台風のような寒風が常に吹き付け、降ったり止んだりの霰に身を叩かれ続けました。俺こんなところで何アホな事してるんだろうと思いながらも、ここで決めなきゃ女(男)がすたります。たかだか1㎞に20分ほど要して、ようやくたどり着きました。
DSCF2272.jpg
DSCF2273.jpg
 
 寒さと空腹でそろそろヤバくなって来たので、駅から来る途中で見つけた「町湯」という温泉施設へ駆け込み、ようやく一息つきました。本来なら先に温泉へ向かうところですが、まずは栄養補給が先決と食堂に向かいました。名産とか名物とか関係なく、無性に「ただのカレー」が食べたくなり、香辛料の力を借りて体の内部から温めます。もっとも、このカレーはとても美味で、疲れて冷え切っていたからかもしれませんが、世の中にこんなうまいカレーがあるかと思ったほどでした。そういえば奏もカレー作った事ありましたね・・・
 温泉の方も薄い琥珀色の湯がかけ流しとなっていて、雪見の露天風呂もあり、これで400円は安いです。列車時刻を気にしなければもっと長居したい施設でした。

 この後は今夜のホテルを取った鶴岡へ向かいます。吹雪のせいで列車が遅れており、反対側に至っては34分遅れという豪快な遅れっぷりです。こんな天候の時に来るところではなかったのかもしれません。ホームの反対側に留まっていた列車に目を向けると・・・
DSCF2275.jpg
 なんか出たココ!(笑)

 鶴岡に到着後、明日に備えて観光案内所で資料一式を取りそろえてホテルへチェックイン。

ホテルルートイン鶴岡駅前

ホテルルートイン鶴岡駅前

  • 場所: 山形県鶴岡市末広町1-17
  • 特色: 鶴岡駅より徒歩1分の好立地。男女別ラジウム人工温泉大浴場を完備。朝食は、品数豊富な和洋バイキング。


 その後も地吹雪は止みませんが、土地の味覚と地酒を求めて一人さまよい歩きを始めました。冬の庄内地方は鱈が名物とのこと。ふらりと入ったお店で、鱈の白子のポン酢あえを肴に地酒を頂くことにしました。
DSCF2277.jpg
DSCF2278.jpg
 そして「どんがら汁」なる汁で体を温めます。アラから出た出汁、締まって弾力ある鱈の身、白子の濃厚な旨味に、岩のりが絶妙なアクセントを添えていて、美味しゅうございました。
DSCF2279.jpg

 翌日(2月12日・日曜)はホテルで朝食後、8時半から「プリキュアアラモード2話」の本放送を視聴してからチェックアウト。鶴岡の名所へ足を運びます。鶴岡は城下町として名高いことと、藤沢周平作品の舞台「海坂藩」のモデルということは知っていました。しかし私は「時代小説」より「歴史小説」の方が好きなので、藤沢周平は「蝉しぐれ」を読んだことがある程度で、さほど熱心な読者ではありません。それでも「蝉しぐれ」の切ない物語を彩る情景には興味があり、中心地へと向かいました。

 途中の街並みは良くある地方都市の姿ではあるものの、どこか落ち着いた雰囲気を感じさせて好感が持てます。まずは東北で唯一残っている藩校・致道館を訪ねました。
DSCF2280.jpg
DSCF2284.jpg
 庄内藩が力を注いだ学問水準の高さと、質実剛健そのものといった佇まいには、観覧しているだけでも襟を正させられるようなものがあります。もっとも、室内の畳がとっても冷たくてピリピリしていたからかもしれませんが・・・ヤワな自分の身体が情けなく思えて来ます。

DSCF2286.jpg
 鶴岡公園に入り、大正モダンが感じられる洋館「大宝館」内資料館に続き、藤沢周平記念館へ。
DSCF2288.jpg
 館内は様々な作品の特色が分かりやすくまとめられ、本格的に読んでみようという気になります。藤沢周平の直筆原稿も展示されていて、時代小説作家とは思えない丸文字が妙に可愛らしかったり(笑)。だからこそ、蝉しぐれの切なさ、瑞々しさが描けたような気もします。それにしてもこの字を活字に起こす作業って大変そうです。
 一通り館内を回った後は無性に藤沢作品を読んでみたい衝動に駆られました。ちょうど前日に清河八郎の史料を目にしたのも何かの縁なので、「回天の門」あたりから始めてみようかと思います。

DSCF2292.jpg
DSCF2293.jpg
 鶴岡公園を一回りした後、致道博物館へ。これほど充実した収蔵品があるとは思っておらず、1時間程度ではとても足りないほどの展示内容には圧倒されました。藤沢周平記念館でかなり時間を使ってしまったのでこちらを見る時間が足りず、やや駆け足になってしまったのが残念です。ちょうど修復中だった建物の改修が終わった後に、再び訪れたいものです。

 この後は昼食後、重要文化財のカトリック教会を見学した後、
DSCF2299.jpg
 朱色の欄干、川と山が織りなす光景を横目に見ながら、少し駆け足で鶴岡駅へ。そして「いなほ」と上越新幹線を乗り継いで19時過ぎに帰宅しました。

 観返したばかりの、魔法使いプリキュア第17話での校長の台詞「見て学ぶ楽しみは尽きることは無い」を、今回は寒さと痛さ(笑)も含めて体験した気がします。やっぱり実際に五感を使って見聞を深めることは楽しく、思い出に残ります。次はどの同名駅へ行こうかまだ決めていませんが、そこでも新たな発見がある事を期待しています。
nice!(3)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:旅行

nice! 3

コメント 2

急行・快特本八幡

スイート系では数年前の小田急多摩線黒川駅、前回の北条駅に続き、駅名がなさそうな「調辺」を除いてコンプリートでしょうか。駅ではありませんが、「三田網町 しらべ」という懐石料理の店が大江戸線赤羽橋駅の近くにあるとか。
「仙ココ」は、小牛田運輸区所属の意味です。
by 急行・快特本八幡 (2017-02-15 06:55) 

スティクス

>急行・快特本八幡さん
せめて「亜古」とかあればコンプリートだったのですが、無い物ねだりですね。残念です。
我が家の近所には「アコ」というお店があるのですが・・・

>仙ココ
さすがに「~ナツ」「~ミル」「~ロプ」は無いですよね。特に後2つは。
by スティクス (2017-02-15 23:49) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。