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ハピネスチャージプリキュア!第21話 『ひめの過去の過ち!怒りのキュアフォーチュン』 [ハピネスチャージプリキュア!]

 自分のことはなかなか自分では見えない。良くも悪くも、このテーマはプリキュアシリーズで何度も取り上げられてきました。自信を失い、殻に閉じこもるひめ。しかし彼女が思う程、めぐみとゆうゆうは愛想を尽かしたりなどしていません。
 そして、いおなもまた・・・
 
 ひめは部屋に閉じこもり、扉を固く閉ざしたまま。ゆうゆうとリボンがいくら宥めても出て来ません。さらにめぐみが「いおなとこれからの事を話し合いに行った」と聞いて、ますます負のスパイラルへと陥り、固く殻を閉ざすのでした。
『やっぱりめぐみは、私よりキュアフォーチュンの方がいいんだぁ~!』

 その頃めぐみは誠司を伴い、さながら道場破りのように氷川流空手道場の門を叩きました。
『ハピネスチャージプリキュアはいつでも新メンバー大歓迎!氷川さん!一緒に世界の幸せハピネス守ってこう!』
 有無を言わさずグイグイと迫るめぐみに、さすがのいおなも引いています。しかし、ひめとも一緒に頑張ろうというめぐみの意見を聞いて背を向けました。
『キュアプリンセスがいるなら私は一緒に戦えない。信頼できない相手と仲間になれないわ』
 誠司もひめをフォローしますが、いおなは聞く耳を持ちません。
『じゃあどうしたらひめを認めてくれるの?』
 その質問には答えず、背を向けて行ってしまいました。
『私と組む気が無いなら帰って』

 めぐみ達が帰った後、いおなは一人道場で稽古に励みます。
『愛野さんはあの子と離れる気は無い。やはり、私は一人でいいわ』
『そんな事言うなよ。ハピネスチャージにいおなが入れば、今よりずっと強いチームになる。いおなだって一人より・・・』
『私は一人で戦うわ!全力を尽くして!』
 なんとか説得しようとするぐらさんの言葉を遮るその目は、決意というよりも憎しみに満ちています。

 困った時の神頼み。リボンはブルーに相談しますが、神の力は万能ではなく、人の気持ちまでは変えられないと諭されます。部屋に閉じこもるひめ、誠司と共に帰路につくめぐみ、料理を作るゆうゆう、道場で稽古に励むいおなが、それぞれクロスミラールームの鏡に映し出される中、心は鏡のように光が当たるだけで変化するものだとブルーは説きました。
『今は怒りや悲しみに満ちていても、きっと心は繋がる。世界は災いに満ち、人々は不幸に苦しんでいる。でも愛があれば、イノセントな愛が集まれば、世界は生まれ変わる事が出来るよ。人の心を照らし、動かす事が出来るのは、人の想いのみ』
 ブルーは手にしたアクシアを見つめながら、めぐみ達の信頼に事を委ねています。

 大使館へ戻っためぐみを、ゆうゆうのクリームシチューが出迎えました。部屋に閉じこもったままのひめも、お腹を空かして涙目になっているところに、名付けて「おいしいご飯最強作戦」を決行します。
『何よ!私がこんなに落ち込んでいるのにみんなでご飯!?』
 クリームシチューの匂いに釣られたひめが、そっと戸をあけて様子を伺ったところを見事捕獲。さながら天岩戸です。
『罠かーーーーー!!!』
『そんなんじゃないよ。お腹がすくと元気でないでしょ。みんなで一緒にご飯食べようよ』
『おいしいクリームシチューだよ♪』
 ひめは釣られそうになるのを振り切って忍者に変身、さらばでござると言い残してドロンします(死語)。しかし、これまで何度もひめに逃げられためぐみも学習し、コツを掴みました。プリカードで犬に変身し、壁隠れの術で隠れたひめを見事嗅ぎつけます(そんなことしないでもバレバレですが)。外へと逃げ出すひめを追って、めぐみワンコがワンワンワン♥。ついでにゆうゆうも
『私も変装しようっと♪』
 なぜかヒヨコに変装し、ゆうゆうヒヨコがピヨピヨピヨ♥。突っ込んだら負けというレベルの全く意味も無い変装で後を追います。まあ、可愛いから許しましょう(笑)。

 商店街を抜け、逃げるひめをめぐみは必死に追いかけます。
『逃げないで話し合おうよ!』
『来ないでよ!どうせフォーチュンの方がいいんでしょ!』
『そんな事!思ってないよぉ・・・』
 ひめはめぐみが泣き出したのに気付き、戸惑いながら足を止めました。ひめが逃げるから泣いてしまったと言うめぐみの気持ちに、ひめはまだ気づきません。
『私の事なんて、もう放っておけばいいじゃん。私の事嫌いになっちゃったんでしょ!?』
『嫌いになんか、ならないよ!だってひめは・・・友達だもん・・・私の大事な友達だもん・・・』
 めぐみに泣きながら抱きつかれて、ひめも押さえていた涙が堰を切って溢れだしました。抱き合いながら、まるで子供のように泣きじゃくる二人を、追いついたゆうゆうが優しく見守ります。

 某柱の男かキュアハート先輩のように泣いてすっきりしたのか、皆で落ち着いて話し合います。
 めぐみがひめの悩みに鈍感でフォーチュンの事を話していた事を謝れば、ひめもまたアクシアを開けたのを隠していたこと、そもそも開けてしまった事を悔やみます。
『何で開けちゃったのよ私!おバカ!おたんこなす!』
 どこかコミカルに自分を責めるも、世界の災いが自分のせいだと自覚しているひめにとってはとても重い悩みです。めぐみもゆうゆうも、ひめを責めるのではなく、悪いのは幻影帝国だと諭しました。ひめはもちろん、わざとアクシアを開けたのではありません。ならば、それをいおなに話せば誤解が解け、仲良くなれるのではないかと持ちかけます。しかし、これまでキツく当たられたひめにとってはハードルが高く及び腰です。
『ひめ、ぴかりが丘中学に転校してきた頃も、そう言っててよ。学校が怖い、友達を作るのは無理って。でも今は毎日学校通ってるし、友達もたくさんいるじゃない』
『ちゃんと話せば分かってもらえると思うよ』
 一緒に気持ちを伝えに行こうと言われ、ようやくひめに笑顔が戻りました。
『・・・一緒に行ってくれる?』
『もちろんだよ!』

 その時、ぴかりが丘にファントムが登場。
『愛が大きければ大きいほど、失った時の絶望は大きくなる。良い頃合いだ』
 剣を抜くと共に生じた波動が、町の人たちを瞬時に鏡へと閉じ込めました。周囲は紫水晶に覆われ、閉じ込められた人たちを素体にした大量のサイアークが町に現れます。
『このままじゃぴかりが丘も・・・』
 この状況はかつてブルースカイ王国が壊滅した時と同じでした。あの時の惨状を思い出し、怯えるひめ。しかしあの時とは異なり、今のひめは一人ではありません。ぴかりが丘をブルースカイ王国と同じにしないよう、三人で変身します。

 周囲を取り囲むサイアークと渡り合う三人。同じ頃異変に気付いたいおなも、フォーチュンへ変身して一人奮戦しています。数が多いだけではなく一体一体がタフで手強い相手に、苦戦を強いられるプリキュア達。ラブリービームで一体片付けたと思ったところ、背後のもう一体に跳ね飛ばされたラブリーは、紫水晶に激しく叩きつけられました。追い打ちが迫るところにプリンセスが割って入ります。
『私の友達に何するのよ!』
 ゲンコツ・ツゥゥウインマグナム!!でサイアークを吹き飛ばし、ラブリーを案じました。

『私、プリンセスが好きだよ』
 お礼の代わりにいきなり愛の告白(笑)を受け、プリンセスは赤面してアタフタ。
『プリキュアの時だけじゃなく、私、いつもひめに助けてもらってるいっぱいいっぱい、何ども』
『そんなこと・・・無いよ』
 戸惑いながら手を差し伸べるプリンセス
『そんなこと・・・あるよ』
 笑顔でその手を取るラブリー。
『私はひめと繋がっているのが嬉しいの。私は鈍感で頼りないけど、困った事があったりしたら、相談してね。悲しくなっちゃうから』
『私はめぐみがいたから頑張って来られたんだ。頼りないなんて思ってないよ』
 そして、プリンセスは一言付け加えるのを忘れません。
『ちょっと鈍感かなと思っているけど』
 笑いあう二人の手がしっかり繋がれました。サイアークに取り囲まれた状況は未だ変わりませんが、この状況下でも二人は悪い気分ではありません。

『ラブリーがいる。ハニーがいる。私には大好きな友達がいるから、もう何があっても!最悪だなんて思わないわ!』
 攻撃を掻い潜り、反撃するプリンセス。負けじとハニーとラブリーも連携してサイアークと渡り合い、三人手を繋ぎました。
『プリキュアの力の源は愛。互いを信じ合い、支え合うのもまた愛だ』
 クロスミラールームで見守るブルーにも、その力の源が届いているようです。

 対照的に、フォーチュンは孤軍奮闘しています。スターダストシュートでサイアークを倒したものの、さすがに疲労で膝をついたところに、ファントムが姿を見せました。しかしファントムはフォーチュンに一瞥をくれた後、戦おうとせずにまるで逃げるように背を向けて走り出します。すかさずフォーチュンはその後を追います。冷静に見れば怪しいと気づきそうですが・・・今の彼女には、その余裕はありませんでした。

『ラブリー、ハニー、改めて言います。私、二人と友達になれて良かった・・・。改めて言うと、照れるね』
 サイアークを一度に片付けた後、プリンセスは改まって皆に笑顔を向けました。倒した数に比例して、プリカードも大量にゲット。まさに幸せ増量大盛りです。プリンセスにはラブリーとハニーだけではなく、いつも見守ってくれるリボンもいます。サイアークはまだ町にはびこり、ぴかりが丘の危機はまだ去ったわけではありません。
『行こう!ぴかりが丘を元に戻さなきゃ!』
 勢いづくラブリーを見送りながら、プリンセスはようやく自身を持ちました。
『私は、みんながいればもう怖くない』
 同時に、一人で戦ってきた彼女だからこそ、気づいた事がありました。
『でも・・・フォーチュンは・・・?一人で戦っているフォーチュンは、怖くないのかな?』

 フォーチュンはファントムと一騎撃ちを繰り広げています。そしてファントムに攻撃を仕掛けようとしたところ、突如その前に現れた鏡に吸い込まれて行きました。
 鏡の中の世界は、これまでファントムに敗れたプリキュア達が無念の表情で閉じ込められた鏡が立ち並ぶ、さながらプリキュアの墓場です。
『あなたは私をここにおびき寄せるためにわざと・・・!』
『全てはミラージュ様のため。キュアフォーチュン、お前を倒す』
 居並ぶ鏡の墓標に囲まれた中で、剣を抜くファントムに対峙するフォーチュン。無数の鏡には、彼女の姉、まりあを閉じ込めたものもありました。


 今回も、本来ならもっと重たくなってもおかしくないエピソードですが、それを緩和するネタの数々がまず目を惹きました。
 なんといってもインパクト大なのは、ゆうゆうの「ヒヨコのプリカード」でしょうか。全く脈絡なく、全く意味がない変装なのに、可愛さだけで全て許してしまえるようなものがありました。前後の忍者と犬の小芝居と、天岩戸のような「おいしいご飯最強作戦」などにも、何とも言えないとぼけた味わいがあります。また、部屋に閉じこもるひめが持っていたぬいぐるみのうち、クマはまあ良しとしましょう。ブサカワ?なニワトリのぬいぐるみの表情が強烈だったことも特筆しておきます。
 もっとも、これは次回が極めて真面目なエピソードという事も影響しているように思えます。さすがに次回はコミカルな要素を絡める事が出来ず、二週続けて重たくならないように配慮した結果と言えそうです。

 今回はひめが「殻を破る」ことが主題です。当初ひめは学校へ行く事にも怯え、それどころかゆうゆうに対しても恐怖心を抱いていました。これまでの学校生活や、めぐみ達との数々の体験・経験によって徐々にその殻が敗れて来たとはいえ、本当に殻を破るというのは難しいものです。
 特に自分に自信を失った状態に陥ると、周囲が全て自分の敵に見えてしまうもの。これは私自身もかつて一時休職になってしまった際に体験した事があります。実際に、私は手を差し伸べてくれた同僚、上司、先輩に対し逃げることで応えてしまいました。そして今回のめぐみのように、泣きたくなるような気持ちを抱かせてしまったと思います。この経験は私の黒歴史と言っても過言ではないのですが、その経験があったからこそ、今に活かせるものが生まれたと考えることにしています。
『プリキュアの時だけじゃなく、私、いつもひめに助けてもらってる』
 ひめは自覚しておらずとも、めぐみにとってはしっかりと支えになっている、ということがはっきりと描かれています。自分が思う程、人は自分の事を低く評価しているものではない、自信を持って良い、というメッセージは、かつての私自身経験があるだけに今回は深く響いて来ました。
 
 自分の経験があるからこそ、同じ痛みを持ち得る人の気持ちに寄り添う事ができるもの。
 かつてひめはめぐみと出会うまで、最弱と言われ連戦連敗ながら一人で戦って来ました。一人で戦う事の不安、恐怖というものは、めぐみやゆうゆう以上に身に染みている筈です。そんな彼女だからこそ、一人で戦ういおなが「実は不安なのではないか」という事に気付く事ができました。めぐみやゆうゆうでは、この役回りを演じる事が出来ません。ひめだからこそ、与えられた役です。
 これは同時にひめにまだ残る最後の殻を破るための課題でもあります。「今まで自分に憎悪を向けて来た相手とどう向き合うか」「その相手を苦しめている問題のきっかけを作った自分がどう償うか」
 これを克服した時こそ、固い殻を破ってつぼみが開くあたりまえの日が始まるのかもしれません。

 いおなもそろそろ、意固地な自分に気付き始めている頃だと思います。
 道場にめぐみが押しかけていた時、「キュアプリンセスは?」と聞いています。これはプリンセス=ひめがもし逃げ隠れせずこの場に来て、自分に対してはっきりと向き合えば、考えが変わった可能性があったのではないでしょうか。この時点でのひめは閉じこもっていたため、その状態を「信頼できない」と切って捨てたように思えます。その後道場で険しい表情で稽古に励む姿も、ひめやフォーチュンに対する怒りではなく、ひめを受け入れられない自分への苛立ちにあるようにも見受けられました。

 後半の戦いの場面でも、仲間と共に戦うプリンセスと、孤軍奮闘するフォーチュンの描き方は対照的です。その最たるものは「BGM」でしょうか。フォーチュンが戦っている時、効果音以外のBGMは一切使われておらず、本来なら専用BGMが入る筈の決め技バンクまで無音で放つという、特殊な演出が施されていました。直後ハニーが一気にサイアークを片付けたところからBGMが復活し、プリンセスが一人では無いことを噛みしめる描写へと続いています。さながらフォーチュンが戦いの盛り上げを演出するBGMさえも拒否しているようで、彼女の方がひめに代わって殻に閉じこもってしまったような印象を受けました。

 そしてファントムについても、後の展開を知った上で見ると
『愛が大きければ大きいほど、失った時の絶望は大きくなる』
 という発言が意味深です。実際に彼とその主君も、大きな愛を喪った大きな絶望を味わって来ました。しかし自分が経験したつらい思いを、他人にも味あわせようというところが、彼とひめの違いでしょうか。ファントムには「主」がいても「友」「仲間」はいません。これも、ひめのように相手の痛みに想いを巡らせることが出来なかった理由なのかもしれません。

 ひめといおな。この二人が互いに誠意を見せる次回、物語は再び大きく動きます。

【今回のおめでとうメッセージ/シャイニールミナス】
 彼女の事を知らないお子様からすれば、キュア~じゃないと思われてしまうのでしょうか。これも時の流れ、早いものです。それにしてもこの子がはるかはともかく、きららと同い年とはとても思えません。
 彼女らしい謙虚さと奥ゆかしさが感じられる中、両手を開いて手を振るなど、少しアクティブな姿が見られる事も印象的でした。
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