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魔法つかいプリキュア! 第21話『STOP!闇の魔法!プリキュアVSドクロクシー!』 [魔法つかいプリキュア!]

 私が毎週欠かさず観はじめたアニメは、ドラゴンボールだったと思います。他にもキン肉マンや北斗の拳、キャプテン翼や奇面組などいろいろと観てはおりましたが、ほぼ毎回欠かさず観たのはこれが初めてだったと記憶しています。その後ドラゴンボールZのフリーザ編終了あたりまでは毎週水曜の19時にTVの前におりました。今放映しているという「ドラゴンボール超」は全く観た事がないのですが・・・
 中盤の山となる一編なのにこんな切り口で始めたのは、今回色々な意味で当時を想い出した気になったためです。
  
 空が黒雲に覆われ、稲妻が走る魔法界。支えの木も萎れ、魔法界そのものが危うくなります。
『相異なる力一つになりし時、それは全てを超越し究極へと至る』
 ヤモーは来るべき大いなる災いと時を同じくする古い予言を口にします。ドクロクシーが導いた答えが闇の魔法であり、エメラルドを取り込むことで闇が世界を飲み込み、完成する。影響は魔法界だけでなく、ナシマホウ界にも及んでいます。
『全てがドクロクシー様の力に!』
『違うだろうクシィ!我々の目的は来るべき日に備え、災いに対抗する力を得ることだったはず!それが自ら災いとなり、世界を困らせてどうする!』
 雄叫びを上げるドクロクシーには、校長の呼びかけも届きません。校長自身も老いた身体では、気勢を上げるのが精一杯です。それでも校長の義務として、みらいとリコを守ろうとしますが・・・

『伝説とか闇の魔法とか、いきなり言われても私にはよくわからない。そんな事より、そんな事よりはーちゃんを・・・はーちゃんを返して!』
 今、みらいにとって大切な事はただ一つ。はーちゃんを返して欲しいという、ただそれだけです。無論、ドクロクシーに話は通じません。巻き起こる暴風に煽られながら、みらいとリコは懸命に手を取り、その猛威に耐えています。
 暴風と闇の波動は魔法商店街にまで及んでいます。不安を隠せない魔法界の人々を、話好きのフックさん(そういえば、こんな人いましたね・・・)が勇気づけます。
『闇は必ず打ち払われる。我らには伝説の魔法使いプリキュアがついておる!』

 暴風の中、しっかりと手を繋ぐ二人。これまで幾度となく、手を繋いできた事を思い返します。
 初めて出会った日、ほうきから落ちたリコの手をしっかりと掴んだ事。
 図書館で離れ離れになった二人の手が繋がれた時の事。
 雪山で、初めて「みらい」と呼び、雪に埋まったみらいの手を引いて助け起こした事。
 そして夕陽に照らされた列車で、別れを経て再び手を繋いだ日の事・・・
 他にもいろいろな事がありましたが、二人は手を携えて乗り越えてきました。この困難な状況下でも、二人は笑みを浮かべています。
 その時、モフルンが甘いにおいを嗅ぎつけました。同時に一所に集まっていたリンクルストーンが反応し、二人の前にダイヤが戻って来ます。その力を得て、ダイヤスタイルへと変身します。

『プリキュア・・・私の占いは示していました。輝き目覚め、闇蠢き、かつてなき変動を迎える世界。そしてその中心に降り立つ二人の魔法使い。運命をも覆しうる奇跡の魔法』
 ヤモーの前に、その奇跡の魔法を得て二人の魔法使いが再び現れます。
『ですが、大いなる力を手に入れたドクロクシー様は、今や世界そのもの。その前にはいかなる伝説も魔法もすべてひれ伏すのみ!抗えるものなどありはしないのです!』
 しかし、ミラクルとマジカルが願うのは争いではありません。ただ、返して欲しいだけ。ドクロクシーに向けて、両手を広げて呼びかけます。
『はーちゃんを返して!!』
 
 無論ドクロクシーがその懇願を聞き入れる筈も無く、問答無用で襲いかかって来ます。アメジスト、ムーンストーン、ガーネットの力を得ながら、攻撃を防ぎ、搦め手から叩き、地を揺らし、魔法と物理を交えた激戦が繰り広げられます。マジカルの天空×字拳(違)で地に背を付けたドクロクシーの胸を二人がかりで蹴りつけたと思えば、ドクロクシーも負けてはいません。マジカルを岩へと投げ飛ばし、ミラクルを殴り飛ばした挙句にラブリービーム目からビームで追い打ちをかけます。
『我に力を!』
 続けて元気玉でも放つつもりでしょうか(笑)。両手を掲げ、魔法界だけでなくナシマホウ界の力をも取り込み始めました。

 突如、ヤモーは憑かれたようにふらふらと、ドクロクシーのもとへ歩み始めます。
『私もドクロクシー様のお力に・・・』
 校長とモフルンがその尻尾を掴んで引き留め、説得しますが、彼はもともとヤモリです。「秘技・しっぽ切り」しっぽを自切し、主と一つになれる歓びと共に、ドクロクシーに飲み込まれて行きました。
『もっと!力を!』
 一回り大きくなったドクロクシーは、さらに力を求め続けながらミラクルに襲いかかります。マジカルが加勢し、再び戦闘開始。この、よく動く派手なアクションを文字では描き切れません。ビームが飛び交い、ドクロクシーの手がロケットパンチみたいに飛び、それはもう大変な大立ち回りです。ミラクルとマジカルは水中へと叩き落され、その間に校長がロケットパンチのような手に捕らわれてしまいました。

『全ての力を一つに』
 校長が飲み込まれようとする時、伝説の魔法使いが水中から飛び出します。
『みんなの力を無理やり飲み込むなんて!』
『そんなの、力を一つにするなんて言わない!』
 ドクロクシーの攻撃を弾くと共に校長を救いだします。そしてしっかりと繋がれた手を固く握りしめ、ドクロクシーへと向き合いました。
『力を合わせるって意味が解らないなら・・・』
『教えてあげるわ!!』

 するとドクロクシーの体内のスマホンが、否、はーちゃんがエメラルド色の光を発しました。モフルンは甘いにおいと共に、はーちゃんが呼んでいると感じています。
 ドクロクシーの凄まじい波動(口から怪光線)をダイヤの力で受け止め、力を求め続ける相手に反論する二人。
『ドクロクシー!あなたがどんなに強くても、全てを飲み込もうとしても!』
『私たちの力は絶対に奪わせない!』
『私たちの力は大切なものを守るための力!』
『大切なはーちゃんを助けるための力よ!』
 ドクロクシーも体内で輝きを増すエメラルドの光を渡そうとはしません。口から怪光線を吐きながら、両手のロケットパンチを飛ばし、ダイヤの障壁の横から回り込んで二人を掴みます。ミラクルとマジカルは懸命に手を伸ばし、互いの力が繋がれたその時、ドクロクシーの中からエメラルド色の光が飛び出しました。二人は顔を見合わせて頷き、ダイヤモンドエターナルを叩き込みます。ドクロクシーの姿は、砕けた骨となりました。

 戦い終わり、変身を解く二人。はーちゃんを宿したスマホンも戻って来ます。
 と、その時。ドクロクシーの怨念が襲いかかって来ました。変身を解いてしまった二人は即座に対処できず、危機一髪のその時!スマホンからはーちゃんが出て来ます。また少し成長した姿になったはーちゃんが、優しい微笑と共にハミングすると、ドクロクシーの怨念は消えて行きました。

 校長は消え行く怨念の中に、在りし日のクシィの姿を認めます。目を開いたクシィに、はーちゃんは何かを促すように頷き、そのまま共に天へと昇って行きました。最期にクシィは校長と、無言で目の会話を交わします。まるで、後を頼むと言うかのような・・・

 空に陽が差し、木も元気を取り戻します。
『古の伝説にあるとおりじゃ。世界に災いが訪れし時、奇跡の魔法が世界を救う。闇は打ち払われた』
 フックさんが満足そうに語る中、魔法界・ナシマホウ界ともに青空が戻ります。その青空へ、バッティの素体と思しきコウモリが羽ばたいていきました。

 スマホンの中には、既にはーちゃんの気配はありません。先ほどクシィと共に天に消えたはーちゃんの消息は、モフルンが嗅ぎつけた甘いにおいのみ。
『大丈夫モフ、きっとまた会えるモフ』
 空はこんなにも明るく、虹が美しく架かっているのに、みらいとリコの心は晴れません。


 このエピソードが好きな方には申し訳ございません。
 私の今回に対する第一印象は、「良くも悪くもドラゴンボールZ」でした。ガメッツさんとの最終決戦の回想まで含め、前回までのあらすじで2分半も尺を取るという手法を久々に観た気がします。他にも長尺で挿入される回想シーンなど、かつてこういう描き方あったな・・・と謎の懐かしさを覚えてしまったり(苦笑)。一年間の長丁場ですから、全てに納得いく作品を作り続けるのは難しい事ですし、私もそこは寛容でありたいと考えています。だからこそ、いわゆる「中ボス決戦」と言うべき重要なエピソードがこうなってしまったのが惜しまれます。
 私はシリーズを悪く言う事が目的ではなく、あくまで魅力を追求し、私がどう感じたかを語りたいと考えています。しかし、私自身が感心できなかったものを「素晴らしい作品です」として褒めるのは逆に作品に対する誠意が伝わらないと思います。時には気になる点を指摘することも、また作品とシリーズへの愛だと考え、今回このような切り出しとさせていただきました。

 もっとも「良くも悪くもドラゴンボール」と前述したとおり、アクションの見応えは中盤の盛り上がりに恥じぬ見事なものでした。各リンクルストーンの力を得ながらの「魔法」と、プリキュアの魅力である肉弾戦を高いレベルで融合した戦闘描写は素晴らしく、この一点だけでこの話を観る価値はあると思います。「口から怪光線」「元気玉」「天空×字拳」など、ドラゴンボールっぽいアクションも多かったですし(笑)。

 みらいとリコには、ドクロクシーには何の思い入れもありません。校長がかつての友の姿に想いを巡らせていても、ヤモーがいくら闇の魔法の素晴らしさを訴えても、彼女達にとってはただ「はーちゃんを奪った相手」というだけです。言い方は悪くなりますが、友と争う事になってしまった校長の痛みは、彼女達には自覚出来ません。
 それは同時に、フックさんをはじめとした魔法界の住人達も同じです。伝説を信じ、伝説にすがり、そして伝説が危機を追い払ってくれた。彼らにとって、プリキュアは伝説の魔法使いであり、諸悪を打ち払ってくれる存在です。伝説の魔法使いが戦いの果てに大切なものを見失った痛みを、彼らは知りません。
 みらいとリコが手を携えて戦う事が出来るのは、時にぶつかり、時に助け合い、信頼関係を築き上げてきたからです。この二人と、モフルン、はーちゃんの間には、互いの痛みを知ることができる関係が生まれています。皆は校長を信頼していないわけではありませんが、やはりそこにはある種の壁があります。そして不特定多数の一般市民との間には、それ以上の隔たりが生じて当然です。

 奇跡は自分の力で起こしてこそ価値があると、以前のどこかの感想でも触れた気がします。ミラクルとマジカルが奮戦した果てにはーちゃんが目覚め、エメラルドの力と共に起こした奇跡は、これに合致します。対して魔法界の皆さんはどうだったか。私の目には全くの他力本願に映ってしまいました。
『闇は必ず打ち払われる。我らには伝説の魔法使いプリキュアがついておる!』
 フックさんの言葉は、慄く人々を勇気づける意味があったとは思います。しかしそこには、自分達で何かをしようとする意志が伺えません。災いが過ぎた後の言葉からも、伝説の存在が何とかしてくれたというもの以上が伺えません。魔法界の人々がこの災厄に対して何かしようと行動しない限り、真の解決は得られないと思います。もっとも中盤の時点でそれをやってしまうと、終盤でやる事が無くなってしまうのでやむを得ないのですが・・・

 シリーズ中盤のこの時点では全てを解決しきれないために、やや釈然としない感想を抱いてしまいました。それでもクシィの魂を結果的に救済したはーちゃんや、青空へ向けて羽ばたいて行った元バッティのコウモリなど、敵への「優しさ」が感じられたのは良かったと思います。ヤモーについてもこの時点では彼自身が望んだ結果の最期なので、ある意味本懐を遂げた見るべきでしょう。
 むしろシリーズの中盤の山はドクロクシーとの決戦ではなく、次回のキュアフェリーチェとの出会いだと思います。構成上、こちらに重きを置いたと考え、今回はアクションパートを観るべき一編なのだと割り切る事にします。
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MP

第21話という時期ではあるのに、最終回を思わせるドクロクシーとの大決戦!

そんな中プリキュアの激しい闘志が、ドクロクシー内のはーちゃんに答えて逆転!遂にドクロクシーは倒されましたが、その正体・クシィは復活しないまま昇天…。前回消滅したかと思われたバッティはコウモリに戻ったのに。

これで「闇の魔法つかい」は壊滅、しかし次回から新たな敵…と、これは「初代」が「ダークファイブ」から「三人衆」に変わって以来で、敵その物がまるまる変わったのは史上初。当時はかなり驚いた展開でした。
(だがそれも、クシィがドクロクシーと化した事で起きたとは)
by MP (2017-03-09 21:45) 

スティクス

>MPさん
私はあまり最終回という感じがしなかったのですが、人それぞれですね。

>復活しないまま昇天
既に死んでいるか、生きているかの違いだと考えています。死んでいる者であれば送る事が思いやりではないかと。
by スティクス (2017-03-10 07:41) 

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