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ハピネスチャージプリキュア!第39話 『いおな大ショック!キュアテンダーの旅立ち!』 [ハピネスチャージプリキュア!]

 氷川いおなという少女からは、これまで「みんなのお姉さん」といった雰囲気が感じられました。それ以上に大人びて落ち着いているゆうゆうは、まあ・・・お母さん、でしょうか(苦笑)
 それはさておき、文武両道で頼りがいもあり、他人に厳しい以上に自分に厳しく、誰もが一目置く存在です。しかし彼女は「妹」。本心では甘えたい、頼りたいという内面があったように思えます。
 姉との再会を果たしたいおなに訪れる、再びの別れ。もっともそれだけではなく「マッサージ」と「頬を紅潮させるいおな」の可愛さに打ちのめされてる一編だったりします(おい)。
  
 ぴかりが丘に来襲した三体のサイアークを、テンダーは軽々とあしらいます。華麗な身のこなしに鋭い攻撃、そして決め技「ライジングスターバースト」でサイアークを撃退。「最強」の二つ名通り、圧倒的な強さを披露しました。

 戦い終わり、大使館へ戻ってきたまりあを出迎えるめぐみ達。めぐみとひめは憧れの眼差しを向け、いおなは誇らしそうです。もっとも、お姉ちゃんを取られたようで複雑そうだったりと、一筋縄ではいきませんが・・・(笑)
『楽しいお友達が出来て何よりね。いおな』
『でもこれからもっと楽しくなるわ。だって、ハピネスチャージにキュアテンダーが加わるんだもの』
 まりあは答えません。彼女はこの時、既に考えを決めていたようです。

 クロスミラールームで世界各地の惨状を悲しげに見つめるブルーに、まりあは決意を口にします。
『私、ハピネスチャージには入りません』
 この判断はブルーにとっても意外なものでした。
 いおな達は既に自分と向き合い、自分の助力を必要としない程、成長を遂げていると見極めての結論です。まりあは世界のプリキュアをサポートして回る決意を固めており、明日には両親のいるアメリカへと発つつもりです。

 ひめに見送られて大使館を後にするいおな達。夕陽が照らす河川敷を歩きながら、まりあはみんなに、明日アメリカへ行く事を打ち明けました。その発言はいおなだけでなく、めぐみも、ゆうゆうさえも戸惑わせます。
『お姉ちゃん!一緒にハピネスチャージプリキュアになってくれるんじゃないの!?』
 しかし、まりあの決意は揺るぎません。いおなはよほどショックだったのでしょう。先に帰ると言い残して、一人走り去りました。

 その夜、まりあは月明かりが差す道場に佇み、幼いいおなと共に稽古に励んだことを思い返しています。不意にいおなの声が、まりあを現実に引き戻しました。道着を身に着けたいおなが、まりあにも道着を突き付け勝負を申し込みます。
『もし私が勝ったら、アメリカに行かないで。私と一緒にプリキュアして』
『そんなに私が必要?』
『必要よ!』
 真剣ないおなをはぐらかすように、まりあも要求を持ちかけます。
『その代わり、私が勝ったら30分マッサージをみーっちりしてもらうからね♥』
 いおなはふざけないでといきり立ちますが、姉の構えと目を見て、本気だと悟りました。
『条件はお互いに無いと、フェアじゃないわ』
『でも!私が絶対勝つから!』
 構えを取り対峙する氷川姉妹。姉には一分の隙も無く、気圧されているのか、いおなに玉のような汗が滲んでいます。まりあが先に仕掛けました。いおなは蹴りを掻い潜り、拳を突く!ところがその拳は受け流され、気づいたらまりあの拳が、顔前で寸止めされています。
『やっぱりお姉ちゃんは強いね』
 まりあは脱帽するいおなを褒め、労いました。
『いおな、強くなったわね、本当に。数年前とは格段の差よ』

 そしていおなは約束のマッサージをみっちりとしてあげます。まりあさん、その声は刺激的すぎますって(笑)。マッサージを受けながら、まりあはアメリカに言って何をするのか打ち明けます。
 今もどこかにファントムの影に怯えているプリキュアがいるかもしれない。自分がプリキュア墓場に囚われていたからこそ、それを事前に食い止めたい、まりあはそう考えています。もちろん、いおなを置いていくのではありません。
『私はいおなの事、大好き、だからね・・・』
 いつしか安らかな寝息を立てている姉に、いおなはそっと布団をかけました。

 旅立ちの朝。まりあは空港へ向かう道すがら、いおなと共にぴかりが丘の穏やかな日常を目に焼き付けています。
『頑張ってこの町の平和を守ってね。ぴかりが丘のプリキュアさん』
 そして、後ろ髪を引かれてしまうため見送りはここまでで良いと断ります。感極まったいおなが、姉に言葉を掛けようとした時、町にお菓子が溢れだしました。
 サイアークとホッシーワさんの姿を認めて急行するいおなの背を、まりあは誇らしげに見送ります。
『ぴかりが丘の平和は私が守る!』

 本日のサイアークも武術の心得があるようで、なかなかの動きを披露しますが、今のフォーチュンはそれを上回っています。一対一でもサイアークを圧倒。焦ったホッシーワさんはチョイアーク軍団を繰り出しますが、もはや足止めにすらなりません。あんみつこまちからの、桜吹雪の舞で一蹴されました。
 ところが、サイアークがかめはめ波みたいな構えから無数の光弾を発射してくると、守勢に回ってしまいます。調子に乗ったホッシーワさんの高笑いが響きますが・・・・。ラブリー達が駆けつけ、ホッシーワさんは再び歯噛みすることになりました。
 再び相手の光弾が放たれ、受けに回る4人ですが、エネルギー切れになった隙を突いてイノセントフォームに。フォーチュンが、ハニーが、プリンセスがサイアークを押し留める間に、ラブリーが間合いに入り、居合抜きのように一閃します。
 続けてイノセントプリフィケーションでサイアークを浄化。つられて歌っていたホッシーワさんも、我に返り引き上げていきました。

 そして、姉妹の別れの時がやって来ます。ぐらさんにいおなの事を託し、いおなにはめぐみ達への言伝を残して、まりあは空港へと向かいます。
『あなた達四人なら、この先どんな困難も乗り越えられるはずよ』

 大使館でのランチタイム。ひめはまりあが旅立った事を初めて聞いて、いおなまでいなくならないか心配しています。そんなひめを、いおなは姉が妹をあやすように、優しくなだめました。
『いおなまで行っちゃったら、どうしようかと』
『行くわけないでしょ。だって私はハピネスチャージプリキュアの一員だもの』
 誇らしげに、しかしどこか寂しそうないおなを、ゆうゆうが気遣います。
『いおなちゃんは大丈夫?寂しくないの?』
 寂しくないと言えば嘘になります。それでもいおなには、ぴかりが丘の平和を守る義務があります。それは四人とも同じこと。
『そのためにもキュアテンダーに負けないくらい強くならないと!』

 早速、いおなコーチのプリキュアパワーアップ大作戦が始まりました。音を上げるひめをしごきつつ、いおなは青く澄み渡った空を見上げます。
 飛行機が、その視界を横切り飛び去って行きました。


 まず、いおなのかわいさ全開!の一編でした。初期のツンツンいおなも好きですが、後半に入ってから見せる「真面目ゆえのズレ」「初恋に戸惑う姿」などの姿に、年相応の少女としての魅力を感じます。
 そして今回は、今までなかなか見られなかった、姉への憧れと甘えが強く見受けられます。
 まず、戦いを終えて帰って来たまりあを、めぐみとひめが出迎える場面。ここで姉を誇らしげに見ていたかと思えば、二人にお姉ちゃんを取られたくないという、実に子どもらしい素振りが可愛かったです。
 そして道場で組手を終えた後の、紅潮した顔で姉を見上げる姿!あれは反則モノの可愛さでした。

 私は自分自身を、とても弱い人間だと自覚しています。それ故に、どうしても内に秘めた人の弱さというものを想像しながら観てしまう傾向があります。
 あくまで私の想像の範疇ですが、いおなは本当は皆が思う程強くはないのだと思います。いつも頼りになるお姉ちゃんが傍にいてくれた。お姉ちゃんを尊敬し、目標とすることで、その間は弱い自分から目を背けられた。元々の素質や、自他ともに厳しい性格というものもありますが、姉を失ったことで、姉のように立派な人間にならなければならない、という使命感に囚われていたように思えます。もちろん、それが良い方向に働いた結果が、文武両道に優れた才色兼備の優等生という今の地位です。
 しかし本心では誰かに頼りたい、支えて欲しい。そんな思いをずっと内に秘めて来たのでしょう。だからこそ、今回久々に「頼れる存在」「安心できる場所」を見出した時、少しだけ甘えが出てしまったように思えます。
『もし私が勝ったら、アメリカに行かないで。私と一緒にプリキュアして』
 まりあに勝負を挑む際の台詞からは、勝った先の結果が甘えに繋がっています。
 今までずっと離れていた姉と出会えたのですから、少しぐらい甘えさせてあげたい、という気持ちもあります。しかし世界の危機的な現状を知るまりあは、それを良しとしませんでした。

 まりあが持ち出した「マッサージ」という条件は、一見冗談のように見えます。
 ところが、その後の表情と構えの隙の無さは、一切の妥協が見受けられません。本当ならばもっと厳しい条件を出せたと思いますが、そこは優しさがあったのでしょう。しかし、甘えは許さないという強い意志が、その根底に伺えます。
 もちろん彼女は、ただ厳しいだけではありません。いおなを破った後、結果は圧勝だったにもかかわらず、彼女は妹の成長ぶりを褒め称えています。これは自信を持ってほしいという事ももちろんですが、空手の腕を上げたというだけでなく、内面の成長を感じ取ったからだと思います。
 まりあが旅立った後の大使館での場面で、いおなはひめの事を、まるで妹をあやすように宥めています。これは初期では想像もつかなかった関係です。大切な人を取り戻す事ができたいおなだからこそ、未だ大切な人たちを取り戻せていないひめの悲しみ、苦しみを理解し、寄り添う事ができる。一足早くこの喜びを知った「姉」として、この喜びを「妹」にも知ってもらいたい、そのために改めて頑張りたい、という風に、その後のトレーニング風景までで感じました。

 そして氷川姉妹の空手対決は見応えがありました。短い場面ですが、まりあといおなの実力差、気圧されるいおなの畏れ、など、言葉を交えずとも構えて対峙しているだけで伝わってくる緊張感を見事に描き出しています。そして実際に組手が始まってからの動きも見応えがありました。
 アクションシーンといえば、今回のサイアークはやけに動きが良いのが目を惹きました。かめはめ波や操気弾みたいな構えを見せる等、我々世代のツボを突いて来ます(笑)。
 そしてラブリーの居合抜きのような「ライジングソード」がかっこいい事!いわゆる「試練回」ではないだけに、アクションの良さも際立っていました。

 みんなを鬼軍曹のようにしごくいおなが、空を見上げるラストシーン。そこを飛行機が横切り、青空が広がっています。この青空の美しさも特筆されます。キュアテンダーの物語に一区切りをつけたいおなの、澄み切った心を映し出しているようです。そして、この美しい空を通じて、離れていても氷川姉妹は繋がっているという事なのかもしれません。

 ところで、まりあさん。不肖私で宜しければ90分でも120分でもマッサージを(以下自粛)
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まるっさ

ゆうゆう『あ、ちょっと楽になった♪』
学業・店の手伝い・配達・世界各地のプリキュアたちのフォロー・・・と、いつ寝るの?なゆうゆうさんに朗報か(笑)。
そして当然ながらフォローに入るプリキュアはゆうゆうやまりあさんのように人格者でないと務まらないというのが判るわけで。
もっともそれで給料上がるわけではないけど(こらこら)、ただその見返りとしてブルーさんの許可無くても自分の意志で自由に鏡を行き来できる権限は与えられてるとは思います。これは美味しい!というかそれぐらいないと…
第一フォローのたびにいちいちブルーさんに言ってたらキリがないからね。

ともかく他のプリキュアシリーズは大概主人公が一番最初にプリキュアになり、その主人公に感化されて仲間が増えていくパターンなんですが、このハピネスチャージにおいては主人公の影響とは無関係(というよりラブリーはチーム・ハピネスチャージの中では一番最後にプリキュアになったわけで)に世界各地にプリキュアが現役で存在し、主人公の意志とは無関係に自分たちの意志で各自銘々に動いている・・・こういう他のシリーズにはないこの作品ならではの『立体感・奥行き』はたまらない魅力がありますね。そういう点では公式・非公式にて数えきれないほどスピンオフの出ているファーストガンダムに近いのかも知れません。

逆にめぐみは他のシリーズの主人公のようにチームの先輩どころか一番の新米という点でユニークであると同時にその分ホント苦労してたよなぁと思ったりします。
by まるっさ (2017-08-10 18:55) 

スティクス

>まるっささん
いやあ、ゆうゆうのバイタリティなら多分余裕だったでしょう(本当か?)。あの「最強」のマナですら過労で倒れたくらいですが、ゆうゆうが過労に喘ぐ姿は想像できませんし(笑)。

>自由に行き来できる権限
確かにプリキュアは無休で無給?ですから、世界の食材紀行を堪能する権利くらいは与えてもらいたいものですね。

>ラブリーはチーム・ハピネスチャージの中では一番最後にプリキュアになった
なるほど!言われて初めて気が付きました。確かにこれは珍しいです。キュアムーンライトやキュアミューズ、キュアソードといった先例がありましたが、「最後」というのは初めてですね。
私も再視聴を始めて改めて気づかされたことが多く、このシリーズの奥の深さを日々実感しています。立体感・奥行きという表現にも納得です。

>ホント苦労してたよなぁ
彼女の苦労の本番は、むしろこれからですから・・・
by スティクス (2017-08-11 00:21) 

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