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ハピネスチャージプリキュア!第40話 『そこにある幸せ!プリキュアの休日!』 [ハピネスチャージプリキュア!]

 全49話中の第40話。他のシリーズなら、まだまだ日常エピソードがあるタイミングですが、このハピネスチャージプリキュアでは、これが事実上最後の日常回と言えます。これほど早く佳境を迎えるシリーズは、第41話が最後の日常と言えるフレッシュプリキュア以来でしょうか。
 抒情的な秋の日は、ふとした瞬間に穏やかな光景が交錯するもの。そんなのどかな一日に、連携して襲い来る三幹部とサイアーク軍団。しかし幾多の困難を乗り越えたプリキュア達にとっては、既に彼らは敵ではありませんでした。彼女達の成長が、穏やかな空気の中に見て取れる一編です。
   
 大使館の静かな朝の光景。それは寝坊して慌ただしく身支度をするひめによって破られました。
 身支度の合間、テレビでは増子美代さんが、世界中の幻影帝国の勢力がプリキュアの活躍により急速に弱まっているというニュースを伝えています。おそらくテンダーの助力もあるのでしょう。
 そうこうしているうちに、めぐみ達が迎えにやって来ました。大使館から漏れ聞こえてくる、ひめとリボンのドタバタ劇を、めぐみとゆうゆうは微笑ましく見守っています。毎日こうだと呆れながらも、いおなもこの様子をどこか楽しんでいそうです。
 そしてけたたましく登場したひめと一緒に登校。今日も幸せハピネスな一日になりそうです。

 一方、幻影帝国。苛立ちを隠せないミラージュ様を前に、跪く三幹部も焦りを募らせています。
『もはやこれ以上の戦いは、あなた様を傷つけることに・・・』
 ファントムが珍しく進言しますが、ミラージュ様はあなたに意見を求めていないと一蹴。
『でしたら!ここは俺様が!!』
 空気を読まず立ち上がったオレスキー将軍を脅すように、ミラージュ様は無言で一撃を放ちました。顔をかすめて背後で炸裂した攻撃に、流石のオレスキー将軍も固まっています。
『もういいわ!私があの子達の相手をしてあげる!』
 するとディープミラーが、オレスキー達に最後の機会を与えても良いのではと口を挟みました。
 さすがの三馬鹿もとい三幹部たちも、ミラージュ様からの「最後のチャンス」を噛みしめて、出撃して行きます。出撃を命じたミラージュ様に、ファントムは悲しい目を向けています。

 学校に通うようになった頃、ひめは不安どころか恐怖心すら抱いていました。それが今では、お洒落番長と称されてデートのためのファッション相談に乗る等、立派なクラスの一員です。
 教室ではめぐみが誠司に勉強を見てもらっています。彼女もまた、成績ワースト一位の勉強嫌いだった筈ですが、世界の平和だけでなく自分の人生も大切にするようブルーに諭されて以来、努力しています。
 調理実習では、ゆうゆうがリードするハンバーグの出来栄えに、クラスのみんなも大満足。おおもりご飯の味と、彼女のなごやかオーラが、クラスメイト達を骨抜きにしました。
 そして放課後の帰り道。いおなは裕哉と、本の貸し借りという健全でプラトニックなやりとりを交わします。めぐみ達に冷やかされて恥ずかしがるいおなが、かつてはクールを通り越して冷徹さすら感じさせていた事も、今では遠い昔のようです。
 いおなをからかい、一通り笑った後、ひめはみんなの姿を優しく見つめました。何気ない日々の尊さを噛みしめるかのように。

 次の日の休日。ひめは意外にも、休日が嫌いだとリボンに打ち明けます。
『今ね、毎日がとっても楽しいの。いろんな人と出会って、色んな経験をして、ブルースカイ王国を出てから一人ぼっちだったのが嘘みたい。めぐみのおかげでゆうこといおな、他にも大切な友達が沢山できた。お父様とお母様にお話ししたいことがありすぎて、大変だよ』
『きっとお二人とも喜ばれますわ』
 長くひめを見守って来た者として、リボンも嬉しそうです。
 その時大使館の呼び鈴が鳴り、めぐみが訪ねてきました。
『ひめがどうしてるかなと思って、来ちゃいました』
 続けて呼び鈴が鳴り、今度はゆうゆうが訪ねてきます。
『お客さんから食材をたくさん頂いたから、おすそ分けに来ました』
 またまた呼び鈴、最後にいおなが登場。
『一緒にトレーニングでもどうかと思って来たんだけど』
 なにその理由(笑)。なんかズレとる・・・
 いつの間にか勢ぞろいしたみんなで、お弁当を作ってピクニックに出かけることになりました。

 一方こちらは、いよいよ追いつめられたオレスキートリオ。この期に及んでホッシーワさんは罰を恐れて喚き散らし、ナマケルダさんに至っては花びらをむしって怠けるか怠けないかを占っている始末です。
『こうなったら、オレスキートリオでぴかりが丘に総攻撃をお見舞いするぞ!!!』
 場を仕切れるあたり、一応彼もリーダーだったようです。

 ピクニックでも変装完了。途中女の子達からファッションを褒められて花をもらったり、河川敷には長閑な空気が流れています。弁当を広げて、なごやかのんびり、穏やかな時を過ごすめぐみ達。
『きっと、こういうのが幸せって言うんだよ』
 大好きな人たちと大切な時間を過ごす。そんな当たり前の生活が一番の幸せハピネスだと噛みしめてます。ところが、その幸せはオレスキートリオ登場によって踏みにじられました。

『何なのよ!この幸せに満ちた休日は!』
 花を踏みつぶしながら、ホッシーワさんが苦々しげに現れ、
『せっかくの休日に外に出るなんて信じられませんな』
 川面に姿を映しながら、ナマケルダさんが見下すように現れ、
『今こそ力を合わせてぴかりが丘を不幸に染めるぞ!』
 斜張橋の支柱の上から、オレスキー将軍が暑苦しく(笑)現れます。

 穏やかな時を過ごしていた人々は、軒並み鏡に閉じ込められ、町にサイアークが溢れました。
 先程女の子達からもらった花を握りしめ、ひめはオレスキートリオに抗議します。
『せっかくの楽しい休日をどうして邪魔するの!』
 背水の陣で臨むオレスキートリオに対し、変身して応えます。

 サイアークが何体いようと、成長を遂げた四人の敵ではありません。まるでチョイアークを蹴散らすが如く、力を合わせて次々とサイアークを蹴散らして行きます。
 焦りを募らせたオレスキー将軍が、他に類を見ない巨大なサイアークをけしかけますが、それでも四人は怯みません。巨大サイアークのパンチをラブリーが一人で受け止めている間、上空に回ったフォーチュン、プリンセス、ハニーが、巨大サイアークの背にサイアーク達を叩き落して行きます。
 そしてラブリーは、はるか高みを目指すように、大気圏を越えて天高く舞い上がりました。
『みんな、本当に強くなってくれた・・・多くの奇跡を起こし、苦難な状況を乗り越えてきた今の彼女達なら、たとえ幻影帝国へ行っても立派に戦えるはずだ』
 その姿を鏡越しにブルーが見守る前で、大気圏外まで飛び上がったラブリーが、巨大サイアークを叩き落します。

『まったく、勝つのは難しすぎますぞ』 
 のしかかってくる巨大サイアークの巨体を見上げながら、ナマケルダさんは静かに呟きました。歯噛みするオレスキー将軍、ホッシーワさんと異なり、彼一人だけ達観したように冷静です。
『いつの間にか、最悪の力を追い越されてしまったみたいですな』

『私たちが、みんなの幸せを守るために戦っているからよ』降り立つラブリー
『そのためならどんな相手が向かってこようと構わない』
『私たちはもっと強くなれる』
『それが!ハピネスチャージプリキュアなんだから!』
 なぜそこまで強くなったとのたまうオレスキー将軍に、次々と言葉を返すプリキュア達。
『そんな幸せなんぞがあるから、この世の中はめんどくさいのですぞ』
 ナマケルダさんの表情は伺えません。
『幸せなんて、不幸の方が美味しいに決まってるわ』
 そう言い返すホッシーワさんに、ラブリーは手を差し伸べるかのように呼びかけます。『あなた達も気付いているんじゃないの?人の不幸では幸せになれないってことを』
『それでも!負けるわけには行かんのだ!』
 差し伸べた手を振り払うように、オレスキー将軍たちはサイアーク達を合体させて、再び巨大サイアークを作り出しました。それでも四人の力は負けません。
 一人ずつ強烈なパンチを叩き込み、怯んだところに、イノセントプリフィケーションの歌声で浄化しました。その癒しはオレスキートリオにも及んでいます。
『幸せ一番、不幸が二番♪』
 文明堂かよw呆けていたオレスキー将軍でしたが、かろうじて我に返り、ナマケルダさん、ホッシーワさんを率いて撤退しました。

 河川敷に穏やかな休日が戻って来ます。
『今日はいい一日だったなぁ』
『そうね。私も楽しかったわ』
『幸せ特盛、おなかいっぱいだね』
 秋の日はつるべ落とし。西に傾きかけた陽を前にして、ゆうゆうはめぐみの手を取りました。めぐみはひめに手を伸ばし、ひめはいおなと手を繋ぎます。
『本当に、こんな日がずっと続けばいいのに』
 みんなで河川敷に寝ころんで、茜に染まりつつある青空を見上げました。
『明日も幸せ確実だよ!』

 一方こちらは穏やかではありません。オレスキー将軍達が最後のチャンスを逃したという報告を、ミラージュ様はディープミラーから受けました。
『もはやミラージュ様以外に、この世界を不幸に染められる者はおりません』
 まるで煽っているようなディープミラーの進言を受け、ついにミラージュ様がファントムを伴い、動き始めます。ファントムも今度は意義を口にせず、言われるままに従いました。
「何者か」が、鏡の向こうからその一部始終を眺め、ほくそ笑んでいます。


 最後の日常エピソードという意識があったからでしょうか。あたりまえのような日常と、コミカルな描写、そしてアクションと、見どころの多い一編でした。
 まず「ひめのブルーのモノマネ」には笑わせてもらいました。
「世界の平和も大事だけど、自分の人生も大切にしなさい」
 顔まで真似するひめの表情が、何とも言えない味わいを醸し出しておりました。
 思春期の少年少女をコミカルに冷やかす下校の場面も、甘酸っぱい雰囲気をフッとバス微笑ましさが楽しめます。
『いおなと海藤君、アッチッチーだね!』
『これはイノセントな想いのパワーを感じるですわ!こちょこちょしてくださいな』
『こちょこちょこちょ♪』
 ここでもめぐみによるリボンのモノマネが見られます。プリカードをゲットするこの仕草も、今回が最後かもしれないという想いがあったからこそ、このモノマネ描写が映えたような気がしました。

 日常らしさは、他にも随所に見受けられます。
 冒頭のけたたましく身支度をするひめの騒々しさも、何気ない日常の一つと言えます。
 また、かなの初デートにときめく姿も、めぐみ達とは違ったところで生徒それぞれの物語が、青春が動いているということの現れです。
 思えば初代プリキュアの頃から、少女達が守って来たのは大義名分だけではありませんでした。
”地球のため みんなのため それもいいけど忘れちゃいけないことあるんじゃないの?”
”ごく普通のそれが日常決してなくしたくない”
 初代EDで謳われていた歌詞のように、少女達が守りたいものはこうしたごく普通の日常です。
 その尊い日常は、特別なものではなく日々のものの中にある。観返して、そうした想いが沸いて来ました。

 そしてもう一つ見て取れるのは、特にひめの「成長」です。
 彼女の成長物語は、序盤~中盤にかけてメインで描いたため、後半になってからはあまり表に出て来ませんでした。だからこそ、今回は日常における彼女の成長の集大成といった印象を受けます。
 極度の対人恐怖症で、自己紹介すら満足にできなかったひめが、お洒落番長として一目置かれる存在になっている事。そして学校に行くのを嫌がっていたひめが、今では学校が無い日を退屈に思う程の人間関係を築いている事。
 人間的、対人的に成長を遂げた結果が、キュアプリンセスとしての戦力成長にも繋がったと感じます。

 そんな穏やかな日常に、誠司の影を見て取ったのは深読みしすぎでしょうか。
 前述のブルーのモノマネを披露したひめと、ブルーの言葉を受けて勉強する気になっためぐみのことを、誠司はごく普通に接しています。しかし、めぐみをやる気にさせたのは自分ではなくブルーだと言う事を意識しないとは思えません。今回は誠司の出番がこれだけなので、実際どうだったのかは定かではありません。後の展開を知った状態で観返すと、これも彼の心に闇を植え付けた一件の一つだったのかもしれないと思えてきました。

 さて「最後」といえば、三幹部が連携して襲ってくるのも最後です。そのためか、サイアーク召喚バンクを三人連続&同時に披露する場面は珍しく、なかなかカッコ良かったと思います。
 そこから始まるアクションシーンも、ある意味「キュアマーメイド」のような人魚姿のプリンセスが目を惹きます。この時期既に「プリンセスプリキュア」そして「キュアマーメイド」について、かなり作り込まれていた頃だと思います。その一世代後輩の名前をほんのちょっとだけリンクさせた遊び心だったのかもしれません。
 また大気圏外からサイアークを叩き落すラブリーの勇ましい事!宇宙空間でいわゆる「ガイナ立ち」する姿のカッコ良さに、キュ荒ブリーを見た気がします。

 追いつめられた三幹部の中では、ナマケルダさんの落ち着きっぷりが妙に気になります。前半こそ花をむしって往生際の悪い姿を見せるものの、後半パートに入ってからは、巨大サイアークの巨体に押しつぶされそうな立ち位置でプリキュア達の成長を称賛するような発言をしたり、自分のこれまでを見つめ直すような姿が印象的でした。
 ホッシーワさんとオレスキー将軍が通常運転のテンションだったため、このナマケルダさんの物腰が一層目立っています。
 おそらく、彼は遠からぬ将来、自分が敗れる事を薄々気付いていたのかもしれません。生きる事を「面倒」だと思っているような諦観が、この時既に感じられます。

 珍しくミラージュ様に進言した際、ファントムは悲しい目をしていました。おそらく彼もこのままだとプリキュアに敗れる以上に、ミラージュ様が傷つきかねないことを察していたのでしょう。それでも彼はミラージュ様が「命じた」事に対しては従順でした。ラストシーンでは迷いを振り切るように、黙ってつき従っています。
 これも私の想像ですが、彼もまた近いうちにミラージュ様のために力を尽くした後、敗れ去る事を予感していたのかもしれません。

 晩秋には寂寥感がある反面、秋晴れの天の高さや、小春日和の暖かさに癒されるひとときがあります。
 そして、次は厳しい冬が訪れます。
 次回のファントム最後の戦いに端を発し、このシリーズは佳境を迎えようとしています。
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