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Go!プリンセスプリキュア 第41話『ゆいの夢!想いはキャンバスの中に・・・!』 [Go!プリンセスプリキュア]

―七瀬ゆい 13話ぶり3度目
 ・・・こう書くと高校野球みたいです(笑)。
 もっとも、戦う力は無くとも常に前線でプリキュア達のサポートを続けてきたゆいちゃんですから、転んでもただでは起きません。
 はるかトワに続いて、ゆいちゃんもまた夢への壁に悩み、原点を見つめ直す一編。
 プリンセスを目指す「五人の」物語、と言っても過言ではない、ゆいちゃんの存在が改めて光ります。
  
 先日見た炎の城の美しさを絵に残したいと、キャンバスに向かうゆいちゃんに、みなみは絵画コンクールの話を持ちかけます。はるか達にも勧められ、ゆいちゃんも絵本作家の夢に近づけるかもしれないと出展を決めました。
 コンクール課題は「みんなの笑顔」。みんなが笑顔になれるような絵を描こうとキャンバスに向かいうゆいちゃんですが、「コンクール」を意識した途端、手が進まなくなりました。
『コンクールってことはきっと他の人のレベルも高いだろうし、いい加減なものは書けない。上手で完璧でないといけないよね?』
 描き始める前から、ゆいちゃんは自信を失いかけています。

 夕暮れになっても、絵は思うように進みません。
 シャムール先生のレッスンを受けに行くはるか達を見送った後、
『私も頑張らなきゃ』
 改めてゆいちゃんも気合を入れます。

 それでもなかなか思うようには描けません。ピカソのような絵になったり、そもそもプリンセスの絵でいいのかという根本的な疑問を抱いたりと、暗礁に乗り上げてしまいました。
 はるかがレッスンで作ったケーキを手に戻ると、ゆいちゃんは机に突っ伏して眠っています。
『どうしたら・・・』
 うわ言のように呟くゆいちゃんに、はるかはそっと毛布を掛けてあげました。

 目を覚ましたら、既に朝。ゆいちゃんの目の前に、はるかのメモが添えられたケーキがあります。
『疲れた時はケーキが一番!ミスシャムールに教わって作ったから食べてね!ファイト! はるか』
 ゆいちゃんはベッドの上段で寝ているはるかに、感謝の目を向けました。

 ケーキで気を取り直し、改めてキャンバスへ向かうゆいちゃん。しかし、未だ道は見えません。
 そこに望月先生が通りがかりました。何も描かれていない真っ白なキャンバスへ目を留めた先生に、コンクールに出そうと思っているけれども、上手く描けないことを打ち明けます。
『そんな顔をしていると、見える者も見えなくなってしまうわ』
 望月先生に諭されたゆいちゃんは、校内を歩き回り始めました。
 テニスコートではゆうきが練習に精を出し平野君をはじめ演劇部も発声練習に励んでいます。ゆうきの親衛隊?が応援の練習を行う傍ら、はなえちゃんも花壇の世話に余念がありません。
『私、みんなに置いて行かれてる・・・』
 夢を目指して輝く生徒達の姿は、ゆいちゃんに不安と焦りを抱かせます。
『夢を目指す生徒が集まるノーブル学園か・・・。私、ここにいていいのかな?』

 助力を申し出るはるか達に、ゆいちゃんはコンクールの辞退を匂わせます。
『ごめん、ちょっと用事思い出しちゃった』
 応援してくれたはるか達にいたたまれなくなったのか、ゆいちゃんは一人部屋を出て行きました。

『なんで描けないんだろう・・・』
 ゆいちゃんはため息と共に森をさまよっています。ところが森を抜けた先では、望月先生が子ども達に絵画教室を開いていました。望月先生に誘われて子ども達の絵を見て回ると、みんな自由に描き、大人ではありえない色使いで色を塗っています。
『きれいだね。でも、どうしていろんな色で塗っているの?』
『かわいいから』
 ゆいちゃんは単純明快な子どもの言葉にはっとしました。
『確かにかわいいね。絵、描くの好きなの?』
 色遣いを褒めてくれた望月先生に、その子は笑顔で答えます。
『大好き!だって、楽しいんだもん!』

 ゆいちゃんは望月先生にコンクールを諦めようとしたことを打ち明けます。
『コンクールで入賞する事ばかり考えて、それで、大切なことが見えていなかった。忘れていたのかもしれません。絵を描く楽しさを』
 ゆいちゃんが何を描きたいのか、まだ見つかっていません。それでも何かを描きたいという気持ちは抑えられず、望月先生に画材を借りて描き始めました。

 その矢先、ストップとフリーズが襲来。ゆいちゃんは子ども達を庇いますが、逆にその夢を絶望に閉ざされそうになります。しかしこれで3度目となるゆいちゃんも、そう簡単には負けません。
『あなた達の思い通りには、ならない!』
 大切な夢を両手でしっかりと抱きしめ、抵抗し続けますが・・・
『私の・・・夢は・・・!』
 奮闘及ばず。遂に押し切られ、彼女の夢はみたび閉ざされました。

 異変に気付き、変身して駆けつけたフローラ達は、望月先生が子ども達を逃がしているところに遭遇します。望月先生はフローラ達にこの場を任せず、学園長としての責任感で留まろうとしています。
『もう誰も犠牲になんてさせないわ!』
 その言葉に、ゆいちゃんが絶望の檻に閉ざされた事を知りました。それでも望月先生を説得して助けを呼びに行かせ、改めてゼツボーグに対峙するプリキュア達。
『ゆい・・・また無理をしたのね』
『絶対助けるよ。ゆいちゃん!』
 檻に閉ざされたゆいちゃんを必ず助けると誓い、挑みかかります。

『夢なんていらない。絵本なんてどうでもいい・・・』
 絶望の檻の中で、ゆいちゃんは膝を抱えてうつむいています。すると、はるかの呼び声が聞こえてきました。闇に差す、一条の光。顔を上げたゆいちゃんの目に、そのか細い光の向こうで懸命に戦うプリキュア達の姿が映ります。
『ゆいちゃんの夢の邪魔はさせない!』
『そうよ!真剣なゆいの夢を』
『何度も何度も利用して!』(3度目だし)
『許せませんわ!』
 その言葉と、四人の戦いを目の当たりにしたゆいちゃんの瞳に、再び光が宿ります。
『そうだ!私の描きたいものは・・・私にしか描けない、強く優しく美しいプリキュアの姿』
 檻に手を掛け、必死に力をこめて脱出を試みます。ゆいちゃんも懸命に戦っています。
『出て見せる!私は描かなきゃいけないの!』

 意識が無いはずのゆいちゃんの手が動いたのを見て、ストップとフリーズは無機質な表情ながら愕然としました。同時にゼツボーグの力も弱まります。
 ゆいちゃんの気持ちに応えるように、この隙を突いてグランプランタンを叩き込み、ゼツボーグを撃退。無事にゆいちゃんと「夢」を開放しました。
『自分にしか描けない物語を描いて、夢の力と夢を守ることの大切さを伝えたい』
 ゆいちゃんの目線の先には、強く優しく美しいプリンセス四人の後ろ姿が見えます。この姿、この活躍を描き残す事。それが、今のゆいちゃんの夢です。

『みんなの声、届いてたよ。私ね、みんなが戦っている姿を見てはっきりとわかったの。私が書きたいものは、夢を守るために戦うみんなの、プリキュアの姿だって』
 そしてゆいちゃんはコンクール出展を決意しました。沢山の人に、夢を伝えるために。

 コンクールの結果、ゆいちゃんの作品は「佳作」。入選や大賞といった結果ではありません。
 しかし「夢の虹」と題された四人のプリキュアを描いた絵は、優しさと希望に満ちています。
『少しでも多くの人に、輝く夢の力を届けられますように・・・』


 思い悩むゆいちゃんの姿が、休止前の私と重なりました。
 コンクールを意識する前のゆいちゃんは、冒頭で炎の城の美しさをそのまま絵にしようとしています。そこには何の気負いもありません。筆が止まったのは、コンクールを意識してからです。
 良い結果を残すことに囚われ、描きたいものが描けないジレンマは、私自身がスマイルプリキュアの頃、毎回かなりのプレッシャーに押しつぶされそうになりながら記事を書いていた時を思い出します。「いい加減なものは描けない」「上手で完璧でないと」という、ゆいちゃんが思い込んだ不安は、私も当時、これだけ多くの人に見られているのなら、相応のものを書かなければと、勝手に自分を追いつめていたことを思い出しました。もっとも、再開後でも思い通りに書けているのかという疑問はありますが(笑)、休止前よりはずっと楽に書いているつもりです。

 ゆいちゃんが再び絵筆を持ちたいと思ったきっかけは、固定観念にとらわれず、ただ描きたいものを自由に描いている子ども達の姿でした。
 子ども達は、「だって楽しいから」というシンプルな理由で描いています。先日のはるかの「キラキラかわいいから」に通じる、単純明快な答え。だからこそ、余計なことを交えず、やりたいことをやりたいようにするできます。
 私もプリキュアを観ることが「楽しいから」何かを書き残してみたい。私も休止中、何度も再開したいと思いながら、労力を考えると断念してきました。しかしいざ再開してみれば思いのほか書きたいように書けるようになっていました。再開からもうすぐ1年というこの時期、改めてゆいちゃんと同じ気持ちを共有し、原点を見つめ直した気分です。

 それにしてもゆいちゃんの引き出しの広さ?には驚きました。まさかピカソっぽい絵まで描けるとは(笑)。もっともこの絵を前に「これで笑顔になれる?」と疑問を抱いています。私は美術は詳しくわかりませんが、音楽は多少わかるつもりです。いずれの分野でも、前衛芸術は理論・学問として優れているとは思いますが、それを観たり聴いたりした人が笑顔になれるか、という点については甚だ疑問です。
 前衛芸術へのアンチテーゼという意図は無いと思いますが、ちょっと深読みしてしまいました。

 思い悩んだゆいちゃんが学校を彷徨う際、今まで登場した生徒達がモブとして登場します。ゆうきのテニス平野君の演劇部ゆうき親衛隊のチアはなえちゃんの花壇の世話と、いずれもゆいちゃんから見れば眩しい存在でした。
 さらにゆいちゃんは、常々はるか達の活躍を間近で見ています。それを眩しく思う事は何度もあるはずです。しかし、みんなも同じく悩みや焦りを抱えています。ゲストで登場した生徒達も、それを各担当話数でで乗り越えたとはいえ、その後も順風満帆では決してないはずです。
 逆に彼らがゆいちゃんを見た時、絵に取り組む姿が眩しく見えているのかもしれません。それはプリキュア達がゆいちゃんを見る目も同じです。絵だけではなく、絶望の檻を脱するために戦う姿を、皆心から称賛していました。
 隣の芝は、青く見えるものです。

 そのゆいちゃんが悩み、迷っている際、はるか達はあくまで「見守り」「手伝いを申し出」「応援」するものの、積極的に手を出す事はありませんでした。
 例えば代わりに描いたり、アイディアを出したりすれば、ゆいちゃんも何かを閃いて袋小路から脱した可能性はあります。それはそれで良いストーリーになったとは思いますが、あくまで最終決定をゆいちゃんに委ねています。
 はるかもトワも、最終的に自らの力で答えを見つけ出しました。この後のきらら、みなみもまた、みんなの手助けはありますが、最終決定は自分で行っていました。
 自分で決めた事に対して、自分で責任を持つ。自主自律のノーブル学園らしい展開になったと思います。

『自分にしか描けない物語を描いて、夢の力と夢を守ることの大切さを伝えたい』
 新たな夢を語るゆいちゃんの目線の先には、強く優しく美しいプリンセス四人の後ろ姿が見えます。これは後を追うのではなく、四人の背中をゆいちゃんが見てくれているからこそ、四人も戦えるという事だと思います。
 そしてその夢が本当に花開いた事を、既に最終回を観た私は知っています。こうして感想を書くことで、新たな発見があるのが再視聴の醍醐味です。

 欲を言えば、今回だけでもOPの「強く、優しく、美しく~」のくだりをゆいちゃんに読ませても良かったかもしれません。それだけ彼女の存在感が光った一編でした。

 ところで全く話が変わりますが、助けを呼びに行った望月先生が連れて来たのは
・テニス部のコーチ
・線の細い音楽教師
・白金さん
 でした。テニス部のコーチは腕っぷしが強そうで頼りになるかもしれませんが、あの音楽の先生はなぜでしょう?この先生、以前登場した際、真殿さんが兼ね役で演じておられましたので、中の人=クローズと見込んだ、とか(そんなわけないだろ)。そして男手に混じって白金さんがいることで、改めて「白金さん最強説」の信憑性が感じられたりもした場面でした。
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MP

ラストへの個人回の中、この後の「シャットの巻」と共にプリキュアで無い者に関する回で、ゆいをメインにした回です。

今回ゆいは絵画コンクールに出展を決意。テーマは「みんなの笑顔」。でもイメージが浮かばない状態。そんな最中、望月園長と幼児たちに出会った事で、ようやく描き始める事に。

ところがそこへストップとフリーズが!! 当時は「まさか!!」と思ってましたが、その通り!「フローラ誕生の巻」「海の巻」に次いで3回目のゼツボーグのカモに!! こんなにモンスターの元になるのも珍しいです。
(サイアークは1回あったし、ジコチューは全然なかったよ。篠原先生…いや五星麗奈なんかジコチューたんまりなのに、マーモにやられただけ)

しかし3回目となると、カモられても抵抗するのがゆいのど根性!! 檻に手を出して抵抗し、ゼツボーグを弱体化させました。これがラスト近く、更にものすごい結果になるのですから。

「ラスト近く」といえば、今回望月園長にはプリキュアの秘密は知られなかったものの、これもラスト近くで分かってしまう事に!
(「白金最強説」とありますが、当時は白金寮母にも色々噂があったよ。でもこれもラスト近くで…)
by MP (2017-08-20 11:55) 

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