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Go!プリンセスプリキュア 第42話『夢かプリキュアか!?輝くきららの選ぶ道!』 [Go!プリンセスプリキュア]

 手前味噌で恐れ入りますが、以前私は某雑誌のインタビューに載った事があります。その時の記事を読んで、私のいる部署への異動を希望してくれた若いスタッフの存在は、私にとって大いに励みとなりました。
 一方で、私が迷いを見せたりすれば、その時語った夢や理想は嘘になってしまうのではないか、という責任も強く感じられたものです。
 夢が既に個人の責任では済まないほどの輝きを発しているきららにとっても、それは突然やって来ました。彼女が初めて味わうであろう、決定的な挫折。それはきららから何を奪い、何を与えるのか―
  
 このところ仕事続きだったきららが、ドーナツを久々に手にしていざ食べようとした矢先、ファンの女の子に声を掛けられます。
 ドーナツを気にして少しためらいながらも快くサインに応じると、いつの間にかサインを求める長蛇の列が出来てしまい、当分ドーナツはお預けです。それでもきららはファンの声に応えて、気さくに握手にも応じました。

 夜、学校へ戻ったみんなの所に、社長が朗報を持ってきます。一流モデルだけが立つことのできる、世界で最も注目を集めるファッションショー「ジャパンコレクション」。そのメインモデルにきららが選ばれたのでした。
 今年の開催地はニューヨーク。あれ?「ジャパン」コレクション??(笑)しかも中学生で選ばれるなど前代未聞で、ここでの成功すれば海外進出への足掛かりに繋がると社長も期待しています。
『ついに来た・・・私の夢。世界に繋がる大きなチャンスが』
 願っても無い機会に、きららも大いに意気込みます。
 続けて社長は、新人モデルの明星かりんを紹介。ジャパンコレクションまできららのアシスタントを務めることになったかりんにも、きららは気さくに接します。ところがかりんは、かなり緊張気味の様子、その理由は・・・。

 撮影に臨むきららの姿に、かりんは憧れの目を向けています。それだけでなく、楽屋でお茶を淹れたり、肩を揉もうとしたりと、さながら付き人状態です。
 きららは早速「りんりん」と独特のあだ名で呼びながら、モデルを目指すならば、世話焼きよりも現場の様子を勉強しておくようアドバイスを送ります。

 きららは仕事だけでなくプリキュアも全力投球。あっさりとゼツボーグを片付けて、そのまま仕事に直行します。仕事もプリキュアも全力200%と宣言した初心は変わりません。エネルギッシュなきららを見送るはるか達の傍らで、街頭ビジョンにきららが出演しているCMが映し出されています。まさに飛ぶ鳥を落とすような勢いに乗っています。
 ところで、その次に流れたイルカのCMが、みなみの足を止めさせました。
『きららは夢への階段を真っ直ぐ駆け登っているのね』

 テレビ出演にイベント、CM。書店の店頭にはきららの特集が組まれたファッション誌が並んでいます。順風満帆。きららの輝きは留まる事を知りません。
『モデルになろうとしたきっかけは、やっぱりママ、ステラを見たから。初めてモデルとしてのステラを見た時の事、今でも覚えてる。ステラが舞台に立った瞬間、会場の空気が変わった。私、すごくドキドキして、その時モデルになりたいって思ったんです』
 徹子の部屋みたいな番組(笑)で、次の目標を問われたきららは迷いなく答えました。
『世界で活躍するトップモデル』

 楽屋で一息ついたところに、かりんが手作り巨大ドーナツを差し出しました。大きすぎと苦笑しながら、きららはかりんと半分こします。
『あの・・・きららさんはステラさんを見てモデルになろうと思ったんですね?お母さんがスーパーモデルなんて、なんだか想像できないです』
 ためらいがちに尋ねるかりんに、きららはモデルになろうとしたきっかけを聞き返しました。
『私、夢がなかったんです』
 何をやってもうまく出来ず、自分に何が出来るのかと悩んでいた時、たまたま見かけた雑誌の表紙に見とれた事。それが、かりんがモデルを目指すきっかけです。
『そのモデルさんの姿が凄く輝いているように見えて、じっと眺めている内になんだか元気が出てきて、私もお洒落したいなって思い始めて、雑誌を見て可愛い服や髪形を研究したり、ポーズを真似してみたり、そうするうちに私もモデルになりたいって思うようになったんです』
『じゃあ、夢叶ったんじゃん』
 まだまだだと謙遜しながら、かりんはさらにその先の夢について匂わせます。
『それに、私の夢は、その・・・モデルと言ってもただのモデルじゃなくて・・・』
 その先はまだかりんの胸の内に、そっとしまいこんだままです。きららが気になると尋ねても、秘密を明かしてくれませんでした。

 復活した虹を忌々しく見上げて、ストップとフリーズに出撃を命じるクローズ。
『そのような大役、この2人には重すぎるのみ!ここはこのシャット様の出番のみ』
『てめぇはいい!』
 空気を読まずに自己アピールを始めたシャットさんですが、クローズに睨み付けられてビビるしかできません(笑)。どうしてこうなった

 いよいよ出発当日。明け方にふと目を覚ましたトワは、ルームメイトのきららが既に起きていることに気付きました。さすがのきららも緊張に身を固くしています。
『世界が注目してるショーだし、絶対失敗できない。でも早くランウェイを歩きたくてうずうずしている私もいるんだ』
『きららは本当にパワフルですわね。モデルの仕事もプリキュアも、何をするにも全力ですもの』
 トワはきららの髪を梳きながら、鏡の向こうのきららに語りかけます。
『仕事もプリキュアも、私にパワーを与えてくれる。だからずっと走っていられるのかも』
 鏡の中で笑顔を向けあう二人。いつしか、きららの緊張も解けて自信に満ちています。
『今日の私は今までで一番輝いている!世界が、夢が、私を待ってる!』

 空港近くの公園で、出発前のひと時を過ごすはるか達。出発時刻が近づき、空港へ向かおうとしたその時、空気を読まずにストップとフリーズが姿を現しました。
 そして、最後尾を歩くかりんが強い夢を持っていることに目をつけます。かりんの夢、それは・・・
『私の夢は、モデルに・・・見る人に夢を与えられるようなモデルに・・・きららさんのようになりたい』
 かりんが憧れ、モデルを目指すきっかけになったモデルとは、きららの事でした。その夢が閉ざされるのを目の当たりにして、きららの足が止まりました。
 変身しようとするきららを、はるか達が押し留め、空港へ向かうよう促します。なんちゃってきららみたいなゼツボーグと向き合うフローラ達、ゆいちゃんやパフ、アロマも、皆がきららを説得し、空港へと向かわせます。

『ジャパンコレクションは大事な大事なスタートライン。私の小さい頃からの夢・・・』
 後ろ髪を引かれる想いを胸に、きららはみんなに背を向けて空港へと走ります。
『私の夢、世界で活躍するトップモデル。それが、私の夢。夢・・・』
 夢は手の届くところまで来ています。が・・・
『ごめん、りんりん。聞いちゃったよ。』
 照れながら夢を語るかりんの姿が浮かび、足が止まりました。図らずも「秘密」を知ってしまった事を詫びながら、キャリーケースを手放して・・・
『りんりんの夢は、私を観て描いてくれた夢なんだよね』
 きららは振り返り、戦いの場へと駆け戻ります。
『私がやらなきゃ、りんりんの夢は私が私の手で守りたい!夢を守るのがプリンセスプリキュアの使命。そして私はプリンセスプリキュアだから!』

 ゼツボーグが巻き起こす風に飛ばされそうになりながら、トゥインクルはゼツボーグの背後に閉ざされているかりんを真正面に見据え、抗います。
『りんりんの夢を・・・返せぇええええええッ!!』
 ギャラクシーコーラスの無数の流れ星がゼツボーグを押し留めた隙に、グランプランタンでゼツボーグを浄化、かりんの夢を無事に開放しました。
『きららさん、頑張ってください』
 寝言のように呟くかりんを抱き留め、トゥインクルは申し訳なさそうな笑顔で応えます。
『ありがとうね、りんりん』
 きららが乗るはずの飛行機が、二人の上空を飛び去りました。

 ジャパンコレクションをドタキャンした代償は、あまりにも大きなものでした。
 謝罪対応に追われる社長の傍らで、きららは申し訳なさそうに俯いています。社長は理由があってのことだろうと、きららに理解を示していますが、現実は厳しいです。
『海外どころか今までの仕事も当分なくなると思ってちょうだい』
 矢継ぎ早にかかってくる電話に向けて頭を下げる社長の姿。きららはそっと謝るしかできません。
『ごめんなさい・・・』

 はるか達が寮のテレビでジャパンコレクションの模様を、浮かない顔で観ています。そこにきららが戻ってきて、気を遣ってテレビを消しますが、当のきららは妙にサバサバしています。
『別に気にしないでいいよ。私、あの時どうしてもりんりんの夢を自分で守りたかった。その事を後悔なんてしていない。もしまた同じことがあっても、私はあの子を助ける。100回でも1000回でも、やっぱり同じことをすると思う。だから、いいの』
 そして、案じるはるか達をはぐらかすように、きららは部屋へ戻ります。しかし、その胸の内は・・・

 カナタは茨に覆われた星の城を見つけました。目覚めようとする気配を感じるものの、星の城はまだ輝きを放ちません。そして・・・

 暗い部屋で、一人星空を見上げるきらら。凍ったため息が、夜空へ吸い込まれて行きます。
 そのドレスアップキーは、輝きません。


 きららにとっての課題となる今回。ですが、きららについては後述するとして、まずは今回のゲスト、明星かりんについて。
 かわいいっすねぇ。なんとなくミラージュ様に似ている気がするのは気のせいでしょうか?あと、彼女の年齢も不詳だったりするところがミステリアスです。
 かりんの服に「黒猫」のアップリケがあったり、襟が黒かったりしたので、初見の際にはひょっとしてディスダークの伏兵ではないかと思ったのは、まあご愛嬌として(笑)
 きららにあそこまで憧れるのは、同学年か年下だからかと思いますが、回想シーンに出てくる地味だったころのかりんは、とても小学生には見えません。
 案外年上だったりして・・・?だとしても、輝く年下に憧れることがあってもいいと思います。

 さて、きららは今までも努力家な一面が描かれる事もありましたが、彼女は基本的に「天才」です。何でも人並み以上にこなし、努力や苦労の痕跡を決して見せないだけに、順風満帆のようにも見えてきました。実際は彼女も偉大な母を持つ事の複雑な気持ち等、悩みが無いわけではありません。しかし、ゆいちゃんを含めた他のみんなが、壁にぶつかったり悩みや迷いを見せたりした中で、きららだけは決定的な悩みがこれまで描かれて来ませんでした。
 
 かつてプリキュア5GoGoではうららがフレッシュプリキュアでは美希が、プリキュアと夢の板挟みになった挙句、夢を一時的に置いてプリキュアを選ぶ展開がありました。しかしいずれも序盤の展開で、まだ女優やモデルとして発展途上段階だった彼女達とは異なり、今回は42話という終盤でのタイミングです。しかも作中でモデルとしての確固たる地位を築いた時点で、初めて出会う決定的な「挫折」が、きららに何をもたらしたものは非常に大きなものとなりました。
 もちろん既に先の展開を知っていますので、これがバネになる事ももちろん知っています。しかし先を知らずに見た当時では、あの「プリンセスになるな!」事件のきらら版とも言うべき重さを感じました。

 きららの「トップモデル」という夢は、既に彼女だけの夢では無くなっています。それは人から注目を浴びる者の宿命かもしれません。きららが夢をあきらめてしまえば、かりんだけでなく大勢のファンを失望させることに繋がってしまいます。そして不可抗力とはいえ問題を起こしてしまえば、周囲に迷惑を及ぼしてしまいます。
 謝罪対応に追われる社長だけでなく、その周囲ではもっと大勢を巻き込んだ問題になっていた事でしょう。
 天才とはいえ、きららはまだ13歳の少女でしかありません。いくらモデルとして活躍し、社会人としての目線を持っていたとしても、「大人の世界」というものまでは考えが巡らなくても当然です。

 しかしプリキュアの魅力は、そんな大人の目線での理屈ではなく「自分の心に正直」かどうかだと思います。きららは自分の責任でニューヨーク行きを断念し、かりんのために駆け戻りました。そこにはもう一つの責任として、自分に憧れてくれた子の夢を守りたかったというものがあります。
 現にプリキュアシリーズは本来小さなお子様達に夢を与える物語です。テレビの前できららに憧れ、応援してくれる子ども達にとっても、みんなの夢を守るためにきららが戻って来てくれる、というお子様達の「夢」を、本来厳しいはずのこの場面から感じ取った気がします。

 ここで思い出されるのは、第4話時点での良くも悪くもドライでマイペースだった頃のきららです。
 あの頃のきららも、決して「冷たい」「優しくない」わけではありませんが、今回と同じ境遇に置かれたとすれば、悩みながらもニューヨーク行きを選択したと思います。
 自分がここで立ち止まっては、応援してくれたはるか達やかりんに対しても申し訳が立たない。ならば自分のベストを尽くすためにもニューヨークへ、という考えに至ったのではないかと推測します。

 人はある時期まで、自分の夢だけに邁進していられるものですが、ある時期からは後進の存在が気にかかるものです。
 私も気づいたら職場で若手の育成が業務の一つになっていたりします。そしてこのプリキュア感想においても、かつて中断前に私のスタイルに影響されて感想を始められた方々もいらっしゃり、嬉しい気持ちになった事を思い出しました。そのため中断の決断をした時は本当に悩んだものです。今回のきららとは逆に、自分に影響された方々を裏切ってしまったのか・・・。その答えは私が出すものではありませんが、その経験があったため、きららの気持ちとシンクロするところがありました。

 他に目に付いた場面を羅列していきます。
 まず冒頭、ドーナツを手にする何気ない場面ですが、このドーナツの輪を通じて空を見上げ、その輪の中に飛行機が飛んでいるという構図が印象的です。既に今回の結末を知った状態だと、空の一部が切り取られ、その輪の中の飛行機に乗れない事を暗示しているように見受けられました。
 ゼツボーグが巻き起こす烈風に正面から立ち向かうトゥインクル。これはまさに向かい風に抗うようで、普段からどこか余裕が感じられるトゥインクルがここまで熱く、泥臭い姿を見せるのは珍しく、彼女の本気が伝わってくる熱い場面でした。

 そして短い場面ながら、きららのCMの後に流れたイルカのCMを見上げるみなみが、この2話後への伏線になっています。彼女もまた迷いつつあることをさりげなく取り上げている描写でした。

 ところで国際線の搭乗手続きは出発1時間前締切で、その後の保安検査や出国審査に結構時間かかったりするので、あのまま空港に行っても間に合わなかった気が(こまけぇこたぁいいんだよ!!)
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悩める父メフィスト

遅くなりました。
視聴当時は きららの決断に多いに驚いたものです。ニューヨークへ行くとばかり思ってました。

印象的なBGMを。。。
・ 友情の泉(弦楽四重奏):早朝のきらとわ〜高台での6人での会話
・乙女、走る:きららがスーツケースを放り 踵を返す
・勇気の戦陣:トゥインクル反撃

曲名とのマッチングが ヤバイです。

いやー、ホントに心動かされた回でした。次回を知っていながらも。
そして、スティクス様のご自身を映しての文面は、読み応えと重み画ありました、ありがとうございます。
by 悩める父メフィスト (2017-09-16 11:03) 

スティクス

>悩める父メフィストさん
>曲名とのマッチング
確かに、それぞれの場面が浮かんでくるようなタイトルですね。
毎度のことながら、このシリーズの音楽との親和性に脱帽です。

シリーズ後半に入ると重量級のエピソードが続き、
更新が滞りがちになっていますが、
気長にお待ちいただければ幸いです。
by スティクス (2017-09-18 08:46) 

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