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魔法つかいプリキュア!第42話『チクルンにとどけ!想いをのせた魔法のプリン!』 [魔法つかいプリキュア!]

 諜報目的でプリキュアに近づいた敵の少年少女幹部が、芽生えてしまった友情と使命との板挟みに苦しむ姿は、キリヤに始まり、満と薫を経て、イース様に至るドラマを演出して来ました。
 エレンやレジーナ、トワイライト様はやや性質が異なるものの、敵と味方の狭間に揺れる姿は痛々しく、そして心に残るものです。
 今シリーズのチクルンにも、同じような運命が待ち受けようとしていますが・・・
  
 それは、少し前の出来事―
 他の妖精達がハチミツ集めに働いているのを尻目に、チクルンは一人サボって昼寝しています。すると突然、見知らぬ優男が声をかけてきました。さりげなく話しかけられた事もあり、チクルンは一人くらいサボっていても構わないだろうと相槌を打つように答えます。
『まぁ、バレたら怖い女王様にとっちめられちまうけどな』
『そんなに怖いのかい?』
 こうしてチクルンはその優男、オルーバに弱みを握られ、彼の言いなりとなったのでした。

 その時のことを夢に見てうなされているチクルンを、モフルンが心配そうに起こします。ここはジュンの部屋。前回のお泊りが、そのまま続いています。悪夢の中のオルーバから逃れてほっとしたのも束の間、今度は心配したモフルンに付きまとわれ、報告へ行く間もありません。
 ハチミツ集めに行くと誤魔化して飛び発とうとしますが、かえってモフルンに一緒に行きたいとせがまれてしまい、渋々承知します。モフルンは嬉しそうに、みらいを起こしに行きました。

『何やってんだろ、おいら』
 モフルンと一緒に蜜を集めた後、木陰に腰を下ろし自嘲気味のチクルンに、オルーバの影が迫ります。
『またサボりかい?』
 慌ててチクルンは当たり障りのない報告をします。
『今日もあいつらは魔法学校にいまして、特に変わったことも無く・・・』
 オルーバはその報告を大して気に留めず、先日手に入れたドクロクシーの本に興味を引かれています。ところがシャーキンスは前の戦いでプリキュアに危機感を抱き、一刻も早く潰すべきだという考えを強めていました。
 チクルンもみらい達が倒される事など望んでおらず、リンクルストーンを奪うことでプリキュアとして戦えなくさせる事を進言します。
『貴様まさかプリキュアに情でも移ったのではあるまいな?』
 シャーキンスに睨まれて怯えるチクルンに、オルーバも追い打ちをかけます。
『わかってるよね、君の立場』
 あくまで柔らかな口調物腰ながら、そこには有無を言わさぬ威圧感があります。結局、意見を出したチクルン自身がリンクルストーンを奪う役を任されました。シャーキンスもオルーバの顔を立て、条件付きでリンクルストーン奪還策を受け入れました。
『だが、しくじればその時こそ我がプリキュアを叩き潰す』
 報告を終えたチクルンは、強い緊張に晒されたためか、ぐったりと疲れています。先に帰るみらいとモフルンを見送った後、深いため息をつきました。

 今日はリズ先生の特別授業、お菓子作りです。リリアさん直伝だけあって、彼女の腕前も高い水準を持っています。お題はハチミツプリン。モフルンだけでなくみらい達も、チクルンの分も作ってあげようと意気込んでいます。
 みらい、リコ、ことはに、ジュン達補習メイトがリズ先生の指導の下、プリン作りを楽しんでいるところに、チクルンが戻ってきます。
『リンクルストーンか・・・アレを持っていけばあいつらは危ない目に遭わずに済む。けど・・・』
 誰にも相談できず、チクルンは思い悩んでいます。さらにみらい達からチクルンの分のプリンも作っていると聞いて、胸が痛んでいます。

 チクルンが悩んでいるとは露知らず、みらい達はプリン作りに夢中です。スマホンとリンクルストーンから目を放しているのを見て、チクルンはそっとリンクルストーンを収めたポーチに忍び寄りますが・・・。ポーチの傍らにモフルンがいるのに気付いていません。チクルン後ろ!
『何してるモフ?』
『うわぁああ!びっくりさせんなよ!おいらの後ろに立つ奴はチクチクしちゃうぜぇ』お前はゴルゴかw

 チクルンはリンクルストーンを収めたポーチに腰かけますが、隣にモフルンがいるため、奪い取る隙がありません。モフルンを見るチクルンに、これまでの事が浮かんできます。
 モフルンとの出会い。そしてプリキュアが自分を庇ってくれたこと。雪山で心配してくれたこと・・・
 みんなと過ごした日々の出来事の思い出は、シャーキンスの恐ろしい形相、そしてオルーバの冷たい笑みが思い出され、塗りつぶされました。
 ちょうどプリンが焼き上がり、モフルンがそちらへ向かった隙を突いて、チクルンは心を決めました。
『モフルン・・・おいらが集めたハチミツ。これも使ってくれよ』
 嬉しそうに受け取り、みらい達の所へ向かうモフルンは、チクルンが人知れず別れの言葉を呟いた事に気が付いていません。
『・・・じゃあな』
 チクルンがポーチを掴んで飛び去った事には誰一人気づいていませんでした。

 プリン作りの休憩時間に、ようやくみらいがリンクルストーンが無い事に気付きます。
 その頃リンクルストーンは、チクルンの手によってシャーキンスの手に渡ろうとしていました。
『あの・・・約束ですぜ?これでもうあいつらを痛めつけないって』
 そこにみらい達がほうきで駆けつけます。モフルンがリンクルストーンの甘いにおいを頼りに誘導したのでした。皆はチクルンが間者であるとは露知らず、シャーキンスに襲われていると判断し、逃げるよう促します。しかしチクルンは板挟みに悩んだ挙句、リンクルストーンをシャーキンスに差しだしました。
『まだ気づかぬのか。こやつはオルーバの手先。奴の命令でリンクルストーンを盗んできたのだ』
 一様に衝撃を受けるみらい達。特にモフルンが受けた衝撃は大きなものでした。チクルンも合わせる顔が無いと言った感じで、背を向けて頭を抱えています。

『プリキュア敗れたり!』
 端から約束を守るつもりなどありませんでした。リンクルストーンを手にしたシャーキンスは、変身できないみらい達を容赦なく吹き飛ばし、約束が違うと抗議するチクルンも跳ね除けます。
『やはり情が移ったか。変身出来ようと出来まいと、プリキュアは徹底的に叩き潰すのみ!』お前はシャットさんかw
 シャーキンスは羽根を広げて巨大化し、リンクルストーンとスマホンを収めたポーチを飲み込みます。
『これで手も足も出まい』
 なんだか昔天下一武道会で見たような気がする光景ですが(笑)、変身できないみらい達を完膚なきまでに叩くというシャーキンスの容赦の無さが伺えます。

 その時、チクルンが反旗を翻しました。シャーキンスの口の中に飛び込み、スマホンとリンクルストーンを取り戻します。
 チクルンは怒ったシャーキンスに弾き飛ばされるも、モフルンがしっかりと受け止めました。そしてみらい達もチクルンの想いを胸にトパーズスタイルへと変身。巨大シャーキンスに対峙します。

 モフルンとチクルン目がけて振り下ろされる拳を、ミラクルとマジカルがハンマーで受け止め、その隙にフェリーチェがチクルン達を救出。しかし巨大シャーキンスの怪力はハンマーを砕き、ミラクルとマジカルはそのまま殴り飛ばされました。単身フェリーチェがシャーキンスに挑みますが、善戦するも相手の怪力が上回り、押し負けます。
『プリキュアもその忌々しき石ころも、全て叩き潰す。否!踏みつぶす!』
 モフルンとチクルンに迫る、シャーキンスの巨大な足。それを三人で押し留めます。
『そんな裏切り者のために愚かなものどもよ』
『それは違う!チクルンは私たちの大事な友達!』
『ええ、必死に助けてくれたチクルンを私たちは信じる』
『だからチクルンをいじめるのは・・・』
『絶対に許さない!!!』
 モフルンも抱き留めたチクルンを諭すように、優しく呼びかけます。
『モフルンもチクルンが大好きモフ。だからこれからも友達モフ』
『プリキュア・・・モフルン・・・みんな、ありがとう・・・』
 嗚咽を漏らすチクルンの涙がトパーズに反応し、著しい輝きを発します。
『トパーズはワクワクのリンクルストーン。つまり友達と分かり合えたワクワクが、トパーズのパワーをよりワクワクさせたのです』
 分かるような分からないようなフェリーチェの解説(笑)は、ミラクルを奮い立たせました。
『それって、とっても!!!』
 再び巨大ハンマーを手にしてシャーキンスに振るいます。
『ワクワクもん・・・だぁあああああッ!!』
「叩き潰す」が口癖のようだったシャーキンスが、逆にハンマーに叩き潰されます。そしてエクストリームレインボーにより、シャーキンスも虹のかなたへと消え去りました。
『おのれプリキュアぁあああッ』

 シャーキンスの気配が消えた事を察するベニーギョ様とオルーバ。しかしラブーの時と同様、大して関心がありません。

 チクルンはこれまでのいきさつを打ち明けて謝罪します。お白洲にひれ伏す咎人のように土下座するチクルンに、モフルンはプリンを差し出しました。
『女王様にもモフルン達が一緒に謝りに行くモフ。だから今は一緒にプリンを食べるモフ』
 モフルンとチクルンが集めたハチミツのお蔭で、おいしいプリンになりました。

 するとアメジストの精霊とスマホンが反応し、扉が現れます。かつて校長を探した折に出現した「どこでもドア」と同じもの。妖精の里へと願いながら扉を開くと、その先には花が咲き乱れる世界が広がっていました。ここがチクルンの故郷、妖精の里・・・?


 今回は見せ方によってはもっと重くすることも出来たと思われますが、逆にソフトなつくりで共感が持てました。今回メインとなるモフルンとチクルンは、みらい達から守られる存在であり、本来のターゲットである子ども達の目線には、プリキュア達以上に近い存在と言えます。
 そのように子ども達の目線に近い者たちが過剰に思い悩むのは、お子様にとっては辛い展開になってしまうのではないでしょうか。
 むしろ、「お母さんに隠れてちょっと悪いことしてしまった」子供が、正直に謝れるようになるための教訓という、お子様目線に近い今回のような流れの方が共感しやすいと思います。

 とはいえ、シャーキンスとの決戦に臨むにあたり、最もふさわしそうなルビースタイルではなく、あえてトパーズスタイルを持って来たりするところにこだわりを感じます。
 トパーズスタイルのお蔭でアクションシーンが少し楽しげなものになっていますが、普通ならこのシャーキンス戦は、もっと苦戦してもおかしくないものでした。
 朝日奈みらい、十六夜リコ、花海ことはの、変身できないただの少女に対して巨大化して襲いかかるという暴挙もそうですし、文字通り「叩き潰す」「踏みつぶす」を地で行く容赦の無さ等、これも見せ方によっては戦慄するようなアクションシーンになり得たと思います。
 それでもハンマーでの力押しや、シャーキンスと一対一で対峙する際のフェリーチェの重い攻撃のカッコ良さなど、ところどころ「力と力」の戦いへのこだわりも感じました。
 そして、巨大化したシャーキンスがリンクルストーンを飲み込んだり、それをチクルンが口の中に飛び込んで奪い返したりと、第23回天下一武道会みたいで私世代にはニヤリとさせられます。

「大事な友達」「チクルンを信じる」「いじめるのは絶対に許さない」いずれもチクルンを想っての台詞ですが、シャーキンスの足を支えながらのプリキュア達の言葉は、全ての語尾に!!がつく力強さがあります。
 対してその直後のモフルンの台詞は、寄り添うような優しさが感じられます。もっともモフルンの語尾にモフがつく口調や、普段の話しぶりからは激しい口調になり辛いと言う事もありますが(笑)、前述のとおりチクルンに自分を重ね合わせやすいお子様からすれば
・プリキュア→強く優しく(美しく)、守ってくれる頼もしい存在
・モフルン→同じ目線で接する事ができる親しみやすい存在
 というように見えそうです。そしてプリキュア達の発言はシャーキンスに向けられているのに対し、モフルンの言葉はチクルンに向いています。
 シャーキンスに反論する事でチクルンへの想いを伝えるプリキュアと、チクルンに直接語りかけるモフルンと、異なる手法で気持ちを伝える展開に興味深いものがありました。

 やたらと丁寧に描かれていたプリン作りも楽しめました。マホウドリの卵とペガサスのミルクって、なんじゃそりゃ。あと魔法で卵割るよりも、普通に手で割った方が早いんじゃ(笑)。卵割りに失敗するジュンとエミリーに続いて、ことはが見事に割って見せる事で彼女の魔力の強さを印象付ける意味合いもあったかもしれませんが・・・。まあ手で割ったとしても、卵すら満足に割れなかったまこぴー先輩という事例もありますし(笑)。
 
 オルーバが読みふけるドクロクシーの本や、ラストで出現した「どこでもドア」など、ここに来て前半の伏線が回収されつつあります。次回妖精の里では、更に新たな事実が判明しますが・・・
 その前にハピネスチャージの山場とプリンセスプリキュアのきらら問題という、見応えあるエピソードが続いており、少し更新にてこずっています。ややペースが落ちていますが、気長にお待ちいただければ幸いです。
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MP

いよいよチクルンの秘密がプリキュアにあかされる回です。

冒頭、チクルンの過去らしき夢が登場、そして料理の隙を見てスマホンを強奪しました!そこへ現れたサーロイン…いやシャーキンスによって、追ってきたプリキュアらにチクルンの正体が!!

しかし約束が破られた怒りにチクルンが反旗!これでとうとうシャーキンスも撃破です!! あの巨大ハンマー、「ガオガイガー」のゴルディオンハンマーを思い出しますな。
(フローズン…いやギリンマ…いやガイの「光になれーッ!!」を思い出すのは私だけじゃないだろ)

最後、あんだけスパイしながらも許されたチクルンはうれしかろう。やはり純粋な「終わりなき混沌」ではないんですな。

また冒頭のプリン作り、現在の「プリアラ」にも引き継がれますが、マホウドリの卵とペガサスのミルク(パルフェ!?)って魔法界にも珍しいのがあるんですな(ナットーギョーザアメやオシルコソーダよりゃいいだろ)。また魔法で卵割とは。マコピーよりゃいいかもしれませんが、手でやる事はしないのか!?
(キラパティ連中にも見せてやりたいわ)
by MP (2017-09-05 21:29) 

スティクス

>MPさん
>「ガオガイガー」
私はこれをあまり知らないので、ハンマーが出る度にシティーハンターの100tハンマーを思い出したりしています。

>許された
実害が少なかったことも幸いですね。

>珍しいもの
さらに遡ると、こまちが飲んでいた「ハバネロドリンク」なるものもありまして(笑)。
by スティクス (2017-09-09 10:37) 

T.yU

「サザエさん」で登場した「全自動卵割り機」、まさかあの技術がマホウ界で独自の進化を遂げていたとは…。(違)

はじめまして、T.yUです。

今回の話、「ほんの些細な出来心から取り返しのつかない事態になりかけた」、「おぞましい光景が思い浮かぶ」といった点からか、スマプリのエイプリルフール回が一瞬頭をよぎりました。あの時もこの時もちゃんと話の通じる相手がいたからよかったものの、やはり見る見るうちに本当のことを打ち明けにくくなっていくというものは恐ろしいものです…。

by T.yU (2017-10-10 23:49) 

スティクス

>T.yUさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。

>「全自動卵割り機」
空気を読まずにウエスターさんがやらかした、伝説のカオス回ですね(笑)。
どちらにも共通するのは「手で割った方が早いだろ」だと思います。

>スマプリのエイプリルフール回
なるほどそういう関連性もありそうですね。
ほんの小さな嘘や隠し事が、本人の中でどんどん不安が広がって行き
言うに言えない状況になってしまう。
そういう教訓が込められていたのですね。
実社会でも十分にあり得る話です。
by スティクス (2017-10-12 06:45) 

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