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第18話『ドキドキ!中間テストは恋の迷宮』 [ふたりはプリキュア]

前回に引き続き、キリヤとほのかのエピソード。
キリヤに片思いする聖子という存在を交えて、キリヤの心理描写と立場ゆえの葛藤。
そして、それゆえにこれから歩む事になる残酷な運命。
数話後に切って落とされるプリキュアVSキリヤを語る上で、
前回と今回の描写が活きており、ある意味とても辛いストーリーです。

中間テスト勉強に励むもダメダメのなぎさの辛さも含めて。
というより今回のなぎさは狂言回しで、主役はあくまで「キリヤ」だと思います。
丁度進行度も同じくらいということで、フレッシュにおけるせつな=イース様の今後を考えると
フレッシュの展開が非常に気になります。
  
闇の力はジャアクキング自身も食い尽くし、それを防ぐために完全な存在となり、
そのためには石が7つ必要。
苦しみ始めるジャアクキングとその配下イルクーボ、ポイズニーは焦りを隠せません。
『我々はジャアクキング様と共にある』『闇から生まれた者の宿命としてね。』
ジャアクキングの存在がなくなれば彼らの存在も無くなることを暗示するやり取りです。
が、ポイズニーには別に気がかりな事が。キリヤがプリキュアに手心を加えたのでは・・・と。
キリヤは何も言わず、ただ前回ほのかに付けてもらった絆創膏を見つめていました。

男子と農作業の噂は、目ざとい志穂、莉奈に知られていました。
志穂と莉奈のやりとりでは、藤Pよりもキリヤが気になっている様子。
(木俣・・・可愛そうに・・・いい奴なんですが・・・)
志穂、莉奈に限らず、キリヤのファンは女子部でかなりいるようです。

内気でおとなしい聖子が、キリヤに片思いしている事で応援に励む志穂と莉奈。
引っ込み思案の聖子も、初の告白をする決心をするかどうか悩んでいます。
そこに通りかかったほのかに、話を振る志穂と莉奈。
『聖子が、人生最大の決断の時を迎えようとしているのよ(莉奈)』
『一世一代の恋を告白するかの決断(志穂)』
いまだ戸惑う聖子に何かアドバイスを求められたほのかは、
『自分の気持ちを相手に伝えるってことは、とても大切な事だと思うよ。
 そんな相手がいるだけでも、素晴らしい事だと思うよ』
と聖子に言います。聖子の恋の相手が誰なのかは全く考えずに。
『そうよ聖子ガンバレ!ダメだったら、あたしがなぐさめ・・・』
慌ててなぎさの口をふさぐ志穂と莉奈。今回のなぎさはこのように狂言回し役でした。

サッカー部練習中に、藤Pの指示で交代で入るキリヤ。
退いたサッカー部員とのタッチも無視し、とにかくボールを奪えばいいんだろ、と
ドリブル中の部員の後ろから強引なスライディングタックルをかけ、
ボールを奪うキリヤと、転倒するサッカー部員。
鳴り響くファウルの笛にも構わずシュートを決め、柄にもなくガッツポーズをするキリヤですが、
他の部員達は怒り心頭でした。
不機嫌な顔になるキリヤに詰め寄る部員達の仲裁に入る藤Pは、
キリヤの肩を持ちつつも、危険なプレイに注意をする主将らしい振舞いを見せます。
『今度からは気をつけろよ。でもまあ、みんな同じクラブの仲間だ。そのうち仲良くなるよ』
そう言いつつキリヤの肩を叩く藤P。

そして練習終了後の夕暮れの中、『みんな同じクラブの仲間だ、そのうち仲良くなるよ』
という藤Pの言葉を思い返しながら下校するキリヤの前に、
意を決してラブレター片手に現れる聖子。
もともと内気の聖子と、ラブレターや告白の何たるかを知らないキリヤは
話がかみ合っておらず、『何だかかったるそうだから、カンベンして』と
立ち去ろうとするキリヤが聖子の手にぶつかり、落ちる手紙。うなだれる聖子。
そして『一体何なんだ?』と、苦々しい表情のキリヤ。

図書館で勉強中のほのかの許に現れるキリヤ。
『勉強が好きなんですか?よくここにいるから、よっぽど好きなのかなって思って』
『だって新しい事を知る時って、ワクワクするじゃない。キリヤ君、私に何か用なの?』
戸惑うキリヤ。おそらく深く考えずに足を運んだ先が、ほのかの所だったのでしょう。
そして公園のベンチに移り、キリヤは自分の心について疑問を感じている事を相談し始めます。
『周りが何考えてんのか、良くわかんなくって、どうすればいいのかなあって』
『もしかしたら、自分からちゃんと付き合おうとしてないからじゃない?
 例えば、自分の事をきちんと相手に伝えようとする気持ちかな。
 それが伝われば、きっと相手も一生懸命応えようとすると思うの。
 それで、本当にお互いの事も思えるようになれば、優しくも出来るし、怒る事も出来る
 人と人とのつながりって、そんなものじゃない?』
そして先日の傷を心配するほのかと、絆創膏を見せるキリヤでした。

夜空には満月が浮かび、そんな夜空を漂うキリヤと、その前に現れるポイ姐さん。
ポイ姐さんは本気でキリヤが人間と仲良くなろうとしているのでは、と危惧しますが、
そんな事思っていない、と返すキリヤ。そんなキリヤの学園生活も明日で終わり、
と明日何かを仕掛けるつもりのポイ姐さんを無言で見送るキリヤ。

翌日、中間テスト当日にも関わらず、男子部校門前でキリヤを待ち受ける志穂、莉奈と聖子。
志穂と莉奈はなんとか聖子のラブレターを受け取らせようとキリヤを説き伏せますが、
当の聖子はもう諦め気味でした。そして無言で志穂と莉奈の話を聞き流していたキリヤですが
『雪城さんだって、あんなに応援してくれたじゃない』という莉奈の発言で表情が一変。
相変わらずの志穂と莉奈を他所に、公園や畑でのほのかとの語らいを思い出し、
『(あいつが、こいつのために・・・僕は・・・一体?)』
そんなキリヤの変化に気づいていない三人。聖子は精一杯の勇気で諦めよう、と
『二人ともありがとう、でも、もういいの。キリヤ君ごめんね、私やっぱり』
言い出して顔を上げて、驚く聖子。そこには怒りに満ちたキリヤの目が・・・
そして聖子の手からラブレターを奪い取り、普段は上級生に一応敬語のキリヤですが
『女子部は今日から試験なんだろ。早く行けよ。僕はお前たちに用は無い。帰れ!』
と厳しく言い放ち、ラブレターを破り捨てて立ち去るキリヤ。

昇降口の陰ですすり泣く聖子を慰める志穂と莉奈に気づくほのかは、
そのまま男子部の廊下を財前教授の総回診ばりの迫力で歩み、キリヤの許へ乗り込みます。
教室の窓際に佇むキリヤを見つけ、厳しく怒るほのか。
『あの子達だって強引過ぎたかもしれないし、キリヤ君にしてみれば
 迷惑な事だったかもしれない。でも、あそこまですること無いでしょ。
 それじゃ、いつまで経っても人との付き合い方なんてわかりっこない!
 もう少し、相手の気持ちも考えてあげて!もっと人の心を大切にしてあげて!』
黙って聞いていたキリヤですが、呟くように語り始めます。
『僕より、アイツの方が大事なんだ・・・アイツのこと応援してたんだろ?
 その時、僕の事なんか考えてなかったんだろ?』
一応駆けつけて仲裁に入ったなぎさは
『ほのかは聖子の相手がキリヤ君だったなんて知らなかったんだよ。』
となんとか場を収めようとしますが、
『それって言い訳になんのかよ。そのおかげで、僕はいい迷惑だよ。
 人の気持ちを考えろって言ったのはアンタだろ!』
『あの時は、ただ・・・』予想外の反応に、戸惑うほのか。
『じゃあ、あんたに僕の気持ちがわかるのか!?心ってなんだ?
 僕の心っていったい何だ?あるとすれば、どんな心だよ!
 ・・・人の事、何も知らないくせに、偉そうな事を言うな!!』
優しくしてくれたほのかの態度を思い出し、持って行きようのない苛立ちをぶつけるキリヤ。
そしてうつむいたその表情は伺えず、拳を握り締めています。
『私、キリヤ君の事何も知らなかった。なのに、ごめんね・・・ごめんなさいっ・・・』
衝撃を受け、頭を下げるほのか。なぎさも、キリヤのクラスメイト達も戸惑うばかりですが、
キリヤの痛々しい心のせめぎ合いとほのかの悔悟が伝わる、緊迫したシーンでした。

一転して「中間テスト」という現実に。
教室では戻ってこないなぎさとほのかを案じる生徒&よし美先生。
廊下に二人の影が映り、間に合った、と思いきや、
教室のドアが開くと、そこはポイズニーが作り出した異空間でした。
落ち続ける異様な空間の中で変身する二人。
着地した先は、映画「鏡の国のミラクル大冒険」を彷彿とさせる一面鏡張りの空間でした。
が、ココとナッツを拉致するだけだった映画とは異なり、
鏡に映るポイ姐さんとの戦闘が繰り広げられます。
『ここがお前たちの墓場よ』などといかにも悪役らしい台詞を吐くポイ姐さんですが、
攻撃したと思ったら鏡だったり、突然意外な方向から攻撃してきたり、
鏡空間を上手く使って攻撃してきます。

その頃、キリヤは教室でうつむき、先ほどのほのかの謝罪を思い出していました。
『ごめんね・・・ごめんなさいっ・・・』
キリヤの心の迷いを象徴するかのように、空には飛行機雲が浮かんでいきます。

鏡空間に苦戦しつつも、なんとか二人がかりでポイ姐さんを捕まえて、
鏡に叩きつけるブラックとホワイト。これ、相当な惨状になると思いますが・・・
怒ったポイ姐さんは二人を鏡の中に閉じ込め、二人もろとも鏡を破壊して
プリズムストーンは破片から探す、とスプラッタな展開になりそうな手を使おうとします。
二人が本気でビビっているのも無理はありません。
絶体絶命のそのとき、プリキュアの背後から光が差し・・・
先ほどの試験開始前の廊下に脱出する二人。時間も少し戻っていたようで、
扉を開けると今度は教室でした。

割れた鏡を見て、その中にあるはずの無残な姿が無く、
何故逃げられたのか戸惑うポイ姐さんと、無言で2年桜組の教室前を歩くキリヤ。
具体的には描かれていませんが、キリヤが助けたと考えるのが妥当でしょう。

放課後、聖子とほのかが一緒に下校していました。聖子がほのかと会う前に、
キリヤが聖子に対して手紙を受け取れない事、そして謝ってくれたことで、
ちょっと残念だったけど、すっきりした、と割り切った聖子でした。
そして、わざわざ謝りに来てくれたキリヤに『ありがとう』と言った時の
キリヤのキョトンとした表情を皆に見せたかった、と笑う聖子。
そこに追いついたなぎさは、チョコパフェ食べ放題でヤケ食いしよう!
青春はまだ始まったばかり!と聖子を誘い出し、楽しそうに付き合う聖子。
明日もテストなのに・・・と呆れるほのかで幕となりました。

今週のフレッシュプリキュアが「本音と建前」の人間関係描写だっただけに
それを踏まえてキリヤの心境を考えるととても興味深いエピソードでした。
キリヤは基本的に学園に紛れているときは全て「建前」で、
ドツクゾーンにいるときが「本音」のはずですが、
人間、特にほのか、藤P、聖子に触れた事で立場と存在意義が大きく揺らぎ、
キリヤの描写に深みが出てきます。
そして人間の最も醜い感情であるといわれる「嫉妬」を
ほのかに応援された聖子に対して抱いてしまい、姉にもドツクゾーンの誰にも
相談できない「本音」を思いっきり表面に出してしまった苦しみが伝わってきます。
奇しくも「鏡」つながりで同じように「心」を持った事で悩み苦しんだ
劇場版プリキュア5のダークドリームに類似点を見出すことが出来ますが、
ダークドリームは辛い胸の内を受け止めてくれたキュアドリームがいたのに対し、
キリヤは敵であることを隠しているほのかに相談する事ができず、苦しんだ事でしょう。
ただ救いは、ほのかの謝罪を受け止めて聖子に謝罪した事で、
自ら何らかの答えを出そうと考えて行動したことだと考えたいです。

そういった心象描写が光る話なので、「光と影」の演出も随所にありました。
・冒頭、河川敷で一人佇むキリヤ。白い水面に立つ黒い波紋は、光の世界に対する
 闇の住人の揺れる心でしょうか。
・夕暮れのラブレター渡しのシーンはキリヤに光が当たり、聖子に影。
・ほのかに逆上するシーンは窓際に立つところからずっとキリヤに逆光。
・聖子に謝るシーンはキリヤに光で、聖子が影。そして吹っ切れた聖子に光。

また、公園でキリヤに
「本当にお互いの事も思えるようになれば、優しくも出来るし、怒る事も出来る」
と語るほのかの台詞は、前回キリヤの手当てをした事と、今回キリヤに怒るほのか
だけでなく、キリヤに置き換えてもキリヤがプリキュア(というかほのか)を思ったからこそ、
教室で逆上したり(怒る)鏡空間から助けたり(優しく)した伏線だと感じました。

このように、今回はキリヤがメインで、絡むのはほのかということもあり、
なぎさは完全に狂言回しにされてしまいました。
・テストの話は『その話は・・・今したくない!』と2度も言い切る。
・聖子の片思いの話を聞いて、藤Pと置き換えて妄想にふけり、
 照れてガラスに頭を何度も打ち付ける。
・ハチマキしめて徹夜で試験勉強しようとするもうるさいメップル、さらにうるさいシカルプのため
 勉強に身が入らず、挙句に100点を取って藤Pに祝福される夢を見る。
・まるで教頭のように『おっしゃるとーり』を繰り返すなぎさ。
 ほのかとキリヤの仲裁の際、
 『ここは一つ大人になって』『大人じゃないもん!』『おっしゃるとおーり』
 落下しつつ変身する際に
 『メップル持ってる?』『もっちろん』『変身しましょう』『おっしゃるとおーり』

キリヤとプリキュアの山場まであと3話。先の展開を知ってはいるのですが、
感想を書くようになってから観る度に発見があり、楽しみでも、苦くもあります。
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