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第20話『どっちが本物?ふたりのほのか』 [ふたりはプリキュア]

戦う理由。
それが正しいか悪いか決めるのは戦っている当事者たちではありません。
プリキュア側に戦う理由があるように、敵側にも常に戦う理由がありました。
初代の前半とMHではジャアクキングのため、ひいては自分が生きるため。
初代の後半では自分達の生きる道を模索するため。
SSはアクダイカーンの望む世界のため(としておきます)
プリキュア5シリーズでは所属する組織のため。
そしてフレッシュでも自分達の世界の総統のため、といった具合です。
特に初代の敵グループ達に顕著なのは、闇の世界の存続=自分達が生きる道
という図式があるために、それこそ命がけで戦う理由が存在します。

偽ほのかが醸し出すサスペンス色と、戦う理由について主張をぶつける戦闘。
そして戦いの理由として「仇討ち」に繋がる結果。
ポイズニー姐さん最後の活躍は、名悪役としてふさわしいものでした。
  
夕方の理科室では、科学部が香水作りに励んでいました。
ユリコをはじめ、他の部員達が「芳香剤」「お線香」のような香りに仕上がったのに対し、
流石にほのかはぬかりなく、瓶詰めまでして商品のように仕上げていました。
それにしても互いの香水の匂いを嗅ぐ科学部員たちは、試験管に直に鼻を向けていましたが
普通あおいで嗅ぐのでは・・・?などと余計な事を考えてしまいました。
一方のラクロス部も練習中で、例によってなぎさの前回の回想が独白されますが、
「七つの石を早く揃えてメップルたちの世界、光の園を早く甦らせてあげたいよね!」
と回想が締められました。

『我々の永遠を完成するためには、食い尽くしてしまうしかない。食い尽くすしかないのだ』
ジャアクキングに謁見しているポイ姐さんからは、並々ならぬ緊張感が伝わってきます。
出撃前に、イルクーボとキリヤからも案じられているポイ姐さん。
前回身をもってプリキュアの力を体感したイルクーボも注意を促し、
キリヤも無言でポイ姐さんに目をやります。
『プリズムストーンは必ず持ち帰る。この命に代えても』

ラクロス部の練習も終わり、丁度ほのかと出会ったなぎさは、
香水の香りに気が付きます。そして一緒にアカネさんの店に寄るため、
校門で待ち合わせする事になりました。
その一連のやり取りを見つつ、ほのかとすれ違う女子生徒。結構美人ですが、
振り返った時、その目はポイ姐さんの目になっていました。

先にほのかが待っているはずの校門には、逆になぎさがほのかを待つ形になっていました。
その間、例によって騒がしいメップルを無理矢理オネムのカードで眠らせたところ、
『お待たせ。あの後、科学部の先輩に捕まっちゃって』と姿を現すほのか。
なぎさの手の中のメップルの様子を伺おうとしますが、
『あぁ、今寝てる。行こ』と、帰路につくなぎさとほのか。

二人が校門から離れたところ、駆けつけてきたもう一人のほのかの姿が・・・
こちらが本物で、なぎさと先に行ったほのかはポイ姐さんの化けた偽者でした。
本物のほのかの前に、意味ありげに姿を現すキリヤ。
『あれ?香水、つけてるんですか?』
『そうなの。科学部の実験で、みんなで作ったの』
『ひょっとして、鈴蘭のエキスも混ぜました?』
『薔薇をベースにしたんだけど、鈴蘭を微妙に使ったところが、今回のポイントだったのよ』
科学部の誰もが気づかなかった事を驚くほのかに、微笑むキリヤ。そして・・・
『でも、香水なんかつけなくても・・・』
二人を包む夕陽が、長い影を作っています。しばしの沈黙。
そして戸惑うかのように『あ、いえ。じゃあ』と、一礼して立ち去るキリヤ。
このシーン、もしかして「鈴蘭」がキーワードかもしれないと思ったので花言葉を調べてみました。
「幸福が帰る」「幸福の再来」「意識しない美しさ」「純粋」
後者二つはほのかを指しているとも考えられますが、この後の展開と、
次回を考えると前者二つの花言葉は意味深に思えてきます。

先に帰った方のほのかとなぎさはアカネさんの店に立ち寄っていましたが、
このほのかはたこ焼きを一つも口にしていませんでした。
香水の匂いを嗅ぎすぎたため、頭がボーっとしているというほのかを心配するなぎさですが、
たこ焼きを頬張りながら『ほうひえば、ミェップルはどうひてるの?』
と聞きます。思わず聞き返したほのかに、今度はしっかりと
『ミップルよ』と言い直しますが、『ミ・・・ああ、アレは、どうしたんだっけなぁ』
『やだ、アレだなんて、ほのかもミップルとケンカしちゃったの?』
と、寝ているメップルを見るなぎさに、『ちょっとそれ見せて』と興味を示すほのか。
『え?寝てるんだよ。っていうか、あんまりうるさいから寝かせちゃったんだけどね』
ほのかの手にメップルが渡る寸前、アカネさんが次のラクロスの練習試合に応援に行く、
と絶妙のタイミングで現れ、とりあえずメップルはまだなぎさの手の中にありますが、
お客さんに呼ばれてアカネさんが店に戻った後、直接行動に移るほのか。
『それより、ミップル見せてよ』『・・・ミップル?』
異変に気づいたなぎさ。ほのかがメップルとミップルを言い間違えるなんてありえない。
『ふん、なるほど。そういうことか・・・』と、呟く偽ほのかから逃げ出すなぎさ。
先の呟きも、ほのかの顔、ほのかの声だけに、かえって凄みがあって怖さを演出しています。
黄昏の寂しい住宅街。駅に向かって走るなぎさを、淡々と歩いて追ってくる偽ほのか。

その頃本物のほのかはアカネさんの店に到着していました。
そして、もう一人いる自分と一緒にいるなぎさを案じて走り出します。
そして、なぎさは偽ほのかを振り切るかのように、電車に駆け込み、息を弾ませていました。
しかし、一息つく間もなく、同じ車両の隣のドアから乗っていたほのかから声を掛けられます。
思わず車両の反対側に逃げるなぎさを追って来るほのかですが、
『なぎさー!すみません』と、
混んだ車内を進む際に他の乗客に声をかけるなど、こちらが本物?と思わせます。
が、なぎさが車両の連結部の扉を開けると、そこにはもう一人のほのかの姿が。
二人のほのかに挟まれ、戸惑うなぎさ。

以下、紛らわしいので隣のドアから乗車した、先に登場した方の台詞と行動を
斜字で記します。
なぎさの前に手を伸ばし、先ほどの香水の香りを嗅がせて本物だと主張しますが、
隣の車両から現れたほのかは、そんなのは証拠にならない、部室に忍び込んでつけたと主張。
さらに証拠品とばかりに、香水の瓶をなぎさともう一人のほのかに見せます。
『騙されちゃダメよ。あなたこそ、部室に忍び込んだのね?』
『何を言ってるの。こっちには証拠があるのよ』
ますます混乱するなぎさでした。

CMを挟み、続く二人のほのかの応酬。
『そうだ、ミップルは今どうしてるの?』と聞くなぎさに対する反応は、
『寝てるけど?』『ここよ。わかったでしょ、私が本物よ』『違う、本物はこっち』
結果的に二人ともミップルを出し、決め手に欠きました。
『私達の担任の先生の名前は?』『よし美先生よ。決まってるじゃない』
『じゃあ、私の誕生日は?』と聞くなぎさに
『10月10日。星座はてんびん座で、血液型はO型』と即答するほのかと、
『そんなのいくらでも調べられる』と批判するほのか。
『じゃあ、私の好きな食べ物は?』という質問も、二人とも即答しました。
『たこ焼き』『チョコレートに決まってるでしょ?』
そして、なぎさに対しての知っていることを言い合う二人のほのか。
『なぎさはスポーツが好き』『でも、勉強はあんまり好きじゃない』
『苦手な食べ物は玉ねぎ』『何かに集中すると、周りが見えなくなるタイプ』
『頼まれると嫌とはいえないタイプ』『おっちょこちょい』
それぞれの発言に一喜一憂しつつ聞いていたなぎさでしたが、
『なぎさの靴下は、ちょっとクサい』『はぁ?』戸惑う片方のほのか。
『何言ってんのよ、なんで私の靴下が・・・』なぎさも、ある大切な事を思い出しました。
二人がケンカした、そしてその後初めて名前で呼び合った、あの時の事を。

本物のほのかと共に、偽者のほのかを見つめるなぎさ。
『じゃ、しょうがないわねぇ』と、ほのか姿のまま、ポイ姐さんの声で追って来るポイ姐さんから
人気の無い倉庫街へ逃げる二人。そして近くの倉庫に逃げ込んで扉を閉めますが、
元の姿に戻り、『今日と言う今日は、私もマジだから』
というポイ姐さんの気迫で押し破られる倉庫の扉。
恐ろしく顔を歪ませて『覚悟しなー!』とドスを聞かせるポイ姐さんは、
なぎさを思わず『怖ッ』と言わせるほどの迫力がありました。
それでも、気を取り直して変身する二人。

『とっととお家に帰りなさい!』の口上の後も、
『悪いけど、今日だけは帰る訳には行かないの。遠慮なしでびっしびっし、行っちゃうからね!』
『若いっていいわねぇ、うらやましいわ。勢いだけで突っ走れたりしちゃったりなんかして!』
と、口調は軽くとも、前回のイルクーボばりの衝撃波で二人を寄せ付けない強さを見せ付けます。
『あんた達の運と度胸は認める。だけどねえ・・・
 世の中それだけじゃ渡っていけないってこと、教えてあげる!』
その後の猛攻で、全く手が出せない二人。
追い打ちをかけるかのように、ポイ姐さんの髪が生き物のように襲い掛かってきます。
ブラックを締め上げて振り回し、たたきつけた後も、ポイ姐さんの持論が再び。
『この世の中で大事なのはね、知力、体力、そして何より、経験よ。
 修羅場をくぐった経験を重ねて初めて大人になれるの。
 運と度胸だけじゃ絶対に大人には勝てない。
 つまりあんたたちがこの私に勝てる根拠も理由も一つもないのよ!』
『偉そうな事言わないで!』
『あなたはただ、自分達の勝手な理屈を、無理矢理押し通そうとしているだけじゃない!』
そう反論するブラックとホワイトに対し、まさに悪役冥利に尽きる名台詞が。
『力を伴わない正義は、悪にも劣る!』

苦戦を強いられ、追い詰められた二人はマーブルスクリューを放ちますが、
『どんな技だって、当たんなきゃ意味が無いのよ!』と、響き渡るポイ姐さんの声。そして
『だから言ったでしょう?この世の中、最後に勝ち残るのは
 経験を活かし同じ失敗を繰り返さない者だけだって!』
と、プリキュアの背後に現れ、二人の手足を縛ってマーブルスクリューを封じてしまいます。
『修羅場をくぐり、経験を積んで勝ち残った者だけが全てを支配する。
 怖い物知らずなだけの愚か者は、ただ肉体を酷使し、もがいても苦しんでも結局は、
 我々の幸せのために、尽くすしかないのよ!』
『そんなの、あなたたちが勝手に思い込んでるだけの理屈でしょ!』
『どうせ、あたしたちは怖い物知らずで経験なんてないわよ!』
『だけど、私達には、守らなければならないものがある!』
『負けちゃいけない理由がある!』
ポイ姐さんに反論しつつも必死で手を伸ばすブラックとホワイトですが、
あと少しのところで届きません。
『後先も考えず口先だけじゃ勝てないってことすら、わかってないみたいだね!』
倉庫の壁にこすり付けられ、地面に叩きつけられる二人。それでも、
『後も先も関係ない。いつも、今この瞬間の一回勝負!』と立ち上がるブラックの元に
ポイ姐さんの死角から飛び込んでくるホワイト。
そしてポイ姐さんがホワイトに気を取られた隙にホワイトの元へ飛び込むブラック。
手を繋ぐ二人に『無駄だ、私には当たらないよ!』と自身ありげなポイ姐さんですが、
『私達だって、学習してるのよ!』と、自分達を縛り付けているポイ姐さんの髪に
マーブルスクリューを放つブラックとホワイト。
さしものポイ姐さんも撤退しますが、そのまま髪を伝って流れ続ける黒と白の稲妻。
そして・・・空の彼方で響く、断末魔の絶叫。降ってくる石。

ドツクゾーンでは、何かを察したキリヤ。
夕陽を背景に立ち尽くすブラックとホワイト。
『・・・まさか、姉さん』呟くキリヤを見つめるイルクーボ。
ポイ姐さんを倒し、石を手にしたなぎさも、複雑な想いを抱いていました。
『・・・何で・・・?どうしてここまでして、このプリズムストーンを・・・』

キリヤに言い聞かせるように、そして自分にも言い含めるように、淡々と語るイルクーボ。
『敗れた者は、闇に消え去るのみ。それがドツクゾーンに生きる者の運命。
 生き残るためには勝つしかない。食い尽くすしかない。
 我々は、永遠の闇を得る為に、ここに存在しているのだ。
 闇に生きるか、光に死すか。どちらかしかない』
『僕は・・・・・・生きる』
そう答えたキリヤを、無言で見つめるイルクーボ。
目を伏せ、震える声で、『生きるに・・・決まってるじゃないか・・・』
と歩き出すキリヤの背後に、『キリヤ・・・』と呟くイルクーボ。
折りしも一条の黒い影がジャアクキングに吸い寄せられるかのように
ドツクゾーン上空を飛んで逝きました。あれはポイ姐さんの魂でしょうか。
その空を見上げ、姉を失った事と、己の運命を呪うかのような
キリヤの激しい慟哭で幕を閉じました。

「香水」「メップルとミップル」「プリキュア手帳」
これらを効果的に用いて偽ほのかの正体を探る前半部は、
サスペンス色に満ちた展開でした。
良く見ると、偽ほのかの不自然な点と、本物のほのかの不自然な点が、
いろいろと見えてきます。
それにしても初出撃時に「チョコ娘」「ブレキストン博士」と、なぎさとほのかの
対処法を下調べしてきたポイ姐さんですが、メップルとミップルの事を
もう少し詳しく調べていれば、と悔やまれます。

そのポイ姐さん。私の記憶の中では第13話の巨大犬第15話の戸棚隠れ&「ポイ子さん」
のイメージが強かったため、てっきり珍キャラクターだと思い込んでいましたが、
第12話からの出撃回を見る限り攻撃方法に関しては意外とまともでした。
植えつけられたイメージとは恐ろしいものです。

そして今回、キリヤとイルクーボもお膳立てをしたのか、と思わせました。
校門でほのかを呼び止めるキリヤは、おそらく本物のほのかを
繋ぎとめるための時間稼ぎだと思います。
が、その結果第13話のように、改めてほのかへの想いが強まってしまい、
更なる葛藤で苦しむことになってしまうのだと感じました。
イルクーボに関しては考えすぎだと思いますが、
お客さんに呼ばれてアカネさんが退場する際、お客さんの声がイルクーボ役の
二又さんだったので、実はイルクーボが絶妙のタイミングで手助けしているのでは?
などと余計な事を思ってしまいましたが、タイミング的にはナイスアシストでした。

後半の激論を交えての戦闘はピーサード戦にも通じるものがあります。
ポイ姐さんの持論である「経験」が、そのままプリキュアの「経験」として
プリキュアの強さを高め、その力で自らが倒されてしまう皮肉。
プリキュアは守るべきものがあるから戦える、という論調ですが、
ポイ姐さん始めドツクゾーンの面々も生きるため、生きながらえるために戦うという
切実な事情があります。
展開上絶対に許されないのはわかっているのですが、もし、それをプリキュア側が聞いたら
他のシリーズでも共に最善策を模索する、という道もあったのかもしれません。

そして次回の悲愴な展開を思わせる終盤の描写。
イルクーボも決して同僚に冷淡な者ではなく、むしろキリヤに言い聞かせるような語り口からは
姉を失ったキリヤを案ずるかのような印象も受けます。
姉を倒した相手は、ただの先輩ではない存在となってしまったほのか。
その板挟みは、「友達」としての満と薫、
今のところ「上っ面の友達」のイース様以上に
キリヤにとって苦しいものだと思います。
次回は見る側にも苦しい、キリヤのエピソードになります。
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