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第33話『Vゲット!心でつなげ光のパスライン!!』 [ふたりはプリキュア]

無印~SSに至るまでと、5~フレッシュに至るシリーズの違いとして
個性豊かなクラスメイトや部活のメンバーの存在が挙げられます。
5シリーズは主人公が多いこともあり、学園メンバーでは他に増子さんがいるくらい。
フレッシュシリーズはそもそも学園生活があまりクローズアップされないので
大輔ほか数人の男子がストーリーに絡んだ程度です。
その点、クラスメイトキャラの中でひときわ強烈な個性を持つミルク志穂と莉奈。
第8話のなぎさとほのかにも通じる点がある、
志穂と莉奈、二人のすれ違いと衝突、和解に至る、清々しいエピソードです。
  
練習中に励むラクロス部ですが、先週の試合、自らのミスが原因で
敗戦したことを気にしてパスが思い通りに出せない志穂。
いつもの志穂らしく上辺だけでも明るく振舞っていましたが
先週の試合の事を引きずっているのではないかという莉奈の声から、
少しずつぎくしゃくして来ます。
『私達はもう一回も負けられないんだからね』
『ねえねえねえ!それって私のせいで先週負けたって言いたいわけ?』
『そんな事言ってないじゃん』『今言ったもん』
『やっぱひきずってるじゃん』『ひきずってないもん』
なぎさの仲裁で、ひとまず収まりますが・・・

目覚めたジャアクキングの雄たけびを聞く、ジュナ、レギーネ、ベルゼイの三人。
雄たけびの風圧でスカイダイビング中のように顔がプルプル震えている三人が
怖いシーンにも関わらず、少し笑わせてくれます。
洋館に戻り、ジャアクキングのためにも石を集めようとする角澤、翔子さんをよそに
結城先生はなにやら考えがあるように、そう慌てることはあるまいと
はやる二人を制していました。

所変わって、練習後にアカネさんの店に寄り道しているなぎさと莉奈。
たこ焼きを前にしても、莉奈は顔を曇らせていました。
志穂が前の試合のミスを気にして、一人居残り練習している事を告げ、
水臭いとばかりに練習に付き合うと言うなぎさに、
なんとなく志穂の気持ちがわかる、と言う莉奈。
「天才プレイヤー」のなぎさと違い、レギュラーを目指して二人で頑張って来たからこそ、
二人そろってレギュラーになったときは嬉しかったこと。
だからこそ、皆に迷惑かけられないって気持ちが強すぎるのかもしれない、という莉奈。
ずっと頑張ってきた仲間だからこそ志穂のことを良くわかっている発言です。
『志穂のパスって好きだよ。意志がはっきり伝わった、志穂らしい受け止めやすい感じかな』
その想いは、エースであるなぎさも良く知っていました。

科学部の活動の後、すっかり遅くなった理科室に聴こえてくる、志穂の練習の音。
一人で頑張る志穂を見守るように微笑むほのかでした。
すっかり日も落ちて、暗くなった部室に向かって一息つく志穂でしたが、
部室の中から聴こえてくる、志穂に対する後輩の陰口を聞いてしまい、
部室に向かわず反対側に駆け出していく志穂。
こんなに頑張っているのに、後輩に陰口を叩かれている。
すっかり落ち込んでしまったのか、暗い自室でうなだれる志穂でした。

翌朝、朝練で登校した莉奈が昇降口に着いた時、思いつめた表情の志穂がいました。
今日は休む、という志穂を気遣う莉奈でしたが、
『いいからほっといて。私、どうせ迷惑な奴だから』
落ち込んでいる人は、こう悪いほうに自分を持っていきがちです。
そんなネガティブな志穂の発言を聞いても、
『済んだ事いつまでも考えてもしょうがないよ。さ、練習行こう』
と優しい口調と声で後押しする莉奈でしたが、
『嫌!私なぎさみたいに上手くないし、莉奈みたいに足が速いわけでもないし、
 みんなを活かすパスを出すのが私の役割だと思ってた。でもあのざま・・・』
自らを否定し続ける、負のスパイラルに入ってしまった志穂。
『誰もそんな事、言ってないじゃん!』
『ううん、よくわかってるもん。ラクロスなんて向いてない。きっとみんなもそう思ってる』
残酷なことに、自分に対する陰口を聞いてしまっている志穂にとって、
誰もそんな事言っていないという莉奈の発言は耳に入りませんでした。
『何よ、一人でうじうじして。そんなの志穂じゃない。勝手に一人で悩んで、思い込んじゃって。
 そんなに自信がないなら、そんなに自信がないなら、
 もう辞めちゃえば!辞めちゃえばいいのよ!』
『ええ、そうする!』
予想外の志穂の反応に驚く莉奈。
そこに登校してきたなぎさから、志穂は逃げるように立ち去って行きました。

授業中も志穂の事が気になっている莉奈は、放課後屋上でため息をついていました。
そんな莉奈を気遣ってくれたほのかに珍しく相談に乗ってもらう莉奈。
『ねえ雪城さん。友達と喧嘩したとき、勢いで思っても無い事言っちゃったなんて事ない?』
『あるよ』あの河川敷での出来事を思い返し、答えるほのか。
ほのかの答えが意外だったため、その時どう対処したのか聞く莉奈に、
『相手も私と同じように言い過ぎたって後悔してることがわかったの。
 おかげで、前よりもお互いのことが分かり合えるようになった気がするわ』
と助言するほのか。

一方の志穂は深刻です。降りしきる雨の中、なぎさの部屋を訪ねてきました。
『光の道が見えるポポ』
部屋の隅で、ぬいぐるみのフリをしているポルンが突然口を開き、
例によってなぎさが誤魔化す場面もありましたが、志穂は思いつめていました。
『私、ずっとずっとずっと考えてたんだけど・・・ラクロス辞める』
相変わらずの志穂節ながら、思いつめた志穂の発言に戸惑うなぎさ。
『なんかさ・・・向いてないし。莉奈も、そう言ってたし』
『莉奈が?志穂、まさか莉奈が本気でそう言ったなんて、思ってないよね』
なぎさも先程のほのかと同様、ほのかの手を払いのけた時の事を思い出していました。
『莉奈だって今頃、きっと後悔してるよ』
思えばあの時、つい失言してしまったなぎさだけに、
莉奈の気持ちがわかるような口ぶりで志穂を嗜めますが、
チームが勝つためには、私なんかいないほうがいい、と言い出す志穂の発言を聞いて
ポジティブに叱咤し始めます。
『そんなものだったの?志穂のラクロス部に対する気持ちはそんなものだったの?
 確かに試合に勝ったときはめちゃめちゃ嬉しいよ。
 でも、私は勝つためにラクロスをやってるんじゃない。
 仲間と一緒に、同じ目標にがむしゃらになってるときが好きなの。
 志穂だって、そういう気持ちがあったから莉奈と一緒に頑張ってきたんじゃないの?
 仲間が一人でも欠けたら、たとえ勝ったって、そんなの何の意味もないじゃない』
『でも私は・・・とにかく決めたの!』
おそらくなぎさの説教の最中から、志穂も気づき始めたのでしょう。
でも、言葉で上手く気持ちを言い表せないのか、
引き止めるなぎさを振り切るように帰ってしまいました。

試合の当日。ポルンは寝ているので部屋に置いてきたそうですが、試合前に
『大切な友達のためにも負けられない』
『大丈夫。なぎさなら、みんなの心を一つにできる』
と言い合えるなぎさとほのかのシーンが、途中何度か挿入された8話の時、
そして今回の志穂と莉奈の関係を見ると、二人の関係がよく伝わる描写でした。

対戦校は、例によってまた御高倶女子。
試合前になぎさから志穂の事を聞き、私が言いすぎたせいだ、と動揺する莉奈。
そんななぎさ、志穂、莉奈の気も知らず、またプレッシャーをかけに来たとしか思えない
教頭が登場。『この前のような無様な負け方は・・・』
などと相変わらず空気を読まない発言です。
この試合で志穂には立ち直ってもらおう、とクロスを交差させるなぎさと莉奈が格好いいですが、
当の志穂はずっと浮かない表情でうつむいていました。

練習中の御高倶チームは相変わらずいい動き、のはずですが・・・
一人だけ見慣れない、気弱そうで下手な選手がいました。
『翔子何やってんの!』
こぼれ球がなぎさのもとに転がってきて、恐縮したようにボールを取りにくる
背が高くて声が小さくてオドオドしていて髪を特徴的に結っている「御高倶の翔子」さん。
『あ・・・あの、美墨さんですね?』『そうだけど?』
『あの・・・あの・・・私と写真撮って下さい・・・』『え?まあ、いいですけど』
『ありがとうございます。カメラは向こうにありますので・・・』
ライバル校の選手にまでモテると冷やかす声を後に、ついていくなぎさでしたが・・・

ほのかの傍で、ミップルは不穏な空気を察していました。
いつしかなぎさと「御高倶の翔子さん」は競技場の外まで行っていました。
オドオドしたまま、なぎさに
『ここで・・・戦って欲しいんです・・・』『はぁ?』
『あの・・・ここで・・・ここで決着つけるって言ってるのよ!!!』
気弱そうな「御高倶の翔子さん」は、やっぱりレギーネでした。
その頃、なぎさの部屋でポルンも驚いて目を覚ましていました。

なぎさが戻ってこない試合会場では、もう試合開始。
キャプテンの弓子先輩の指示で、なぎさが戻ってくるまで志穂が踏ん張って、
ということになり、自信なさげに『はい・・・』と答える志穂。

生身のまま、クロスでレギーネの猛攻を受け止め、身をかわすなぎさ。
とても凄い身体能力ですが、変身前の状況では、レギーネに追い詰められてしまいます。
そこに駆けつけ、なぎさに向かってメップルを投げるほのかと、
受け取ったメップルを開くなぎさ。この二人が凄く格好良く描かれていました。
そして変身する二人。

『一人でぬけがけとはな・・・』
そう言いながら現れたジュナ。どうやら今回の行動はレギーネの独断だったようですが
ジュナ、レギーネ二人で攻撃を畳み掛けてきます。

一方ラクロスの試合は劣勢。再びパスを取り損ねる志穂ですが、
弓子先輩、そして莉奈は「ドンマイ」とばかりに優しく微笑み返していました。
そしてプリキュアの二人もジュナとレギーネに押されていましたが、
『駄目ポポーーーーーーーーーーー!!!!!』
なぎさの部屋からポルンの叫びが光の道のように届き、
レインボーブレスが出現。あっという間に形勢逆転し、
レインボストームでジュナとレギーネを追い返しました。

なぎさが戻った時、試合は6対5で負けていました。
不安そうな志穂に親指を立てて合図するなぎさ。
表情が明るくなる志穂。そして早速なぎさのシュートで同点に追いつきます。
それでもまだ自信が持てないのか、不安そうな志穂。
莉奈のパスが志穂に通りますが、志穂は行く手を塞がれ、なぎさにパスしようとするも
先日のミスを思い出し、あさっての方向に飛ばしてしまいました。
が、そのボールを莉奈がキャッチしてゴールへ向かって速攻。
莉奈から志穂へ。そして志穂からなぎさへ・・・
と、ここで再びミスを思い出し、萎縮してしまう志穂でしたが、
『絶対取るから』『仲間を信じて』
と、励まされるように、志穂のパスは見事なぎさに通りました。
そして逆転のシュートをしようとするなぎさでしたが、完全にシュートコースは塞がれています。
その時、なぎさと志穂の間に光の道が見え、思い切って志穂にパス。
そして戸惑う志穂でしたが渾身のシュートが決まり逆転。そして、試合終了。

志穂の下に集まるチームメイトたち。
『なんかなんかなんか、気づいたら入ってたんです!』
『ひょっとして私って、天才天才天才?』
いつもの志穂節、いつもの明るい志穂。喜ぶチームメイトの中、
『いつもの・・・志穂だ』
一人涙を流している莉奈。
『やだやだやだ。莉奈ったら、泣かなくてもいいのに・・・』
そう言う志穂も涙ぐんでいました。
『ごめんね、あんな事言っちゃって』
『私こそどうかしてた。ありがとう、莉奈。ありがとう、なぎさ』

ポルンの予言した?光の道は、離れていても届いたポルンの力の事か、
それともパスラインのことか、どっちだったのかわからなかったなぎさでしたが、
雨降って地固まる。第8話のような、爽やかな後味を残すエピソードでした。

今回はなぎさとほのか2人が脇に徹することで、志穂と莉奈という
個性豊かな二人の関係を見事に描き出しています。
第8話のシーンが象徴的に用いられるも、この時のなぎさとほのかとは違い
既に親友でありチームメイトである志穂と莉奈の関係。
莉奈の叱咤するつもりの一言が、嫌な方向に自分を追い込んでしまった志穂を
さらに追い詰めてしまう展開。そしてどんどん「自分はいらない」と思いつめてしまう志穂。

私も経験がありますが、こういうときの心理は
「そんな事無い」「あなたは必要だ」「あなたにいて欲しい」と言われたいと
強く願うものです。そして、いくらそう言われても安心できず、被害妄想ならぬ
「自分は嫌な奴だ」と思い込む「被嫌妄想」に囚われてしまいます。
良かれと思った励ましが逆効果になる。そんな状態に陥った志穂が、
試合中再び犯したミスを仲間にカバーしてもらい、そしてチームメイトと
自分の力で自信を取り戻していく。
志穂をよく知っているからこそ、叱咤した莉奈の「そんなの志穂じゃない」。
そして涙を流す「いつもの志穂だ」という2つの対極する台詞も際立ちます。
現実世界の辛さを励ましてくれるようなストーリーは、シリーズ髄一の佳作だと思いました。

そして登場シーンが短いながら、インパクト抜群の「御高倶の翔子さん」。
顔と態度で正体はバレバレなのですが、中学生になりきれるとは、
翔子さんの年齢設定はいったいいくつくらいなのでしょうか(笑)
今まで、そしてこれからを見る限り、20才前後とお見受けしますが、
ちょっと無理のある若作り(ゲフンゲフン)の姿が楽しませてくれます。
そして、角澤結城先生と同様、御高倶の生徒達にも
「翔子」というチームメイトがいたことは既に忘れられているのでしょう。
今回の仲間、チームメイトというストーリー展開を考えると、
少し皮肉が込められている描写なのかもしれない、と感じました。
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