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第49話『未来を信じて!明日を信じて!さよならなんて言わせない!!』 [ふたりはプリキュア]

奇しくも10月10日、かつての体育の日はなぎさの19歳の誕生日です。
その日に合わせたわけではありませんが、ふたりはプリキュアシリーズは
今回が最終回。思い起こせば再試聴を始めて半年。
既に評価の定まっている作品を再び見返して感想を執筆する事の難しさに気づき
苦労しつつも一見しただけではわからない新たな発見や
感想を書くために観る事で新たな解釈が生まれたりと、
大変ながらも得たものも大きくありました。
1年間にわたって続けられてきた「二人の」戦いはひとまずここに幕を下ろします。
 
昼の三時を指しているというのに、暗くなる空を不審に思う街の人々。
ジャアクキングの体内で石の力が脈動すると、猛烈な嵐が巻き起こりました。
その嵐に飛ばされて、洋館の森から街まで飛ばされた二人が見たものは
つい先ほどまで人のいた形跡があるのに誰もいない
かのマリー・セレステ号の怪事件を思わせる無人の街でした。
『あんた、何をしたの?』『まさか・・・』
ジャアクキングに食って掛かるブラックと、言葉を詰まらせるホワイト。
ホワイトのこの先の台詞が無いのは子供向け作品らしいですが、
嫌でも続く言葉を想像してしまいます。
『我々のために舞台を用意したまでだ。元に戻したくばこの私を倒す事だ。
 それが出来ればの話だがな』
お約束といえばお約束ですが、その言葉に決意を新たにする二人。
『ジャアクキング・・・』『許さない・・・』
『あんただけは!』『絶対に許さない!』

早くも再びレインボーストームを放つ体勢に入る二人。
遠く離れたポルンに届けとばかりにポルンの名を叫ぶブラックに呼応し、
ポルンもいつも以上に精一杯叫びます。
『ポルンは出来るポポーーーーーーーー!!!!!!』
そしてブレスをまといレインボーブレスを放つ二人でしたが、
ジャアクキングはいともあっさりと片手であしらい
その反動でビルに叩きつけられてしまう二人。
圧倒的な力の差を見せ付けられても、OPと同じ構図「瓦礫の中から立ち上がる」姿で
『まだまだ・・・』『これからよ!』立ち上がる二人。

ジャアクキングに身体でぶつかっていくもののジャアクキングに片手であしらわれ
ビルを3本も貫いて飛ばされていく二人をキリヤはただ見守るしかできません。
『哀れな者たちだ。伝説の戦士などにならなければ、このような目に遭わなくて済んだものを』
『馬鹿言ってんじゃないわよ。私はプリキュアになった事に感謝してる。
 だって、この手であんたをやっつけることができるんだもの!』
最初の頃、戦う事に恐れと戸惑いがあったブラックがジャアクキングに反論し、
『私達は最後まで絶対に諦めない!』
ホワイトの言葉で再び立ち向かうべく立ち上がりますが、
ジャアクキングの巻き起こす嵐に手も足も出ません。

その様子を察したポルンは大声でクィーンの名を呼びました。
驚くクィーンと長老の元にポルンの姿が現れ、プリキュラを助けるために何が出来るのか、
ポルンに出来る事を教えて欲しい、プリキュラを助けたいと訴えます。
駄々っ子だったポルンが成長した事を驚きつつも頼もしく思うクィーンと長老。
クィーンはプリキュアが大好きだという素直な気持ちがあれば未来を切り開くと告げます。

その頃プリキュアはビルの瓦礫に埋もれ、
ジャアクキングがとどめの一撃を加えようとしているところでした。
立ち上がれない二人をかばうかのようにジャアクキングとの間に割ってはいるポルン。
『プリキュラをいじめちゃダメポポ、ポルンが許さないポポ!』
『お前のようなものに何が出来る』
巨大なジャアクキングからすれば、実に小さくちっぽけな存在であるポルン。
そのポルンが実に頼もしく見えます。
『ポルンはプリキュラが好きポポ。だから、頑張るポポーーーーー!!!』
ジャアクキングの闇の力がポルンに襲い掛かりますが、
ポルンに中和されて効かない事にジャアクキングも戸惑いを隠せません。
ポルンから光が放たれて暗い空に吸い込まれて行き、逆に暗い空からも光が差し込み
その光を一身に受けて、虹色の光に変換して放つと
再びレインボーブレスに強力な力が宿りました。
『プリキュラ・・・頑張るポポ・・・』
ポルンは力を使い果たしたかのようによろめいて倒れ、その蓋が閉じました。
そして「ふたりはプリキュア」ではこの後、二度と開く事はありません・・・

頑張ったポルンにお礼を言い、二発目となるレインボーストームを放つ二人。
例の如くジャアクキングに受け止められますが、
背負った物の多くをかみ締めて負ける訳にはいかないと力を込め続けます。
ジャアクキングも対抗するかのように最強の力「全てを食い尽くす力」を放ち
『お前達にこの私を倒すのは絶対に無理なのだ』
『無理だと分かっていても、やんなきゃいけないときだって私達にはあるの!』
勢いを増すスクリューを両手で押し留めるジャアクキングでしたが、遂に押し切られます。
『お前達などにこの私が・・・クィーン!これがお前の奴らに託した力か。
 お前の最期の力なのか?クィーン、覚えておれ!』
目の前のプリキュアではなく、クィーンへの恨み言を遺し、ジャアクキングは消え去りました。

それと同時に黒雲も消え、街の人々も何事も無かったかのように戻っていました。
ビルの屋上で息を弾ませ、見詰め合う二人。
別のビルの屋上では、そんな二人を見守るキリヤの後姿がありました。
『僕は諦めていたのかもしれない。敵う訳がないと決め付けて。でも・・・』
滴る涙。そしてキリヤの目元を映さないまま独白は続きます。
『なぎささん、ほのかさん。あなたたちは信じていたんだ。みんなの力を、自分の気持ちを・・・
 ありがとう。僕はやっとわかりました。僕のいる場所が・・・いたい場所が・・・』
そして光に包まれ消えてゆくキリヤ。
その魂の行方を象徴するかのようにドツクゾーンにも光が差し込みます。

『終わったんだね』『私達もプリキュアから卒業かな』
雪城家の縁台で、やっと終わった事をかみ締めている二人ですが、
ポルンが目を覚まさないことが気がかりです。
『お疲れさま。二人とも今まで良く頑張りましたねぇ。これからも、頑張るんですよ』
相変わらず深読みをさせそうな台詞で登場するさなえさんに驚く二人ですが、
さなえさんの言おうとしたことは「二年生も終わりで、三年生になる」ことでした。
もっとも、MHがこの後に続く事を知っている身からすれば
まだこの二人が卒業できず、「これからも頑張るんですよ」は来年度の戦いの事を
暗に告げているようにも見えます。

唐突に永遠の眠りに付く事を告げるメップルとミップルに驚く二人。
平和になったために二人の使命も終わり、光の園には帰らずになぎさとほのかの元で
ずっと一緒にいるために、永遠の眠りに付く事を決意していました。
あまりに唐突な別れに涙が止まらない二人を振り切るかのように、
ゆっくりと閉じてゆくメップルとミップル。
『なぎさ・・・今までありがとう・・・メポ・・・』
『ほのか・・・おやすみミポ・・・』
そしてポルン同様「ふたりはプリキュア」ではこの後、二度と開く事はありません・・・
『嫌ぁ!そんな、一人にしないで・・・』『やだ・・・やだ・・・メップル・・・』
それぞれメップルがベランダから飛び込んできた時の事
古い土蔵でミップルを発見した時の事を思い出し、涙を流し続けました。
いつまでも、いつまでも・・・

あの最終決戦は三学期の始業式の翌日。
そして時は流れて卒業式の日。小田島先輩や弓子先輩の姿も見える中、
ほのかの送辞が読まれます。
『送辞。私達は・・・』 ここで原稿を置き、自分の言葉で送辞を続けるほのか。
『私達は、先輩方から多くの事を学びました。
学校に行って、友だちと笑って、そんな当たり前のことがとても大切だと気づきました。
苦しい事もありました。ケンカをしたり、くじけたり、泣きたくなった事も・・・
でもその度に先輩方に教えられ、支えられ、乗り越えてきました。
私達はこの町の、この学園で、先輩方と過ごせた事を幸せに思います。
先輩方から教わった事、そして先輩方が過ごしたベローネ学院は私達在校生が受け継ぎます。
どうぞ、先輩方も頑張ってください。ご卒業、おめでとうございます』
運動会での小田島先輩とのリレー競争ラクロスの試合でハイタッチを交わす弓子先輩
そんな三年生の姿を回想しつつ、男子部の藤Pも耳を傾ける中、
心がこもった送辞が終わり弓子先輩も小田島先輩も拍手。
感極まって泣いてるのはなぎさと志穂と莉奈の在校生組でした。

卒業式が終わり帰宅途中の二人ですが、見覚えのある後姿に足を止めるほのか。
ジュースを手に振り返ったのはキリヤそっくりの少年でした。
暫し見詰め合うも両親に呼ばれ、去っていく少年。
その後姿を見送りつつ
『また・・・会えるよね』
『会えるよ、絶対。この空の下で、いつかきっと・・・』
なぎさとほのかの交わす言葉と、光が戻った光の園。そしてプリズムホーピッシュ。
これで「ふたりはプリキュア」シリーズが終幕となりました。

ジャアクキングとの決戦描写よりも、
転生、卒業、再開、そして別れが中心的に描かれる
少し切ない余韻を残す最終回。
この後すぐにMHが続いているためにメップル、ミップル、ポルンとの別れは
2年目を意識してしまうとやや薄れてしまうのですが、
成長を見せつけ、力を出し切ったために眠りについてしまったポルン。
役目を終えて帰る代わりにずっとそばで見守る事を選んだメップルとミップル。
唐突な別れは「ハクション大魔王」の最終回のようで、
初見時はあまり感じなかったのですが改めて見ると別れの悲しさを描いていると感じました。

キリヤとの別れと再開は色々と解釈されると思います。
色々と取れる表現は、製作側によるきちんとした答えを求める方々には
歯切れが悪い物と映るかもしれませんが、
私は視聴者それぞれが解釈できる余地があるこういった描写は良いと思います。
ラストのキリヤそっくりの少年はキリヤの転生した姿とすれば、
キリヤとしての記憶を失い、ほのかの事を知らない人のように見つめる少年は
転生したといってもキリヤと呼べるのか。
それでもあの少年はキリヤかもしれない、と想像させる余地を残すことで
きっとキリヤもあんな風に幸せな時を同じ空の下で送っている、と
視聴者にもほのかにも思わせ、個人的には良い描写だと思います。

卒業式とプリキュアからの卒業をかけてはいますが、
残念ながらあと一年、彼女達には活躍してもらう事が決まっています(笑)
それを踏まえてのさなえさんの発言や、光が戻った後のクィーンの描写が無い事など
暗に二年目を匂わせる表現も随所に見られました。

一方で戦いに関してはややご都合主義かと思います。
ポルンの決意と覚悟によって光の力を得るシーンは結構グッと来るのですが、
前回まではプリキュア<巨人<ジャアクキングと言う風に力の序列がはっきりしていて、
巨人にも手を焼いていたプリキュアだったのですが・・・
もっともジャアクキングとの戦いは中盤で既に描かれ、
こちらの方がクィーンの援護やBGMなど戦闘シーンが熱かったので、
あえて別れをメインに置いたのかもしれません。

さて次回からはひかりを加えてMHが始まります。
私の記憶が確かならば、最初のうちはややテンポが悪かった気がしたのですが・・・
再見でまた違った印象を持ちつつ、フレッシュプリキュアシリーズと並行して
感想を書き連ねて参りますので、引き続きご愛顧の程、お願い申し上げます。

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Saig

「手をつなぐこと」

 スティクスさんこんばんは。たった今最終回を見終わった所です。
全編を通じて、二人の主人公が手をつなぎ合い、力を合わせる事が一つのテーマであったこの作品。

見ている私たちはいつから手をつなぐ事をためらうようになったのでしょうか。

それは私たちが、他人とは必ずしも解り合えないと気づき出した頃からかも知れません。

 本作のように対立する双方に正当な理由がある場合のみならず、信じていた相手に平然と踏みにじられることもしばしば起こるのが現実の世界。悲しい事ですがそれを知ってしまった私たちは、他人との対立や互いの不信を避けては生きて行けません。

 しかし同時に私たちは、力を合わせることの大切さ、信じ合うことの尊さを忘れてはいません。そしてそれを忘れずにいられるのは、おそらく子供時代に無邪気に手をつなぎ合った経験を持っているからでは無いでしょうか。

 ためらい無く手をつなぎ合えるのは男の子なら10歳前後、女の子でも14~15歳までだと思いますが、本作品の主人公たちはまさしくその最後の年齢にあります。

 主人公と同世代の子供たちには、大人になる前の最後の時期に、もう一度手をつなぎ合う事の大切さ、尊さを主人公たちから感じて欲しい、そして大人になってもそれを忘れないでいて欲しい、そのように願って止みません。

 スティクスさんの本作品への愛情あふれる解説のおかげで、より理解を深めることができました事、改めて感謝申し上げます。
 明日からMax Heartへ入りますが、引き続き宜しくお願い申し上げます。
by Saig (2013-06-28 03:11) 

スティクス

>Saigさん
この記事、フレッシュから始めて、同時進行で初代の再見をスタートしてから
私が初めて書いた「最終回」の感想だったんですね。
改めて「手をつなぐ」事の意味と初代の熱気、
そして当時の私自身の心境を懐かしく思い出しました。

>他人とは必ずしも解り合えない
残念ながら、現実では確かにそうですね。
私自身、わかってもらえない事に悩みながらも
逆にどれだけ相手をわかっているのかと自問自答させられます。
だからこそ、理想論かもしれなくともプリキュアがもたらす可能性に
希望を託したくなるのかもしれません。

>大人になる前の最後の時期に、もう一度手をつなぎ合う事の大切さ、尊さを主人公たちから感じて欲しい
素晴らしいご意見です。私も忘れていた何かに気付いたような気分です。
どうしても大人になると、人間関係には利害が生じてしまいますが、
そうでない出会いや関係を築きあげられたら、素晴らしい事だと思います。

引き続きマックスハートのご視聴をお楽しみいただく折、
拙文が一つの指標となるようであれば、こんなに嬉しい事はありません。
今後もどうぞよろしくお願い致します。
by スティクス (2013-06-29 08:04) 

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