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マックスハート第21話『ど~なる?どうする!?禁じられた出会い』 [ふたりはプリキュアMax Heart]

別れをテーマにした作品の視聴が続いた後、奇しくも今回のテーマは「出会い」。
実はこのエピソード、個人的に好きな一編です。
単発エピソードとしては、ひかりと自転車少年大輝との出会いと別れが描かれ、
シリーズ通しては、ひかりと洋館の少年との出会いが描かれる転機となります。
ひかり、大輝、洋館の少年それぞれの保護者の想いがにじみ出て、
少々緊迫した展開になるものの、優しい語り口を描いた秀作だと思います。

なお、今回は本文中の洋館の少年を「あのお方」と書きます。
「少年」だと、自転車少年・大輝と紛らわしかったので・・・
  
夏の日差しの中、夏みかんの袋を持って川沿いの道を行くひかりがふと河原に視線を向けると、
拾った石を自慢げに母に見せる幼い子供の、微笑ましい姿がありました。
道の向こうからは、荷物を大量にくくり付け、
七夕の笹まで乗せた重たい自転車を漕ぐ少年がやって来ます。
重いペダルを漕ぐのに気を取られたのか、ひかりにぶつかってしまい、
夏みかんが袋から川に向かって転げ落ちました。
少年はすぐに自転車を降りて川から夏みかんを拾い上げ、そして夏みかんをひかりに返した後、
再び自転車を漕いでいく姿を、ひかりとポルンは2人で微笑ましく見守ります。
『荷物が自転車漕いでるポポ』『本当ね』

『近づいています。その時が、そして真実が・・・』

その自転車少年は、タコカフェでなぎさとほのかがたこ焼を食べている姿を眺めて
腹を鳴らしていますが、財布を覗き込み、思案してため息をつきました。
再び去っていく自転車を、接客中のひかりが目に留めます。

おもちゃが散らばる部屋の窓が開き、吹き込む風で揺れるカーテン。
ビブリスは「あのお方」が外に出た事を察して戸惑っています。
外の世界の刺激が「あのお方」にどのような影響を与えるか懸念するビブリスに
「あのお方」は俺が守ると姿を消すサーキュラス。
一人取り残されたビブリスは、左手に乗せたミニカーをじっと見つめていました。
そして、館を出た「あのお方」の前に広がる世界。
「あのお方」が目を輝かせ、一歩踏み出したその時・・・ひかりも何かを感じたようです。

ひかりはたこ焼を持ってあの自転車少年を追いかけ、先ほどのお礼としてたこ焼を渡します。
空腹だったため、実に美味そうにたこ焼を頬張る自転車少年と互いに自己紹介。
そして、互いに中学一年と知り、
『敬語なんて使うなよ』『・・・はい』
そんなひかりに少々呆れつつ、自転車少年こと大輝は
大荷物を持ってどこまで行くのか尋ねられると、
『自分の行きたいところ!』と少々ムキになって答えます。
聞くところによると、どうやら母とうまく行っていない(と彼は考えており)、
『部屋が汚いだの本を読めだの宿題やれだの。毎日うるさくて、顔も見たくねぇ。
 自分のことくらい自分で決められるっての』
そう言う大輝の短冊には「一人前になる」と書かれています。
そしてひかりにも両親がうるさいって思う事あるだろ、と同意を求めるものの、
ひかりにはお父さんとお母さんの事がわかりません。
アカネさんは注意してくれるけど、と返しますが、
「両親がいない」と解釈してしまった大輔は素直にひかりに謝りました。
もっとも、ひかりは全く気にしていないのですが・・・
せっかくなので、気分の晴れるところをひかりに教えてもらおうと頼み、
大輝とひかりは一緒に出発します。

「あのお方」は七夕飾りで彩られたり、ショーウィンドウに玩具が並ぶ
初めて見る町の風景が珍しくてたまらない様子で、目を輝かせています。
実は執事ザケンナー2人が少年を守る?べく、こっそり後をつけていましたが・・・
続けてオープンカフェで寛ぐ女性の愛犬と触れ合う「あのお方」ですが、
迷子だと想った女性が手を差し伸べると、「あのお方」を守るべく執事たちが飛び出します。
ノッポが女性を羽交い絞め、チビが犬に咬みつかれるものの
『今のうちにお逃げ下さいザケンナー!』と、職務には忠実です。
しかし「あのお方」が行った後、女性にぶん殴られてしまったようで、
実は彼らは弱いことが判明しました(笑)
『虹の園は恐ろしいザケンナー』
執事達は愛犬ロドリゲス君(愛らしい犬なのにゴツイ名前です)と共に
怒って立ち去る女性を見送りつつ感想を漏らしました。

ひかりが大輝を連れて来たのは、町を一望できる丘の上です。
広がる風景に感動する大輝の傍らで、仰向けに寝転がり、
『雲、寝転がったほうが良く見えますよ』と促すひかり。
そして、大輝と2人、流れる雲を見上げます。
視界の中を鳥が横切り、鳥のように自由に飛んでいきたいという大輝に、
『翼をたたんで心も体も安らげる場所があるからこそ、空を飛べる』
ひかりはそう語ります。空を見上げる2人に、夏の風が優しく吹き抜けました。

河原で石英と思しき透明な石を見つけた大輝は得意そうにひかりに見せました。
四つ葉のクローバーや珍しい貝殻探しなど、彼はこういうのが得意だそうで、
昔よく母ちゃんと・・・と言い掛け、赤くなって口ごもってしまいます。
しかし、拾った石英を通して見た景色に、大輝は幼少の頃の記憶を思い出します。
砂浜で石拾いに興じる幼い大輝を見守る両親の、暖かい眼差しが見えた気がしました。
大輝が自転車に戻った時、先に戻っていたひかりがなにやら短冊をつけています。
そして共に河原を行く大輝に、お父さんとお母さんとはどういう感じなのかを尋ねます。
父ちゃんは仕事ばかり、母ちゃんは口うるさい。けど・・・
たまにキャッチボールしてくれるし、母ちゃんのご飯は美味しい。
そして、『あったかい・・・かな?』
そこまで言って、大輝は照れ隠しのようにひかりに先ほどの石を押し付けました。

『迫ってます、迫ってます、真実が・・・』

七夕飾りに彩られた町の通りを行く「あのお方」。
急に姿が見えなくなったひかりを探しに来たなぎさとほのか。
そして、大輝と共に町を行くひかり。
大輝はひかりに、親に黙って家を出た事を指摘されたため、
気まずそうに足を速めて少し先を行き、ひかりがほんのわずか、一人になります。
サーキュラスがその光景を見下ろす中、
暗がりから猫が姿を現し、まるで「あのお方」を導くかのように駆け出します。
猫を追いかけて行く「あのお方」。
猫はなぎさとほのかの前を横切り、ひかりの横をすり抜けて・・・

ついに十字路で相対するひかりと「あのお方」。そして、交差する道で見つめるなぎさとほのか。
ひかりと「あのお方」の目が合ったときになにやら奇妙な空気が流れ・・・
一瞬にして町の様子が一変し、無機質な空間が広がります。
ひかり、「あのお方」と執事ザケンナー、なぎさとほのか、そしてサーキュラス。
それ以外に動くものはありません。
何が起こったのかメップルたちも、なぎさとほのかも、更にはサーキュラスにもわかりません。
ポルンの呼びかけにも反応がないひかり。
そしてひかりを見つめる「あのお方」の目にはひかりの姿がシャイニールミナスに映り、
「あのお方」は唐突に倒れ込みます。

『何が起こったのだ・・・?』
迫るサーキュラスにも、ポルンの呼びかけにもまるで応じないひかりを守るべく、
なぎさとほのかは割って入り、変身します。
直後、いきなりのサーキュラスの猛攻に驚きつつも、一旦押し返すプリキュア2人。
その戦いを、ひかりはただ呆然と見つめていました。
間にプリキュアとサーキュラスを挟んだ対面では、
倒れた「あのお方」を守るように手を広げる執事たちの姿があります。

『何をしたのだ・・・』
普段冷静なサーキュラスらしからぬ焦りが伺えるものの、
その尋常ではない態度にブラックとホワイトはマーブルスクリューの体勢に入ります。
『サーキュラス!何をしている!』
引き寄せられるように進むサーキュラスの背後に現れるビブリスは、
ひとまず「あのお方」と執事たちを連れてその場を引き上げました。
そしてサーキュラスも放たれたマーブルスクリューを一度は受け止めるものの
いつもどおり途中で撤退していきました。

闇の戦士達が引き上げると同時に元に戻る町。
少し先を行っていた大輝が振り返った時、
緊張の糸が切れたかのように座り込むひかりをなぎさとほのかが介抱していました。
先ほどまで「あのお方」が佇んでいた空間を見つめる3人。
そして大輝もひかりを心配して引き返して来ました。
一方、厚い雲が立ち込め、霧に覆われ始めた洋館のベッドで眠る「あのお方」。
サーキュラスに「あのお方」の様子を聞かれたビブリスは、
「あのお方」を危険に晒したサーキュラスを責めるように苛立った口調で言い放ちます。
『部屋で眠ってるよ!』

急にいなくなっただけでなく、へたり込んでしまった事を心配するアカネさんに
ひかりは心配かけたことを謝ります。
そしてひかりは、言いにくそうに口を開きました。何を言うかと思えば、
『あの、アカネさん・・・あの・・・私・・・お腹・・・空きました・・・』
普段のひかりからは想像し難い、ものすごい勢いでたこ焼を頬張り、
空腹が一段落したあと、ひかりの額に手を当てて熱を測るアカネさんの姿を見て、
大輝は自分の母も同様に熱を測ってくれた事を思い出しました。
『心配してるかな・・・やっぱり』

そして、大輝とひかりの別れの時が訪れます。
柔らかな夕陽の中、去っていく自転車を、ひかりはもらった石英越しに見送ります。
それはただの石ですが、ひかりにとって大切な思い出の石となりました。
頭をかきながら帰宅した大輝の頭に、母はゲンコツをお見舞いしますが、
その直後、優しく抱きしめ、共に家の中へ。
『大樹さんがお母さんと仲直りできますように ひかり』
自転車につけられた笹には、先ほどひかりがつけた短冊が揺れていました。
今日は七夕。空には天の川が輝いています。

と、穏やかな幕切れはならず、ひかりはベランダで天の川を見上げながら
「あのお方」が気になっていました。
同じ頃、「あのお方」も夜空を見上げています。
不吉なものを警告するような遠雷が鳴り響く中、暗転。


親と子の関係を描いたエピソードはいくつかあるものの、
今回は主人公ではなく、ゲストキャラクターの親子関係を描く珍しい展開です。
中学一年の男子というものは、特に母親に対して反抗しがちなもの。
大輝が家を出たきっかけも実に些細なものですが、なんとなく共感できます。
自分は大人になったつもりでも、まだまだ周りからみれば子供そのもの。
鳥のように自由にと言ったものの、できる事は限られます。
決して親と仲が悪いわけでもなく、ケンカしたわけでもなく、グレたわけでもない大輝は
素直なひかりとのふれあいで自分の素直な気持ちに気付いたのでしょう。
それでなくても小学校高学年から中学1年あたりは、女子より男子の方が子供っぽいもの。
割と小柄なひかりよりも大輝のほうが更に背が低く描かれているのは、
そういった点も現しているのかもしれません。
家に帰った大輝にゲンコツをお見舞いしつつも
優しく抱きしめる母のシーンは個人的に心に残る場面です。

大輝と母。ひかりとアカネさん。この二人は分かりやすく描かれますが、
もう一人、ビブリスの母性を描いているのも特筆されます。
館の外にでたあのお方を案じながらミニカーを見つめ、
あのお方を危険に晒しかねない状況でサーキュラスを叱咤しながらも状況を見極めて撤収し、
そして館に戻った後、サーキュラスに苛立ったような口調であのお方の様子を語る様からは、
彼女もまた「あのお方」を母のように見守っていると感じさせます。

また、今回は川に夏みかんが落ちた時の水滴、丘の上から見渡す町の遠景、
夏の木漏れ日や雲、七夕飾りに彩られた町など、特に風景描写が丁寧です。
また人物の絵も、「あのお方」が出会うオープンカフェの女性は
ほんの脇役ながら目元の泣きボクロが印象的な美人だったり、
逆光のため表情が分かりづらいものの大輝の母の優しい雰囲気が伝わってきたり、
作画の面でも印象的なエピソードを彩っていました。
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ショコラファン

大輝君とひかりがデートみたいな雰囲気になっていて彼が非常に羨ましかったです。ポルンと話すときはひかりは女子語を使用していますが、なぎさやほのか、アカネ、その他の人には敬語で話していますね。おそらく私の推測ですが、同学年か年下の相手のみひかりは砕けた口調で話すのかなと思います。最後の場面での大量のたこ焼きを頬張るシーンは印象的ですよね。変身すると口がとっても大きく開くだけに彼女の口の中に最高何個たこ焼きが入るのか確かめたくもなります。それにしても大輝君はあの時、あの場所でひかりに出会えて幸運だったと思います。あのままずっと旅を続けていたら夏休みも終わってしまいますし。ひかりとは別の町の出身のためもう会えないかもしれませんが、それでも大輝君にとってはかけがえのない一生の思い出となっていることと思います。まさにこれが一期一会の出会いというものでしょうか。
個人的にはあのあと再会して2人が付き合ったらベストカップルになれるのになんて思っています(笑)

by ショコラファン (2017-05-23 15:29) 

スティクス

>ショコラファンさん
大輝君、この話だけの登場ですが、いいキャラしてました。

>同学年か年下の相手のみひかりは砕けた口調で話す
おそらく奈緒と美羽に打ち解けてから、このように変わって行ったのだと思います。あれで接する相手に対するTPOを学んだのかもしれませんね。

>大量のたこ焼き
私が大阪の「九条駅」へ行った際に引用したあの画ですね(笑)。おとなしいイメージが強いひかりが、まさかあんな顔でがっついてくれるとは。ギャップ萌えってやつでしょうか。

>一期一会
二人の人生は今後交わることは無いのかもしれませんが、いつも一緒にいるよりも鮮烈な思い出として残ることもありますね。子供の頃にはそういう出会いと別れってあります。私も何となく思い出します。
もちろん、あのあと再会という想像もアリだと思います。そしてタコカフェ共同経営、でしょうか(大輝爆発しろ)
by スティクス (2017-05-24 07:30) 

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