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フレッシュ第47話『世界が変わる!ドーナツが起こした奇跡!!』 [フレッシュプリキュア!]

1989年11月9日深夜。世界は変わりました。
ほんのわずかなきっかけが人々を自然に動かし、
管理体制が意味を成さないほど、怒涛のように歴史が動いた一日。
その日歴史を動かしたのは、統治者でも、指導者でも、政治家でもなく市民達。
「ベルリンの壁崩壊」
たとえが大げさかもしれませんが、今回のエピソードを見てその日の事を連想しました。
  
前回の続き、インフィニティとして収められたシフォンと対峙する
タルトとアズキーナから幕を開けます。
シフォンのもとに駆け寄るタルトでしたが、その背後でアズキーナが
UFOキャッチャーのようなアームに捕まってしまいました。
タルトも続けて捕まってしまい、二人仲良く穴へ落とされてしまいますが、
捕まる直前、タルトはシフォンの収まる台座の下部のコードを引きちぎっています。
これが後々の伏線となるのでしょうか・・・?
その頃、遂に全ての世界がメビウスの手に落ちた事を報告するクラインに
メビウスは重々しく宣言しました。全世界の統治者なり、と。

そしてこちらも前回に続き、ノーザ「さん」と対峙するピーチとパイン。
いらっしゃい、そしてさようなら、と背中から伸びる蔓を腕のように操って攻撃してくる
ノーザ「さん」と、ピーチ・パインとの戦いが始まる頃、
ベリーとパッションは通路を駆けて行きます。
ウエスターさんの、サウラーの最期の姿を心に刻み、一刻も早く合流するために。

先ほど捕まったタルトとアズキーナは城から放り出され、町へ出されていました。
タルトは城を見上げて途方に暮れるもののすぐに気を取り直し
シフォンの元へ向かう決意を新たにしますが、緊迫した空気を和ませるように
アズキーナのお腹が鳴りました。顔を赤らめて恥ずかしそうなアズキーナですが、
腹が減っては戦はできぬ、とのタルトの心遣いで、出陣前に預かったドーナツで腹ごしらえ。
ドーナツの味とタルトの語るクローバータウンでの兄弟(カオルちゃん)の事に
タルトが素晴らしい日々を過ごしていたと評するアズキーナでした。

そこに一人の子供が現れます。愛らしい笑顔が印象的だったジェフリー王子を思わせる
金髪で可愛らしい顔立ちにも拘らず、死んだ魚のような目。
タルトはその子にドーナツを勧めますが、そっけなく拒まれました。
今は食事の時間ではなく、そして食べろと命令されていないから、と。
『起床6:30、食事7:30。それにドーナツは今日食べるって決められてるメニューじゃない』
目の前のディスプレイに映し出されたスケジュールを読み上げる子供に、
おいしいからと勧めてドーナツを渡すタルトでしたが、
この子は「おいしい」という概念を知らないようです。
それでも勧められるがままドーナツを口にした時、
『おいしい・・・』自然と口を突いて出る言葉。
目が生き生きとして、「おいしい」を理解してそのまま一気に平らげ
そして食べ終わった後は自然に笑顔を浮かべていました。そして再び『おいしい♥』
タルトは自分とプリキュアが毎日絶賛のドーナツという折り紙をつけて紹介すると、
子供は再び知らない単語に疑問を持ったようでした。
『プリ・・・キュア?』

プリキュア、キュアピーチとキュアパインはノーザ「さん」と激戦を繰り広げています。
縛り上げられたり、叩きつけられたりする戦いの末、
ノーザ「さん」はどんなに頑張ってももう遅いと通告しました。
ノーザ「さん」が指を弾くと、映し出される様々な世界。
そこにはあらゆる世界の住人達が一様につぶやいていました。
『全てはメビウス様の為に』
全パラレルワールドを支配したと告げるノーザ「さん」を前に、ピーチも、パインも信じられません。
まさか四つ葉町のみんなが・・・
引導を渡すかのように四つ葉町の姿を見せつけるノーザ「さん」。
そこにはうつろな目で歩く大輔が、それだけではなく、桃園夫妻、山吹夫妻、ミユキさん・・・
町の人々皆が、既にメビウスの影響下に入ってしまった事を伺わせます。
クリスマスイブに送り出してくれたみんなの姿は、そこにはもうありません。
出発の日の事を思い出すも、それをかき消すかのように声が繰り返し響きます。
『全てはメビウス様の為に』
もうお前達が知っている世界ではない。
ノーザ「さん」がそこに追い打ちをかけるかのように襲い掛かってきました。

シフォンが収められた球体とおぼしき物では、コードが放電しながら蠢き
どういうわけかノーザ「さん」とプリキュアの戦いがカメラで映され
先ほどの町のディスプレイに中継されます。
興味が無さそうにうつろな目で歩き回るラビリンス住人を他所に、
タルト、アズキーナと先ほどの子供はディスプレイに注目しました。
『あれが、プリキュア?』

『つらい?苦しい?でも、そうなったのはお前達のせいなのよ』
苦戦を強いられるピーチとパインに、プリキュアになる事、ラビリンスに来る事、
自分の生きる道を貫く事を選ぶからつらい目に遭うのだと言い放つノーザ「さん」。
甘んじてメビウスの支配を受け入れれば何も考えず、失敗も後悔も
悲しい事は何も起こらず、楽で素晴らしく生きていける。
ノーザ「さん」は諦めるよう勧めますが、ピーチとパインは屈しません。
『私たちは諦めない』首を横に振って答える二人に業を煮やすノーザ「さん」に対して
なぜ逆らうのかをぶつけつつ反撃が始まります。
『諦める必要が無いからよ!』『選んで後悔したっていいの。何度も間違えて』
『いっぱい迷って、来た道を戻ったり』『沢山回り道して歩いて来たほうがいい!』
『そうやって私たちが歩いてきた道は強くて豊かになるんだよ』
『そして豊かな道には沢山の笑顔が生まれるの』
反撃を受けたノーザ「さん」は、ついに怒ったようでした。
もはや説得して支配下に置くという考えは捨てたようです。
『・・・消去ね!』

タルトとアズキーナが声援を送り、子供はディスプレイを見続け
その後ろを行く人々は無関心、無表情でしたが、その子供は違いました。
プリキュアの戦いに胸を躍らせています。
子供が思わずディスプレイに駆け寄った際、一人の男性が行く手を遮られて戸惑いましたが
子供の熱い視線が注がれるディスプレイに気付いて目を留めます。
いつしか道行く人々が次々とディスプレイに注目しはじめて・・・

『苦しいってどんな事か、悲しいってどんな事かを知っている方が』
『幸せな気持ちがよく分かるの』
ノーザ「さん」さんの猛攻を受け続けて息が上がっているピーチとパインですが、
まだ心は敗れていません。そんな二人の姿に引き寄せられるかのように、
いつしかディプレイの周りは黒山の人だかりが出来ていました。

決められた道を決められた時間に歩いていたラビリンス国民が、自らの意思で立ち止まる。
その光景を目の当たりにしたタルトは何か出来る事をしようと、
クローバーボックスの音を届けようとしますが、とても城内まで届く音量ではありません。
ところが一人、また一人とラビリンス国民が声をかけ、意見を提案し始めました。
もっと大きい音は出ないのか。テレビのスピーカーに繋げば大きな音が出るのでは。
機械に詳しい者を募り、スピーカーの構造に明るい者が名乗りを挙げ、
皆で手分けして動き出すラビリンス国民達。
同じ道を同じように同じような表情で歩んでいた前回の姿とは対照的です。
ドーナツをもらった子供はオルゴールを回させて欲しいと頼み、
子供の手で奏でられるオルゴール。そして、町を音色が包みました。

クローバーボックスの音色が鳴り響き、ノーザ「さん」の周りを取り巻いていた蔓が消え失せます。
戦っているピーチとパインに、駆けるベリーとパッションにその音色は届いていました。
国民が想定外の動きをしている事を、ようやく気にしたメビウスは、
クラインに命じてディスプレイの電源を落とさせます。
しかし、タルトとアズキーナが城を見上げると、城の一点から放たれている光。
その光を見て、シフォンにも届いた事を確信。みんなで起こした奇蹟を喜びました。
持ってきていたドーナツを国民に分け与え、皆で喜びを分かち合います。
再び城に向かうタルトとアズキーナを見送る国民達は、皆表情が輝いていました。

城内ではベリーとパッションがようやく合流します。
無事を喜ぶパインでしたが、ベリーとパッション2人の表情は冴えません。
ウエスターさんとサウラーの犠牲によってここまで来られた事を告げる2人。
その最終敵イケメンをゴミ扱いしたノーザ「さん」の発言に、4人とも怒りを露にしました。
久々の4人全員によるキュアスティックとパッションハープの攻撃を畳み掛けます。
流石のノーザ「さん」も多勢に無勢。押されていますが、まさかこんな手が・・・
ソレワターセの実を口にするノーザ「さん」。見る間に恐ろしい姿に変貌して行き、
壁を破って城外に飛び出した4人の前に現れたのは
巨大な怪物と化したノーザ「さん」でした。

先週の悲壮な展開と比較すると、ドーナツで1個で手の平返すラビリンス国民の姿は
ご都合主義と言われても仕方無いかもしれません。
しかし、本来子供向け番組である以上、子供に分かりやすい形で
「自分の意思で行動する」事を伝える展開は素直に評価したいと思います。
ベルリンの壁の事を思い出したのは、この時も些細な誤報がきっかけで
ベルリン市民が自発的に動き始め、国境警備隊どころか政府ですら止めることが出来ない
大きな流れが起きたからです。
ドーナツが、映し出されるプリキュアの姿がきっかけで自発的に動き出したラビリンス国民の
本心を伺うことは描写が少なく難しいですが、ずっと抑圧されたものを抱えていたのでしょうか。

「おいしい」とは何なのか。思えばイース様時代のせつなもドーナツの味に驚き
桃園家の一員となったエピソードでも皆で食べる夕飯がキーワードになっていました。
おいしい物をみんなで食べる事は、単純ながらも人間にとって幸せなことです。
ウエスターさんは少々ネジが外れているので色々なものを楽しんで食べていましたが、
かつての描写から、ラビリンス国民にとって食事とは単なる栄養摂取に過ぎないと思われます。
そしてそれは、家族で食卓を囲む事が少なくなった現代社会への警鐘かもしれません。

前回ベリーとパッションが目立っただけに、今回のピーチとパインも魅せてくれました。
少々説教臭いものの、諦めない事から辛く苦しい事を乗り越える事など、
メッセージを込めつつも大立ち回りでアクション面でも活躍。
それを受けるノーザ「さん」も、最初は倒すのではなく管理された生活を
受け入れさせようと説得しているあたり、彼女なりの思いやりが感じられます。
だからこそ思い切り反撃を喰らった後の「消去ね!」という台詞が凄みを帯びて聞こえました。
この立ち回りの最中、過去のシリーズでよく用いられた「私たちは諦めない」という台詞は
フレッシュシリーズではあまり耳にしなかったのでかえって新鮮でした。
そのノーザ「さん」ですが、ラストの怪物化は想定外で、こういう展開だと
非業の最期を遂げそうな気がしてなりません。
年増とはいえ美貌の持ち主だっただけに、
ザケンナーやドラクエの人面樹のような顔になってしまって・・・orz。散る場面が少々心配です。

演出でもいろいろと解釈できそうな描写があって楽しめました。
ラビリンス国民が行動し始める前後に挿入される、シフォンの台座の周りで舞うコードと
台座の周りを取り巻く放電。そしてインフィニティとなっているシフォンの描写。
これはシフォンとして描かれていないものの、実はシフォンがラビリンス国民を
立ち上がらせた仲立ちをしているのでは?と思わせます。
わざわざノーザ「さん」とプリキュアの戦いを中継したのも、
クラインやメビウスがあずかり知らぬシフォンの意志ではないでしょうか。
また四つ葉町の人々の支配された姿が映る場面で、カオルちゃんの姿が見えないのも
あそこにカオルちゃんが混ざっていると今まで描かれた謎の超人イメージが壊れるだけでなく、
ひょっとしてカオルちゃんなら何かしでかしてくれるのでは?と妙な期待を抱かせてくれます。

今回の展開を子供だましと断じるのは簡単ですし、突っ込みどころも多々ありました。
それでも、そこから何を見出すのか。作り手は何を伝えたいのかを考えると
どんなエピソードでもいろいろと解釈ができると思います。
前回のような悲しい展開が続きすぎるのも正直しんどいので、
個人的にはこういう展開はありがたく感じました。
ただ来週は残念ながら休日出勤になってしまい、久々にリアルタイムで視聴できません
それまでに少しマックスハートの方も進めて行きたいと思います。
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