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マックスハート第28話『ベローネパニック!わんぱく王女のお化け退治』 [ふたりはプリキュアMax Heart]

夜の学校も怖いと思いますが、夕方の学校もかなり怖いと思います。
人気の無い教室や廊下。校舎の外からは下校する生徒の声や部活動の声がするのに
遙か彼方から聞こえて来るような錯覚に襲われたり、
職員室に先生がいるはずなのに、誰もいないような気がしたり・・・
昼と夜の境目「逢魔が時」に、夕陽に照らされて薄暗く、どこまでも続くかのような廊下。
夏の気配を残した秋の夕暮れに、ベローネに伝わる怪談が女子中等部を恐怖に陥れます。
『ベローネのルリコさンに、呪われてるのよォーッ!』(小池一夫風)
極めて美麗な作画で描く、新学期初めの怪談話。決して一人では見ないで下さい・・・(笑)
  
光の祭壇に安置されたプリズムストーンとホーピッシュは光を湛え、
光の園は一見平和そうですが、祭壇に迫る謎の影が・・・
長老と番人も、何か気になることがあると妙な不安感を抱いていた矢先、
突如光の祭壇から強烈な光が放たれて、「何か」がその光で飛んでゆきました。
場面が変わり、闇の世界のような空間。
そこでは少しずつ、人の形に盛り上がってゆく灰がありました。
徐々に形が明瞭になって行く、このアゴは(笑)は、まさか・・・
 
登校中のなぎさとほのかは、前を行く志穂と莉奈に気付いて声をかけますが、
2人はこわばった顔で振り返ります。『おはよォ~』震える声の志穂莉奈に事情を聞いてみると
『出た出た出たァ~』『出たのよォ~』『ベローネのルリ子さんが』
何のことかピンと来ないで首を傾げるなぎさとほのかに、志穂と莉奈は
ベローネ学院女子中等部に語り継がれているというベローネのルリコさんの話をします。
人気の無い教室や廊下に寂しそうに佇む女の子。その子に遭ってしまうと呪われてしまい、
いつしかその子の事はベローネのルリコさんと呼ばれるようになったようです。
『怖いでしょ怖いでしょ怖いでしょ?』
こんな時でも相変わらずの志穂節は活きていますが、そう言う志穂、莉奈の顔の方が怖いです。
莉奈は昨日ルリコさんに遭ってしまったかもしれないと、恐怖体験を語ります。
放課後ノートを取りに教室に戻った際、誰もいないのに開く扉。
振り向いてドアの外を恐る恐る覗いて見ると、何かが足に触れた気配が・・・
そして教室の中、廊下には何の姿もありません。
気のせいではないかと嗜めるなぎさに、今度は志穂が恐怖体験を語ります。
ラクロス部の部室から出て外へ向かおうとした志穂ですが、
唐突に暗い廊下の背後、突き当たりのトイレの電気が点滅しました。
恐る恐るトイレに入ってみると、やはり誰もいません。
けれども鏡を見るとそこには、鏡の中から別人のような顔で睨む姿が映っていて・・・
思わず悲鳴をあげた志穂が再び鏡を見ると、今度は自分の顔が映っていましたが、
『きっとあの鏡に映ってたのは、ベローネのルリコさンなのよォーッ!』
気のせいだと言うなぎさとほのかの意見も、震えて抱き合う志穂、莉奈には届きません。
『私達、ベローネのルリコさンに、呪われちゃったのよォーッ!』

その昼休み。奈緒、美羽と談笑していたひかりは、ポルンに促されて屋上へ行きました。
そこでポルンは具合が悪いわけではないものの、
何だかゾクゾクするような悪寒を感じると訴えます。
場面は変わって、一人の女子生徒が理科準備室で実験器具の準備をしていました。
そしておそらく理科の授業のためか、理科室へ向かっていたなぎさたちに悲鳴が聞こえます。
『キャーッ!』という表現では追いつかない程、真に迫った恐怖の叫び。
理科準備室に駆けつけると、そこには乱雑に開いた棚、
そして泣きじゃくる女子生徒の背後から覆いかぶさる人体模型が・・・
生徒の話を聞いてみると、突然ポルターガイストのように棚が波打ち、
その棚の前の人体模型が踊るように動き、そして視界を覆うかのように迫ってくる人体模型・・・
吐き気をこらえるように証言する生徒の話を聞いて、
莉奈はベローネのルリコさんの仕業ではないかと想いを廻らせた時、
志穂の声でみんな理科室へ向かうと、そこには・・・
黒板に不気味な顔が浮かび上がっていました。
『絶対絶対絶対、ベローネのルリコさンの顔よォーッ!』
『ベローネのルリコさンに呪われてるのよォ!』
志穂と莉奈の声が響く中、未だ半信半疑のなぎさとほのかですが、
そんな2人を嘲笑うかのように、顔は不気味に笑っているように見えます。

屋上でひかりからポルンの具合が悪い事を聞いて、
闇の連中の気配ではと案じますが、メップルとミップルが何も感じておらず違うようです。
それでも確かにポルンは悪寒の走る気配を感じており、
なぎさもベローネのルリコさんの存在を気にかけます。
冗談だと流したものの、よりによってその放課後、
なぎさも莉奈と同様に、忘れ物を取りに教室へ向かいました。
燃えるように赤い夕陽に照らされ、ミンミンゼミの声が響く、逢魔が時。
しんと静まり返った校内には、やはり異様な空気が流れているようです。
緊張した面持ちで、教室の中に入るのをためらうなぎさを、しわがれた声が呼びました。
『なぁ~ぎぃ~さぁ~・・・』
これはメップルの仕業で、怖くなんかないと強がって中に入るなぎさは
無事に忘れ物を見つけるものの、莉奈の話と同様に唐突に背後の扉が開きました。
振り返っても、そこには誰もいません。

その頃、昇降口で下校しようとしたひかりの耳には、足音が聞こえた気がしました。
辺りを見回しても誰もいません。そしてその背後の廊下を駆け抜けるかのような足音が・・・
今確かに、得体の知れぬ「何か」がこの学校にいます。
そして恐る恐る扉の方へ向かって廊下の様子を伺いに行くなぎさの背後に迫る影が・・・
その影に肩を掴まれたなぎさの悲鳴が校内に響き、
悲鳴を聞いてひかりはなぎさの許へ向かいます。
果たしてベローネのルリコさんは本当にいるのでしょうか?

『失礼ね!私をベローネのルリコさんと間違えるなんて!』
何の事は無い、なぎさの肩を掴んだのはほのかでした。
教室に向かうなぎさの様子が普通ではなかったので声をかけそびれたとの事で、
緊張感が和んだのも束の間、別の気配、廊下の暗がりからサーキュラスが現れます。
なぎさは全部サーキュラスの仕業だったのではないかと詰め寄り、
ブンビーさんのケーキ事件のように、思わぬ言いがかりをつけられた格好のサーキュラスですが、
駆けつけたひかりを見て、3人とも一網打尽にしてやる、といつに無く激しい気迫を燃やします。
サーキュラスを迎え撃つため、変身する二人。

廊下で対峙したものの、サーキュラスの気合一閃、グラウンドへ飛ばされ、
サーキュラスもいきなり全力で襲って来ます。
空に暗雲が立ち込め、先程鳴いていたミンミンゼミが逃げるように飛び立った木から
蝉のザケンナーが現れて、たちまちザケンナーに捕まってしまったブラックとホワイトを援護すべく
取り残されたひかりも変身。

ザケンナーを前にしたルミナスの背後に、凄まじい気迫を燃やすサーキュラスが現れました。
その気迫を前に『闇の力を押し返すポ』とポルンが言いかけたところ、
割って入る者がありました。
『ポルンをいじめちゃ駄目ルル』涙目で訴えるその姿を見て、声を上げるメップルたち。
『あ・・・』『あれは・・・』『ルルンポポ』
ポルンだけ何か嫌そうなのはおいおい判りますが、そんなルルンに
邪魔だと放つサーキュラスの攻撃を受け止め、押し留め、そしてかき消すルミナス。
ブラックとホワイトもザケンナーの手中から脱してルミナスの許へ駆けつけますが、
今度は元気玉のような構えでエネルギーを溜め始めるサーキュラスを前に
ブレスを招き入れてマーブルスクリューMAX、そしてスパークで
放たれた元気玉もどきもろとも、ザケンナーを撃破。
初めてこの技を目の当たりにしたサーキュラスも撤退します。

先程逃げたミンミンゼミが再び鳴き始め、一件落着と思いきや
ポルンはずっとなつきっぱなしのルルンに閉口していました。
何で来たのか問い詰められて、滝のような涙を流すルルンに、
さしものメップル、ミップルも敵わず耳を塞いで煩そうです。
なぎさとほのかはルルンをなだめながら訊ねてみると、
ポルンに会うために暗くて怖いところをいっぱい探したというルルンの発言に
ほのかは一連の怪事件はルルンの仕業ではないかと見当をつけました。
莉奈の時は、丁度教室の戸を開けて入ったルルンが莉奈の足に触れて、
志穂の時は、鏡の前にいたルルンが別人の顔のように見えたこと。
理科準備室の一件は戸棚の引き出しを調べながら探していたためで、
黒板に浮き出た顔も、ルルンがうっかり黒板消しの粉を被り、
その勢いで黒板にぶつかった時のものと推察します。
なぎさもすっかり安心し、『ところで、メロンって言ったっけ?』
まるで違う名前で呼ぶなぎさに改めて自己紹介するルルン。
『未来を紡ぐ光の王女、ルルンルル』

翌日、いつベローネのルリコさんに出くわすか、
まだ怖がっている志穂と莉奈ですが、この怪談には思わぬオチがあります。
その話を作って広めたのは、実はベローネ中等部時代のアカネさんでした。
中三の時に作った話がまだ残っていたとは、とあっけらかんと笑うアカネさんに
あっけにとられるものの、志穂と莉奈は確かに恐怖体験をしていました。
あれはいったい何だったのか。答えに窮するなぎさとほのかは
強引に錯覚だと誤魔化します。何か釈然としないような志穂、莉奈。
そして騒ぎの張本人、ルルンはずっとポルンに懐きっぱなしで、
嘆くポルンの台詞で恐怖の舞台は幕を閉じました。
『助けてポポ・・・』


今回は語られるテーマというものを考えず、純粋にエンターテイメントとして楽しめる一編。
そしてエンターテイメントとして水準の高いエピソードだと思います。
恐怖感を煽るような演出と、非常に美しい作画。
つい先日のサウラーとウエスターさんの最期の戦いでも魅せてくれた、
川村女史の作画監督担当回ということもありますが、
もともと美しさに定評のある川村さんの担当された中でも特に絵が綺麗です。
特に美人すぎる莉奈と凛々しいサーキュラスはインパクトが大きく、
個人的には教室で振り返った時の莉奈がシリーズ全編通しても最高の絵だと思います。
またベローネのルリコさんに間違われて怒るほのかの
「プンプン!」といったニュアンスの顔も、なんともいえない味を醸し出しています。

もう一点特筆すべきは、珍しく力技でルルンをかばうルミナスでしょうか。
最近ルミナスの目立った活躍が少ない中、ルルンを守ろうと単身サーキュラスに挑む姿は
異様に気迫がこもったサーキュラスに相対することとも相俟って印象的です。

ポルンの悪寒は自分に付きまとうルルンの気配を感じているからで、
蓋を開ければなんて事の無い話ではありますが、
ベローネのルリコさんの話をミスリードするかのように
冒頭のバルデス復活を思わせる描写など、細かいところの伏線も張られています。

というわけで、あまりテーマやエピソードの深みに語るのではなく、
純粋に見て楽しむ話のためにこれと言った感想、考察がしづらいのですが、
「考えるな、感じろ!」という話なので、とにかく観て楽しんで頂きたい一編です。
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横浜学園都市部

このお話では出番こそは僅かでしたけど、ルルンが初登場しましたね。

リアルタイムで見た事が有る中では、食い入るように見返したくなりますね。

自分の場合はスイートの29話の感想でも書きましたけど、このようにあんまり深い意味や概念にとらわれた話よりこのようなストーリーが好みですね。

因みに理科室で悲鳴を上げた女子生徒を演じていたのは、スイートでの聖歌を担当していた西野さんです。

彼女は無印やMH・更にはフレッシュでも、モブでちょくちょく登場しており、フレッシュの美希がクローバーボックスを紛失して大騒ぎだった38話での少女の西野さんでした。

折しもその際の作監も、この回同様川村女史です。

2月に始まる「スマイルプリキュア!」で、キャラデザを担当する事が決定したことにより、今年は川村女史の手腕が発揮される時が来たといっても過言は無いでそう。
by 横浜学園都市部 (2012-01-16 11:10) 

スティクス

>横浜学園都市部さん
この話、私も大好きなんですよ!
ホラータッチの雰囲気を見事に描き出した演出と構成、とにかく美しい作画。
乱歩ヲタでもある私にとって、「逢魔が時」の空気が感じ取れる背景、
そして本文でも触れた通り、
今回の美人すぎる莉奈がたまりません。

人体模型に圧し掛かられた生徒が聖歌先輩だったとは・・・
あの真に迫った悲鳴の恐ろしさが印象的でしたので、
どこか世間ズレした感のある聖歌先輩とのギャップがありますね。

これ以外にもMH後半の日常回は修学旅行や演劇など、
楽しみやすいものがあって良いですね。
私も時間のあるときに、この一連の話を見返してみたいです。
by スティクス (2012-01-17 22:18) 

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