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スプラッシュスター第4話『うっそー!?春の景色とセミの声』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

文化系のプリキュア主人公といえばハートキャッチのファッション部を除くと、
理系志向のほのか、文系志向のこまちとなりますが、
芸術志向の文化系キャラクターは今のところ舞が唯一の存在でしょうか。
(かれんはさほど音楽に関する描写が描かれませんでしたので・・・)
咲のソフトボールの試合エピソードに続き、舞の絵にかける想いが描かれるエピソードは、
美術部入部を迷う心を美しい自然描写で描く一編です。
そして、セミを笑うものはセミに泣く事になるエピソード(笑)でもありました。
 
満開の桜の下登校する咲は、熱心に桜のスケッチ中の舞に気付いて背後から覗き込み、
思わず感嘆の声を上げました。その声で初めて気付き、相変わらずバツの悪そうな舞に
画家を目指すことを勧める咲。それに同調してもう一人の生徒が近付いてきます。
『大胆なタッチ。それでいて上品で優雅な曲線。まるで何かを訴えかけてくるかのような迫力・・・』
学芸員、というよりどこぞのグルメ漫画のような評論をつぶやくのは美術部所属の綾乃です。
美術部を勧誘しに来た綾乃に複雑な表情を浮かべて押し黙ってしまう舞を他所に、
咲は一人盛り上がっていました。あなたに話しているんじゃないと言われて頭を掻く咲ですが、
舞の表情は優れません。

一方ダークフォールではアクダイカーンの叱責と、ゴーヤーンの嫌味に
カレッチは苦し紛れにプリキュアの弱点を見つけました、と答えてしまいます。
弱点とは?とあえて嫌らしく訊ねるゴーヤーンを誤魔化すように、
お前に答える必要はあるまい、と強く反論するカレッチ。
徐々に彼の立場も危うくなってきました。

舞はとりあえず来週末の絵画コンクールへ参加することになり、
そのテーマは「春の風景」です。
春といえばお花見、お花見といえばお弁当、お弁当といえば・・・
妄想を巡らせる咲とは裏腹に、舞はなんだか元気がありません。
咲に心配されて、何でもないと笑顔で返す舞ですが・・・

その夜、家族に絵のテーマとしての「春の風景」を訊ねて回る舞ですが、
 牛乳兄貴:カエルの産卵。本人に言わせるととても感動的らしい。
 可南子ママン:人は太古の昔から山野に分け入り栄養価の高い山菜を、と講義を開始
 弘一郎パパ:やまねこ、しし、うみへび、ケンタウロス・・・と春の星座を羅列
ベランダで兄と母に、電話で天文台にいる父に尋ねたのが徒労に終わり、
駄目だこの家族・・・と言わんばかりにため息をつきました。

舞からその話を聞いて、涙を浮かべるほど大笑いする咲。
特にカエルの産卵が最高、と大ウケしています。(その兄との出会いは次回ですが)
私の身になって、とテーマが見つからず困り気味の舞は不安を口にし始めました。
誰かに評価してもらうためではなく、絵が好きで描いている事。
美術部に入らなくても描きたいと思ったときに描きたい絵を描く事は出来る、と。
とりあえずコンクールには参加するものの、入部に関しては改めて考えたいと浮かない舞に、
咲は一緒に春の風景を探そうと持ちかけました。

その頃林の奥では、奇妙な出来事が起きています。
まだ春先だというのに、地面から顔を出すセミ。一匹、また一匹と顔を出し、
ぞろぞろと木を登り始める先には、その様子を見下ろすカレッチの姿がありました。

大空の木がある高台を訪れる2人。ここからは町も海も山も一望でき、
その眺めに見とれる舞は、ふと咲に尋ねます。
『どうして私に付き合ってくれたの?』
『舞と一緒にいたかったから。(なんというラブラブ)一人より二人の方が楽しいじゃない?』
その言葉に一瞬はっとしたものの、舞は改めて春の風景探しを始めました。
そして足元に広がるキャベツ畑に目を留め、二人並んで山道を駆け、キャベツ畑を目指します。
たどり着いたのは、モンシロチョウが舞うキャベツ畑の光景。
ようやく舞のお眼鏡に適う題材が見つかりました。

キャベツ畑のスケッチを始める舞に缶ジュースを持ってくる咲。
ところが2人の耳に季節はずれのセミの声が響き、
咲は一人様子を見に林の奥へと向かいます。
カレッチが木の上から見下ろしているとも知らずに・・・
セミの声にいざなわれるように、どんどん林の奥へと連れて行かれるような錯覚を覚え、
不安を感じるフラッピを、この林は昔から駆け回って庭のようなものだと嗜める咲。
行く手の山道の木々はどんどん深くなっていきます。

かたや絵を描き続ける舞の目の前で、おばあさんがキャベツの収穫作業をしていますが、
キャベツが詰まれた一輪車を倒してしまい、舞は駆け寄って介抱します。
そのお礼におばあさんの家でお茶をご馳走になる舞は、
収穫の手伝いをさせて欲しいと申し出ました。
おばあさんには固辞されますが、春を自分の手で実感してみたい、
少しでもおばあさんの力になりたい、との熱意にほだされ収穫作業を手伝い始めます。

見るのとやるのとでは大違いで、一輪車でキャベツを運ぶ作業は思いのほか難しく
一度は倒してしまいますが、徐々にコツを掴み始めて生き生きと畑と倉庫を往復する舞。
そして最後の一箱を倉庫に運び終えた時、チョッピは妙な気配を感じました。
時を同じくして咲と共にいるフラッピも同様に気配を感じ、
ふと気が付くと先ほどまで聞こえていたセミの声がまるで聞こえません。
静まり返る暗い森。
その奥から雲霞のように迫ってくるセミの大群に驚いて身を伏せる咲。
フラッピは舞と早く合流するよう促し、林を走る咲の前にカレッチが立ちはだかります。
変身を促すフラッピですが、舞がいないと変身できません。
『一人ずつ順番に始末させてもらおうか』
後ずさりする咲にカレッチが迫ります。

セミの大群は畑を越え、それを目にしたおばあさんは腰を抜かしてしまいます。
舞が気づいた時には、倉庫の内側にセミがびっしりと張り付いて鳴き声を上げ、
そしてひとかたまりになってウザイナーへと変貌しました。
カレッチに追われて山道を逃げる咲は土地勘を活かして
ガケ沿いの植え込みの中に姿を隠してうまくカレッチをやり過ごし、
ようやくウザイナーに追われる舞と合流しました。

カレッチは木の精霊を操っているのになんでセミが襲ってくるのか。
その問いには、いつのまにか二人の前に現れるカレッチ自ら答えました。
『全てのセミは樹液を通じて樹木と繋がっている』
という理屈でセミを操る事が出来、すっかりご満悦のカレッチ。
『たかがセミを笑うものは、たかがセミに泣く事になるだろう。ふはははは!』
『笑ってんの自分じゃん』
『何ッ!突っ込まれるとは・・・』
咲の的確な突っ込みに狼狽し、誤魔化すかのようにウザイナーを促すカレッチに、
2人は変身して立ち向かいます。

ブルームとイーグレットの攻撃をあしらい、
羽根を羽ばたかせて強風を巻き起こすウザイナー。
飛び回るウザイナーにジャンプで飛びつこうとするブルームとイーグレットですが、
そのまま地面に叩きつけられ、カレッチも満足そう。
ですが、土煙が晴れた下で踏ん張っていた二人にウザイナーは投げ飛ばされ、
そしてツインストリームスプラッシュで退けます。
二人を引き離した隙を突く、といういい作戦だったのですが、
詰めが甘いカレッチもまた苦々しげに引き上げていきました。

先ほど倒れてしまったおばあさんを介抱する二人の下に綾乃がやってきます。
聞くと綾乃はおばあさんの孫で、言われてみれば面影が似ています。
おばあさんを心配して手伝いに来た綾乃でしたが、
既に収穫は舞の協力によって終わった後。
そして絵画コンクールの日がやってきました。
大賞を取った3年生の桜の木は素晴らしかった、という舞の口ぶりから、
舞が大賞ではなかった事を知る咲の許に、再び解説に現れる綾乃。
どんなに素晴らしくても、技術も感性が優れていても、どこが春の風景かわからない。
そのため大賞ではなく審査員特別賞を贈られた舞の絵に描かれているのは、
おばあさんの満面の笑顔でした。
はじめはキャベツを持った姿を描くはずだったのが、
その笑顔にほだされ、描いているうちに画面いっぱいになってしまった。
そう語る舞に、孫の綾乃はこの絵の素晴らしさについて語ります。
『繊細なライン。表情の捉え方。そして何よりこのお婆ちゃんの笑顔がとってもうれしそう。
 孫の私が言うんだから間違いない』
照れ気味の舞ですが、これからもよろしく、と綾乃に言われてこちらこそ、と返し、
その様子で舞が美術部入部を決めた事を察する咲。

『どうして美術部に入ろうと思ったか分かる?』
その帰り道、夕陽に照らされる海岸で、舞は咲に問いかけます。
それは、咲が口にした何気ない言葉、「一人より二人の方が楽しい」
その言葉がきっかけで、絵を描くのに沢山の仲間がいたほうがいいと思ったためでした。
それは私のおかげとかではなく、舞がそう感じたからだよ、と咲。
すっかり信頼しあっているような2人のやり取りを断ち切り、
空腹を訴えるフラッピ、やりあう咲、なだめる舞、ケンカはやめてと泣くチョッピ、
で賑やかに幕となりました。


今回は一気に咲と舞の距離が縮まった印象を受け、
既に長い付き合いの友人同士という印象を受けます。
大空の木がある高台へ駆け上り、そして2人並んで駆け下りるシーンでの
走りながら一瞬顔を見合わせての「うふ♥」など、かなりのラブラブっぷりでした。
可愛らしく描かれる2人のやりとりも魅力的ですが、
美術部に入部を決めたきっかけを語るラストシーンでの言葉の間に醸し出される雰囲気など、
文章で説明するのが難しいのですが、4話目にして長い事この2人を見続けてきたような、
そんな不思議な感覚を覚えました。

春の風景というテーマを家族に聞いてまわる舞のシーンは、
宇宙飛行士志望の兄考古学者の母天文学者の父という学者一家の世間ズレした天然さと、
それに反応する舞の表情が可愛いのですが、コミカルな描写とは裏腹に舞の迷いが伺えます。
舞は今まで、おそらく自分が描きたい物を描きたい時に、自由に描いて来たのでしょう。
だからこそ、今自分が描きたいとものと異なる「春の風景」という与えられたテーマで
何を描いて良いかわからずにあそこまで助言を求めて回ったのだと思います。
決められたテーマを決められた時期までに仕上げるという行為に不安を覚え、
美術部に入るという事はそういった活動が続くであろう事を懸念していたのだと思います。
咲と共に見つけたキャベツ畑の風景が描きたい題材として見つかり、
さらに自らの手で収穫を行うことで春を感じて、その結果テーマと関係のない、
最も印象に残った描きたいものを貫いて出品する。
本当に描きたいものを見つけたときの信念の強さが伺えました。

一人よりも二人の方が楽しい。
絵を描くという作業は合作で無い限り、基本的に一人で行うものです。
一人で行って楽しいものを、皆で行う事によって違った楽しみが感じられるのは
絵を描く事だけにとどまらず、いろいろな局面で存在します。
現在進行中の「ファッション部」などはその最たる物だと思いますし、
遡った「科学部」も共同研究というテーマがあるからこその愉しさと難しさが描かれました。
ウエスターさんの、一人で食べるよりもみんなで食べたほうがドーナツが美味いかも
という発言も、この範疇に入るものでしょう。
私自身にとっても、一人プリキュア視聴を楽しんでいた頃と比べて
こうして再見感想を執筆し始め、いろいろと解釈の幅が広がったり、
文章を公開する事に対する責任感といった緊張感など
大変さもありますが新たな楽しみを感じられるのが収穫だと思います。

今回のカレッチの「たかがセミ」「突っ込まれるとは・・・」も初見の時に笑わせてもらい、
その印象が強かったのですが、咲と舞を引き離して無防備の咲を追い詰めるという
正統派の悪役としての側面がしっかりと描かれてる点も話に緊張感を与えます。
わざわざ手をかけて引き離さなくても、二人が別行動を取ることは日常茶飯事だと思いますが、
そんな野暮は考えないようにします。
一人だと変身できないといういい弱点を発見したのに、これを活かしきれなかったカレッチ。
あと3回で彼の出番が終わってしまうのが、わかっていても残念に思ってしまいました。
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