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ハートキャッチ第11話『アチョー!!カンフーでパワーアップします!!』 [ハートキャッチプリキュア]

ちゅ・・・中二病(笑)
全シリーズ通しても、おそらく初めての痛々しい中二病エピソード。
最初はそんな目で見てしまいそうでしたが、真に強い人間の条件とは何かを問いかけつつ、
力が強い者よりも、心が強い者が持つ本当の強さを、兄弟間の関係を絡めて描き出す
なかなか考えさせられる一編でした。
  
前回ダーク様に枯らされたものの、再び花開いた菜の花畑を安堵するつぼみとえりか。
ところが美しく咲く花とは裏腹に、ダーク様に歯が立たなかった事が心に影を落とします。
『あんな偽者のプリキュア、今度こそ倒さないとね!』
一瞬弱気な表情を浮かべたえりかは、自らも奮い立たせるように力強く宣言しますが、
今のままではダーク様に敵わないというつぼみの不安な心まで払拭できません。
『力を合わせれば何とかなるって!』
『はい、何とかしなくちゃいけません!』
不安を忘れるように改めて宣言する2人の耳に、何やら怪鳥音(笑)が響き渡ります。
『本当、男子って兄弟そろってくっだらない事やってるよね』
朝っぱらから組み手に興じる兄弟の姿を見て、呆れ顔で立去るえりかでしたが、
つぼみは意外と真剣そうに兄弟の組み手を眺めていました。

組み手に興じていた兄の方は、つぼみと同級生で前の席に座る魔裟斗まさとです。
国語の授業中も功夫の型らしき不審な動きをしており、
案の定鶴崎先生に目を付けれ、続きを読むよう指名されて戸惑い、
つぼみに助け舟を出してもらいますが先生には全てお見通し。
その足元は学校指定の上履きではなく、カンフーシューズを履いており、
その理由を先生に尋ねられて、真顔で
『いつ敵に襲われても大丈夫なようにと思って』い、痛ぇ・・・
と答える姿に、クラスメイトからも冷やかし気味にカンフーマスター、と言う声がかけられます。
好きなのは構わないけど、と鶴崎先生も注意して授業に戻り、
着席したまさとを、つぼみは興味深そうに見つめました。

つぼみは上履きに履き替えて先ほどの礼を言うまさとに、功夫ができるのか訊ねると、
拳法は一通りマスターした、という実に痛々しい大口が返ってきました。
疑いもせず真に受けて目を輝かせるつぼみですが、
割って入ったえりかにどうせ映画のモノマネだと言われて反論。
『俺が本気で功夫やったら、どんな格闘技だって敵わないぜ!』
呆れるえりかをよそに、ますます本気にするつぼみは、
私に功夫を教えて下さい、と本気(マジ)で申し出ました。

放課後、気合十分で功夫のレッスンに向かうつぼみを、
えりかはその異様な気合の入れように呆れて見送りました。
白墨で描いた円から出ないようにステップの練習、
と珍妙な訓練をしているところに、まさとの弟よしとが到着。
兄弟そろって黄色のトラックスーツ、という実に痛い姿です。
挨拶しようとしたつぼみを、『兄ちゃんの弟子は僕だけだ!』と拒絶しますが、
まさとになだめられて、渋々『押忍・・・』と挨拶を返すよしと。
年上のつぼみに対して、自分は一番弟子だから、お前は二番弟子だと、
そしてよしと先輩と呼ぶよう強要する生意気さを見せるものの、
つぼみはつぼみで大真面目に宜しくお願いしますと頭を下げ、素直によしと先輩と呼びました。
返事は『押忍!』と注意されて、つぼみもぎこちなく繰り返します。
『お・・・押忍』

戦いで重要なのは、相手に振り回されないよう
目で見るのではなく、心で感じる事、と最もらしい極意を述べるまさと。
『考えるな、感じろ』という超有名台詞を引用してヌンチャクの操り方を伝授しますが、
ヌンチャクは扱いが難しい事で知られる通り、つぼみは案の定自分の頭をドツいてしまいます。
こっそり見守っていたえりかも呆れていますが、
シプレとコフレは、つぼみが弱い自分を変えようとしている事に理解を示します。
そんなえりかも、型の演武の最中に転倒したつぼみを案じて思わず声を上げてしまい、
気付いたつぼみに強引に誘い出されました。
功夫なんて出来るわけ無いと言ったことに対して素直に頭を下げるえりかでしたが、
なりゆきで三番弟子にされてしまい、狼狽します。

結局えりかも夕暮れまで付き合わされて、兄弟を押忍!と見送ったものの、
よしとを生意気な弟と評します。が、内心では素直に兄を尊敬しているよしとを、
姉に対して素直に向き合えない自身と重ね合わせて複雑な想いを抱いています。
改めて、なぜつぼみが功夫を始める気になったのかを訊ねてみると、
不安に苛まれ、何かを見につけてもっと強くなりたかったという答えが返ってきました。
えりかの目からは、つぼみは自分で言う程弱く映っていません。
それを指摘されて、はっと息を飲むつぼみ。
『私達どんどん息も心も合ってきてる。だからこれからも、きっと何とかなるって!』
『そう・・・ですね』
物事をポジティブに考えるえりかに引っ張られるように、つぼみも少し自信を持ったようです。

日は変わって体育の授業中、女子はバレーボールで男子は柔道です。
ボールを受け損ねてしまったつぼみは、ふとあの言葉を思い出しました。
「考えるな、感じろ!」
そして目を閉じ、心の眼でボールをレシーブしようとしますが、
そんなにうまく行く筈がなく、見事顔面にボールが激突します。
『やっぱり私、ダメみたいです』
嘆くつぼみが隣の男子達を見ると、丁度まさとが大柄な生徒と対峙していますが、
なにやら怯えているように見えます。
『功夫ならどんな格闘技にも勝てるって言ってたらしいな』
事実そう言っていた為、返す言葉もなく、そしてあっという間に畳に叩きつけられます。
拍子抜けしたような相手に、これは柔道の授業だから、と弱々しく返したものの、
どうせ功夫オタクなんだろ、と言われて悔しそうに唇を噛んだまさとは、
無情にも心配そうに見ていたつぼみと目が合ってしまいました。
そして放課後、今日も練習に行こうとするつぼみに、
もう功夫の練習しないから、そしてごめん、と一言謝り、駆け出して行ってしまいました。

一方砂漠の国では・・・赤い道着を羽織り、黒帯を締めたクモジャキーが
スナッキーたちを相手に乱取りしていました。
その有り余る力をサバーク博士に評価され、道着を脱ぎ捨てて出撃。
・・・というか、道着の下にあの服着ていた、という野暮な突っ込みはナシにします。

公園で練習に励むよしとに、練習の中止を言い渡すまさと。
当然よしとは反発しますが、そこに柔道で対戦した大柄な生徒と、
その腰巾着のような嫌味な生徒が、もう功夫ごっこは終わりかとなじりに来ました。
兄を馬鹿にされ、ヌンチャクを構えるよしとを制するまさとですが、
その間に嫌味な奴に弟のヌンチャクを取り上げられてしまいました。
『兄ちゃんが怒ったらどうなるのかわかってるのか!』
強がるよしとですが、からかわれるようにカンフーマスターと呼ばれて、
まさとは返す言葉もありません。
それでも自分のプライドよりも弟の事を案じ、ヌンチャクを返すよう申し出ますが、
『返して欲しかったら、カンフーなんて出来ませんと謝りな』
さらに理不尽な要求に、怒りを露にするよしと。
ところがその目の前で、言われるがままに頭を下げる兄の姿を見て愕然とします。
ヌンチャクを投げ捨て、馬鹿にした台詞を吐き捨てて去っていく二人を悔しげに見送り、
戦わなかった兄が不甲斐なく見えたのか、よしとの怒りの矛先はまさとに向けられます。
そしてよしとは涙を浮かべ、走り去ってしまいました。

その直後に、ジャージに着替えてやる気満々?のつぼみとえりかが到着。
つぼみは功夫で自分に自信をつけたいと意気込んでいます。
が、よしとの姿が見えない事を気にかけたえりかに、
僕が弱い事がばれただけだと自嘲気味に答えるまさと。
それでもよしとにとっては、紛れもないヒーローだと主張するつぼみは、
えりかと共によしとを探しに町へ向かいました。

よしとはまるで悔しさを紛らわすかのように、一人神社の境内でヌンチャクを振り回しています。
ところが現れたクモジャキーがヌンチャクに興味を示し、
せっかくの武器も心の花の弱ったお前には勿体無い、と
ヌンチャクを奪い、さらによしとの心の花を抽出しました。
その背後で、残された水晶を取ろうとしてぶつかるスナッキー、
という昔の香港映画にありそうな珍妙な光景が繰り広げられていますが、
奪われた心の花はヌンチャクと合わせてデザトリアンと化しました。
よしとを探して街を行くつぼみとえりかが神社の石段の下へ来た時、
『兄チャンナンカ嫌イダー』
というデザトリアンの声が聞こえ、事態を察して変身します。

水晶球の取り合いをしているスナッキーたちですが、
現れたプリキュアに団結し、大挙して襲い掛ります。
マリンは旋風脚のような華やかな足技を披露して蹴り飛ばした後、
マリンダイナマイトと称する技で吹き飛ばす等かなりの活躍を見せます。
その間にややぽっちゃりしたスナッキーが水晶球を持ち去って
石灯籠の影へと身を潜めま、水晶球の奪取を妨害するように、
腕のヌンチャクを振り回してデザトリアンが立ちはだかります。

まさとも石段の下を通りかかった際にデザトリアンの叫びを耳にして
石段を登った先で見たものは『兄チャンナンテ嫌イダー』
と叫びながら暴れるデザトリアンと、プリキュアとの激闘でした。
『カッコ悪イ兄チャンハ嫌イダ』
という声を聞いてあれが弟なのかと立ち尽くし、
まさとに目を向けたデザトリアンの気を惹くべく牽制するブロッサム。
『あの怪物はよしと・・・』
再び繰り広げられる戦いを見て呆然とするまさとに、
シプレとコフレが、よしとはアレだと水晶球へと注意を向けさせます。
その間にもプリキュアもデザトリアンに殴り飛ばされ、
今よしとを救えるのは自分しかいない状況を認識するまさと。
その体は震えています。

『その場で力が出せん臆病者は最初から負けとる』
言い捨てるクモジャキーに、殴り飛ばされて戻ってきたブロッサムが反論します。
今回のつぼみ自身がそうだったように、自分は無理だと思ってしまう弱さは誰にでもあると。
そしてその背後で、恐怖を押し殺してスナッキーに立ち向かうまさとは
功夫でスナッキーを突き飛ばし、見事水晶球を奪い返しました。
兄弟の固い絆を弄んだ事に例の如く切れるブロッサムですが、
攻防に優れたヌンチャクには隙がありません。
「考えるな、感じろ」
再びその極意を思い出して目を閉じるブロッサム。
目で見るのではなく心で感じてヌンチャクの一撃をかわし、
デザトリアンの懐中に潜り込んでダブルインパクトで崩します。
そしてその隙を突いてピンクフォルテウェーブで撃退。
稽古のやり直しだ、と言い残し、クモジャキーもまた引き上げていきました。

無事に目を醒ましたよしとを介抱するまさと。
よしとはヌンチャクを持った化け物の話をしますが、
弟に無用の心配をさせないためか、まさとも夢を見ていたと語りました。
よしとは兄の手の甲が擦り剥けている事に気が付きますが、
本気でやったら怪我くらいする、と心配無さそうに答えるまさと。
そして再び切れのいい怪鳥音を決める様を見て、
よしとは改めて兄に尊敬の眼差しを向けました。
再び公園へ練習に向かう兄弟を見送るつぼみとえりかもまた、
功夫を身に付ける事よりも、負けないと思う強い心が必要だと思い返し、
改めて私達はダメなんかじゃない、と強い想いを抱きます。
よしとの心の花、ジギタリスの花言葉は熱い思い。
思いを馳せるシプレとコフレをよそに、珍妙なカンフー演武を始めるつぼみとえりか。
2人を呆れて見守りつつ幕となりました。

前回ダーク様に惨敗した事で不安を覚え、
心の拠り所として功夫にすがろうとしたつぼみですが、
功夫を見につけても、仮に強力な武器を得たとしても、心の強さが無ければ意味が無い。
それをはっきりと指摘するのでなく、やんわりと指摘するえりかや
弱くても、怖くても、恐怖を押し殺して立つことの出来るまさとを通して
自分の力で気づかせるという構成は、常に現実という困難に晒されている我々にとって
大きな励みになるエピソードでした。
それにしても強くなろうとするなら、いつきに弟子入りした方が良かったのでは・・・?
という野暮は考えない方が良さそうです。

男子の行為を下らないと感じるえりかの考え方は、
この年代の女子として至極当然の事です。
それでなくても小学校高学年から中学生にかけては、女子の方が大人びているもの。
今までそれをはっきりと明言した描写はあまり見受けられませんが、
健太や大輔といった過去シリーズの同級生キャラクターの性格設定などを見ると、
確かに彼らには子供っぽい(実際子供ですが)面が伺えます。
とはいえ、ただ下らないと一蹴するだけでなく、下らないと思うことでも
真剣に取り組んでいる姿を見て謝る事が出来るのがえりかの長所だと思います。
中学生の男子からすれば、ファッション部は下らないと映るはずで
同じことを言われたらえりかも怒った筈でしょう。
それを踏まえて、謝るシーンが必要だったのだと思います。

カンフーマスター、まさとの姿は開始10分とそれ以降の印象が大きく異なり、
途中までは見事な中二病キャラクターなのですが、
その実は武道のなんたるかを心得ている、心の強さを感じさせます。
確かに彼は肉体的に「弱い」かもしれません。
しかし武道とは肉体の鍛錬が目的ではなく、鍛錬を通して心を磨き上げるものです。
自分の大言によって招いてしまった事態にも言い訳をせず、
理不尽な要求にも頭を下げ、弟のためにプライドを犠牲にする。
ただ功夫を駆使して立ち向かう事よりも、今回まさとが選んだ行動の方が
はるかに難しく、勇気がいる事だと、いつか弟のよしとも気づく時が来るでしょう。
そしてその時こそ、兄の真の強さを理解すると思います。

とは言ったものの、彼の痛々しい中二病っぷりには苦笑しました。
私自身、波紋法を身につけようと一秒間に10回の呼吸を試みたり、
修行すればかめはめ波が出ると思っていた若気の至りを思い出し、身もだえさせられました。
実際に中学二年の時にはそこまで現実離れしたことはしていなかった、と思いたいですが、
当時北条司先生の作品にのめりこんでいた時期で、熱心にカードを投げる練習していた、
あまり思い出したくない事を恥ずかしながら思い出してしまい、
何ともいえない恥ずかしさが今も浮かびあがったままの状態です(苦笑)

脱線してしまったので話を元に戻しますが、
一見武人のように見えるクモジャキーは、やはり反面教師のように描かれていると思います。
確かに彼は肉体的にも強く、おそらく精神的にもタフなのでしょう。
ですが、弱きを助け強きをくじくのが武の道で、
ひいては彼が貫こうとしている人生の荒波を越えていく、という事に繋がる筈です。
強くても弱者への思いやりに欠けているクモジャキーと、
弱くても大切なもののために信念を貫けるまさと。
この2人が対照的に感じられるからこそ、ストーリーの説得力が増し、
深みを感させるいいエピソードを見る事が出来た、という手ごたえを感じました。
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