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スプラッシュスター第8話『大好き!みのりと二人のお姉ちゃん』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

歴代シリーズで兄弟姉妹のいるキャラクターをまとめて、その続柄を整理すると、
なぎさ・・・姉/りんちゃん・・・姉/こまち・・・妹/美希・・・姉/えりか・・・妹
となります。りんちゃんとこまちが互いに重要なパートナー同士ではない事を考慮すると、
両方が兄弟姉妹持ち、かつ片方が「姉」で片方が「妹」という咲と舞の関係は、
他シリーズとは異なる特徴とも言えるでしょう。
今回のキーパーソン、みのりを姉として厳しく叱責する咲と、妹としての想いに理解を示す舞。
初代第8話で描かれた仲違いはSSでも、同様の第8話で鮮烈に描かれます。
   
朝食時に、昨日お友達の誕生会(懐かしい響きです)での出来事を話題にしながら、
パンにバターを塗り、ジャムに手を伸ばすみのり。
話に夢中になるあまり周りが少々見えておらず、危なっかしい手つきで、
傍らの咲のカップに触れてしまいそうですが、
危ないと注意する咲に、今度は手を合わせてお願いをします。
次の日曜に、その時の友達を部屋に連れてきて良いかお願いし(咲とみのりは同じ部屋です)
わざとらしく考える仕草をするものの、その日はソフト部の練習のため、咲も快諾。
喜んだみのりが絶好調ナリ!と手を振り上げると、
案の定その手が咲のカップにぶつかり、中身が咲の制服にこぼれました。
『みのり!!!』
咲の怒声が、朝の食卓に響き渡ります。

その頃ダークフォールでは・・・
アクダイカーンはカレッチが敗れ、木の泉が奪い返された事をゴーヤーンに問い詰めています。
その剣幕に圧されているゴーヤーンの背後に、炎と共に新たな者が姿を現しました。

その夕方、咲は訪れた舞が持参した犬の絵を絶賛し、
舞自身もこのデッサンを気に入っている事が伺えます。
そこにみのりがお菓子とジュースを持って来ました。
咲に見せられた絵に感心し、絵を描いた舞に尊敬の眼差しでジュースを差し出すみのりですが、
興奮しているためか、その一つ一つの動作が非常に危なっかしく見えます。
ともかく、スケッチブックを床に置き、ジュースで乾杯する咲と舞。
みのりも一息でジュースを飲み干した後、咲のグラブに目を留めてはしゃぎ始めます。
『スリーボールツーストライク。ピッチャーみのり運命の一球です』
と野球の仕草を真似し始め、止めるよう注意する咲と対照的に微笑ましく見守る舞。
モノマネはエスカレートして行き、
『やったぁー!ホームイン!』とみのりが手を振り上げた時、
その手を滑ってグラブは宙に弧を描き、テーブルの上のジュースに当たり、
倒れたグラスからこぼれたジュースは、舞の絵を直撃しました。

慌てて絵を拭く咲を、みのりは心配そうに見守りますが既に手遅れです。
『舞の大切な絵が台無しになっちゃったじゃない!』
怒る咲と身を縮ませるみのり、交互に2人を見て絵ならまた描ける、と
なんとか2人を宥めようとする舞ですが、朝も同じ事を注意したにもかかわらず
再び同じ事をしたみのりを叱る咲の声は止まりません。
その剣幕に、徐々に涙目になるみのり。
そしてみのりにとって決定的な一言が、咲の口から飛び出しました。
『もう一緒に遊んであげない!』
みのりは涙を堪えられず、とうとう声を上げて泣き出します。
『ちょっと咲。みのりちゃんの気持ちも・・・』
そう言い掛け、咲の手を取ろうとした舞の手を振り払って、さらに続ける咲。
『だから、舞には分かんないんだからちょっと黙って・・・』
ようやく舞の表情に、そして手を振り払ってしまった事に気付いて絶句します。
みのりの泣き声がこだまする中で、咲と舞の間に流れる重い空気。
いつしかみのりも、その空気に気圧されたように泣き止み、
静寂が支配する部屋に、時計が秒針を刻む音だけが響きます。
『私、そろそろ帰らなきゃ・・・』
立ち上がり、部屋を辞する際にみのりを振り返って
『みのりちゃん、またね』と声をかける舞ですが、咲には『それじゃ・・・』としか言えません。
日向姉妹が取り残された部屋に、秒針の音のみが
まるで心を刻むかのように鳴り響く光景を、濡れた絵の中から犬が見守っています。

その夜更け、咲はリビングで突っ伏して先程の「舞への態度」を悔やんでいました。
そしてみのりは涙を抑えられず、布団を頭からかぶって泣き続けています。
舞もまた、ムキになって余計な口出しをしてしまったのではないかと案じていますが、
チョッピは舞とみのりの共通点を指摘して意見します。
二人とも妹である事。だから舞には、妹であるみのりの気持ちが解る、と。

翌朝の朝食時、咲とみのり共に表情は優れません。
みのりは一晩中泣き明かしたのか、目を赤く腫らしています。
登校した咲は教室で舞と目が合いますが、舞の方が気まずそうに目を逸らしてしまいました。
授業中やお弁当の時間も、2人の間の気まずい空気は解消されず
なかなか話を切り出すきっかけもつかめません。

そして夕方、帰宅したみのりは自室で再び叱られた時の事を思い出し、
自然に涙が込み上げ、泣き始めます。
が、咲の机の上に置かれた舞のスケッチブックに目を留めました。
帰宅したみのりに沙織ママが声を掛けに来た時、部屋にみのりの姿はありません。
スケッチブックを手に、みのりは夕暮れの町を駆けて行きます。
丁度入れ違いのように家路へと向かう咲も、結局舞と話せなかった事を悔やんでいましたが、
そこに血相を変えて駆けつける日向夫妻。
みのりの姿が見えない事を心配して探し回っている両親に、
咲は意を決して沙織ママに荷物を預けて探しに向かいます。
咲を追うように大介パパも探しに向かい、沙織ママが不安な影を落とす中
夕暮れの町を見下ろして、炎と共に新たな敵が現れました。
『やってきたぜ・・・セニョリィイタ!』
・・・緊迫した空気が逆に和むのですが・・・

みのりが向かった先は夕凪中でした。
ちょうど舞が下校して来て、校門の影に佇むみのりに気付いて声を駆けます。
俯きながらスケッチブックを差し出すみのりは、
わざわざ持って来てくれたんだ、と案ずる舞に無言で頷きます。
2人は小さな児童公園へと場所を移し、ブランコで語り始めます。
『みのりのせいで、舞お姉ちゃんとお姉ちゃん、ケンカしちゃったの?』
そう問うみのりに、自分も妹だからみのりの気持ちがわかったから、つい・・・と
舞は自分の事を話しました。舞がみのりと同じくらいの時、
和也の望遠鏡を壊してしまって、凄く怒られた事。
あの和也が、舞を泣かせる程怒るという状況はちょっと想像できないのですが、
それはさておき、その時舞は、兄に嫌われたと思って凄くショックだった事を打ち明けると、
みのりも咲に怒られた時の事を思い出し、お姉ちゃんに嫌われたのでは、
と案じてしゃくり上げ始めます。そんなみのりを優しく慰める舞。
『大丈夫よ、絶対にそんな事無いから、安心して』
そんな妹が妹を慰める優しい光景は、炎と共に現れた暑い熱い奴によって一変します。

『俺の名前はモエルンバ。セニョリータ♪』
みのりを庇うようにモエルンバの前に立ちはだかる舞。しかし一人では・・・
とそこに、咲が駆け付けました。2人でみのりを庇う姿を見て、
バネで動く遊具をウザイナーするモエルンバ。ですが・・・
ウザイナーのジャンプして着地する勢いが強すぎて逆にビビっています。
しかしその着地の際の反動で飛ばされ、意識を失うみのりを案ずる2人にウザイナーが迫り
フラッピもチョッピも変身を促しますが、互いに顔を見合わせて二の足を踏みます。
それでもみのりを守る為、強く促されて変身する2人。

火の玉を吐くウザイナーの攻撃を、巻き起こす風の力で、精霊の光で食い止めようとしますが、
なぜか精霊の力が発揮されません。予想外の状況に、迫る火の玉から逃げ回る2人。
互いの気持ちが通じていない為、精霊の力が弱まっているようです。
が、この状況でも怯まずウザイナーのバネを、言い合いながら螺旋状に駆け上ります。
『確かに舞には八つ当たりみたいになっちゃったけど・・・』
ブルームの懸念に、意外な声を上げるイーグレット=舞が気にしていたのは、
その事ではありませんでした。
『私はみのりちゃんの事が心配だっただけ。
 あんな風にお姉ちゃんに言われたら、きっと凄くショックだったと思う』
ブルームもまた意外な声を上げ、ウザイナーやモエルンバをすっかり置き去りにして
会話と共に対ウザイナー戦が繰り広げられます。
『咲はお姉ちゃんなんだから、もっとみのりちゃんの事を考えてほしいの』
『私だって考えてるよ!でもみのりったら、全然人の話を聴かないんだもん』
その合間に2人でウザイナーに蹴りを入れ、苦し紛れに吐かれた火の玉が飛び交います。
『でもあんな風に言わないであげて。みのりちゃんはね、咲の事がとっても・・・』
そこに巨大な火の玉が飛来しますが、火の玉を避けたイーグレットがブルームに続けた一言
『大好きなんだから』
火の玉が巻き起こした煙が晴れた後、互いに顔を見合わせる二人。

ところが火の玉の一つが、みのりを目掛けて落ちてきます。
とっさに飛び込み、身を挺してみのりを庇ったブルームですが、精霊の力が弱まっているため、
ほぼ無防備の状態で火の玉を受け、大きなダメージを受けました。
ご満悦のモエルンバ、とどめとばかりにウザイナーと共に上空へ飛び上がり、
回転してウザイナーと共に巨大な火の玉へと変貌します。
『良かった。怪我は無いみたい』
そう言いつつも苦しげなブルームを案ずるイーグレットですが、
怪我が無かった、と言うのはブルームの下のみのりの事でした。
ウザイナーとモエルンバが作る大きな火の玉が迫る中、
ブルームは改めてイーグレットの力を借りたいと申し出ます。妹を、みのりを守りたい、と。
『やっぱりお姉ちゃんって、そうでなくっちゃ』
火の玉によって明るく照らされる中、手を取る2人。
『大丈夫、2人力を合わせれば、きっと大丈夫』
そこに、火の玉が襲来。・・・しましたが、煙が晴れた下、
溢れる精霊の光に守られ、反撃の力を蓄えて2人同時の蹴りの一撃で形勢逆転。
ツインストリームスプラッシュで撃退し、
モエルンバもまた負け惜しみのような軽口で撤退して行きました。

気が付いたみのりに、さっきのお化けは?と問われて
夢でも見たんじゃない、とぎこちなく誤魔化す咲と舞。
それよりも、黙って出て行った為、とても心配したと言う咲に、素直に謝るみのり。
でも、どうして咲はこの場所が解ったのか。
それは、小さい時からみのりが一番好きな場所がこの公園だという事を、
咲がきちんと知っていたからでした。
自分のことをちゃんと知っている。そんな姉に嬉しくなり、
改めて昨日の事をきちんと謝るみのりですが、咲もまた言い過ぎたことを反省。
これからも一緒に遊んでくれる事を念を押したみのりは、笑顔を取り戻します。
傍らの舞が優しく見守る中、満面の笑顔で喜ぶみのり。
そんなみのりを、咲は姉としてもう一度注意します。
舞に言う事があるんじゃないの、と。
改めて舞にも謝るみのりに続き、咲もまたきつく当たってしまった事を謝ります。
舞はもう気にしていませんでしたが、一つだけ舞が提示したお願い。それは・・・

昼下がりのパンパカパンで、日向姉妹をスケッチする舞。
2人とも慣れないモデルでガチガチに強張っていますが、
出来上がった絵には、素敵な笑顔で寄り添う日向姉妹が描かれていました。
絵を見つめる3人の笑い声は、絵の中からもまた聞こえてくるようです。


少し個人的な話になりますが、私は「兄」で、弟がいます。
弟としての物の考え方や、兄を見る目と言うものは完全には理解できないものでしょう。
その意味では、今回の咲の立場に近いと思いますが、
果たして私は弟にとって、どのような兄なのか、兄だったのか、
ふと省みて、考えさせられる一編でした。

第1話からぎくしゃくする事が無かった咲と舞が、初めてすれ違う今回、
なぎさとほのかのような「ケンカ」ではなく、
立場や考え方の違いから来る行き違いとして感じられるように描かれますが、
ケンカを描いてしまうと二番煎じになってしまうとの配慮でしょうか。
その結果、2人の微妙なボタンの掛け違いのような心理が際立ち、
みのりを間に絡めていることで姉と妹という目線を通じて
非常に印象深いエピソードに昇華していると思います。

咲は舞に当たってしまった事をずっと思い悩み、
叱られたみのりの受けた衝撃というものがさほど気になっていません。
一方の舞は、咲のみのりに対する態度が気になっていて、
自分の手を払われた事はさほど気にしていません。
この思い違いをぶつけながら戦うシーンは、
同様に言い争いながらゲキドラーゴをぶちのめした初代第8話を思わせます。
が、言葉ではなく行動でみのりを守るブルーム、その姿に「姉らしさ」を認めるイーグレットが
共に手を取って立ち向かうという和解の描かれ方が異なり、
守るべき存在=みのりとも相俟って、2人の頼れるお姉さんといった感が良く出ています。

また、歴代で効果的に用いられる「光と影」の描写を交えた演出も秀逸です。
部屋でみのりを激しく叱責する咲に影がかかっていたり、
授業中の風景では2人の心の迷いを象徴するかのように、
「明るいのに暗い教室」という、文章で現すのが難しいのですが
絶妙の光加減が使われていました。
その際にも咲に光が当たっており、この時点で思い悩んでいる舞には影がかかっています。
続く夕陽の描写も、「美しいのに寂量感のある背景」という、
みのりの心境を切り抜いて背景にしたかのような見事さでした。
何気ない「とまれ」の標識や、夕方の買い物時というのにまるで人の気配のない
パンパカパン周辺の描写、逆光で影を伸ばすみのり、など
普段から背景の美しさが特筆されるSSシリーズでも特に優れた描写だと感じました。

ただ惜しむらくはモエルンバでしょうか。
彼の強烈な個性と暑くて軽いノリは愉快で、楽しい敵キャラではあるのですが、
繊細な心理が描かれている今回では少々浮いてしまっている印象を受けます。
ただ、これがカレッチでも、今後出る他のどの敵でも合いそうにないので、
仕方の無いことかもしれませんが・・・
とは言ったものの、難波圭一さんのノリノリの演技や、アドリブらしき「セニョリータコス!」など、
今後ストーリーを彩る名敵役の一人である事には変わりないので、
カレッチ亡き後の13話までの活躍を久々に楽しませてもらいます。
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もんが

咲が姉としてみのりを叱ろうとするものの、
普通に考えて姉というのは親に比べて人を教育する能力が劣るために
トラブルに発展したようですね。

ちゃんと親がみのりを注意していればこんなことにならなかったと思います。
子供同士の喧嘩に親が出るべきではないという意見もあるかもしれないが、
この話のみのりの行為は親が叱らなければいけないようなことなのでそれは当てはまらないでしょう。

OP前のシーンでは親も同席していたのにみのりを注意しなかったのには疑問です。
「親が叱るから自分は注意しなくていい」と思わずに自らみのりを注意した咲の姿勢は評価できるかもしれませんが。
by もんが (2012-11-10 05:10) 

スティクス

>もんがさん
こちらでも改めて言わせて頂きますが、
私はプリキュアに於ける兄弟姉妹の問題に関するエピソードは
あくまで当事者である本人達で解決する事が望ましいと考えています。

仮にみのりを日向夫妻が叱ったとしたら
そこからどんな話が描けるのか、私には想像できませんでした。

広く意見を伺い、謙虚に受け止めたいと理想していますが、
私ごときの精神ではこれ以上の回答が出来そうにありません。
期待に添えず恐縮ですが、なにとぞご容赦下さい。
by スティクス (2012-11-10 20:47) 

もんが

子供が悪いことしたら兄弟よりも親が叱らなければいけないと思いました。

ただそれが言いたかっただけです。
by もんが (2012-11-11 06:33) 

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