SSブログ

スプラッシュスター第15話『ソフトボールは親子の絆』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

先日のハートキャッチプリキュア感想の際、
シリーズ通して母の日を描くのは初めてと書いていましたが、
ズバリ母の日を描いた話ではなくても、このように優れた母子のエピソードはありました。
大きかった母の手と変わらぬ大きさに成長した娘との絆を描く
母と子の素敵なエピソードです。
 
朝練のために登校する咲を見送った沙織ママに、
食卓のみのりは私もソフトボールやりたい、と漏らします。
もう少し大きくなったらと言うものの、ふと咲がソフトを始めた日の事を思い返す沙織ママ。
記憶の中の幼い咲の姿と見比べて、咲がソフトを始めたのと同じくらいになったらと告げ、
早くお姉ちゃんみたいに大きくなると朝食をかき込むみのりに驚きつつも、
職場のベーカリーへと入って行きました。
私も頑張らなきゃ。そう言いながらオーブンを開け、見事に焼き上がったクロワッサンを見て一言。
『よし!今日も絶好調なり!』
娘の口癖は、母から伝わったもののようです。

『朝早くから忙しそうね』『何が楽しいのかしら』
朝練終了後、グラウンドを整備している咲以下ソフト部員達を
屋上から冷ややかに見下ろす満と薫の背後に、ゴーヤーンが現れて釘を刺します。
管理を任されている泉へと戻るよう促すゴーヤーンに背を向け、
始業のチャイムと共に教室へと向かう2人。
『私達もこの学校の生徒だから、チャイムが鳴ったら教室へ戻らないといけないの。
 じゃあね。バイバ~イ♪』
そんな2人を苦々しく、今時の若い者は・・・と呟きながらゴーヤーンも引き上げていきました。

春眠暁を覚えず。
国語の授業で用いられている題材そのままに、
熟睡しているソフト部3人娘に先生の教科書が振るわれますが、
優子、仁美は片手で受け止め、咲は見事な白刃取りを披露します。
さすがソフト部、寝たままキャッチ、と沸き返る教室ですが、
満と薫は冷たい笑みを浮かべ、何を企んだようでした。

放課後の練習中でも咲のピッチングは絶好調で、
いつかと同じようにその姿を舞がスケッチしています。
そんなグラウンドの片隅には地中からドロドロンが姿を現しますが・・・
『はぁ~い♪ ドロドロン♥』
見下ろすように満と薫が割って入ります。
2人はドロドロンに、モエルンバのようにワンパターンで攻めても勝てないと忠告。
咲はソフトボールを、舞は絵を描いている時に強い力を感じると指摘して、
『つまり、あの力を断ってしまえば』『プリキュアの力も弱くなる・・・かもね?』
満と薫を見上げるドロドロン(絶対見えてるだろ。ちょっとその場所俺と代われ)
今やっている事、即ちソフトボールの妨害をすれば良いのかと気付いてほくそ笑みました。
ドロドロンは咲の背後、マウンドに土中から忍び寄り、
グローブに小さなウザイナーを忍び込ませます。
それからというもの、咲が投げるボールはウザイナーにこっそり妨害され
まるでストライクが決まらなくなり困惑する咲を見て根暗に喜びを噛み締めるドロドロン。
そして満と薫も・・・『さあ、どうなるのかしら。楽しみね』

舞と共に下校する咲は、あの後30球連続ボールだったとすっかり落ち込んでいます。
スケッチをしていた舞、女房役の優子もフォームは悪くないと指摘していた事に
気を取り直し、浜辺でもう一度ピッチングを試みる咲。
ところが咲が投げたボールはやはりグローブに潜むウザイナーにこっそり邪魔をされて
砂浜で戯れていたチョッピに当たりそうになり、
そのボールから身を挺して庇ったフラッピにノーコン呼ばわりされて罵倒されます。
舞に制されて再び投げてみる咲ですが、やっぱり結果は同じです。
『こんな事今まで無かったのに・・・絶不調なりorz』
まさにorzの通りにうなだれる咲の姿を、砂浜の下でドロドロンが嘲笑っていました。
『プリキュアめ、もっと苦しむがいい。ざまあみろだ。バイバイ』
(ドロドロンの台詞は何故か文章に起こすと独特のニュアンスが伝わらない気がします・・・)

その日の夕飯の際、元気なみのりと対照的に咲は元気がありません。
好物のハンバーグカレーを残して部屋に引き上げる等、
普段では考えられない姿にみのりは驚きますが、両親、特に沙織ママは心配そうです。
自室のベッドに倒れこんだ咲は、ふとウザイナーが忍び込んでいるグローブを手に取り、
『まさか、あんたのせいじゃないよね・・・?』
良い勘しているのですが、道具のせいにしては駄目だと自重。
そしていつしか眠りに落ちて行きました。

『行っけー行け行け行け行け日向!』
健太を筆頭とする応援がこだまする中、
マウンド上の咲にプレッシャーをかけるように塁間を相手の選手が埋めつくします。
そんな中で咲が投げた球はキャッチャー手前で天高く登って行き、
連続フォアボール!と怒涛のようにホームベースを踏む相手選手達。
再び咲はorzの字面どおりにうなだれますが・・・

これは咲が見ていた夢の光景でした。
時計は1時を回ったところで、咲は夕飯をろくに口にしていないために空腹を覚え
階下へと向かいますが、ベーカリーから漂うパンの香りに気が付きました。
言ってみるとそこには、真剣な眼差しでオーブンを見つめる沙織ママと、
その傍らには形の崩れたパンの山があります。
いろいろと新しいパンを試行錯誤していた沙織ママの
何気なく口にする悩みは尽きない、と言う言葉に、
咲は母もまた悩みがある事を知ったようです。
が、何でもない。そう言う咲の事を、母はしっかりと見ています。

ストライクが入らなくなった事を打ち明ける咲は、こんなの初めてだと漏らしますが、
沙織ママはソフトボールを始めた日の事を思い出すよう促します。
遠い日の記憶。夕陽を背景に砂浜で幼い咲が放ったボールは沙織ママまで届かず、
涙ぐんだ咲はお母さんのグローブを使えば上手になる、とぐずりました。
が、そんな幼い咲と、掌を合わせる沙織ママ。
咲はまだ小さく、その手の大きさは全然違います。
『咲はまだ手が小さいから、このグローブは合わないでしょ?だから今はそのグローブで、
 力いっぱい、一生懸命、そして楽しく!やってごらんなさい』
涙目ながらも、続けて咲が力いっぱい放るボールは、何とか沙織ママまで届きました。
ソフトボールを好きになったのはあの日かも。
その日の事を思い出す咲に、沙織ママはあの時の自分のグローブを持って来て、
そして今の、13歳の咲と掌を合わせます。もう手の大きさはほとんど変わりません。
気分転換にお母さんのグローブを使ってみる事を提案し、
そしてあの日の言葉を再び娘へと投げかけます。
『力いっぱい、一生懸命、そして楽しく!』

翌朝試合に向かう咲は、吹っ切れたように朝日の中を元気に駆けて行きました。
鎌倉高校前駅で応援に来てくれた舞と待ち合わせ、
共に電車で試合会場へと向かいます。
昨晩のお母さんのグローブの事を舞に話し、
今日はそのグローブを使ってみるという会話は、
電車の屋根に張り付いたドロドロンが盗み聞きしていました。
そいつは困るんだもーん、と何やら妨害策を考えているようですが・・・

遅くまで起きていたのに、弁当まで作ってくれた沙織ママに
咲は何か出来ないか考えながら歩道橋を渡ると、
『何もしなくていいんだよ!』
果たして歩道橋上にドロドロンが現れました。
これから試合のため、相手をしている暇は無いと言う咲に、
不気味なほど素直に邪魔しない、と引き下がるドロドロン。
しかし馬鹿正直に、試合には自分のグローブを使うよう申し出て、
今日はお母さんのグローブを使うと決めたため譲らない咲と言い争います。
それでも折れない咲に業を煮やし、グローブに忍ばせていたウザイナーを巨大化。
グローブからウザイナーが出て来た事に驚く咲ですが、
ともあれ2人は変身して立ち向かいます。

ブルームがドロドロンを問い詰めると、あっさり白状しました。
全て僕の作戦で、ソフトボールの邪魔をすればプリキュアは弱くなると思っての事。
大半がアドリブらしき台詞で告白するドロドロンはウザイナーに跨り襲ってきますが、
当然ブルームの怒りに火をつけてしまい、かえって逆効果になって困惑。
イーグレットもまたそんな事で弱くなったりはしない、
そんな卑怯な手に私達は絶対に負けないと同調して2人で猛攻撃を畳み掛けます。
ウザイナーの吐く泥弾を跳ね飛ばし、ウザイナーを思い切り蹴り飛ばすと
その上に跨るドロドロンは跳ね飛ばされ、残されたウザイナーは
ツインストリームスプラッシュで撃退しました。
・・・が、ドロドロンが引き上げた後、ブルームとイーグレットを鋭い視線で見下ろす満と薫の姿が。
『意外と強いのね』『ドロドロンが弱いのよ』
2人もまた、プリキュアの事をもっと調べる必要がありそうだと立去りました。

試合は大詰め。最後のバッターを向かえ、残すところあと一球です。
緊張が張り詰めますが、咲は母の言葉を胸に笑みを浮かべました。
『力いっぱい、一生懸命、そして楽しく!』
咲の投げる球は見事ストライクで見逃し三振、試合終了です。
喜ぶ咲達を、いつのまにか駆けつけている沙織ママがスタンド上部から見守っていました。
そしてその夜。咲がお母さんのためにしたのは、代わりに夕飯を作る事でした。
咲ちゃん特製オムレツは見た目は悪いのですが、
口にした大介パパやみのりの反応は上々です。
沙織ママも娘の想いが込められたオムレツを口に運び、娘の心遣いに感謝しました。
『咲、ありがとう・・・』


母の日が題材ではないのですが、第15話ということを考えると、
先日の母の日エピソード同様に5月中旬くらいに放映された一編で、
娘を見守る母の姿と、母のために何かしたいという娘の気持ちが伝わる、
母の日に相応しいエピソードだと思います。
プリキュアに登場する母親キャラクターは皆人間的魅力に溢れる人たちばかりで、
今回のメイン、沙織ママも口に出さない咲の悩みを敏感に察知して
適切な助言を与え、大きな存在感を発揮しています。
それだけでなく夜中に目を覚ました咲に毛布が掛けられていたり等、
画面の細部からはそれとなく母の気遣いが伝わってくるような細かい描写も優れています。

幼い咲との夕陽の中でのキャッチボールの場面は、今回の白眉だと思います。
相変わらず美しい背景の中、手と手を合わせる姿はBGMの効果的な盛り上げ方もあり
心に残る場面となりました。小さかった手はいつの間にか変わらぬ大きさになっている。
現在の咲と手を合わせた沙織さんの表情は、娘の成長を単純に喜ぶだけでなく、
咲が悩み、迷う事もある人間へと成長した事に対する感慨も感じられました。
生きている以上、悩みや迷いが無い人間は存在しません。
それは沙織ママ自身も同様で、パンを試行錯誤する姿からは
深刻に感じられない描写ながら、ふと咲に「悩みは尽きない」と漏らし、
強く優しい母にも悩みや迷いがあると言う事を、暗に咲にも気付かせています。
このやりとりの後、無言で見つめあう咲と沙織ママの少々長い間があるのですが、
その描写も印象的でした。台詞が無いだけに、咲が自ら考え、
自ら答えを出そうとしている場面だと思います。

一生懸命頑張るのは当然の事ながら、「そして楽しく」というのは、
少年少女達が頑張る上でとても大事な事ではないでしょうか。
五輪代表選手やプロスポーツ選手が安易に口にするのは問題ですが、
アマチュアスポーツでは、まず楽しむ事。競技そのものが好きな事が何より大切で、
それは前シリーズのラクロスでも描かれたテーマでした。
不調を嘆くのではなく、どう立ち向かってどう前に進むか。
それに対する一つの答えとして受け取れると思います。

母子にスポットを当てたメインストーリーだけでなく、
アドリブが炸裂し始めたドロドロンが楽しめます。
本文中でも指摘してしまったように、ドロドロンの台詞を文字に起こすと
妙に冷たい印象になってしまってニュアンスが伝わりにくいのですが、
歩道橋での咲との言い争いや、満と薫にバカにされているのに業を煮やしたり、
いろいろとほくそ笑んだりと、かなり楽しく描かれています。
今後登場の決まり文句となる「ドロドロン、でっす!」も今回が初出でした。

そして満の台詞をやけに長々と載せてしまったのは、
ゴーヤーン、ドロドロンに対する挑戦的な物言いが魅力的だったためで、
随所に見せる不敵な笑みとも相俟って小悪魔的、との形容詞が相応しく感じられます。
その反面、薫の印象がまだ薄いのですが、
薫はみのりと出会ってから描写も、そしてその人生も大きく変わるので、
それまで少々辛抱して見守って行きたいです。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。