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スプラッシュスター第16話『夢と希望と健太の悩み!』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

健太の少々鬱陶しく感じてしまうそのキャラクターも、
クラスに一人はこういう奴いたな、と今となっては懐かしく感じます。
そんな人間が沈んで元気が無い時は、いつしか周りも流されてしまうもの。
健太の悩みを通し、実現が困難な夢を持ち続けることへの意義、
諦めないという気持ちの大切さを訴えかける一編です。
そして、ブンビーさんのあの名台詞の初出はここにあったと知る意外な一面もありました。
  
咲は朝からソフト部の猛特訓、篠原先生のノックを受け続けています。
そんな咲を舞はいつものようにスケッチをしていますが、
もう一人、咲を見つめる視線がありました。
屋上からその様子を眺めている健太は、気味が悪いほど元気がありません。
『咲、頑張ってるな・・・』
そう呟き、屋上を後にするその後姿は気落ちして見えました。

みっちりしごかれても、放課後の練習でリベンジ!と咲はいつものように明るく
舞と共に教室へと登校してくると、元気の無い健太に気が付きます。
健太が沈んでいると調子が狂うと心配そうな2人。
心配する2人に健太は何かを打ち明けたそうな素振りを見せますが・・・
『頭があったまるー!』
・・・心配して損しました。が、相変わらずの寒い駄洒落を披露した健太は
外した後の態度がいつもと異なります。
まるで自信をなくしたかのように、しょんぼりと教室を後にする健太を、
咲と舞は顔を見合わせて見送りました。

ベランダで事情を聞いてみると、健太は昨日両親の会話を立ち聞きしてしまい、
『そりゃ、健太に頼むしかないだろ』
『健太の気持ちも聞いて見なきゃわかなんないけど、どう考えても健太しかいないわね』
というやりとりで、釣船屋を継がせようとしていると考えていました。
両親も健太の夢、コメディアンになりたいという事を知っていた筈なのですが、
だからこそ店を継がせようとしている両親の姿に相当ショックを受けた事が伺えます。
『本気でコメディアン目指してるって、信じてもらえてなかったのかな・・・』
自嘲したように呟く健太の姿に、咲は両親にもう一度聞いてみる事を勧めますが
健太は踏ん切りがつきません。

そんな健太に、舞は自分の兄、牛乳和也の夢を語ります。
その夢とは宇宙飛行士になって外から地球を眺める事。
現実離れした夢を笑い飛ばしてしまう健太ですが、
真剣に目指しているのだと舞の口から聞いて謝ります。
でも咲にも健太にも、宇宙から地球を眺めて、その後どうするのかがピンと来ません。
なら皆で聞きに言ってみよう、と言う咲の提案で賑やかになる3人のやりとりを、
物陰から満と薫が伺っていました。
夢?何それ・・・
「夢」とはこの時点の2人にとって、理解できないもののようです。

咲は嫌々の健太を無理矢理美翔宅に連れ込み、顔を赤くして和也に質問しました。
相変わらず牛乳片手に空を見ていた和也は、
「宇宙から地球を眺めた後、どうするか」にしばし考えた後、
あっさりと何も思いつかないと答えます。
その答えを聞いて健太は本気ではないとの考えを再び抱きますが、和也は本気です。
実現しないかもしれない夢を追いかけている事に驚く健太に、
和也は自分の考えを伝えて諭しました。
『大切なのは諦めない事、まずは自分の夢をきちんと思い描く事。
 そしてその夢に向かって一歩ずつ踏み出す事』
その後大空の木に場所を移す3人ですが、健太は何か心のモヤモヤが消えません。
一人帰る健太を追おうとする咲を、舞は健太が本当に好きな事なら
簡単に諦めない筈だと押し留めました。

『ちょっと油断しただけなんだよね。僕に力が無いわけじゃない。うん、確かにプリキュアは予想より少ーし強いかもしれないけど、倒せない相手じゃないさ。つまり僕は・・・』
地面に「の」の字を書いてブツブツ言っているドロドロンに、ゴーヤーンの叱責の声が飛びます。
言い訳はもういいわけ、でございますドロドロン殿!』
ブンビーさんよりも早くこの台詞を口にしたゴーヤーンに対しても
相変わらず煮え切らない態度のドロドロンですが、
全てはアクダイカーン様の野望の実現のためと言われると一転、
秘めていたやる気を燃やしました。

『もうかりまっか!?』『ぼちぼちでんな・・・』
翌朝も元気の無い健太を励ますかのように声をかける咲ですが、
受け答えはしてくれるもののテンションは低いままです。
今やりたい事をやれば良いのではないかと言う咲の言葉に、
居たたまれなくなったのか、走り出す健太。
『俺、もう・・・諦めたから・・・!』
『そんなに簡単に諦めちゃっていいの!?』
その背に咲の声が飛びますが、健太は振り返りません。
その代わりに、咲の傍らにはいつの間にか満と薫が登校して来ていました。
満は夢が大事なものなのかがわからず咲に問いかけますが、
周囲の地中を這い回るドロドロンに気付き、時折そちらに目を向けます。
そんな折、黙っていた薫が、唐突に自分の夢を口にし始めます。
どんな夢なのか訪ねる咲に語り始めた薫の夢とは
『それは全ての世界を滅ぼし・・・』
あまりに物騒な夢の内容を最後まで言わせないうちに、
途中で薫の背を押して先に行こうと促す満。薫にドロドロンが来ている事を促します。

満と薫は木立の中で落ち合ったドロドロンは、
見くだすような2人に対して邪魔しないで欲しい、と頼みます。
それより毎度毎度下から覗くようなアングルを確保してるドロドロン、その場所俺と代われ
そしてドロドロンもまたささやかな夢がある事を匂わせ、
満と薫に問い詰められるように白状したその夢とは
『手柄を立てていつかはアクダイカーン様の右腕と言われる大物に!』
満と薫に馬鹿にされても、僕だって本気を出せばとやる気を燃やし、地中へと潜って行きました。

その放課後、未だ元気が無く下校する健太の力になりたくとも、
自分から何とかしたいという気持ちがなければ、と咲も舞も手を出せません。
そんな2人はそれぞれ自らの目の前の第一歩、
咲はソフト部の特訓に、舞は美術部で真剣にデッサンに取り組みます。
健太はグラウンドの片隅で空を見上げ、両親の言葉を思い出してため息をつき、
いつの間にかウトウトしてソフト部の練習終了の声で目を覚ましました。
美術部も活動終了の時間ですが、集中している舞は気付かず、
その舞の姿勢を既に知っている美術部員達も舞を残して引き上げます。

咲は一人、居残り特訓で篠原先生の千本ノックに挑戦。
ボールに追いつかなくても、ボールを掴み損ねても、
必死に喰らい付いていく咲の姿は、健太の胸を打ちます。
『そんなに簡単に諦めちゃっていいの?』
朝の咲の声を思い出す健太は、息が上がり汗だくの咲に声援を飛ばしました。
それに応えた咲がラスト一球をキャッチしようとしたところ・・・
突如地面から現れる手にキャッチされるボール。
咲が疲れるのを待っていたと案外着眼点の良いドロドロンが地を割って、
土管型ウザイナーと共に姿を現します。
美術部で集中している舞は嫌な気配を察したフラッピの訴えに気付いて駆けつけ、
駆けつけたフラッピと共に変身して立ち向かう二人。

腕から泥の弾をガトリングガンのように打ち付けてくる攻撃に、
たちまち泥の海に包み込まれてしまうブルームとイーグレット。
精霊の力で直撃を回避しているものの、その猛攻撃に早くも息が上がっています。
ところがドロドロンが先ほど奪い取ったボールを泥の中に投げ捨てるのを見て、
ブルームの顔色が変わりました。
先程までのノック、そして和也の言葉を思い出し、大切なのは諦めない事。
そして私達が諦めない限り不可能なんてありえない、とイーグレットと二人反撃に転じます。
ウザイナーの腕に精霊の力を込めた攻撃を叩き込むブルームと、
イーグレットのかかと落としによって体勢を崩したところ、
ツインストリームスプラッシュで仕留めました。

ドロドロン登場と共に意識を失っていたらしい健太は、
咲の介抱で気が付き、そして打ち明けます。
頑張っている咲の姿を見て、コメディアンになりたいという夢は捨てられず
その前に最初の一歩そ踏み出す決心をした健太。
最初の一歩とは、両親の説得に当たる事で、咲と舞に見守られながら
星野屋の玄関で改まって両親に夢を打ち明けました。
そして釣船屋を継げないかもしれない、と頭を下げる健太でしたが、
その意気込みに反して星野夫妻は妙にキョトンとしています。
それもその筈、健太が聞いてしまった会話の真意は、
今度の町内会の慰安旅行の折、店番を健太に任せようとしていただけの事でした。
『お前はお前のやりたいことを自由にやればいい』
海の男らしく、息子の夢を後押しするような健吾さん。
さすがに咲と舞も大笑いし、少々気恥ずかしくなってしまった健太ですが、
明日から最初の一歩を踏み出す、と新たな決意を誓います。

翌日、咲と舞が登校してくると、校門前になにやら人垣が出来ていました。
見ると健太が看板を持って「お笑い同好会」のメンバーを募集しています。
これが健太の最初の一歩。
とは言ったものの、騒いでると校長先生に怒られると言う咲に向き直り、
『そこの生徒。少しうるせいと。校長先生は絶好調!』
あまりの寒さに取り巻く生徒達はおろか、舞まで目が点になりますが、
健太はめげずに前に向かって最初の一歩を踏み出しました。
『最初の一歩はさあ、一緒にショータイムだぜ!』(お前はモエルンバか)


ということで、前作でもあったなぎさの転校話と同様に、
終わってみれば健太の早とちりとして片付けられる話ですが、
既に社会人として生活している身からすると、
中学時代の夢や目標と言ったものを思い出させるエピソードでもありました。
あの頃思い描いていたものとは違う職業、違う生活についている私ですが、
それでも今の仕事には不満を感じておらず、やりがいを持っていると思います。
夢を持ち続けることも大切ですが、現状から生きがいを見つけ出す事もまた大切。
とは言ったものの、後者がテーマではイマイチ夢に欠ける展開となってしまうので
今回のようにまだ若い方々には大いに夢を語ってもらいたいものです。

健太の夢も大きなテーマですが、和也の夢と、それに向けての姿勢も主軸となっています。
非現実的とも思えるスケールの大きな夢でも、そのためにどうあるべきかを諭す姿は
高校生とは思えないほどハッキリしており、咲や健太だけでなく、
大人の私としても失っていた想いを気付かされた、そんな気がします。

「夢」がテーマのエピソードとして、ドロドロンの夢や、
薫の物騒な夢も俎上にのぼるのも面白いです。
特にドロドロンはいじけて自分の世界に入りがちですが、
「アクダイカーン様のため」と言われただけで奮起し、
アクダイカーンの右腕になるために満と薫に馬鹿にされても勝負を挑みました。
描写上コミカルになってしまいがちですが、ウジウジしたドロドロンでも
夢に向かって奮起する事が出来るという見方もあると思います。

一方で、咲と和也、舞、健太の4人が醸し出す微妙な雰囲気も楽しめます。
夢の続きを聞きに良くという口実があるものの、咲が和也の許を訪れたのは
明らかに別の意図、憧れの人に会いたいという思惑が感じられます。
そして密かに咲への想いが伺える健太にしても、
美翔家に入る前の嫌そうな雰囲気から本当は面白くないのだと感じられ、
和也に相対して真っ赤になって口ごもる咲をとっさにフォローする舞は
咲の想いに気付いている、という風にも見えます。
もっとも番組のテーマ上、修羅場になることの無い皆ですが、
これらのやり取りが微妙な人間関係を漂わせておりました。

そしてゴーちゃんによる「言い訳はいいわけ」
この台詞はブンビーさんの代名詞だと思われましたが、
初出はこんなところにありました。
しかも健太の寒いギャグより出来が良く、今後お祭りに乱入したり
カキ氷を一口で食べたりするゴーヤーンの意外なユーモアセンスが光る話でもありました。
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