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スプラッシュスター第17話『壊れた埴輪!どうする舞とお母さん』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

考古学者といえばインディ・ジョーンズ等、映画のヒーローの職業になる事も多く、
学者の中でも格好良さそうな印象がありますが、
実際は丹念な発掘と地道な作業、そして出土品の修復と、地道な作業の積み重ねです。
皆個性的な魅力を持つプリキュアの母親の中でも、
特に強烈な個性を放つ舞の母、考古学者の美翔可南子ママンがメインの今回。
2話前の日向母子に続き、美翔母子の姿を描き出しますが、
それだけではなく、満と薫の心に初めて波風が立つ話でもありました。
 
先日の「咲ちゃん特製オムレツ」の出来が悪かったためか、
夕方の美翔宅で舞がオムレツを作る様子を、咲はメモを取りながら見とれています。
丁寧に盛り付け、仕上げにケチャップで「M」の字を書いて仕上げる舞に、
咲はこんな風に作れたらと羨みますが、舞は咲こそが料理上手ではないかと指摘します。
ご飯を美味しそうに食べる人は作るのも上手。
そう言う舞に、咲は特訓して家の皆を驚かせると意気込みました。
そのダイニングに大あくびをしながら現れる可南子ママンは、
小脇に大量の資料を抱え、毛布をかぶって髪はボサボサという人目を憚らない姿で登場、
咲の度肝を抜きます。咲ががいる事に気付いてあまりに見苦しい姿を弁明し、
無造作に資料をチョッピに良く似た埴輪と共に戸棚の上へ置いて、
咲にお茶を出そうとする可南子ママンを、妙に必死に制止する舞。その理由は・・・
ティーセットをトレーに載せて運ぼうとした可南子ママンは、
テーブルに小指を打ち付けて転倒。ティーセットは無残にも破片と化しました。
舞にとっては日常茶飯事と言うような、半分諦め気味の様子で母を気遣います。

可南子ママンは先日発掘した古墳の報告書を書いていたため、3日徹夜していました。
しかし、丹念にスコップで掘ったり、冷たい水で出土品を洗ったりと大変な仕事ながら、
考古学の面白さを咲に語る可南子ママンの目は輝いています。
そんな折、もうすぐ食事が出来るという舞を手伝おうと、
コーヒーカップを片付けるべく席を立つ可南子ママンですが、
案の定何も無いところでどんがらがっしゃーん。開始数分で既に2回、食器が破片と化しました。
咲の目から見ても個性的、そんな可南子ママンは仕事が忙しいといつもあの調子で、
美翔家では舞や和也が率先して家事をしているようです。
見習って頑張ろうと決意を新たに、家に帰る咲を見送る舞。

おそらくその日の夕食後でしょうか。
チョッピは先ほど可南子ママンが無造作に置いた資料の上に置かれている埴輪に目を留め、
何となくチョッピに似ているその埴輪に手を伸ばそうとしたその時、
資料の山が崩れ、なし崩しに埴輪が転げ落ちます。
舞の叫び声と物が割れる音を聞いてやって来た可南子ママンに、謝りながら向き直る舞。
その手の上の、埴輪の破片を見て一瞬息を飲む可南子ママンですが、
すぐに舞の肩に手を置いて慰めます。が・・・

『あとうめ、先にたたず?』
翌日、国語の授業でとんちんかんな答えを言う咲にクラスの皆が笑いを堪えている中、
舞は心ここにあらず、といった感でぼんやりしていました。
後悔先に立たずの意味を当てられた舞はぼんやりしていたため戸惑い、
優等生の彼女が珍妙な答えをしたことにクラスがどよめく中、咲の助け舟で意味を答えます。
『一度やってしまったことを・・・』
舞はここで昨晩の出来事を思い出してしまい、続く答えは落ち込んだ様子で答えました。
『後で、悔やんでも仕方ない』

休み時間に屋上で事情を聞く咲。
チョッピも己を責めていますが、そんなチョッピに気にしないよう呼びかける舞は、
昨晩の可南子ママンの舞に対する態度と同じです。
舞が落ち込んでいるのは、可南子ママンに怒られたからではなく、
埴輪の修復を試みている可南子ママンの寂しそうな姿を見てしまった事でした。
だから何かをしてあげたいけれど、壊れたものは元に戻りません。

『不思議よね。プリキュアの力って』『何かの想いを込めた時、力が一気に強くなる』
『一体、どこからあんな力が生まれるのかしら?』『さあ、それは・・・』
咲と舞がいる事を知ってか知らずか、屋上へとやって来た満と薫。
舞の事情を知った満は、土で出来たものなら完璧なコピーを作れる知り合い(ドロドロン)
に頼んでも良いと持ちかけますが、その好意には感謝しつつも
壊してしまったのは埴輪ではなく、埴輪に込められたお母さんの想いを壊してしまったと思う舞。
『何それ、意味わかんない。土から生まれたものが土に還っただけじゃないの?』
率直な感想を漏らす満、下らないと切り捨てる薫と舞の話は噛みあいませんが、
『あの埴輪は、お母さんにとってたった一つの大事なものなの!』
らしくなく強い口調で反論する舞。
特にばっさりと切り捨てた薫に対して舞の反論は向けられます。
『薫さんにも大事なものがあるでしょ?それが壊れたらどんな想いがするか、わかるでしょ?』
我に返り、興奮してしまった事を詫びる舞に、2人の霧生さんの答えはありません。
チャイムが鳴り、教室へと向かう4人。

その日の放課後に大空の木を訪れた咲は、
考古学を熱く語る可南子ママンの姿を思い出しました。
どんな遺跡からも何千年前の人たちの生きていた光景が浮かぶと言っていた可南子ママン、
そして先ほどの薫に対する舞の姿を思い出し、舞が元気になるよう大空の木にお願いをした後、
私が出来る事で舞を元気にしてみせると、
同じくチョッピを元気付けたいフラッピと共に意気込みを見せます。
陽は落ちて、自室でスケッチブックに向かう舞。
自分に出来る事が何か良く分からないまま埴輪のスケッチをしては消す姿には
迷いが伺えますが、ふと部屋のイーゼルに目を留めます。

月明かりの下、ひょうたん岩に佇む満と薫。
薫は先ほど舞に言われて気になっていた、率直な疑問を口にします。
『私達の大事なものって、何?』
満はプリキュアを倒して太陽の泉を見つけ出す事だと答えますが、
それはアクダイカーンにとって大事なもので、彼女達のものではありません。
『私達の大事なものは、何・・・?』
答えに詰まる満、そして先ほどの強い口調の舞を思い出した薫は、答えを出せません。
『私、わからない・・・』

咲はその晩、オムレツを作りの練習を続けていました。
そして舞はイーゼルに向かい、夜も更けて睡魔が襲ってきても
壊れた埴輪の事を思い出して気を取り直し、絵を描き続けます。
チョッピもまた、机に突っ伏して寝ている可南子ママンの背に謝り、
埴輪の破片の一つを持ってフラッピと共に大空の木へと向かいます。
チョッピに出来る事は、同じ埴輪を探す事。
舞に出来る事は、埴輪を絵として形に残す事。
咲に出来る事は、舞を元気づけるために教わったオムレツを練習する事。
それぞれの夜は過ぎて行きました。

空が白み始める頃、舞の絵はようやく完成。
チョッピに見てもらおうと呼びかけたとき、初めてチョッピがいない事に気が付きます。
その頃チョッピは何かを掘り当てていました。
埴輪の一部のように見えますが、それはドロドロンの触角で、その魔の手が2匹に迫ります。
咲もまたフラッピがいない事に気付き、舞と合流して探す事に。
大空の木に向かうと、案の定ドロドロンに追われていた2匹を匿いました。
ドロドロンは埴輪の破片をウザイナー化。
元が埴輪だけに「大魔神」のようなウザイナーに変身して立ち向かいます。

なぜか体からミサイルを撃って攻撃を仕掛けてくるウザイナーですが、
巨体に反して元が埴輪だけに体は脆く、イーグレットのかかと落としで一部が砕けます。
が、2人をドロドロンが糸で拘束し、ピンチに追い込まれた事でチョッピは再び謝ります。
舞のために埴輪を探しに来た事が裏目に出たためですが、フラッピの気持ちを受け、
そしてドロドロンに反論する形で精霊の力を溢れさせて糸を断ち切る2人。
イーグレットが、ブルームが攻撃を仕掛ける度に体が砕け、
(冷や汗流しているウザイナーが面白いです)
ツインストリームスプラッシュで撃退。
随分頑張ったのに、と捨て台詞を残してドロドロンも引き上げていきました。

家に帰った舞の部屋で、可南子ママンは舞が描き上げた絵に目を留めていました。
大空の木を背景に描かれている埴輪の絵を評するものの、
徹夜をしたのではないかと舞を案じます。
どうにかして形に残したかったと言う舞に、あの埴輪の事を語る可南子ママン。
あの埴輪は可南子ママンが子供の頃、大空の木の下で見つけたもので、
考古学に興味を持つきっかけとなった大事な品でした。
その埴輪が持つ暖かさや優しさを、舞が感じて絵にしてくれた事を嬉しく思う可南子ママンは、
思わせぶりに手に持った袋から、大空の木からはなぜかこんな埴輪が見つかったりする、と
修復された埴輪を取り出します。可南子ママンにとっての考古学の醍醐味は、
小さな欠片を繋ぎ合わせて出土品を甦らせる事にありました。
チョッピが持っていった欠片と合わせて、完全に再生できたところで大きなあくびをする3人。
3人とも徹夜だったので、申し出を受けて昼まで咲も寝ていく事に。まさか舞と一緒に寝た?

そして咲のオムレツが振舞われます。
まだ不恰好なものの、舞を元気付けるために練習した甲斐あって
前より見た目も良くなり味も抜群。
そんな咲のために最高のお茶を入れるべく席を立つ可南子ママンですが・・・
案の定、美翔家に3度目となる割れ物の音が響き渡りました。


プリキュアに登場する母親達は皆素晴らしい人ぞろいで優劣をつけるような事は好みませんが、
その中でもあえて「可南子ママン」と表記して来たように美翔可南子さんのキャラクターは
このエピソードを初見で見た時から強く印象に残りました。
他の母親達が良き母ぞろいの中で、天然で強烈なドジっぷりを披露する姿は一線を画します。
とは言っても、もちろん可南子ママンも母親として尊敬すべき人格の持ち主で、
埴輪を割ってしまった(実際はチョッピですが)舞を責める事も無く、
むしろ気に病む舞を即座に気遣う優しさを見せます。
考古学への熱が高じると周りを気にせずに語り続けるという姿は
絵に集中すると周りが見えなくなるという舞へと遺伝していますが、
それだけでなく気に病むチョッピを気遣う舞の姿勢も遺伝していました。

その性格だけでなく外見も個性的で、高木美保さん似の美人なのに
今回見せる姿は常にボサボサ頭でトレパンの裾からはみ出たシャツ等、
今まで登場した際の品の良さそうな姿とだいぶ異なる印象です。
そして幼き日の可南子さんは、第1話に登場した幼い舞の髪型をおかっぱにした感じで可愛らしく
「親の若い姿」は描かれた事があっても、
「親の子供時代」が描かれたのは今のところ可南子さんが唯一だと記憶しています。
雪城さなえさんはおばあちゃまなので)

舞は今回、壊したのは埴輪ではなくお母さんの心、と思いつめてしまったように見えました。
終わってみれば埴輪の修復は可南子ママンにとって辛い作業ではなく、
絵を徹夜で描いたことで逆に可南子ママンに心配をかけてしまう結果となりましたが、
必要なのは結果ではなく、何が出来るのか考え抜いた過程だと思います。
ただお母さんの為に何かしたい。絵を描いても埴輪が元に戻るわけではないのは
舞も解っていると思いますが、だからと言って何もせずにはいられなかったのでしょう。
そして描かれた絵から、可南子ママンは自分と同じ思いを舞が感じている事を知り、
本心から嬉しかったのだと思います。
オムレツ作りに奮闘する咲、埴輪を探すために抜け出したチョッピと、
3者3様の「人のために何ができるか」を描いた良エピソードでした。

舞も可南子ママン同様外面的にも何気ない仕草が強調されているのも特徴です。
冒頭のオムレツ作りの際、ケチャップを親指で閉じる仕草、
食器を割る可南子ママンを苦笑い気味に案じる姿、
舞って凄いと言われて、赤くなって謙遜する態度などが印象的です。

冒頭で少し触れたように、今回は出番が短いながらも
満と薫が初めて疑問を口にする、転機ともなる場面もありました。
これまでも社交的な満、ドライな薫というように描かれていますが、
薫の何事にも興味を見せない態度は、舞に問いかけられた事で揺らぎました。
今まで興味があるか無いか、下らないか下らなくないか。
その尺度でしか考えなかったために、舞に同意を求められて答えが分からなかった事に
興味を抱いただけなのかもしれません。しかしそれによって自分達の大切なものが何なのか、
態度と口調こそ冷静なものの、本気で考え始めたのだと思います。
彼女達にとって大きな転機となる次回と、運命の22話23話での2人の態度の違いを思うと
今回の満と薫の描かれ方の違いは興味深く感じました。
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