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スプラッシュスター第18話『本日特売!満と薫がお手伝い!?』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

一人暮らしを始めてから、少しでも安い店を吟味する気持ちと言うものがわかりました。
私も最初は満と薫同様に、下らないと思っていたのですが・・・
咲の実家、パンパカパンの20%引きセールに訪れた満と薫、
手伝いに来ていた舞、そしてみのり。
この5人の運命の歯車が噛み合い、そして動き出す今回。
「ありがとう」の言葉の持つ意味を考えつつ、異様な緊迫感で始まり
重々しい緊張感で終わる、スプラッシュスター中盤を語る上で欠かせない一編です。
 
『いい月。私、緑の郷って結構好きよ』
『そうね、風も悪くない』
三日月が浮かぶ空を眺めてひょうたん岩に佇む満と薫に、ゴーヤーンが釘を刺しに来ます。
プリキュアと「友達になった」事に危機感を募らせ、ミイラ取りがミイラにならないか。
風のように気紛れで月のように変りやすいと2人を評するゴーヤーンに、
有無を言わさず赤黒いエネルギー弾を放つ満と薫。
2人はあくまでアクダイカーンの忠実なしもべであり、
アクダイカーンの為にプリキュアに近付いていると言い放ちますが、
まだ疑念を持つゴーヤーンに対し、今度は身構える2人。力を溜めるゴーヤーン。
一触即発の張り詰めた緊張が走りますが、ゴーヤーンが思い直して引き下がりました。
『いずれ近いうちに私たちの出番が来るわ。私達は私達のやり方で、やりましょ』
『もちろん』
顔を見合わせる2人は、近々切って落とされるプリキュアとの戦いを予感しているようです。

明日はパンパカパン開店記念の全品20%引きのセール開催ということで、
ソフト部の練習を休んで手伝いをするという咲に、舞は手伝いを申し出ました。
その様子を眺めていた満と薫。セールの意味が解らない薫に、
満は妙に細かく数字を出して説明をしますが、
薫の反応は相変わらず、下らないとそっけないものでした。
明日のセールについて咲が声を掛けにきた時も、
是非行かせてもらうわ、と変わり身早く返答する満に対し、薫は冷たく鼻で笑うだけ。
この冷たい薫の姿からは、これから描かれる姿は全く想像がつきません。

セールは大盛況で、レジ周りの沙織ママも咲も忙しく働いています。
そんな中みのりも何か手伝いたいと申し出ますが、咲は忙しくて相手が出来ません。
続いて厨房で手伝う舞の元に向かうものの、やけどするかもしれないから危ない、
と大介パパに注意され、みのりはむくれてしまいました。
『少し安いってだけであんなに集まるなんて、みんな物好きね』『下らない・・・』
薫をなだめつつ店に向かう満。
その頃店内は、レシートが切れたりトレーが少なくなったりと猫の手も借りたいような状況です。
追い打ちをかけるように、みのりは咲にしがみついてお手伝いをすると言って聞かず、
『(あーん、誰かぁ)』咲の珍しい心の声が聞こえる中、
絶妙のタイミングでやってきた満と薫に目を留めました。

有無を言わさずエプロンを着けられ、「看板娘」とおだてられるまま店内を任せられる満。
有無を言わさずテラスに座らせられ、みのりの相手をお願いされる薫。
『何で私が・・・』
満と薫2人とも突然の事に、無表情ながら戸惑います。
満は早速明晰すぎる頭脳を活かし、パンの種類や値段を頭に叩き込んで
即座に20%引きの計算を暗算でやってのけます。
感心する咲は、それよりもっと重要な事「笑顔と挨拶」を言い含めました。
『それがそんなに大事な事なの・・・?』
実感の沸かない満は、丁度来店していた女性客が帰る際、
咲に促されて戸を開けてあげました。
『どうもありがとう』
『ありがとうございました・・・』
満が初めて言われた「ありがとう」の言葉、言った「ありがとう」の言葉。
戸の外で会釈する女性に、会釈を返す満の表情は相変わらずの無表情ですが・・・

『みのり、邪魔なのかな?』
みのりも咲や舞のように手伝いをしたいと思っていますが忙しい皆には相手をしてもらえず、
薫にその気持ちを打ち明けると、案の定厳しい答えが返ってきます。
『そんなの無理に決まってるじゃない。あなたはまだ背が小さくて力も無い。
 あの人たちと同じことをしようとしても無理』
厳しい言葉に涙目になりかけるみのりですが、薫自身も無理だと漏らします。
薫の目線の咲には、無表情ながらテキパキと働く満の姿がありました。
満と薫はいつも一緒。けれども別々に動く事もあり、それぞれが出来る事をしている。
だからみのりにも、何かをしたいのであれば人の真似ではなく、
自分に出来る事をすれば良いと語る薫に、みのりは問いかけます。
『みのりに出来る事って何?』
『そういう事を人に聞いてるようじゃダメね。何が出来るか、自分で考えるのよ』
その言葉通り、みのりは真剣に考えます。
そしてその様子を、店内から舞が見守っていました。

丁度パンパカパンの前の坂道を、杖をついた老人が登って来店しました。
店内の混雑に遠慮して、店が空くのを待っているという老人のために、みのりは動きます。
老人の手を引いて店内へ向かい、買い物の手伝いをしてあげるみのり。
老人はお礼を言って帰って行き、沙織ママと咲もみのりを褒めました。
『やれば出来るじゃない・・・』
そう呟く薫の下に飛び込んだみのりは、素直なお礼を言いました。
『みのりね、自分に出来る事一生懸命考えたの。本当にありがとう』
無表情ながら、薫が少々戸惑っているようにも見受けられます。

その後みのりはお昼寝。お店も落ち着いたので、4人は今のうちに休憩する事になりました。
先ほどの薫とみのりのやり取りを見ていた舞は、
みのりを子ども扱いせず対等に話していた薫を素直に凄いと評しました。
話題は変わり、満は咲への疑問を口にします。
他の生徒達は休みの日に好き勝手に過ごしているのに、咲は家の手伝いをしている事。
しかし咲はそれを苦に思っていません。
確かに土日に家族と外出、といった普通の生活は望めませんが、
その代わりに焼きたてのパンの香りや、可愛らしいケーキをいつでも見られる事。
何より一番嬉しいのは、お客さんに「ありがとう」と言ってもらえる事。
満は先ほどの女性客との接客の際に言われた「ありがとう」を、
薫もみのりに言われた「ありがとう」を思い返し、しばし考え込んでしまいました。
そんな2人を気遣う咲と舞ですが、満と薫は突如席を立ち、帰ると言い出します。

帰る2人を追いかけ、海を臨む道で追いついた咲と舞は、
手伝いのお礼としてパンを差し出しました。
『今日はどうもありがとう!』
咲が差し出すパンに無言で手を伸ばし、無言で帰ってゆく満と薫。
2人を見送り、店に戻ろうとする咲と舞は、海の光景に違和感を覚えます。
見るとひょうたん岩が岸に向かって動いているように見えますが・・・?
否、確かにそれは岸に向かって動いています。
砂浜に下りてみた2人の前に、突然地中から顔を出すドロドロン。
瓢箪岩をウザイナー化し、プリキュアをびっくりさせた、
と妙にセコい作戦を成功させた喜びを一人噛み締めています。
ともあれ、変身して立ち向かう2人。

ウザイナーの攻撃を弾くブルーム、そしてウザイナーに反撃するイーグレットと
善戦しているプリキュア達ですが、隙を突かれてドロドロンの糸に縛り上げられます。
作戦その2も大成功。ご満悦のドロドロンの作戦とは、
プリキュアは手を繋がなければ力が発揮できない事に目をつけた分断策でした。
互いの手を取り合おうと、ブルームもイーグレットも懸命に手を伸ばしますが、
激しく締め上げられて身動きが取れません。
太陽の泉の在り処や、精霊を渡すよう問い詰め、プリキュア達を締め上げるドロドロン。
その様子を、満と薫が見下ろしています。

『でも、一番嬉しいのはいろんな人にありがとうって言ってもらえることかな?』
『小さなことなんだけど、笑顔でありがとうって言ってもらえるとうれしいわね』
先ほどの休憩中の咲と舞の姿が、2人の胸をよぎります。
『薫さんって凄いね』そう語っていた舞=イーグレットが、
『焼きたてパンの最っ高にいい香りとか・・・』そう笑顔で語っていた咲=ブルームが、
満と薫の見守る前で、締め上げられて苦しんでいます。
『今日はどうもありがとう』『お疲れ様』
先ほどそう言って別れた二人が、手を繋ぐ事叶わずに締め上げられている。
パンの袋を握る満の手が、拳を握る薫の手が、複雑な感情の中で握り締められます。
埒が明かない事に苛立ち、ウザイナーにとどめを刺すよう促すドロドロン。
絶体絶命のその時、突如ドロドロンの糸が切れ、ウザイナーも突如体勢を崩しました。
何か不思議な力が働いたようですが、ともかく形勢逆転で、
ウザイナーをツインストリームスプラッシュで撃退。
ドロドロンは糸が切れたことに不可解な思いを抱きつつも、撤退していきました。
奇蹟の雫を受け取った後も、舞だけは何か周囲を気にしています。
咲も、フラッピも、チョッピも気付きませんでしたが、
あの瞬間、舞は確かに不思議な力を感じていました。

忙しい一日が終わり、丸一日手伝ってくれた舞にお礼を言う日向夫妻。
みのりもまた、今日すっかり仲良くなった薫との再会を楽しみにしていました。
日向夫妻も満と薫にお礼を言いたいので再び誘って欲しいと言いますが・・・

『お礼のパンだって。私たちの正体も知らないで』
メロンパン(このためにファンの間でメロンパン好きにさせられてしまったのですが)
を眺めつつ呟く満でしたが、薫の反応はいつもと異なりました。
『ありがとう・・・何故こんな言葉に私は動揺しているんだろう
 ドロドロンの糸を切ったのが私だと知ったら、プリキュアはありがとうって言うだろうか?』
『薫・・・もうやめよう』
何に対しても冷淡だった薫。その薫が口にした想いに、
満も淡々とした態度ながら驚きを隠せないようで、会話を打ち切ります。
その頃舞は日向家の車で家まで送られて、
帰ってゆく車に手を振る舞を背景に、満と薫の静かな決意が口を突いて出ました。
『でも、アクダイカーン様のためなら、私たち・・・』
『プリキュアを倒すのは、私たちなんだから・・・』


キリヤの先例や、後のイース様と同様、プリキュアと同世代の敵陣営キャラクターらしく
満と薫の立場が揺らぐ事になる一編です。
当時視聴した際には、イース様がナキサケーベのカードを受け取った話のように
今後この2人はどうなってしまうのだろうと毎回楽しみかつ、
不安に思いながら視聴した記憶があります。
満にはメロンパン(笑)、薫にはみのり、といった
今日までネタとして残っているもの達との出会いも描かれる中、
一番のテーマは「ありがとう」という言葉です。

既に23話の展開を知っている身からして、満と薫にとっての「ありがとう」が
どんな意味を持つのか改めて考えさせられました。
仕事はそつなくこなすものの、サービス業にとっての「ありがとう」を知った満。
心に思ったことを率直に言っただけなのに、それが受け手にとって十分なアドバイスとなり、
お礼の笑顔と共に心の底からの「ありがとう」を貰った薫。
ドロドロンに追い詰められたプリキュアをつい助けてしまった時、
そこには一切の打算は感じられず、ただ2人も思いも寄らない感情のまま
無意識に動いていたと思います。
咲と舞、プリキュアに「ありがとう」と言ってもらいたいから助けたのではなく、
先ほどまで楽しそうにしていた2人が目の前で苦しんでいる事に、
理性ではどうにもならない感情に流された結果、手助けをしてしまった2人。
その事を思い返して疑問と動揺を浮かべる薫と対照的に
疑問と同様を打ち消すような満の描写は意味深です。
薫は何事にも無関心だった半面、不器用なほど率直に描かれ、
割と社交的で常識が多少ある満とは対照的ですが、
みのりに対する姿勢同様、何事にも先入観を持たないのが薫の特徴的な性格で
これから先、遂にプリキュアと相対するその時も、薫が先に感化されていました。
「風のように気紛れで、月のように変りやすい」
疑問を感じるとどんどん流されて行ってしまう薫、
表裏の変わり身が上手いものの疑問を押しす満は、
まさにゴーヤーンが評した通りに描かれました。

ところで薫の冷たく突き放すようなアドバイスは、奇しくも
今週のハートキャッチプリキュアでのゆりの発言に重なるところがあるのですが、
薫の方がゆりより暖かく見えるのがなんとも不思議です。
複雑な事情を抱えるゆりと、率直な薫の違いがあるのかもしれませんが・・・

咲の実家が舞台で、満と薫、そしてみのりにスポットが当てられているため、
舞の影が少々薄いのはやむを得ませんが、咲もフラッピもチョッピも
誰も気付かなかった不思議な力に気付いているというのは特筆に価すると思います。
舞には絵を描く事で培われた観察力の鋭さがありますが、
今回違和感を覚えた描写が、後の天体観測の夜に満と薫の素性に
疑問を感じる事に繋がっているような伏線が張られているように思いました。

ところで・・・薫とみのりはともかく、
今回のラストでメロンパンを持っていたというだけで
メロンパン好きという設定にされてしまった満。
定番ネタの初出という点でも、記念すべき一編となりました(苦笑)
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