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スプラッシュスター第21話『夜空に輝け!星の光の仲間たち』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

今ではサービス業に就いている私ですが、もともと工学部出身なので
「はやぶさ」帰還の一連の報道は興味を持って見守りました。
星空の神秘と、「形あるものはいつかは壊れる」という今回描かれるテーマは
はやぶさがその身を破壊しても多くのメッセージを遺してくれたように、
壊れゆく、壊れたものでも何かを残していくものだと思います。
遂にプリキュアとの戦いを決意する満と薫。そして満と薫の素性に疑念を抱き始める舞。
スプラッシュスターの中盤は、ここから大きな山場を迎えます。
  
ドロドロンが敗れ去り、土の泉を奪われた事でアクダイカーンの怒りは爆発。
激しく叱責されて後ずさりするゴーヤーンの背後に現れるのは、満と薫です。
次は私たちの番であり、緑の郷に潜入してプリキュアの力の秘密など、
プリキュアの事は知り尽くしている、と自信を伺わせる2人は、
アクダイカーンの期待に応えるように、ダークフォールから緑の郷へと向かいますが・・・
『ねえ、満・・・』
『何?』
『滅びの力が世界を覆い尽くせばどうなるの?』
『消えてしまうのよ。何もかも・・・』
『そう・・・』
2人の胸のうちに舞が、咲が、そしてみのりの笑顔がフラッシュバックする中、
闇に包まれたダークフォールから、光溢れる緑の郷へと歩んで行きました。

夏の陽光に包まれた通学路の中で、そこだけ影が差している木陰で立ち止まる満と薫は
光の中で登校していく生徒達の後姿を眺めつつ、邪魔の入らぬうちに一気に叩き潰す、と
拳を握り締め、その殺気を感じたのか、木立から小鳥達が飛び交います。
満と薫が登校してきた時、咲と舞はそんな事も知らずに談笑していました。
教室に入ると同時に、拳を握り締め、殺気を漲らせて無言で咲と舞の元に向かう満と薫。
高まる緊張は、咲が先手を打つように、美翔家で行われる
天体観測のチラシを満と薫に見せることで胡散霧消しました。
今夜美翔家で、弘一郎パパの解説による天体観測会が行われ、満と薫も誘う咲と舞。
相変わらずの変わり身の早さで応じる満と、対照的に相変わらずそっけない薫は
チャイムが鳴ると共に廊下側の自席へと向かいました。
その前に、咲は先日満に英語を教えてもらった際、
誤って満の教科書を持って帰ってしまったことを詫び、
そしてお礼に店のパンを持ってきたつもりでしたが、あいにくとパンは忘れていました。
2人にとっては些細な事かもしれませんが、
パンの事を謝る咲の姿に、何か言いようのない物を感じている2人。
『本気で星なんか見に行く気?』
『せっかく向こうから誘ってくれたんだもの。チャンスを伺って、早く終わらせましょ』

満月に煌々と照らされ、風の音が吹きつける夜。美翔家の前に佇む満と薫。
『いい月ね。今夜が見納めだけど』
『この風もやがて止まる』
『そして何もかも・・・』
『消えてしまう・・・』
足を踏み出そうとした2人の背後からかけられる咲の声に、
不意打ちを受けたようにはっとして振り返ると、そこには健太、仁美、優子も来ていました。
リビングで健太の寒い発言と咲とのやり取りを、少々うんざりしたように流す2人。
そして望遠鏡のあるドームへ向かう際、まだ冷えるということで
舞は2人にマフラーを手渡します。

弘一郎パパの解説で天体観測が始まり、夏の夜空を彩る夏の大三角形、
こと座のベガ、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル。
天の川を挟んで見える大三角形を、望遠鏡越しに眺めて感嘆の声を上げる咲を
満と薫は壁際で冷ややかに見つめています。
『満、薫、見ないの?』
そう促す咲ですが、天体観測が楽しみで何も食べていなかったらしくお腹が鳴り
舞は夜食の準備に向かいました。手伝いを申し出る咲だけでなく、
満と薫も好機とばかりに同行を申し出ます。

キッチンでサンドイッチを並べる咲と舞の背後。
拳を握り、闇の力を充満させた満と薫の手が忍び寄り、
その手が今振るわれようとした時、不意にカップの砕ける音が響きました。
満と薫が驚いて振り返ると、そこには顔を強張らせた可南子ママンが。
2人の殺意を目撃してしまったかのような緊張が走りますが、
またやっちゃった、と頭をかく可南子ママンに緊張感は一気に吹き飛びます。
形ある物はいつか壊れる、どんな物でもいつかは壊れてなくなってしまう、
と破片を拾いながら語る可南子ママンの言葉に息を飲む満と薫。
『形あるうち、命あるうちは大切に愛情を持って扱わなきゃいけないって事なんだけどね』
しょっちゅう物を壊す可南子ママンが言ってもいまひとつ説得力に欠けるのですが、
果たして満と薫はその言葉に何を想い、何を感じたのでしょうか・・・

咲、舞、満、薫がドームへ戻った頃、皆は北極星の話題で盛り上がっていました。
寒そうな名前は寒いギャグばかり言っている健太みたいな星、
なら咲はパンを食いまくってるからブラックホール、との賑やかなやりとりから
みんなそれぞれを星へと例えはじめます。
仁美は自称長身のヴィーナス。舞は鳥みたいに可愛いから白鳥座の一番大きな星。
優子は・・・北極星のそばの死兆星と、急に赤くなってモジモジしはじめ
当の健太も咲も、他人のこういうところは鈍感です。
満は神秘的なので月。薫は・・・どうでもいい、と相変わらずそっけなく返します。
そして咲は和也に「太陽」と評されて真っ赤になりました。
みんなを明るく照らす太陽のような人だと評され、赤くなって謙遜しつつも
『これから私の事を「太陽」って呼んで!』
いつぞやのひまわりの時のように舞い上がる様を
微笑ましく見守っていた弘一郎パパは小さな隕石の欠片を手にして言いました。
隕石のように星空を泳ぐ流れ星になって、もっと近くから星を見てみたいと。
そしてこの星空は星達が生きている証なのだと。
『生きている・・・証・・・?』
先ほどの可南子ママンの発言に続き、弘一郎パパの言葉も満と薫の心を揺さぶります。

『形ある者はいつか壊れる。私たちがやらなくても、この世界はいつか消えるって事?』
『だとしたら、今私たちがやろうとしていることに意味はあるの?』
満月に照らされ、風が吹き付けるリビングに佇む満と薫を気遣い、やって来た咲と舞。
あなた達に付き合っていられない、星なんか見て何が楽しいの?
そんな冷たい満と薫なのですが、大げさに驚く咲のおかげで波風は立ちません。
みんなと一緒だと星空がきれいに見えるという咲に続いて、
舞も今日の天体観測で感じた事を述べました。
『星空は星達が生きている証。まるで私たちみたい。
 顔も性格も考えている事も全然違うけど、皆一生懸命生きて輝いてる。
 私たち一人一人が星なのよ』
私たちはみんな、星空の仲間。
弘一郎パパに呼ばれて室内へと向かう咲と舞は、
家の明かりに照らされて、冒頭ダークフォールから緑の郷へと赴いた
満薫と同じ構図で光に包まれていきます。
お弁当を分けてもらった時の事みのりに懐かれた事、お礼のパンをもらった事。
咲と舞に出会ってからの日々が、満と薫の胸の内に思い起こされますが・・・

不意に浮かび上がるアクダイカーンの姿。
『何が・・・何が星空の仲間よ・・・!』
『私たちは、いつも二人でやって来た・・・』
『これからもずっと二人きり・・・』
俯き目元の映らない満、後姿の薫。
その表情は伺えませんが、迷いを振り切り、決着をつけると腹を決めました。
突風と共に借りていたマフラーが舞い上がり、
周囲の高圧線が強風に煽られてあたり一帯が停電します。
フラッピとチョッピが邪悪な気配を感じた頃、先ほどの隕石が持ち出されており、
煌々と照る満月を背に宙を舞う満と薫は隕石をウザイナーへと変貌させます。

林に現れたウザイナーに気付いた咲と舞は変身して立ち向かいますが、
無数の流星に襲われ防戦を余儀なくされます。
精霊の力で流星を防ぐものの、こぼれ弾は美翔家の近くに着弾し、
雨あられのように降ってくる流星から家族を、クラスメイトを守るべく
ウザイナーへと向かっていくブルームとイーグレット。
そんな2人を満と薫は冷ややかに見下ろしていました。
『私たちの生きる事。その唯一つの証は・・・』
『プリキュアを倒す事』
口を揃えて言い放つ2人の眼下では、ウザイナーに苦戦しているプリキュアの姿が。
ウザイナーが追い打ちの流星攻撃を仕掛けようとした時、
ブルームも、イーグレットも強い信念を持って立ち上がります。
『絶対に、行かせないわ!!』
『今日は特別な日なの。薫さんと満さんが私の家に来てくれた・・・』
『ちょっと人付き合いが下手で、変ったところもあるけど、いいところもいっぱいある!!』
『2人は私たちの・・・』
『大切な友達なのよ!』
それを聞いて顔色を変える満と薫ですが、迷いを振り払うようにウザイナーに攻撃を指示します。
ところが・・・
『絶対にみんなを・・・』
『守ってみせる!』

一瞬の静寂。
『プリキュアは・・・』
『私たちの為に戦っていると言うの?』
流星の光が満と薫の表情に複雑な変化を与える中、
ブルームとイーグレットは繋いだ手から同時に畳み掛ける攻撃で、
続くツインストリームスプラッシュで一気にウザイナーを撃退しました。
そして咲はいつものように降ってくる奇蹟の雫を受け止めます。

一方、舞の傍らには隕石の欠片が落ちてきました。
怪訝そうに隕石の欠片を拾い上げた舞が、ふと空を見上げた際、
月を背景に2人の人影が飛んでいくのが見えた気がしました。
あれは満と薫?
得体の知れない不安を抱く舞に、チョッピが、フラッピが疑問を口にします。
今回襲ってきたのはウザイナー単独で、なぜ操っている幹部がいなかったのか。
再び月に目を凝らす舞。そこには何もいません。が・・・

天体観測も終わり、美翔家を後にするクラスメイトたちと共に、満と薫も帰路に着きます。
咲は忘れていたお礼のパンを満に手渡し、無言で受け取った満は
俯いて考え事をしているような舞に借りていたマフラーを返します。
その際マフラーから木の葉がこぼれ落ち、美翔家で星を見ていたのでは
絶対に付着する筈のない木の葉に、舞の疑念は深まります。
『満!薫!またね!バイバーイ!!』
快活に手を振る咲の隣で、舞の中に疑惑のパズルのピースが組み立てられていきます。
木の葉、森に落ちてきた隕石、そして先ほどの月夜を舞う2人の人影・・・
『まさか・・・!』

ひょうたん岩に佇み、寄せる波、そして星空を見上げる満と薫。
今日一日の出来事に思いを馳せるように星空を見上げる咲。
そして言い知れぬ不安を胸に星空を見上げる舞。
それぞれが星空を見て、何を思うのか・・・


満と薫がいよいよ動き出すことになる今回は、
揺れ動く2人の心、美翔夫妻の言葉、そして疑念を抱いてしまう舞、
特にウザイナー撃退後からラストにかけての緊迫した空気は
全シリーズを通しても特筆すべき展開です。
その構成を効果的に描き出す、特徴的な「光と影」の演出も非常に優れていました。

かねてからキーポイントとなるエピソードでの「光と影」の使い方は定評があるとおり、
序盤の満と薫が教室に入ってくるワンシーンだけでも
・教室に入ってきた満と薫が、窓際で光が差している咲と舞の許へ向かって行く
・逆光がかかっている咲と舞。咲がチラシを差し出すと緊迫した空気と共に逆光が晴れる
・窓側で光の差す咲と舞の席と、廊下側で影が掛かり薄暗い満と薫の席
・その薄暗い席から、光に包まれている咲を見つめる満
まるで闇に生まれた満と薫が、光に包まれている咲と舞を羨んでいるように感じられます。

これ以外でも、天体観測後のベランダでのやりとりでは
夜の闇の中にいる満と薫、窓から漏れる光の中にいる咲と舞。
そして光の中へと向かっていく咲と舞の後姿が
ダークフォールから緑の郷へと赴く満と薫の後姿と同じ構図である事が目を惹きます。
光に向かう咲と舞の姿は満と薫の憧憬を、
光に向かう満と薫の姿は、暗黒から生まれた者でも、
光明へと至る道筋もあるという事を暗に描いているようです。
そして『プリキュアは・・・』『私たちの為に戦っていると言うの?』
と驚愕する満と薫の表情を彩る光と影の使い方は、
揺れる2人の心境を巧みに描いている優れた描写だと感じました。

薫は普段から興味を示さないように「どうでもいい」という発言を多用していますが、
今回は珍しく満も「どうでもいいわよ」という台詞を漏らします。
これは天体観測のチラシを差し出され、拍子抜けした感のある満が、暗い自席から
明るい咲の席を見て、お礼のパンを忘れてしまった事を謝る咲に対して
漏らした言葉なのですが、同じ「どうでもいい」でも満と薫で大分印象が異なると思いました。
その程度の事で謝らなくてもいいという風にも、天体観測の事とも取る事が出来ます。
直後の薫とのやりとりからは、天体観測をどうでもいい、と感じているフシも見えますが、
これは咲の気遣いに対して、自嘲気味に漏らしてしまった一言ではないでしょうか。

弘一郎パパや可南子ママンの含蓄のある語録も印象的なのですが、
今回の可南子ママンはいつもの天然ドジッ娘キャラとは片付けられないワンシーンがあります。
満と薫が殺意を持って咲と舞の背後に忍び寄った際、
可南子ママンが食器を割った事で危機が回避されたのですが、
この時の可南子ママンの行動の解釈は難しいです。
本当にうっかり食器を割ったのか、それとも満と薫の殺気に気付いていたのか。
私は後者ではないかと思います。
いくら天性のドジッぷりを持つ可南子ママンとはいえ、
障害物が何もないところで食器を落とすとは考えにくく、
仮にいつもの食器破壊だとしても、この時の可南子ママンの表情は
それでは説明がつかないと思います。
だからこそ暗に命の尊さを語るような話題を、少々こじつけっぽく出したのではないでしょうか。

満が初めて「ありがとう」という言葉を口にしたのが今回だったのも意外です。
てっきり23話だったと記憶していたもので・・・
その「ありがとう」という言葉は、マフラーを貸してくれた舞に対してのものなのですが、
この時の舞は疑惑に悩まされているとは、なんと皮肉な展開でしょうか。
疑惑を抱く前の舞は、ベランダでの満と薫に対するやりとりや、
満と薫が家を訪ねてくれた事を喜び、
そして2人の為に戦っているという気持ちを露にしていただけに
舞の心境の落差の描き方も際立っていました。

健太、仁美、優子のやりとりは緊迫した展開を和らげ、
緊迫した展開と好対照になっていると思います。
少々寒い健太のギャグを逆手にとり、凍死しそうな程震える仁美、
舞までもが凍り付いて、健太に想いを寄せる優子だけが一人拍手していたり、
健太のギャグが寒いと思うでしょ?と水を向けられた満の歯切れ悪い物言いや、
薫の『そういえば今日は少し冷えるわね・・・』というセンスも光ります。
フラッピチョッピの寸劇も楽しく、かつ愛らしく、
星空に見とれるチョッピに望遠鏡を向けて
『フラッピにはお星様より綺麗なものが見えるラピ♥』
と言ったそばからレンズに張り付くカブトムシに慌てふためき、
フラッピはカブトムシが好きだったチョピ?などと返されるやりとり等が
微笑ましいアクセントとなって緊迫するストーリーを彩っていると思いました。

次回はついに、ダークフォールの戦士としてプリキュアと相対する事となる満と薫が描かれ
スプラッシュスターシリーズはまさに佳境に入ってゆきます。
今回、次回、そして次々回と話の密度が極めて濃いために
執筆のペースが落ちて申し訳ございませんが、
難しいながらも楽しんで更新して行く所存ですので、もうしばらくお待ち下さい。
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