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スプラッシュスター第23話『ついに対決!脅威のアクダイカーン』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

―ずっと、このままでいいと思っていた―
"泉は干からび、木は枯れ果てている。
 アクダイカーン様がこうなさったのなら、これでいいのだと思っていた・・・"
"空はどこまでも暗い灰色で、光が照らすことも、風が吹くことも無い。
 でもずっと、このままでいいと思っていた・・・"
―あの二人と、出会うまでは・・・―
  
『覚悟しろ!プリキュア!』
『とどめだ!』
渾身の力で振るわれた満と薫の一撃を辛うじて避けたプリキュア。
土煙が収まらぬ中、間髪を入れずブルームに満が、イーグレットに薫が襲い掛かります。
どんなに激しく攻撃されても、決して反撃しないプリキュアに疑問をぶつける満に
友達とは戦えないと繰り返すブルーム。
その言葉を聞いて辛そうな顔を浮かべるものの、
迷いを振り切るかのように繰り出される満の回し蹴りを受け流し、
何と言っても友達と思っている。そうブルームは繰り返します。

一方のイーグレットには、これでも友達と呼べるのかと薫の攻撃が畳み掛けられます。
避けようとしてその背後の大空の木を振り返り、
躊躇したイーグレットを庇って割って入るブルーム。
そしてイーグレットもブルームに手を添え、2人の精霊の力で薫の攻撃をかき消しました。

今振るわれた薫の力を目の当たりにして、イーグレットは
かつて絶体絶命の窮地に追い込まれた際に助けてくれたのは薫達だったと確信しました。
『満たちが助けてくれたんだね。ありがとう!』
この期に及んで笑顔でお礼を言うブルームに、満と薫の心は揺れ動きます。
『違う!助けたんじゃない!勘違いするな!』
苦し紛れの反論をする満は、まるで駄々っ子のように続けます。
『言うな!お前達を倒して、全ての世界を滅ぼす!そして、永遠の滅びの世界を作る!』

『それが満さん達の望みなの?』
一歩前に出て、イーグレットは満と薫に呼びかけます。
『命の大切さを知っている薫さんたちが世界を滅ぼすなんて、望むはず無い!』
言葉に詰まる満と薫。その沈黙を破るように、薫は目を伏せたまま口にします。
『お前達を倒せば、アクダイカーン様がお喜びになる・・・
 アクダイカーン様の喜びは、私たちの喜び・・・それが私たちの運命だ!』
『じゃあどうしてそんな苦しそうな顔をしてるの?』
はっとした満が振り返ると、そこには苦悩を露にした薫が・・・

ブルームの、イーグレットの説得、いや呼びかけは続きます。
『運命は変えられるんだよ。自分の力で変えるものなの』
満から数学や英語などを教わったブルームは、今度は運命は変えられることを教えたいと、
私たちが力になると手を差し伸べますが・・・
『うるさい!嘘をつくな!』
断ち切るように振るわれようとする満の拳を止めたのは、薫でした。
『何してるの?離して!・・・離しなさい。プリキュアを倒さなきゃ・・・』
『満・・・もうやめよう・・・』
掴んでいた満の手を取り、薫は初めて本心を満に対して打ち明けます。
『確かに初めはアクダイカーン様の望みが私たちの望みだった。でも今は、
 ダークフォールの戦士として生まれた運命を、変えたい・・・』
薫の顔を見上げ、薫が目に涙を浮かべていることに満は息を飲みますが、
『無理よ・・・滅びの力で生み出された私たちに、他に何が出来るっていうの!?』
自分達にはどうにも出来ない。そんな想いをぶつけ、声を荒げる満。

悩み、迷い、苦しむ満と薫に、ブルームの、イーグレットの手が差し伸べられます。
友達として過ごした毎日は本当に楽しかったこと、
満と薫が、咲と舞に嬉しい気持ちをくれた事。
手を重ねる4人に、厚い雲を破って陽が刺しこみます。
そよ風に草は揺れ、大空の木は木漏れ日に揺れる美しい光景。

その光景に、満と薫は枯れ果てた空の泉とは大違いだと漏らすものの、
世界は滅びへと向かうのだと言う考えを捨て去る事ができません。
『生きとし生けるものは必ず息絶える。必ず無に帰すのよ。あの泉みたいに』
『私たちが何をしたところで、いまさら・・・』
そんな2人を、フラッピもチョッピもまた後押しします。
泉は奇蹟の雫で戻せる事、空の泉はとても美しい事。
そのように美しい空の泉を、一緒に元通りにして
みんなで見に行こうと呼びかけるブルームとイーグレットに、
満と薫も笑顔を浮かべました。元通りになった美しい空の泉を見てみたいと。
ところが・・・

『何を見てみたいのですか?』
美しい光景は一転して奈落の底へと叩き落されます。
響き渡る声と共に現れるのはゴーヤーン。
相変わらず慇懃無礼な態度で名乗るゴーヤーンから
プリキュア二人を庇うかのように立つ満と薫を、
ダークフォールの戦士にあるまじき行為だと断罪。
『満殿薫殿。あなた方は・・・』
見かけによらず、目にも留まらぬ速さで迫るゴーヤーンは、満と薫に言い放ちました。
『まさしく、裏切り者です』
そのまま2人の腕を掴んで闇の世界へと引きずり込みました。
懸命に後を追うブルームとイーグレット。
必死に手を伸ばす満と薫。
その手をつかんだものの、ブルームとイーグレットも共に引きずり込まれて行きました。

気がついた時、4人は闇の中にいました。
ゴーヤーンに掴まれた腕が痣になっている事で、
満と薫はゴーヤーンの秘めている力に戸惑いを隠せませんが、
そのゴーヤーンが、いつものように揉み手をしながら姿を現します。
そして、満と薫に直接申し開きをさせるという名目で、アクダイカーンも。

『あなた達は下がってて』
『お願い・・・』
今までと打って変わって、優しい口調でブルームとイーグレットを制し、
満と薫はアクダイカーンに訴えます。
滅ぼそうとしていた緑の郷の美しさを、そこで生きる者は弱く愚かでも、暖かい事を。
アクダイカーンによって生み出された事には感謝し、忠誠を誓うものの、
ただ一つの望みを聞いて欲しいと訴えます。
『どうかこの世界を、世界を滅ぼさないで下さい!』

『満、薫。・・・倒せ』
アクダイカーンにまるで話が通じていない事に顔色が変る満と薫。
わざわざご丁寧にもゴーヤーンがアクダイカーンに説明します。
お友達は倒せないそうです、と。
そして巻き添えを食わないためかゴーヤーンは身を隠し、
満と薫にはアクダイカーンの手が伸びて行き、
2人にアクダイカーンの容赦の無い制裁、迸る電撃のようなものが振るわれます。

目の前で苦悶する満と薫をなす術も無く見つめ、
倒れた2人に駆け寄ったブルームとイーグレットは、アクダイカーンに対して怒りを露にしました。
『満さんと薫さんは、あなたのために一生懸命だったわ!
 そんな二人の話を、どうして聞いてあげられないの!?』
『満も薫も一杯悩んだんだよ。考えて、苦しんで、自分達の本当の望みを見つけたんだよ!』
しかしアクダイカーンとはまるで話が噛み合いません。
全てを滅ぼす事以外の望みを持ってはならないと言い放つアクダイカーンに、
イーグレットは、ブルームは、反論と共に立ち向かいます。
『薫さんたちには心があるの!私たちと同じ、命を持って生きてるの。
 あなたの道具じゃない!私たちの、友達なんだから!』
『私たちの友達をこれ以上傷つけさせない!』

振るわれる滅びの波動を精霊の力で受け止め、
アクダイカーンを殴りつけるものの、攻撃が通じず殴った方が痛そうなのが印象的です。
ともあれ、2人の息を合わせてブルームが高く跳び上がり、
アクダイカーンの頭に蹴りを入れる様を、まるで親が攻撃されているかのように
満と薫は複雑な表情で見上げます。
そしてアクダイカーンに向けてツインストリームスプラッシュが放たれるのを目の当たりにして、
思わず目を背ける満と薫ですが・・・

まるで手ごたえが無く、ツインストリームスプラッシュは
アクダイカーンの体内へ空しく吸い込まれて行き、
まだ半分の力も出していないと豪語するアクダイカーンに弾き飛ばされる4人。
徐々に高まるアクダイカーンの滅びの力に、
ブルームも、イーグレットも立ち上がることが出来ません。
そんな中、満と薫は今までとは異なる、生命の輝きのような神々しい金色の光を放ち始め・・・
『滅びよ!』
プリキュアに猛烈な滅びの力が襲い掛かりますが・・・

『咲、舞・・・二人と友達になって、楽しかったわ・・・』
『嬉しかったり、悲しかったり、いろんな気持ちをもらった・・・』
プリキュアを襲う滅びの波動は、割って入る満と薫が身を挺して防いでいました。
『だからこれは、私たちのありがとうの気持ち・・・』
満と薫、それぞれ3個ずつ、合わせて6つの奇蹟の雫をブルームとイーグレットに差し出します。
『私たちはもう見られないけど・・・』
『空の泉をお願いね・・・』
奇蹟の雫を託した2人が慈しみに満ちた穏やかな表情で見つめる中、
ブルームとイーグレットは緑の郷へと戻されます。
危機を脱するのを満足そうに見つめる満と薫に、
直後猛烈な滅びの力が襲い掛り、2人の悲鳴が響き渡り・・・

『私たちだけ助かったって意味無いよ!』
大空の木へと戻ってきた咲は、地面を叩いて嘆き悲しみ
『お願いチョッピ!私たちをダークフォールへ・・・』
そう訴える舞は、それが叶わぬ願いだと察して
託された奇蹟の雫を握り締め、ただ涙するしかありませんでした。
『こんなのってないよ・・・友達を助けられなかった・・・』
奇蹟の雫を見つめ、そして握り締める咲の慟哭が響き渡ります。
『こんなのって、こんなのって・・・・
 嫌だよぉおおお・・・!』

 
・・・・・・orz
この展開は既に知っているにもかかわらず、重く、あまりにも重くのしかかってきます。
リアルタイムで放映した日は、日曜ながらたまたま12時から出勤だったのですが、
本当に放心状態で仕事が手につかなかった事を覚えています。
キリヤ、ダークドリーム、そしてイース様と、同世代の敵キャラクターの最期は、
達観して一礼し、静かに闇へ消えたキリヤ
「大好き」なドリームに見守られながら微笑を浮かべて消えていったダークドリーム、
唐突に訪れる死によって断末魔の苦しみも無く事切れるイース様
これらの例と比べて満と薫の最期の場面のショックが大きいのは
2人が生死不明である事と、2人の悲鳴が響き渡るからだと思います。
その直前まで穏やかな顔でブルーム、イーグレットに優しく語り掛けていただけに、
あまりにも冷たい現実の描写が空恐ろしく感じます。

アクダイカーンによる2人への制裁なども痛々しく、
そして肉体的なダメージよりも精神的に彼女達が傷を負った事は想像に難くありません。
それでも創造主としてのアクダイカーンを慕う想いが揺るぎないところが
満と薫の特異な点でもあります。
ツインストリームスプラッシュがアクダイカーンに浴びせられた際、
満と薫はアクダイカーンの名を口にして目を背けました。
そしてこれ程の仕打ちを受けていながらも、
最終盤に至るまでアクダイカーンへの忠誠を誓っています。
例えばラブと決着をつけに向かった際のイース様
おそらくこの時ラビリンス=メビウスと心の底では袂別していたと思いますし、
ドリームと共に異空間から戻ったダークドリームも、
その時点でシャドウへの拘りは伺えません。
今回の冒頭で満と薫が生み出された際の様子が描かれていますが、
2人にとって生まれて初めて見た者、初めて語りかけて来た者がアクダイカーンだったので、
「すりこみ」のような効果もあったのかもしれません。
それ故に「父」としてのアクダイカーンに抱く想いは強いのだと思います。

もっとも、アクダイカーンにとっては彼女たちが「しもべ」である事がことさら強調され、
それが「友達」であると訴える咲、舞と対照的です。
前回のレビューでも触れましたが、「友達」という言葉には
特に満が過剰に反応するのは今回も同様でした。
舞も指摘するとおり、彼女達を道具として見ているか、
友達=仲間として見ているかという事からも、
前回私が考えた「私たちはプリキュアに友達として接してもらっていた」
という薫の発言に繋がるのではないでしょうか。

ところで満と薫のどちらが姉なのか、という公式にも明らかにされていない疑問があります。
前述したように冒頭、満と薫が生み出されたと思われる場面がありますが、
この時、薫の方が若干先に生まれていました。
それだけが理由ではありませんが、ここに至るまでの2人の態度や振るまいを再見して来て、
薫の方が姉なのではないかと思わされました。
一見社交的に見える満の方が姉らしくも見えるのですが、
いざという時に感情を露にするのも満であり、薫は常に淡々としています。
前回の満の悲痛な表情、今回涙を浮かべながらも静かに運命を変えたいと願った薫、
そしてその薫に声を荒げてやるせない気持ちをぶつける満。
前回と今回だけでもそう感じさせるものがありました。

活発な咲、理知的な舞の対になるような、社交的な満と冷静な薫。
その2組の「ふたり」の距離が徐々に縮まる様を描く演出は秀逸でした。
前回も意図していたかはわかりませんが、
ダークフォールの者として現れた満と薫に対峙しているブルームとイーグレットの間には
木が立っていて画面を隔てていました。
そして今回、満と薫に語りかけ、説得しながらブルームとイーグレットは
少しずつ前に進んできており、時折横から描いた画が挿入されるのですが、
その度に2組の距離が縮まっています。
そして最後には4人が手を取り合って大空の木を見上げるという、
美しい背景とも相俟っての美しい展開は、
2人の運命を変えられる、と思わせる見事な演出でした。
それ故に、直後奈落の底に落とされた際の絶望感もひとしおなのですが・・・

満と薫の最期の力で緑の郷へと飛ばされ、
2人を助けられなかった事を嘆く咲と舞の悲しみも痛いほどに伝わってきます。
ただ、この場面の唯一の救いは、嘆き悲しむ2人を包み込む
大空の木とその周辺の景色が夕陽に照らされて美しく輝いている事だと思います。
「泣いても笑っても地球は回る」
スプラッシュスターの前期ED、"「笑うが勝ち!」でGo!"の歌詞にもあるとおり、
どんなに辛い事があっても、悲しいことがあっても、
地球は回り、自然の営みは脈々と続いている。
そしてその先には、いつかきっと幸福な結末が待っているのだと
ただ悲しいだけではなく、今回の展開を肯定的に考える事も出来るのではないでしょうか。
もっとも放映当時はショックのあまりそこまで考えを巡らすことは出来ませんでしたが・・・(笑)

私は運命論者ではありません。
本当にそんなものがあるのだとすれば、命の営みも、生きるためにあがき続けることも、
懸命に日々働く事も、全てが空しく思えてしまいます。
運命は変えられる事を肯定し続けるブルーム、イーグレットと、
運命に縛られている満と薫。
運命と思っているものを振り払い、自分の足で歩き出すためには
時に大きな障害が立ちはだかり、大きな痛みを伴うものです。
イース様がパッションとして生まれ変わるために、文字通り大きな痛みを乗り越えたように。
対になる2人の姿を通して、運命とは何なのか、生きるとは何なのか。
こうしたテーマを考えさせてくれる今シリーズは、
本当に良く作り込まれている作品だと思います。

次回は打ちひしがれた咲と舞をさらにどん底へと落とす展開が待ち受けており、
辛い話が続きますが、一服の清涼剤ともなる脳天気な敵幹部のおばさんが登場し・・・
・・・と、浴室の水が漏れているようですので、ちょっと様子を見てきます。
それではまた近いうちに・・・
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