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ハートキャッチ第23話『キュアサンシャイン誕生ですっ!!』 [ハートキャッチプリキュア]

先週の予告を見てから一週間、キュアサンシャインの登場を一日千秋の思いで過ごし、
その全貌が明らかになった今回は、期待に見事応えてくれた素晴らしいものでした。
キュアサンシャインの凛々しさ、美しさ、格好良さももちろんですが、
さつきが隠し持つ恐怖、いつきとさつきの関係、何かを守るとはどういう事か等
様々なテーマを内包し、文字通り中盤を彩る一編です。
  
前回のつづき、いつきは拾い上げたポプリの可愛さに魅せられて、
つぼみとえりかにどこで買ったのか訊ねますが、とっさにえりかは私が作ったと誤魔化します。
さすがはファッション部の部長、とっても可愛いとポプリを評するいつきの手の中で、
ポプリもまたいつきに魅せられており、相思相愛状態です。
その夜更け、つぼみを叩き起こすポプリ。
目がε、という古典的な寝ぼけ眼を披露するつぼみは、
3人目はいつきというポプリの発言で我に返り、
いつきと暮らす、と窓を開けて出て行こうとするポプリを必死に引き止めます。
その勢いでベランダのさんに体をしたたかに打ちつけ、
騒ぎを聞いて隣のえりかやシプレ、コフレも起きてきました。
えりか達も3人目がいつきと聞いて驚きますが、
シプレとコフレはポプリに好みで決めるのではないと釘を刺します。
しかしポプリは聞き入れず、つぼみの手を振り払って飛んで行ってしまいました。

ポプリはあのまま一晩中騒ぎ続けたらしく、すっかり寝不足気味のつぼみとえりかは
真相を確かめるべく明堂院家の前に張り込んでいつきを待ちます。
そして門から出て来たいつきの後を尾けますが、いつきはどこか元気がありません。
ウエスターさんのように花になりすまして後を追う2人は、
いつきがプリキュアであるかを確かめるために
「心の大樹とキュアムーンライトの夢」を見たか質問する事を思い立ち、
ポプリに急かされますが、いつきが向かった先が病院だと知りました。

入院中のさつきの病室は、カーテンの隙間から一筋だけ光が差し込んでいる薄暗い部屋でした。
何かに怯え、悩んでいるようなさつき。そこにいつきが見舞いにやって来ます。
フルーツバスケットを置き、部屋の沈滞した空気と沈んでいる兄を紛らわすため
カーテンを開けようとするいつきでしたが、それを制するさつき。
まぶしいから。そう弁明するさつきの言葉は歯切れ悪く、兄妹の間に重い空気が流れます。

廊下の長椅子の上で文字通り身をくねらせ、兄にしてあげられる事は無いのか悩むいつきは、
そのあられもない姿をつぼみとえりかに見られていると気付き、
いつものクールな生徒会長としての姿を演じて取り繕います。
つぼみとえりかは先ほどいつきの母、つばきさんにさつきが手術を控えていること、
成功すれば元気に動けるようになるという事情を聞いていました。
しかしいつきは兄の様子がおかしい事を心配しています。
自分の病が辛くてもいつも笑っている、そんな人だったのに・・・
いつきは幼少の頃に兄に励まされた日の事を思い出しました。
稽古が辛いのでしょうか、泣きじゃくるいつきの手を引いて
池のほとりへやって来たさつきは、太陽に向かって大きく伸びをするよう促します。
『どうだい?お日様の光を浴びて元気になったろう?』
『うん!』
幼いいつきは、その日の太陽と兄の姿をはっきりと覚えていました。
その兄が手術を前に悩み苦しんでいる事で、いつきは守ってあげたいと改めて決意を固めます。
結局つぼみとえりかは、いつきに夢の事を聞くことができず、ポプリに責め立てられました。

そしてその夜、さつきは暗い病室で手術室の光景を思い描き、恐怖を募らせていました。

翌朝、さつきのお見舞いに行こうとするつぼみと共に
スネて箪笥に篭っているポプリを引っ張り出そうとするシプレですが、
そこにはダミーのぬいぐるみが入っており、まんまと一杯食わされた2人。
その頃シプレは病院前でいつきにアプローチしていました。
『はじめまして、ポプリでしゅ』
『かわいい・・・いや、ぬいぐるみが歩いて喋って・・・いや、そうじゃなくて
 は、はじめまして。明堂院いつきです』
可愛いものに目を奪われ、ぬいぐるみが動くという現象に不審を抱き、
それを打ち消してとりあえず挨拶、というあたり律儀ないつきの性格が垣間見られます。
プリキュアの妖精と名乗るポプリにプリキュアになって欲しいと請われたいつきは、
かつて見たブロッサムとマリンを思い出し、僕もあんな可愛い格好を・・・
とまんざらでもなさそうですが、「心の大樹を守る」と言う使命を聞いて我に返りました。
「守る」
いつきはプリキュアの資格が無いと辞退します。
『僕には守りたいものがたくさんある。
 精一杯頑張ってきたつもりだったけど、僕には何かを守る力なんて無いのかもしれない・・・』
そこにつぼみとえりかが到着し、いつきのお腹に隠れるポプリ。
つぼみとえりかはいつきに花束を渡しますが、
空を厚い雲が覆いはじめ、辺りが薄暗くなりました。

病室のさつきは、手術の日が近い事を畏れ、荒い息を漏らしています。
そんな折、いつきが差し入れてくれたフルーツバスケットを見て、
あの太陽の事を思い出したのでしょうか。カーテンを開けて陽の光を拝もうとしますが、
空は無情にも暗い灰色です。
失望し、一気に心の花が弱ったところをサソリーナに目をつけられ、
サソリーナの言葉を振り払うように耳を塞ぐさつき。
その病室に潜り込んだサソリーナは誘惑するように、しかし恐ろしく立ちはだかります。
『私が楽にしてあげるわ・・・』

いつき達が病室を訪れた時、窓は割れ、吹き込む風にカーテンが揺れていました。
もぬけの殻のベッドから転げ落ちる球にさつきが収まっている事に気付くいつき。
病院の外には車椅子のデザトリアンが姿を現し、
つぼみとえりかはいつきを残して外へ向かいます。
残されたいつきもポプリに促されてその後を追いました。
いつもの河川敷で東屋を破壊する等暴れまわるデザトリアンを前に、
つぼみとえりかは変身しました。追ってきたいつきが見ている事に気が付かず・・・
『プリキュア・・・あの2人が?』

ブロッサム、マリンと対峙するデザトリアンとの間に流れる、一瞬の静かな緊張。
先に仕掛けてくるのはデザトリアンです。
大きな図体に似合わず素早い動き、かつ強烈な攻撃で、2人の攻撃を受け止めて
身をかわすその動きに、いつきは明堂院流を感じ、デザトリアンがさつきだと確信します。
『このデザトリアン、めちゃめちゃ強いよ・・・!』
手を焼くマリンを前に、デザトリアンはいつも通り心情を吐露し始めました。
手術が怖い。みんなが喜んでいるのに今更怖いなんて言えない。
『妹は僕のために頑張ってくれている。手術を怖がる情けない姿なんか妹に見せたくない!』
その悩みと苛立ちをぶつけるかのようにプリキュアに掴みかかり、
熱を帯びた掌で責めつけた後、地面に叩きつけるデザトリアンは、
もう自由で手術しなくてもいいと叫び、喜びを体で表しています。

『お兄様は、人を傷つけて喜ぶはずが無い!』
兄の悩みを聞き、叩きつけられたプリキュアの元に駆けつけるいつきは、
デザトリアンを煽るサソリーナに言い放ち、そしてデザトリアンに向けて訴えます。
『優しい心を取り戻してください!』
しかし心を取り戻すことは無く、妹さえも手に掛けようとするその目を見て愕然とするいつきに
デザトリアンの拳が振るわれますが、その拳はポプリが身を挺して防護壁を張って防ぎます。
ポプリも一緒に、プリキュアを、心の大樹を、いつきを守りたいという気持ちを強く持っている事。
守る力が足りなくても、一杯頑張って皆を守りたい事。
小さなポプリの決意を聞き、いつきは優しく抱きしめます。

ブロッサムの傍らにシプレ、マリンの傍にコフレ、
そして第3の妖精がいる事に気付いて大手柄だと喜ぶサソリーナは、
ポプリを庇ういつきに髪攻撃を仕掛けて奪い取ろうとします。
ポプリを守るものの武道の達人とはいえ、いつきは普通の人間です。
善戦空しく奪い取られそうになりますが、それでもサソリーナの手を振り払って宣言しました。
『ポプリは渡さない!力が無くたって、守ってみせる!
 ポプリも、お兄様も・・・僕は大切なみんなを守ってみせる!』
するといつきの強い心にポプリが反応し、光と共に変身アイテム、
シャイニーパフュームが飛び出しました。
『・・・行くよ、ポプリ!』

徐々に第3のプリキュアの姿が明らかになり、変身完了と共に厚い雲が払われ、
太陽の中から差し込む陽光と共に地に降り立つ、いつきが変身したプリキュア。
その姿にブロッサムも、マリンも、シプレコフレも、そして本人も(笑)見とれます。
『これが・・・私・・・?』
かつてブロッサムマリンが行ったように、名前を決めるよう促され
明るく照りつける太陽を見上げます。
『私・・・私は、そう・・・出来るなら、太陽のような!』
サソリーナは金色なんて目立ちすぎだと自分が黄色いイメージなのを棚に上げて敵意を燃やし、
デザトリアンをけしかけますが、元々武道の心得があるだけに、
いつきが変身したプリキュアは圧倒的な強さを見せ付けました。
空を切って反動キックを畳みかけ、水面を滑るように移動しながら攻撃しつつ、
建物の上に着地する戦いぶりは、強いだけでなく優雅さも感じさせる、
「王者の風格」いつきに相応しいものです。
『お兄様の心の光は私が取り戻します。
 そして願わくば、太陽のようにみんなの心を見守る光になりたい。私の名前は・・・』
襲い掛かるデザトリアンの攻撃を防護壁で受け止め、跳ね飛ばす
まさに攻守両面に優れたプリキュアとして兄を救うべく、そしてみんなのために
高らかにその名が宣言されました。
『陽の光浴びる一輪の花!キュアサンシャイン!』


聞くところによるとサンシャインの変身バンクに5,000枚もの絵を費やしたと言われていますが、
それも納得する見事な出来栄えで、本日この時間までに何度変身バンクを、
そしてその後の戦いっぷりを見返したことでしょう(苦笑)
ポプリを抱きしめて頬ずりした後、長く伸びた髪を翻してプリキュアの種を構える凛々しい顔つき、
軽やかにパフュームを持ち替える動作、プリキュアの衣装に身を包んだ後に見せる笑顔、
それに続けての演武のような動きから着地に至るまで
流れるような変身シーンにすっかりハートキャッチされてしまいました。
いつきは元々美形だと思いますが、男装ゆえの宝塚的な格好良さを見せているため、
変身時の髪が長く伸びたいつきは普段と異なる印象を与え、
「可愛い」ではなく「美人」だと認識させられます。
この点もルミナス、レモネード、パインと続く黄色の系譜と比べて異質で、
「可愛い」というイメージを抱きやすい黄色で「美しい」キャラクターを
違和感無く生み出した作り手の皆様に最大級の賛辞を贈りたいものです。

歴代のプリキュア達は変身前と比較して、
変身後は口調や声のトーンが勇ましくなる傾向がありますが、
サンシャインは逆に変身後に口調と声のトーンが女性的になり、
一人称も「僕」から「私」になるのも面白いです。
普段のいつきは男装しており、サンシャインのあの姿ならば女性らしいのも当然ですが、
これは本来のいつきとしての姿が出ているのかもしれないと思いました。
それにしてもサンシャインは「一輪の花」じゃない(苦笑)と思いますが、
そこに突っ込んではマリンも同様になってしまいますね。
せっかくならヒマワリの英語名、「キュアサンフラワー」でも良かったかもしれませんが・・・

そしてサンシャインは強い強い(笑)
キュアパッションやミルキィローズの前例からして、
追加戦士が最初に見せる圧倒的な強さは今シリーズでも如何無く発揮されました。
今までもなぎさ、咲、りんちゃんと変身前の状態で運動神経に秀でた者は居ましたが、
武道の心得を持っているのは意外にもいつきが初で、この点においても頼りになりそうです。
今後明らかになるのか、新たな技にも大いに期待です。

サンシャインの魅力ばかりで延々と書けてしまいそうなので、
この辺で自重してストーリーに目を向けてみたいと思います。
今回サソリーナにつけこまれたさつきの悩み「手術が怖い」を知った時、
はじめは昨年の千香ちゃんじゃあるまいし、いい年したしかも武の道を歩む思慮深い兄が
何を言っているのか、と否定的に感じてしまいました。
しかし、それをさつき本人も解っており、みっともないと思いつつ、
周りも病気の回復を喜んでくれるというのに手術が怖いなどと言えない。
手術が怖いのではなく、周りの期待に反している情けない自分を知られるのが
怖いのだと受け止めました。
人は現状を維持していく事に強い安心感を覚えるもので、大きな変化には抵抗があるものです。
手術そのものよりも、手術の後に続く新たな生活に不安を覚えても不思議ではありません。
たとえ闘病生活が続いたとしても、その現状を大きく変える手術を受け入れるくらいなら
ずっとこのままでいい。変る痛みを受けるなら、変らない方がいい。
さつきの抱えた悩みは、そこだったのかもしれません。

そんな兄の悩みは妹であっても理解することは難しいと思います。
呼びかけるいつきに向けるデザトリアンの冷酷な目と、いつきの声に耳を貸さない姿に、
さつきの心の深い闇を感じてしまったのは深読みしすぎでしょうか。
この時のいつきが見せる愕然とした様子から、
いつきも兄の持つ何かを感じ取ってしまったと思いました。
今まではどこか愛嬌のあるデザインだったデザトリアンも、さつきの心の闇を象徴するように
今回はまるで愛嬌を感じさせず、顔つきも恐ろしく描かれている気がします。
どんなに中睦まじい夫婦や家族でも、人間である以上完全に相手を理解する事はできません。
しかし、完全に理解できなくても、守る事、手を差し伸べることは出来ます。
いつき=サンシャインは武道家として、武道家の兄に対して拳で何かを伝えようとしている。
あの戦いぶりからは、そんな印象も受けました。

ところで、随所にある小ネタも楽しめます。寝ぼけ眼のε表現を見たのは久々ですし、
お腹にポプリを隠して妊婦に誤解されかねないいつきは
時間帯的に大丈夫か?と別の心配をしてしまいました。
今回はイース様と決別し、せつなが桃園家の一員として生きる事を選んでから1年です。
デザトリアンが「イース!」と叫んでいるのはそのためでしょう(椅子だからだよ)
いつきが漏らす「精一杯頑張ってきたけど」という台詞もオマージュかもしれません。
(・・・深読みしすぎですね)

次回はいきなりサンシャインの前にダーク様が立ちはだかるようで、
初登場補正を打ち消す強さを持つだけにサンシャインが早速弱体化しないか少々心配ですが、
オープニングで描かれているのに音沙汰の無かった「マント」が登場する等、
新たな展開に大いに期待したいと思います。
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