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スプラッシュスター第35話『いざ決勝!ファイトだ凪中ソフト部!』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

残念ながら日中は仕事のために観る事ができませんが、
今ちょうど、甲子園球場では球児たちの熱戦が繰り広げられています。
日本全国数千の参加校の中で、優勝できるのは毎年1校だけ。
その影には数千校から優勝した1校を除いた数だけのチームが悔し涙を流すものです。
初戦敗退の常連だった夕凪ソフト部は、努力の末ついに決勝へと駒を進めますが・・・
文字通りチームの要となる泉田キャプテンに、優勝をプレゼントしたい咲。
3年生の最後の試合は有終の美で飾れるのか?
プリキュア史上でも特筆すべき感動作。青春スポ根巨編(笑)です。
  
地区大会の決勝戦を明日に控え、凪中ソフト部の練習も力が入ります。
決勝の相手は強豪・大波。だからこそ今までやってきたことを全部出し切れば、
結果は絶対ついてくるという泉田キャプテンの訓示で最後の練習を終えます。
泉田キャプテン他の3年生を見て、絶対に優勝すると決意を固める咲。
舞もまた、グラウンド脇に転がるこぼれ球を拾い上げて、
毎日すごく頑張っている凪中ソフト部を見守りました。

こちらはゴーヤーンの嫌味をものともせず、筋トレに余念が無いキントレスキー。
言い訳はせず敗北は素直に認めるとの潔さを見せ、再び筋トレに励むキントレスキーに
ゴーヤーンはいくら鍛えても負けたら何の意味も無い、と皮肉を交えて返し、
『当然だ!勝つため以外の努力は全て無駄だ!』
キントレスキーもまた、同じ考えを持って体を鍛え続けます。

りんちゃん、ナッツ、ブッキー健太、宮迫、加代ちゃんをはじめ
夕凪中の面々が応援に駆けつけるスタンドに、遅れて舞も到着。
チョッピたちに応援のポンポンを出してあげて、みんなで応援体勢を整えます。
そして健太の隣には威圧感を漂わせる男が座りました。
言うまでも無くキントレスキー。彼もなぜか観戦する中で、プレイボールです。

夕凪中の後攻で、マウンドに上がる咲。
『先輩達との最後の試合。絶対に、勝つ!』
球威はあるものの力みすぎたのか、ボールはど真ん中。
いきなりの初球打ちで開始早々出塁を許します。
『咲、ドンマイ。ボールは絶好調だよ』
サードから声を掛ける泉田キャプテンを申し訳無さそうに振り返る咲は内心動揺を隠せず、
続く打者にもショート前内野安打を許し、早くも無死1塁2塁のピンチを迎えます。
焦った咲は次のバッターのバントに意表を突かれ、
泉田キャプテンが捕球に向かっているにもかかわらず
自分で捕ろうとして泉田キャプテンと衝突。
その間にも2塁ランナーはホームへ向かい、
慌てて送球した咲の球はホームベースを大きく外れ、先制点を許します。

頭を下げて謝る咲を、泉田キャプテンはまだ一点取られただけだと励まします。
続くバッターの打球はサードへの鋭いライナーとなりますが、
泉田キャプテンが見事キャッチして1アウト、
そのまま飛び出していたランナーにタッチして2アウト、
そして素早く送球してもう1人のランナーを刺し、見事なトリプルプレイ、
瞬時にして3アウトを奪いました。
スタンドで観戦しているキントレスキーも、そのプレイもさることながら
チームのやる気も回復させた事を高く評価します。

チーム夕凪の攻撃は、1番打者の泉田キャプテンから。
『まだまだ勝負はこれからだ。今までの練習を思い出せ。
 私達の力はこんなもんじゃないだろう?』
打席に向かう際、浮かない咲の肩に手を乗せて励まします。
その泉田キャプテンには、去年の地区予選でのエラーが原因で動揺し、
全力を出し切れず悔やんでも悔やみきれない完敗を喫した苦い思い出がありました。
その悔しさをバネにがんばってきた事を知る篠原先生は、
『精一杯頑張ったという自信があれば、どんな辛い状況でも乗り越えられる。
 自分を信じて全力を出し切ることが出来る。
 そんな泉田と一緒に練習してきたんだろう?』
泉田キャプテンの事を引き合いに出し、それとなく咲も励ましました。
ネバーギブアップ。あの時の言葉と共に・・・

しかし泉田キャプテンも、続く打者も凡退。
そして咲のピッチングも相手チームに点を与えず、
スコアボードに0が並ぶホームが遠い展開になりました。
そして迎えた7回表、相手の最後の攻撃です。
2アウトで迎えた相手打者の打球は咲の頭上を越えそうですが、
咲自らジャンピングキャッチで捕球し、チーム夕凪は失点を1に抑えきりました。

7回裏、最終回の攻撃を前に円陣を組むチーム夕凪。
泉田キャプテンは相手の強さを認めた上で、それに負けないくらい
厳しい練習をこなして来たとみんなを鼓舞し、2点入れて逆転サヨナラだ!と
いいムードに盛り上げた後、咲に締めを任せます。
咲の音頭で気合いを入れ、逆転の気運が高まる中、
最終回は1番打者の泉田キャプテンからという好打順で迎えます。
相手投手の球威に衰えは見えませんが、泉田キャプテンも気持ちは負けておらず、
第2球を捉えてヒットを打ち、逆転のランナーとして出塁しました。
しかし、続く2番、3番打者と立て続けに打ち取られ、
2アウトで迎えるバッターは4番、咲。

あと一人、と気を引き締める相手投手に負けじと、絶対に打つ、と咲も心に決めます。
2ストライクに追い込まれ最後の一球。
咲の打球はセンター方向へと、高く、高く上がります。
懸命に、夢中で走る咲。その周りからは一切の音が消え、
無我夢中で1塁を踏んで2塁へ向かって走る、走る、その足が、止まりました。
咲の前には、センター方向を見上げて足を止めている泉田キャプテンの姿が。
そう、残念ながら咲の打球はセンターのグラブに収まり、惜しくもセンターフライ。
泉田キャプテンたち3年生の夕凪中ソフト部としての活動は、終わりました。

『先輩達の最後の試合だったのに・・・勝てなかった・・・』
うなだれる咲に、泉田キャプテンが声を掛けて整列を促します。
その顔は晴れやかで、清々しさに満ちていました。
『やったね私達。今まで一回戦負けだった地区大会で、私達が準優勝だよ!
 こんなに嬉しいことってないじゃない!
 確かに少し残念だけど、この最後の試合でチームみんなが
 全力を出し切って戦えたことが何より嬉しい』
泉田キャプテンは涙を堪えているようにも見えますが、しかし笑顔で語ります。
『ありがとう、咲』
今までで一番良い試合ができたのは咲のおかげと言わんばかりにお礼を言うキャプテンは、
潤んだ目を向けて言葉に詰まる咲に、来年の事を託しました。
試合が終わり、互いの健闘を讃えあう姿に惜しみない拍手を送る観客たち。
優勝出来なかったのは残念で、涙を流す部員達もおりますが、実にいい試合でした。
でも、咲は・・・

夕陽に照らされる無人の球場。
一人ベンチに残る咲の傍らを訪ね、舞は静かに隣に座り、優しく語り掛けました。
『試合に勝つことは大事だと思う。でも今日、それだけじゃないって思ったの。
 咲やみんなが毎日頑張ってるのを知ってるから、
 だから私、凄く感動したの。私は、それは・・・』
『わかってる!』
舞の言葉を途中で遮る咲。咲も舞が言いたい事はわかっているのでしょう。
それでも、先輩達に優勝して欲しかったと涙を流し、
嗚咽を漏らす咲を、舞は言葉を掛けるでもなく、静かに見守ります。

『ぬるい!』
美しい流れを唐突に断ち切るのはマウンドに立つキントレスキー。
咲と舞の会話を立ち聞きした事をまずは謝る律儀さを見せるものの、
勝負に負けては何の意味もないと切り捨て、私もお前達に勝つ、と照明をウザイナー化。
『勝つ事よりも全力でやる事が大事などと抜かす貴様のチームメイトにも呆れるわ!』
その発言に色を失う咲。
自分を貶されるよりも、先輩やチームのみんなを悪く言うのは絶対に許さないと、
今回はブルームとイーグレットに変身します。

照明がベースなのですが、なぜか液体金属のようなウザイナーの攻撃を
上空へと高く跳んで避けるイーグレット。
しかしブルームは掴み取られ、イーグレットは上空で方向転換し、
ウザイナーの手からブルームを取り戻します。
間髪を入れず2人の間に降り注ぐ液体金属の流れをやり過ごすものの、
その直後襲い掛かる本体によって地に叩きつけられる2人。
倒れ伏す2人にキントレスキーは勝つ事より大切なものなど存在しないと言い切りますが、
ブルームは勝つ事の大切さを認めた上で、
勝つ事よりも大切なのはチームのみんなと一つになって、
大きな目標に向かって一生懸命頑張る事だと反論します。
キントレスキーは激昂し、(ウザイナーによる)トレーニングは終わりだと本人が突進。
すかさず2人はムープとフープの月と風の力を受け、
スパイラルハートスプラッシュを放ちます。受け止めたキントレスキーは
予想を上回るその威力に嘆息し、身をかわすとスパイラルハートスプラッシュは
その後ろのウザイナーを直撃。
キントレスキーも言い訳をせず、潔く負けを認めて撤退していきました。

球場の外で待つみんなの下へ走る咲は、もう泣いていません。
バスに乗って帰ろうとするソフト部員たちに、
来年こそ絶対優勝するべく学校までランニングを申し出ます。
結構遠いという声も上がりますが、
泉田キャプテンが応じて結局みんな笑顔で学校まで走っていきました。
『どうして笑ってるムプ?』
舞の手の内でムープが不思議に思うほど、生き生きとした顔で走るソフト部員たち。
咲がキャプテンとなる来年に期待を抱かせ、
凪中ソフト部のエピソードはひとまず今回で終了となります。


初見でこの話を観たとき、予想を覆す「負ける」展開が衝撃的かつ印象的でした。
普通なら咲の打球はセンターの頭上を越えてサヨナラホームラン。
もしくは必死にホームを目指して走る咲とセンターのバックホームによる
ホームベース上のクロスプレーの末、サヨナラ勝ち、という流れになりそうです。
その常識を破る「負ける」展開からは、「勝つ」事によって描かれる話とは異なる深さを感じます。
最終的に優勝で締めくくったベローネ学院ラクロス部の展開ももちろん清々しいのですが、
同じことを繰り返すのではなく、違う切り口で違うテーマを語る展開と、
その結果描かれた感動的な展開を、私としては最大限評価したいと思います。

私が小学生の頃放映していた、「プロゴルファー猿」で印象的な台詞がありました。
これまで向かうところ敵なしだった猿が、黄金仮面という相手に敗れた際、
その黄金仮面が猿にかけた言葉は
「勝った試合からは特に得るものは少ないが、負けた試合からは多くの事を学ぶ」
という内容のものでした。もう20年以上前に観たものなのに
この言葉はいまだに覚えている程印象に残る台詞です。
咲も試合に勝つことが全てではないと、頭では解っているのでしょう。
しかし先輩達の最後の試合に花を持たせたいという気持ちや、
初回のミスが招いた失点が致命的だったことが尾を引いて敗れてしまったことに
とめどなく流れる涙を抑えることができませんでした。
それでも負けた経験からは、多くの事を学んだ筈です。
1年前の泉田キャプテンも、悔いの残る負け方をした事がバネとなり、
それを糧にしてチームを準優勝まで持って来たました。
そして今回の咲も、この時流した悔し涙があったからこそ、
SS最終回での最後の感動の場面へと繋がっています。

今回が3回目の登場となる泉田キャプテンは、
今までの2回がさほど目立たなかっただけに群を抜いた存在感を示します。
キャプテンとしての頼れる姿だけでなく、その精悍な美貌や、
和也の通う清海高校(県内有数の進学校)へ進学している事から成績も良いと思われ、
まさに文武両道、才色兼備を地で行く魅力的な先輩キャラクターでした。
自分達が成し遂げられなかった優勝を咲に託す泉田キャプテンからは
自分達がやれる事はやり尽くしたという充足感と、
自分達が越えられなかった壁を越えて欲しいという願いが込められ、
先輩から後輩へと、バトンは確かに受け継がれています。
次の世代にバトンを渡す。これは簡単な様で結構難しいものです。
どうしても自分達の世代に誇りを持つが故に、
後輩を素直に評価できないという先輩は大勢いる筈です。
泉田キャプテンも優勝したかった事は間違いなく、
負けた事を残念に思う気持ちも当然あるでしょう。
笑顔でありながら、ともすれば涙をこらえているかのように見える表情や、
ところどころ震えそうになる声からは、そんな心境も伺えますが、
きっぱりと自分達の未練を断ち切って咲に託した泉田キャプテンの態度は
なんと清々しく、輝いて見えることでしょうか。

先日発売された「オールスターズDX2」のBDに収められた初日舞台挨拶で、
先輩達から受け継いだバトンを一生懸命繋いで頑張りたいとおっしゃった水沢さん。
どんどんと繋がるプリキュアシリーズのバトンを改めて感じ、
自分達も先輩から受け継いだバトンを渡せているのかと思いを馳せた三瓶さん。
キュアマリンとキュアドリームのお二方がまさにこのバトンの事を話題にしておりました。
なぎさとほのかから受け継いだバトンは今私が再見している咲と舞が受けて
次の5シリーズに受け継がれ、先述のドリームたちが繋いだバトンは
フレッシュ組を経て現ハートキャッチへ。
主人公は変れどもプリキュアを感じ取る事ができるのは、
脈々と流れる基本のテーマは揺るぎなく、戦いを通して
少女達の成長をしっかりと描いているからです。
それはソフト部のチームのカラー、学校のカラーも同様で、
泉田キャプテン達の想いは咲達を経て、また下級生に受け継がれていく事でしょう。

咲と泉田キャプテンを中心に長々と綴ってしまいましたが、
一人球場に残る咲のそばにそっと寄り添う舞も印象深いです。
多くを語るのではなく、こんな時に出来るのはそっと見守るだけ。
まるで長年連れ添った夫婦のような(笑)関係を見せつけ、
今週のハートキャッチでのいつきに対するなおみとはまた異なる
良い意味でのラブラブっぷりを堪能することが出来ました。
そしてこれもSS最終回でも再び描かれており、
こうした2人の一年間を見続けたからこそあの最終回の感動を噛み締められる
のだと思います。

作中は秋です。スポーツの秋に続けて、次回は芸術の秋
学園祭のモニュメント作りに頭を悩ます舞を励ます咲、と今回と逆の構図が描かれ、
現時点では歴代唯一の後編にわたって描かれる文化祭を彩る展開となります。
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