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スプラッシュスター第36話『何作る?舞の悩みと文化祭』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

周囲からは満場一致、疑う余地なく選ばれても、
当の本人にとっては大きなプレッシャーになり得る事があります。
自分の描きたいものを、描きたいように描くのとは異なり、
与えられたテーマに沿って学校中が注目するものを作り上げる。
多大なプレッシャーに悩む舞を、前回とは逆に励ます側に回る咲、
そして妙に含蓄のあるキントレスキーの迷台詞の数々と、
2回に渡って展開する文化祭の、準備編となるエピソードです。
  
毎年文化祭のモニュメントを作成している美術部では、
今年のデザイン担当に満場一致で舞を選任します。
モニュメントのテーマは「あしたへジャンプ」
従来3年生が行ってきたデザインを、2年生にして抜擢された舞ですが、
周囲の盛り上がりとは裏腹にその表情は少々優れません。
自分にそんな大役が出来るか不安を覚えているのがその理由ですが、
翌朝登校時にその事を打ち明けられた咲は、舞なら大丈夫だと太鼓判を押します。

クラス毎の出し物はホラーハウスに決定し、
ここで宮迫はクラス委員として動議を出しました。
号令すら覚束なかった事を思うと、本当に彼も成長したものです)
舞がモニュメントのデザイン担当に選ばれたことをクラス全員に伝え、
そちらに専念できるよう配慮してホラーハウスから外れてもらうとの提案は、
彼ならではの気配りが感じられ、クラス全員も舞を応援するためその提案を支持しますが、
舞本人はプレッシャーからか、はたまたクラスみんなで作り上げる作業に
参加できない負い目か、複雑そうな顔を浮かべます。

咲たち女子はパンプキンヘッドや「フランケンシュタインの怪物」の
かぶりものといった小道具を悪戦苦闘しながらも手分けして作っていきます。
男子は体育館で大道具作りに精を出し、健太は海の家の修理などで手馴れており、
こういった作業はお手のものと言った感じです。
漫才のネタあわせをするために宮迫を探す健太。
宮迫は傍らの棺おけの中で作業しており、先ほどついた赤いペンキが血のようで
おもわずビビる怖いものに弱いりんちゃん健太。
ともかく、そのおかげでネタが浮かんだようで、
ドラキュラが青い血を飲んだ。あーおい(以下あまりにベタかつ寒いため略)

クラスのみんながホラーハウスの準備に励む中、
一人ベランダでスケッチブックと向き合う舞。スケッチブックはまだ真っ白です。
『自由に描いてた時はこんな事なかったのに・・・』
思わずボヤいてしまう舞に、咲は先日の試合での事
決勝だと意識しすぎて立ち上がりでいきなり打たれたり、
普段どおりに投げられなかった事を引き合いに出して励ましますが、
舞は早くデザインを仕上げないと美術部のみんなが作業を始められなくなり、
ホラーハウスの手伝いもできないと、どんどん自分を追い込んでしまいます。
あと一週間しかない。焦りが見える舞を、咲はポジティブに後押ししました。
まだ一週間もある、と。とにかく舞なら大丈夫。
舞の肩に手を回して励ます咲からは、何ともいえない頼もしさが感じられます。

一方ダークフォールでは・・・
キントレスキーに対して鷹揚に構えていたアクダイカーンも流石に声を荒げます。
『プリキュアとの手合わせが思いの他楽しい為・・・』
と思わず言い掛けて訂正し、手ごわいため手間取っていると弁明するキントレスキーに
アクダイカーンは暗に作戦を立てて臨むよう促しました。
作戦を立てて臨む事はやり方に反すると感じつつも、
律義者のキントレスキーはアクダイカーンの顔を立てるため、了承します。

自室でスケッチブックに向かう舞は、苦闘していました。
深夜まで描き続け、描いたラフ画を消し、一人悩む舞。
秋の夜長は更けて行きます。

翌朝07:10という朝早くから健太と宮迫が漫才のネタ合わせをしていると、
(放課後はホラーハウスの準備があるため朝やるしかない、との事)
朝早く登校してくる舞に気が着きました。
声を掛ける健太と宮迫に対し、舞はすっかり上の空で周りが見えていません。
その後登校した咲に、舞の様子がおかしいと耳打ちする健太。
相当のプレッシャーを感じていることを咲に指摘します。

『何をそんなに悩んでおる~』
ベランダでスケッチブックと向き合う舞に掛けられる声。
舞がそちらを振り向くと、製作途中のパンプキンヘッドを被った咲がいました。
『そんなに頑張らなくても良いではないか。
 学校の為とか、みんなの代表だとかどうでもいい。もっと楽しむが良い!』

ここで咲は素の口調に戻り、舞の絵の魅力は舞が楽しんで描いたと想像できるところで、
とにかく楽しんでやってみるよう不器用ながらアドバイスします。
咲の心遣いに思わず涙ぐむ舞は、涙を拭ってお礼を言いました。
もう大丈夫。そう口にする舞は、自信を取り戻したようにも見えます。
安心したのか、パンプキンヘッドを被っておちゃらける咲。
ところがそのやり取りを、屋根の上で避雷針につかまり、
ダンベルを片手に見守るキントレスキーの姿が・・・

夕陽の差し込む部屋で、ベッドに伏して舞は自問していました。
『自分が、一番楽しいと思える瞬間。気持ちが浮き立つ瞬間・・・』
そして、何かを閃いた舞は飛び起き、スケッチブックに向かいます。
一心不乱にペンを走らせる舞。
夕飯を告げに来た和也が呼びかけても反応が無いほど夢中に描き進め、
そんな妹の邪魔をしないよう、兄はそっと扉を閉めました。そっと、頑張れと口にして。

翌日、舞はついに出来上がったスケッチをみんなに披露します。
中央でハート型に手を繋ぎ、飛び立とうとする2人の周りをみんなが囲むという構図は、
一人よりも手を繋いで、みんな一緒の方が高く跳べるという
舞の考えが図案化されたものでした。
美術部も早速スケッチを元にして設計図を作り、製作作業へと進みます。
そしてホラーハウスの準備も着々と進み、
学校中が文化祭の準備で忙しくも活気が溢れています。
その様子を物陰で、窓の外で、屋上で、いちいちダンベルを片手に見守るキントレスキー。
モニュメント製作をしている舞と、パンプキンヘッドを仕上げている咲を見て、
なにか作戦を考え付いたようですが・・・

一人残ってモニュメント作りを続けようとする舞の背後に、
草むらをかき分けてパンプキンヘッドのかぶりものが姿を現しました。
咲?と舞が疑問に思うのも束の間、案の定それはかぶりものを被ったキントレスキーです。
『こんな格好をしたくてした訳ではない・・・これで作戦を立てるという義理は果たした』
少し照れているようにも見え、妙に言い訳がましいキントレスキー。
パンプキンヘッドを振り回しながら咲を呼んで変身するよう舞に促しますが、
その際手を滑らせてパンプキンヘッドが製作中のモニュメントの骨組みにぶつかり、
せっかく作った骨組みが曲がってしまいました。
『これは失敬』
非は即座に、素直に認めるあたり、さすが紳士的な彼らしいのですが、
そこに駆けつけた咲と共に舞はキントレスキーを非難します。
『壊してしまった事は素直に謝ろう。だから私は作戦なんて物が嫌いなのだ・・・
 大体ロクな事にならない。だがそんなものはどうでもいい!』
変身を促すキントレスキーに、2人はどうでもよくないと反論します。
みんなで力を合わせて作ったものを壊された怒りのまま、ブライトとウィンディに変身。

例によってキントレスキーは自ら戦おうとする前に、
プリキュア2人のウォーミングアップのために工具をウザイナー化します。
ウザイナーの攻撃によって学校の裏手の林まで飛ばされた2人を、
木を切り倒しながら追うウザイナー。
手を繋いで精霊の壁を作り、倒木を防ぐ2人ですが、その重さに壁は軋み
ウザイナーは追い打ちを掛けるようにその上から踏みつけます。
『持久力と忍耐力を鍛えろ』
耐える2人はキントレスキーに対し、何でそんな事言われなきゃならないのと
最もな反論をしながら、木もろともウザイナーを押し返しました。
キントレスキーは2人の健闘を褒めた上で、最高に強い相手と戦いたいと
己の望みを告げるものの、2人は文化祭の準備で忙しいと反論して立ち向かいます。

『文化祭だと?体育祭なら見逃してやるが、それ以外は認めんぞ!』
妙な理由で襲い掛かるキントレスキー。
やはり彼は強く、押される2人でしたが、ムープとフープの月と風の力によって形勢逆転。
それでも戦いを楽しむ余裕を見せるキントレスキーに対し、
文化祭の準備で忙しいと再び訴えながら反撃する2人に、さらに反論するキントレスキー。
『こちらも言っておるだろう!文化祭などと軟弱なものは認めん!』
しかし、舞がモニュメントを作り出すために悩んだ事は、決して軟弱な事ではありません。
一生懸命作り上げたものを貶すのは許さないと、スパイラルスタースプラッシュを放ちます。
『やはり作戦など私には似合わん。敗因はそれだ!』
撤退するキントレスキー。そのあおりを受けてウザイナーもまた撃退されました。

骨組みが曲がってしまっても致命的な損傷ではなく、
モニュメントは無事に完成しました。
美術部をはじめ、クラスの皆も舞を労います。
その後一人モニュメントを見上げる舞の元に、
パンプキンヘッドと衣装を身につけた咲がやって来て完成を祝いました。
どうしてこのポーズを思い浮かべたのか。
咲の問いに舞は、舞自身が高く跳べるのは咲がそばにいて、
咲に励まされて、咲と手を繋いでいれば高く跳べる、とモチーフの由来を説明します。
言われてみれば咲と舞にも見えるモニュメントの中心の2人を見上げて、
咲もまた舞と一緒の時が一番自分らしくいられる、と
まるでプロポーズの言葉のように返しました。
『これからも一緒にジャンプしよ!』
舞の手を取る咲。そしてモニュメントと同じポーズを再現して、
笑い合う2人の声が夕陽の下にこだましました。


私自身、新規プロジェクト立上げに携わった経験があり、
光栄に思うと共に果たして自分にできるのか、とプレッシャーに悩んだ事があります。
世の中にはプレッシャーを感じず、またはプレッシャーを楽しんでしまうタイプの人もいますが、
そうした人は一握りで、殆どの人はプレッシャーに苦しめられると思います。
2年生にして大役に抜擢された舞は、
その役を奪われた3年生の不満の声をまるで感じさせない描写から、
美術部の誰もがその才能を認めているのでしょう。
舞は決して弱い人間ではなく、いざという時の芯の強さは時に咲を上回る事もあります。
今回見せる悩みは、自分に自信が持てないという事ではなく、
自分でも何をしていいのか分からないという事だったと思います。

そんな舞を後押しした咲のポジティブな発言は印象的です。
「あと一週間しかない」と「まだ一週間もある」では同じ期間でも全く違った捉え方になり、
お月見会の時でもありましたが、このように物事をプラスに向ける考え方は
一視聴者としても大いに励みになります。
パンプキンヘッドを被っての励ましも、その見た目や作った口調に反して
舞の絵の本質を捉えている咲の言葉は至極真っ当で、
ここ数回色濃く描かれている2人の信頼関係はここでも伝わってきました。

舞がデザインしたモニュメントは作中でも語られるように、一見咲と舞がモデルに見えますが、
見方を変えれば満と薫にも見えると思います。
モニュメントを見上げる夕凪中の面々の記憶からは、
満と薫の存在は抜け落ちており、2人が存在した事を知っているのは咲と舞だけ
です。
深読みしすぎかもしれませんが、この場に満と薫を居合わせてあげたい、
満と薫とも一緒に飛びたいという舞の意図もあったのではないでしょうか。

そして妙な台詞の数々で、今回はキントレスキーが裏のメインと言える程存在感を示しました。
本文中にも多数引用してしまいましたが、慣れぬ作戦(かぼちゃを被っただけですが)
を立てたことに対する戸惑いや、不可抗力でモニュメントを壊しかけた事を謝ったり、
アクダイカーンにうっかり口を滑らせてしまったり。
台詞だけでなく、わざわざダンベルを持ちながら随所で様子を伺っている姿も目を惹き、
なんと言ってもインパクトが強いのは、「体育祭なら見逃してやる」発言です。
果たして体育祭のモニュメント作りという内容なら、どんな展開になったことでしょうか。
しかしキントレスキーは敵役であるが故に、咲と舞には彼に反論する材料が必要です。
自分の価値観を押し付け、自分の望みを全うするには他人の都合を省みない。
これは先日のクモジャキーも同じように描かれ、同じことをサンシャインに指摘されましたが、
戦いに生きがいを見出す武人キャラクターの宿命と言えるでしょう。

さて、「自分の望みを全うするためには他者の都合を考えない」とは、
ともすれば宮迫に漫才の相方をさせている健太にも通じる可能性がありますが・・・
次回の文化祭本番編ではこの2人が中心となり、
そしてキントレスキーの迷言もまたまた飛び出し、
女子達の扮装も愉しいホラーハウスと共に文化祭を彩ります。
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